GK感想(第4回)
SSツリーの佳境であり、
最後の参加者たちにより執筆された第4回。
キャンペーンの性質上、後半ほど制約が増え難易度が上がっていく中、
王道から破壊的創造まで出揃いました。
此れは”四人”の物語
「天より伸びよさかしまの樹」がまっすぐ伸ばしてきた物語を、
不採用SSの設定も取り入れながら王道に進めてきた本作。
GKとしてはこういうリレー小説としての王道がきちんとあって正直ホッとしました。
ただ流れを汲むだけでなく、これまでの雰囲気をうまく活かしながら
物語を紡ぐのは、見た目以上の難易度だと思うのですが、
非常にスムーズにつづきを描きながら最終回に向けてボルテージをあげきる展開はおみごとです。
4人の候補者の設定など、これまでの"トス"をあらかた回収しきっているのは、
執筆者の実力はあらわれつつも、
つづきを書いてもらうというSSツリーというキャンペーンで
どう後続に捉えられるかは気になるところです。
Tower
かなり短めで、正直時間がなかったんだろうなと感じてしまう本作。
ただ、タイトルで表しているように、タロットの「塔」の試練をエレベーターという形で表現するなど、
センスが垣間見える作品でした。
また、実はSSツリーにおいては、実は短いということが必ずしも悪い評価になるとは限らなかったりもするわけで、
薊野というキャラクターを上手く活かしながら次へバトンを渡した本作はSSツリーにおいて欠かせない役割を担ったと言えるでしょう。
第四話/親父
第3回の流れを直接引き継がずに、
主人公の父親を出して物語のスケールを世界レベルにするという展開は非常に面白く、
「第一話/高橋ルカ」から連なる個性色豊かな物語の最終回1つ手前として盛り上げ方が非常に上手かったと思います。
親父のトンチキさはありながら渋いかっこよさをもつ造形は、ルカのお父さんとしての納得度もなんだか高く、
派手な展開をしながらきちんとリレーをしているのもお見事です。
しかし、これを読んだ当時はまだ首相が辞任するとは思ってませんでしたね…。
世界は早い…。
第四話/アドルフ・ヒトラー
トンチキ要素をこれでもかと詰め込んだ本作。
一見ヤベー要素に目が行きがちですが、きちんとこれまでのSSのトスをうまく活用しており、
理論的な狂人といった風格が漂います。
この「いったい続きはどうなるんだ…?というか次でまとめきれるのか!?」というワクワクは、
SSツリーの戦略としても筋が通っており、
ある意味で次の執筆者陣に挑戦状を叩きつけるかのようなスタイルはロックと言えるでしょう。
そして、結論から言えば、この挑戦状は最悪な形で昇華されることになるのでした。
最終更新:2020年09月27日 23:01