GK感想(最終回)


SSツリーもついに最終回。
リレー小説で戦うという新しいコンセプト、個性豊かに紡がれていくつづきの物語…、
GKとして、「これ、ちゃんと着地するんだろうか」という気持ちは正直ありました。

ですが、ふたを開けてみれば、どの作品も作者の個性を出しながらきちんと締めており、
そして何よりどれも面白い!(面白いの方向性が多様なのもダンゲロスっぽい)
初回・最終回執筆者のみなさんの高い実力を感じました。

また、最終回は第4回の4作品それぞれから続きが描かれており、
このようなきれいな「ツリー」が見れてGKはとても感動しました。

稚拙なGK感想も最後となります。
4つの物語のエンディングを見ていきましょう。


樹を捨てよ、街に出よう


エピローグとして余韻が素敵な本作。
締めとしてのクオリティは高かったと思います。

第4回のハロルド戦への流れを一気に超えて、エピローグから始めるのは、
大胆ながら一定の納得感があり、字数や時間の制限がある中で面白い選択だったと思います。
ただ、流石にもうちょっと何があったのか教えて欲しかったのが正直なところです。

「蛇足」の演出は面白いながらもGKとしては大変でした。
結構気づかなかった人も多かったようなので、こういうメタ演出は結構ピーキーですね。


ちにうえたきがはしりだす


『天より伸びよさかしまの樹』の作者が自ら締めきった本作。
このツリーは、作者が「このリレー小説はこういうルールだよ」というのを強く提示していたこともあり、
きちんと途中のメンバーの個性も取り入れながら、非常にまとまりのある作品になったと思います。
SSツリー初回に出てくるとは思えないほど、レベルの高い「定石」が生まれたように感じます。

自分で流れを作る力とともに、他人の流れを上手く取り入れる力もつよい本作者さん。
第3回で登場したにも関わらず、
薊野が本ツリーの第2の主人公と言えるほどの描かれ方をしたのはさすがの一言です。

これまでの布石も、ただ回収するのではなく驚きを含む形で発展的に回収されていて、
非常にワクワクする最終回でした。

モバイルとPCで視点が違うという仕組みも、第3回のギミックをうまく取り入れていて、
リレー小説としての意義を上手に出していたと思います。
(個人的にはこのギミック自体の有効性はちょっと疑問視していますが…!読者にコストを掛けさせてる以上の効果はあったんだろうか)

接戦ながら優勝したのも本ツリーでしたが、誰しも納得する結果と言えるのではないでしょうか。


最終話/産めよ、増えよ、地に満ちよ


『第一話/高橋ルカ』の作者が自らトリを描いた本作。
『第一話/高橋ルカ』は『天より伸びよさかしまの樹』と対照的に、
「俺は好きに書いたから、続きも好きに書いてくれ!」と言わんばかりの作品で、
実際、非常に各作者の個性が溢れんばかりのSSが連なることになりました。

これは当然、初回の作風からは逸脱していくことも示しています。
『第一話/高橋ルカ』は非常に雰囲気がかっこよい作品で、
つづきのSSからそのようなかっこよさが無くなっていったことには、寂しさを覚えていた読者もいたのではないでしょうか。

ですが、この最終回では、これまでのSSのつづきでありながら、『第一話/高橋ルカ』の空気感も取り戻しており、
GKは舌を巻きました。
個人的に、このツリーはリレー小説のだいごみがふんだんに詰め込まれた作品になったのではないかと思います。

月に到達して、『天より伸びよさかしまの樹』になるエンディングも、
ほどよいメタ要素の取り入れ方で素敵でした。


最終話/彼方に対するは最後の敵


ヤベ〜。

酷い内容なのに、納得してしまう論理展開が本当に何?
爆笑と戦慄をしながら読みました。

本作者が書かれた、
初回の『最弱ヒーラー実は最強。病気の妹を救う為に冒険者になった俺は助けた美少女に溺愛されながら成り上がる。俺を馬鹿にした勇者は勝手に破滅します』も、
最終回の『最終話/彼方に対するは最後の敵』も、
SSツリーというキャンペーンの印象に与えた影響は計り知れないでしょう。
本当にすごい作品でした。

ありがとうという気持ちとともに、あと1票で優勝にならなくてめちゃくちゃホッとした自分がいます。
カナタさん、SSツリー最大の被害者だよ…。

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最終更新:2020年09月27日 23:06