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「ありふれた事件のひとつ」


○魔人警察 魔人覚醒時障害等事件ファイル

■覚醒者 灰堂四空(ハイドウ・シクウ) 及び 灰堂慈斫(ハイドウ・ジキル)

■概要
日時:XXXX年12月25日 18時00分頃
場所:覚醒者の自宅

灰堂四空(以下甲)の帰宅時に事件発生。
灰堂慈斫(以下乙)が喧嘩をして帰宅した甲の手当をしているときに
(甲は帰宅前に魔人能力の「種」のようなものを埋めこまれていた模様。埋め込んだ人物については不明)
甲の「自己の存在を、視線を合わせた対象の知覚から消し去る」能力が覚醒、暴走。
(補足:甲の能力はただ姿を消すだけではなく、視覚を通じて他者の脳の情報を強制的に書き換える能力であると推測される
また、当該事件が発生した段階では能力者自身の制御が不可能であり、能力の強弱の調整が不可能であったと考えられる)
何らかの原因により「存在していること」と「存在していないこと」の矛盾が乙の脳内で発生、大量の情報が書き込まれる。
それにより乙は精神に重篤なダメージを負い、乙の魔人能力が連鎖的に覚醒。
乙は「自身の人格を複製する」ことにより、死亡を免れた。
(補足:本来乙の能力は同一の記憶・人格を複製して精神攻撃等のダメージから逃れるものであるが、
覚醒時の事故により、「全く別の」人格を創りだしてしまったと考えられる)

■事件後の処置
甲は事件後失踪(某ホストクラブで用心棒をしているとの情報あり)
乙は意識を取り戻した後、某組織により引き取られる。
その後の詳細は不明。



珪素:やはりハイドとくればジキル&ハイドは定番ネタですよね!

ツモれ!!メロス


メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の雀鬼を除かなければならぬと決意した。メロスには点数計算がわからぬ。メロスは、村の大学生である。酒を飲み、サークルで遊んで暮して来た。けれどもテンパイに対しては、人一倍に敏感であった。


メロスは、単純な男であった。危険牌を、かかえたたままで、のそのそと字牌を整理していった。たちまち彼は、オヒキのリーチに捕縛された。調べられて、メロスの手牌からはマンズが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、雀鬼の前に引き出された。

「このマンズで何をするつもりであったか。言え!」
雀鬼ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。その雀鬼の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かった。

「ピンフを混一の手から救うのだ。」
とメロスは悪びれずに答えた。

「おまえがか?」
雀鬼は、憫笑(びんしょう)した。
「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの待ちがわからぬ。」

「言うな!」
とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)した。

「牌の山を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。雀鬼は、他人の洗牌をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。雀鬼の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」
雀鬼は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついた。

「わしだって、平和(ピンフ)を望んでいるのだが。」
「なんの為の平和(ピンフ)だ。自分の点棒を守る為か。」
こんどはメロスが嘲笑した。

「高い手牌を崩して、何が平和(ピンフ)だ。」
「だまれ、下賤(げせん)の者。」雀鬼は、さっと顔を挙げて報いた。

「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、ハコテンになってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞ。」

「ああ、雀鬼は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」

と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、ハコテンまでに三回戦の麻雀を与えて下さい。たった一人の妹の為に、役満をあがらせてやりたいのです。のうちに、私は役満を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」
と雀鬼は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。

「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がしたリーチに振り込みがあるというのか。」
「そうです。ツモって来るのです。」
メロスは必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を、三回戦だけ許して下さい。妹が、私の役満を待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この大学にセリヌンティウスという学生がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が3回戦の間にツモれなければ、あの友人の血液を抜いて下さい。たのむ、そうして下さい。」
 それを聞いて雀鬼は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。
生意気なことを言うわい。
どうせ帰って来ないにきまっている。
この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。
そうして身代りの男を、三回戦後に殺してやるのも気味がいい。
人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男の血液を抜いてやるのだ。
世の中の、雀士とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三回戦目までにツモって来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっと振り込んで来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、振り込んで来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
 メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。ものも言いたくなくなった。

「ではその為の対戦相手が必要であるな」

「ふふふ、その勝負、有限会社ユキノイベントが引き受けましょう」

物陰から喪服の少女が姿を見せる。

「ほう久しぶりであるな、斎藤窒素。なるほど例のトーナメントじゃな?」

「負け犬達の戦いにひとり噛ませ犬が欲しいとの要望がありましてね」

「そこで、こやつが死ぬのも一興か。」


これを聞いて聞いて、メロスは激怒した。
「呆(あき)れた奴らだ。生かして置けぬ。」


雀士メロスは参戦する。



珪素:麻雀とか全然分かんないんでコメントできません!すいません!

【正史】沢木の今回の持ち物(補足設定)

  • 農大ミミズ
樹教授が石仮面を被せて、吸血鬼化させたミミズ
体長20cm~10m、農大の土壌を支えている益虫
非常に人懐っこく、人間が近くに来ると喜んで顔を出す
人間の悪い血、つまりうっ血した状態の血や
コレステロール等でドロドロになった血が大好きでよく人間を飲み込み
体内でゆっくりと体の悪い血を吸い取って行く
そして、そのかわりにミミズが分泌する特殊な体液を注入し、人体の血液を綺麗にしていくのだ
ついでに、ミミズの胃液は人体に付着する垢等の老廃物だけを消化する
そして全ての工程が終わると、完全に健康体になった人間を吐き出す。実に完璧な益虫

ミミズの体内はちょっとヌルヌルするし、微妙に触手プレイで
体の隅から隅まで気持ち良くしてくれる。
性欲の処理も完璧だ!!益虫さいこー

狩り難易度(体長5mクラス)A+
3年は2人以上必須、2年なら8人以上で狩ろう
1年では絶対に勝てないので、大人しく喰われるしかないね!

沢木が持っていくのは畑で採取した体長30cmくらいのやつ
でも、周りには汚い血をもったゾンビがいっぱいいるので、すぐに大きくなるだろうね!

  • 小麦粉1kg スーパーで売ってる普通のやつ



珪素:仮に健康になるとしても、巨大ミミズに飲み込まれるのはちょっと勘弁だな……


『鈴木三流VSボルネオ』(by 日谷創面(SS担当))


山・山・山・山

「大久保……。これは、何?」
「自分にもわかりません。」
 学園近くの山へ呼び出された鈴木三流は、そこで黒い霧に覆われた何かを見つけた。
『GYAAAAAOOOOOOOO!!』
 破壊的な絶叫が響き渡る。騒音で会話が難しい。

「先生がここまで誘導しろ。と言ったので……。」
「そう……。先生は、無事なのね?」
「はい。それは確かです。――完全に無事。という訳ではありませんが。」
「なら大丈夫。」
 鈴木は安堵した。少しでも生き残る可能性があれば、池松叢雲は生き残る。あの人は、そういう人だ。鈴木は池松を信頼していた。

『GYAAAAAOOOOOOOOOOOOOO!!』
「――わっ!?」
 謎の霧は鈴木に近づくと、霧の一部をふくらませて攻撃を仕掛けてきた。
 鈴木は持っていた三叉槍でそれを防ぐ。
「っと。なかなかの力ね。……私と同じくらいかな。」
「先生が言うには、こいつは正体を暴かなければ霧が晴れないそうです。名前はたしか、ボルネオとかいってました。」
「なるほどね。」
 池松の考えていることは、鈴木にもわからない。
 だが、意味の無いことはしない男だ。おそらく。
「これも私に当てられたLessonってことかな?」
「どうでしょうか……。」

 大久保の能力の性質上、彼の身を案ずる必要はない。鈴木は間合いをとると、握っていた三
叉槍を容赦なくその霧に投げつけた。――その攻撃に、一切の逡巡なし!躊躇なし!
『AOOOOOOOOOOOOOO!!』
 槍が跳ね返される。まるで効いている様子はない。
「わかったわ。大久保。少なくともあいつはSLGじゃない。」
「まあ、そうでしょうね。会長の槍で粉微塵にならないあたり。」

『GYAAAAAAAAAAAAAAAOO!!』
「……何だか怒っているみたいだけど。」
「それは会長が槍を投げつけたからでは……。自分が囮になりましょうか?」
「そうね。お願い。」
「わかりました。」
 大久保がボルネオの横を真っ直ぐに走り、通りすぎる。
 ボルネオはゆっくりと向きを変えると、大久保を追い始めた。

 鈴木がボルネオの居た場所まで近づき、槍を拾う。
「これは……毛?」
 地面に落ちている。
 鈴木はそれを拾い上げた。赤茶色の毛だ。明らかに人間のものじゃない。
「明らかに人間のものじゃない。」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAOO!!』
「会長……。それは、この鳴き声を聴けばわかると思うんですが!」
 大久保が遠くから叫ぶ。

 それもそうだな。と鈴木が思う。
「正体……わからないな。ボルネオって名前に、何かヒントがあるのかも。」
 ボルネオ……動物の学名にそんなものがあるのだろうか。それともなにか、地名かもしれない。
「ぼるねお……Borneo……ボル?ネオ?……ぼ・るね夫?」
「会長!まだですか?」
 ていうか、スマートフォンを持っているんだから。それで検索をかければ……と大久保は思うのだが、それも何だか言い出しにくかった。

「ふうむ……。わからないな。たぶん、動物なんだろうけど。」
 そういえば以前、希望崎学園の『SLGの会・希望崎支部』まで視察へ行った時。生物部の仲間が言っていた。
「確か……。魔人動物が脱走したって……。それで、仲間の8割が殺されて……。」
 それ以上の情報はあっただろうか?鈴木は記憶を探る。
「そうだ。確か、道具を使われると危ないからと言って、学園内の火器を一旦生徒会が回収する騒ぎになった。とか言ってたかな。」
 だが、それだけでは特定できない。動物といえど、魔人になればそれなりの知能はつくだろう。おそらく、魔人動物のほとんどが、人間の道具をある程度理解し、扱える。
「少なくとも、火器を扱える手先を持っている。ということになるかな……?」
 いや、それすらもわからない。口でくわえて火器を扱える四足歩行の動物の可能性もある。
「じゃあ、試してみようか……。」

山・山・山・山

 山道を走りまわるボルネオ。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAOO!!』
 鈴木はボルネオと大久保の進路まで先回りすると、地面に三叉槍を突き刺した。
 そして、そこからよく見える木の上へよじ登る。
「さて、どうなるかな。」

『AAAAAA!!』
 ボルネオは三叉槍を見つけると、黒い霧を伸ばし、それを地面からつかみとる。
「『手』に取った!やっぱりあいつは――
 鈴木が言い終わらぬうちに、鈴木の立っている木に槍が突き刺さる。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAH!!』
「会長――――――――――――――ッ!」
 真っ二つに折れ、倒壊する。
「ハッ!!」
 鈴木は枝を蹴り、ボルネオの目の前まで跳躍。
 空中でボルネオを睨む鈴木。
 ――口を開く。


「お前の正体は、『ジャイアントパンダ』だ。」


「WOOOOOOOOHHH!!」
「―――――ッッ!!」
 鈴木の脇腹が黒い霧の衝撃を受ける。
「会長ォォ――――――――――――――ッ!?」
 吹き飛ばされる鈴木。
「ナンデ!?パンダナンデ!?……何か他に無かったんですか!?」
 大久保が叫ぶ。

 草むらに追突した鈴木は、枝の突き刺さった身体を持ち上げた。
「わ……私がパンダを飼ったら、……たぶん『ボルネオ』って名前をつけそうな気がする。」
「何ですかその理由は!!パンダだったら良いなって思っただけでしょう。それ!」
 鈴木はパンダが好きだった。

「赤茶色の毛とか見つけたじゃないですか!どうしてそこらへん完全に無視してるんですか!?」
 鈴木が立ち上がる。
「そういえば、そうね。」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAH!!』
 ボルネオの追撃をかわし、走りだす。
 木に突き刺さった三叉槍を回収した。

「さあ、来なさい。」
 ボルネオに向き直る鈴木。
『AAAAAAAAAAH!!』
 槍を構え、口を開く。
「――――リス!!」
「WOOOOOOOOHHH!!」
 突き出した槍ごと吹き飛ばされた。
「会長オォォ――――――――――――――ッ!?」
 木に激突する鈴木。
「確かに赤茶色だけど!!」

 なおも鈴木は起き上がる。
「……リスってかわいいよね。クルミとか持った時の手の形とか……。」
「現実を見てください!!会長!!」
「大丈夫。次こそ当てる……!」

「ネズミ!」
『KARRRRHHHHHH!!!!』
「会長オォォ――――――――――――――ッ!?」
「ゲホッゲホッ……違うか。ならば、」
 さらに一撃。
 踏み込んだ鈴木の一撃が、追撃を加えようとしたボルネオの打撃を防ぐ。
「種類の問題か?ムササビ!」
 身を捻って反撃を試みるボルネオの左腕をかいくぐり、また一撃。
「シマリス!」
 また一撃。
「ハムスター!」
 一撃。
「ハリネズミ!」
 一撃。
「ゴールデンハムスター!」
 一撃、一撃、一撃――。
「会長オォォ―――――――――――――――――――――――ッッッ!!」


 それから、
 鈴木の推理は日が暮れるまでかかった。


≪了≫


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最終更新:2011年11月20日 22:11