概要
魔石製品輸出都市であるオラリオは、ダンジョンの恩恵---魔石産業による利益を受け、大陸の一国家より遥かに発展している。
周囲を市壁で囲まれる都市の形体は、完璧な円形。
外周部方面には比較的長大な塔や高層物が目立ち、中心部に向かえば向かうほど建物の背は低くなっていく傾向がある。
すり鉢状の都市はどこもかしこも魔石灯の光を宿し、あたかも星の海のように輝いている。
広大な都市の中央には天を衝く白亜の摩天楼『バベル』が存在する。
オラリオには八本のメインストリートが存在する
都市の中央から放射状に、北、北東、東、南東、南、南西、西、北西の八方位に巨大な大通りが伸びているのだ。
円形を作る都市の形状もあって、上空から俯瞰すれば、八分割されたホールケーキに見えるだろう。
北西のメインストリートは通称『冒険者通り』とも呼ばれ、オラリオの中でも特に冒険者の往来が激しい。
都市、ひいてはダンジョンの管理期間『ギルド』の本部を始めとして、多くの武器屋や道具屋、酒場など、冒険者必用の店々が軒を争っている。
通りを少し折れた路地裏にも、古ぼけた怪しげな店がところ狭しと立ち並んでいる。
ベルが店頭の窓から覗いていた【ヘファイストス・ファミリア】の支店もこの通りである。
西のメインストリートは北西の大通りとは異なり一般市民が多く住まう。
魔石製品による世界中との交易を主産業とするオラリオは、製品製造を担う労働者を多く抱えている。
ギルドの計らいから生み出される雇用は、ダンジョンを求め訪れる冒険者異常の労働者を呼び寄せていると言われ、当然その彼らも居着くことになる。
【ファミリア】に加入していない無所属の労働者の多くがこの西地区に住居を構え、彼らの家族も生活することで大規模な住宅街を形成している。
もちろん、メインストリート沿いには酒場や宿屋など多くの店々が並んでいる。
『豊穣の女主人』は西のメインストリートの中でも最も大きな酒場である。
北のメインストリートは、ギルドの関係者が住まう高級住宅街が近隣に位置する他、大通りは商店街として活気づいている。
北のメインストリート界隈は服飾関係で有名である。
世界中の地方から多くの亜人が集まるオラリオは、衣装を仕立てる際に客との間で発生する揉め事が後を絶えなかった。
そこで種族ごとの専門店を多数構えることで、信頼と実績をたちまち確保したのである。
東のメインストリートには
南西のメインストリートから一本の小路を通じて辿り着く、デートの待ち合わせスポットアモールの広場がある。
色とりどりの敷石で舗装された園内は、垣根を作る花の植栽もあり華やかな雰囲気醸し出していた。
西日が姿を消し空が薄暗くなると、頭上高くにある魔石灯に光が灯り、広場全体がうっすらと照らし出される。
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