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小袖袴

  • 性別:無性:普通
  • 学年:学生以外
  • 所持武器:病気の少女(http://www45.atwiki.jp/debutvselder/pages/98.html
  • 出身校:希望崎
  • 攻撃力:0 防御力:1 体力:3 精神力:3 FS(所持武器への愛):18

特殊能力名『目的の達成』 発動率:102 成功率:100

効果1:能力休み解除
タイプ:瞬間型
範囲+対象:同マス(味方)
時間:一瞬

効果2:味方特殊能力強制試行
タイプ:瞬間型
範囲+対象:同マス(味方)
時間:一瞬

効果3:能力休み解除
タイプ:瞬間型
範囲+対象:同マス(味方)
時間:一瞬

非消費制約1:自分以外の味方が召喚した
キャラクターのみに有効
非消費制約2:自分の初期位置でしか使えな

非消費制約3:スタメンだと使用不可
消費制約:自分死亡
支払い方法:即座に支払う
<補足>
発動率計算
(((80+80+80)*1*1*0.65*0.95*0.8)-55*1)*2.8=102.032……102%

<能力原理>

付喪神に纏われている少女自身の能力によって、特殊能力発動を終えたばかりの魔人をもう一度能力発動可能なコンディションにする。
さらにもう一度能力を発動してもらう。
魔人能力を見られて満足した少女は、身に纏う着物の能力によって帰宅する。
因みに帰宅する際、着物は役目を終えてその場に残るが、下駄だけは持って帰る。

以下、能力制約の詳細
「今回は右手が動かないんだから、表立って危ないことしちゃ駄目だよ」
「うん」
「もし抗争に巻き込まれても、表立って争いごとに向かう人のサポートなんかも危ないんだからね」
「う、うん」
「戦場をうろつくなんてもってのほかだってわかっているよね」
「は、はい」
「よし。それじゃあ社(やしろ)もしっかりとご主人様を守ってね」
「えぇ……それじゃ能力を肌で感じられないよ……」
「だから能力を喰らっちゃ駄目でしょー!」

*


「今回は陰でひっそり……本当に潜入任務になりそうだね」

守りをおろそかにすることは出来ませんが、約束を守りつつ抗争を近くで見ることはできるかもしれませんよ。
自分は表立って戦闘に参加せず、表立って戦闘に参加していない人のサポートを動かずにすればいいでしょう。

「うーん……そうだね。どうしても近くで見たくなるような凄い能力か、運命の出会いでもあったら考えてみようか」

キャラクターの説明

性別:無性

病気の少女に纏わせている小袖、小袋帯、袴、襦袢、足袋、舟形下駄。いわゆる付喪神。
それぞれが別の付喪神なのではなく、全てひとつの付喪神の一部である。
その本体は、民家、土蔵、神社の三つの建造物と、それらが建つ土地、そしてその土地を囲む塀が収合して出来た日本家屋の付喪神である。
元々はそれぞれの家屋、土地、塀は別の場所で年ふり付喪神となったものであるが、いつの時か、同じ場所に集まり、ひとつの付喪神となった。
この付喪神の収合については、誰かがそれぞれの付喪神の能力を合わせて利用するために人為的に行ったのではないかともっぱらの噂である。

病気の少女を――少女自身が強く拒否する場合を除いて――常に護っている。
言葉を喋ることはできないが、少女とはなぜか会話ができる模様。
屋敷内のものは大概ふわふわと漂うように動かせるため、少女以外とはボディーランゲージによって会話する。
己の持つ能力に強い自信を持っており、常々、地位や金を持つ者でありながら、世に溢れる魔人能力への自衛手段を用意していない輩は何なのだろうかと思っている。

*


付喪神全体名:社(やしろ)
元は五つの付喪神が合わさって出来た付喪神であり、五つの能力を備えている。

能力1:袖中の箱庭(しゅうちゅうのはこにわ)
家屋と土地を囲む、塀の能力。
社全体の大きさを最小で掌サイズまで自在に縮めることができる。
旅行時など、袖の中に自分の家を入れて運べるため、大変便利である。
ただし、危険な場所へ社を持ち込むのは前線へ本陣を移動させるようなものであるため、使用は慎重に行っている。

能力2:蓬莱の歓待(ほうらいのかんたい)
家屋の建つ、土地の能力。
この土地において、大地の恵みは常に尽きず、湧き出る水は決して枯れない。
家庭菜園には四季を通じて種々の野菜、果物、香草、薬草、綿花等がなり、池や井戸は水源も不明だが常に水を湛えている。
また、土地に建つ家屋にも能力効果が発揮されたのか、民家に備えられた燃料や土蔵の中にあるがらくたも尽きることがない。
日常生活を送る上で、最も重宝する能力である。

能力3:夢の寄辺(ゆめのよるべ)
社の持ち主の少女が母屋として使用している民家の能力。
この家屋内の物を身につけていると、所有者の身に危険が迫った際、その物が身代わりとなって所有者を守る。
具体的には、所有者を亜空間へ落とし、家屋内の布団の中に着地させる。
また、身代わりとなった物が壊れていなかった場合、布団の中からその物が残されている場所まで亜空間経由で移動も可能。
所有者が外出の目的を果たした際など、帰宅目的での使用も可能。
社の持ち主の少女を守る要と言える能力である。


能力4:サの便(さのよすが)
土蔵の能力。
物だけでなく、人の想いや中二力を収めることができる。
土蔵の中のがらくたにもその能力が発揮されるため、このがらくたを持って魔人能力発動の場に居合わせれば、能力を使用した魔人から溢れる中二力を保存することができる。
なお、社の持ち主の少女が元気な時に愛用しているメモ帳は、この土蔵の中からざくざくと出てくる刀剣を材料に作成したものである。
少女はこの能力を使って、多くの魔人の能力を収集して楽しんでいるらしい。

能力5:忘失(ぼうしつ)
神社の能力。
かつて神社であった、今ではまします神のいない、空の神殿が発する忘失の力。
詳細を語るには文字数が足りない。

また、社の中には、持ち主の少女が生活する上で必要になった、付喪神ではない建造物も混ざっている。
現在、母屋、土蔵、神社の他、お客様を迎えるための建物、少女のお目付け役が寝起きしている武道場、温泉脇の脱衣所の三つが建てられている。

エピソード

ようこそ、古い古いものたちが集うお屋敷へ。
ここは白亜の豪邸が立ち並ぶ閑静な住宅地の中の異世界、どこか別の時代から引っ越してきた異邦人、時の流れから隔絶された天地――例えるならそんな場所です。
今日からあなたもこのお屋敷の一員となること、しっかりと覚悟していただきましょう。

それでは早速、このお屋敷のご紹介を始めます。
門をくぐったその先は、私が言うのもなんですが、なかなか不思議な光景が広がっておりますよ。


では参りましょう。まず、白木造りの門を抜け、同じく白木造りの橋を渡って、お屋敷の庭へ入ります。
このお屋敷は塀の内側をなぞるように川が流れておりますので、内部へ進むには、まずこの橋を渡る必要があるわけです。
そして、橋を……渡ると……この通り。茂る緑のトンネルがお出迎えいたします。
ここは先程渡った川の内側を、そしてお屋敷の建物達の外側をぐるりと巡る、通称「四季の庭」です。
四角い外壁の各面に沿うよう、春の庭、夏の庭、秋の庭、冬の庭と分けられ、それぞれに異なる趣を醸しているこの区画は、お屋敷の華と言えるでしょう。
門とつながっているここは春の植物が生える春の庭ですから、春の時分になれば梅、桃、桜と、咲き誇る花がそれはそれは綺麗なものです。
もちろん他の夏、秋、冬の庭もそれぞれに雅やかなところですが、委細を語っていてはお屋敷の紹介が先へ進みませんからね……
そうですね。今、特筆しておくべきことは夏の庭と冬の庭にあるふたつの洞窟くらいでしょう。
夏の庭の洞窟は様々な鉱物の結晶があちこち生え、かと思えば足元から溶岩が湧き出す、なんとも刺激的な場所です。
まあ洞窟の中にはお屋敷の住人も滅多に立ち入りませんが、この洞窟の入口には温泉が湧いておりますので、そちらは憩いの場として頻繁に使われております。
冬の庭の洞窟は、通年、壁面を分厚い氷が覆っている天然の氷室になっておりまして、料理に使う食材等の保存庫として利用されております。
その他、四季の庭については、また日を改めて、詳しくご紹介することにいたしましょう。
本日のところはこのお屋敷の造りをざっくりと把握してもらうことが目的ですから、先へ進みます。
さて、しばらく歩いて春の庭を抜けますと、このようにちょっとした広場に出ます。
ここがお屋敷の住居が建つ区画になります……と言っても、春の庭に面したこちらはこの通り、何も建っておりません。
いずれはここにも何か建つかもしれませんが、今はただ柔らかい緑の絨毯を踏んで楽しむか、そうですね、偶にお屋敷の主人がご友人を誘ってバーベキューなどなさっております。
この広場をまっすぐ進めば……はい、目の前に広がるこの枯山水、通称「中庭」にぶつかります。ここが位置的にお屋敷の中心になります。
枯山水と言いましたが、まあ日によって岩の位置や砂の模様が変わるものですから、ときには岩がひとつもない、銀沙が広がるだけなんてこともあります。
なんでそんな風に様子が変わるかといいますと――まあ私の趣味だから、ですね。
さて、これまで門からこの中庭へ、まっすぐ歩いてご紹介してきましたが、まだ歩いていない他の三方も似た造りとなっております。
つまり、このお屋敷の庭はどの方向から見ても、外側から順に川、四季の庭、住居、中庭という造りになっているというわけですね。

お屋敷の庭の造りは大体、以上になります。
次は、その庭の中に建つ、お屋敷の建物達について見ていきましょう。


それではまず、中庭の向こうをご覧ください。正面に見える藁葺屋根に土壁のいかにも古風な民家。あちらがこのお屋敷の母屋になります。
銀沙の先に建つ藁葺屋根なんて、他では滅多にご覧になれない光景でしょうね。
また、こちらからでは見えませんが、母屋の裏手には立派な土蔵がひとつ、生い茂る木々にまぎれて建っておりまして、その中にはいつからあるのかも判らないようながらくたと、このお屋敷の主人が趣味で集めたものが詰まっております。
視線を右に移してもらって、中庭の右側、あちら側が夏の庭になりますが、あそこに建っているのは来客をもてなすための建物です。
お客様がいらした際は、お屋敷の主人とお客様とが、あそこで囲炉裏にあたりながら談笑し、あるいは縁側に腰掛け、枯山水や夏の庭を眺めながらお茶を飲むなどして過ごしております。
来客用の建物に続きまして、中庭をはさんで相対している、左側のあの建物。あちらは神社の拝殿です。
まあ神社といいましてもあの通り拝殿しかありませんし、そりゃあ昔はいらっしゃったのかもしれませんが、今では祭られている神様もおられません。
神社にこんなことを言うのも変ですが、がらんどうってやつですね。冬の庭の侘しさによくあっているとも言えるでしょうか。
あの拝殿はお屋敷の主人が気まぐれに寝起きすることがある程度で、ほとんど使われておりません。
あとひとつ。既に通過してしまいましたが、春の庭にはお屋敷の主人の警護をしている者が寝泊りしている建物があります。
この建物は武道場としても使われており、警護の者やお屋敷の主人が、日々、己を鍛錬しております。
はい、そうです。あなたをこのお屋敷まで案内したのがその警護の者ですね。

お屋敷の建物についての紹介はこれでおよそ全部です。

さて、これでお屋敷の内部構造は大体ご理解いただけたでしょうか。
それではそろそろ、このお屋敷に住む方々の紹介と参りましょう。


まず紹介するのは、当然、このお屋敷の主人ですが……このお屋敷を取り仕切るのは、まだ年若いお嬢さんです。
なんでもこのお嬢さん、自分で考えた苗字をお役所に申請するため、世帯主にならないといけないからなどという理由でご実家を飛び出し、このお屋敷を見つけて住み始めたそうなのです。
建設的かどうかは置いておくとして、その行動力は賞賛に値するものがあると思いませんか。
そんな立派なご主人様ですが、さて、今、何をしているかと言いますと……ちょうど来客用の家で目を覚ましたところですね。
主人はその日の気分で寝る場所を決めるので、ときには母屋以外でも寝起きするのです。
今は毎朝の日課である体調の確認、布団の中で体のあちこちを軽く動かしての様子見をしています。
ああ、そう。主人は体の一部が突如全く動かなくなるという病気を抱えておりまして、そのためにこんな日課ができたわけです。
どうやら右腕がまだ動かないようですね。あの一瞬見せる寂しそうな表情は出来れば拝みたくないものです。
体の確認を終えまして、布団から這い出て枕元の有明行灯の覆いを外して部屋を明るくし、立ち上がって軽く伸びなどしながら部屋の外へ向かい、片腕でちょっと開け辛そうにガタガタと部屋の木戸を開けて縁側に出て……
……と、ああ、これはどうもすみません。つい主人の愛らしい動作を追ってしまいまして、話が先へ進んでいないですね。
うっかりこのまま主人の動きを日暮れまで追い続けるところでした。
ええと、そう。主人の紹介でしたね。
外見はあの通り、黒髪黒目で中肉中背。すらっと伸びた脚と、肩甲骨のあたりまで伸ばしたストレートの髪が特徴です。
も少し幼い時分に魔人となりまして、以来、元気なときにはいつでもどこでも駆け回って素敵な出来事、凄いことを探しております。
とにかく昔から御伽噺や神話などが大好きで、夢見がちに育っていたそうなのですが、魔人になって大概の場所へ行ける体を手に入れてからその性分に拍車がかかったのだとか。
まあ今のように病気で体のどこかが動かないときは、大人しくお屋敷で庭を眺めておいでですがね。
あ、主人の魔人能力ですが、まあ主人の性格がそのまま出たと言いますか、身の回りに奇跡や凄いことを引き起こすという能力です。
偶然が重なって厳重な警備をしている場所に忍び込めてしまったり、派手な能力を持った魔人達が偶然近くで喧嘩を始めたり、付喪神となった家と会話することができるようになったり。引き起こすことは様々です。
まあ能力の効果によって凄いことが起こったのか、はたまた本当の偶然か、本人にも判別がつかないそうですから、効果がどれほどのものなのか、いまいち分かりにくい能力ではありますね。
ただひとつ、結果がはっきり目に見える形で現れることといえば、周囲の魔人の能力使用を助ける効果があることです。主人にとっては魔人能力もその目で見たい凄いことなのでしょうね。
最近はそのことを利用して、魔人の巣窟なんて言われる学園の中、好きなだけ凄い魔人能力を見て歩くという趣味を持たれたようです。
主人は学園から帰ってくると、いつも嬉々としてその日の出来事を語っておられますからね。主人の語る武勇伝はなかなか面白いものですよ。
どのような内容かと言いますと、例えば――

――

――おや、話をしているうちに主人は朝食も終え、すっかり身支度を整えられたようで。
ええ、元気なときは動きやすさを優先した服装をしていますが、体が不自由なときは和装でゆったりと過ごしております。
今日は縁側で親友と終日、四方山話をして過ごす心積もりでしょうか。

お屋敷の主人については話しているといつまでも終わりませんし、ひとまずこれで次に移りましょう。
はい、今、縁側に腰かける主人の隣にいるのが主人の親友であり、このお屋敷の住人です。
主人が幼いころからの付き合いだそうで、今は母屋の一室を借り受けて寝泊りしております。
はい、鳥ですね。
オオタカをそのまま大きくして、片翼で大の大人一人簡単に覆るほどの大きさになった、そんな感じですね。
まああの鳥に関しましてはその大きさと、人の言葉を喋る能力があることと、あとは主人にご執心であることくらいを覚えておけばいいでしょう。
あの鳥の主人に対する言動を色々と挙げるとなかなか面白いことになりますが、その辺はまたいずれお話しましょう。

あとこのお屋敷に住んでいるのは警護の者だけですが、警護の者については、まあこちらにいらっしゃるまでに大体ご覧になった通りだと思ってもらって結構ですよ。

さて、お屋敷の住人紹介については、私からはこのくらいですね。
あとは主人の近くで、実際に主人の話を聞いて、そうやってこのお屋敷のことを知っていってください。
では、お屋敷の主人とその親友の会話に聞き耳をたててみることにいたしましょう。


*



「少し、寂しそうだね」
「……うん。やっぱりばれちゃうね」

おや、どうやら主人は今日も落ち込んでいるご様子。
俯き気味の主人に、鳥が声をかけています。

「みんな、今はどうしているかな」
「この時間だと授業中じゃない?」
「きつねちゃんと稲荷山ちゃんは真面目に授業を受けているかな……梨咲さんは何やってるんだろ……埴井ちゃんは……」
「……学校に行けなくて寂しい?」
「……うん」

どうも学園に行けず寂しい思いをしているようです。
家に居ても思うことは、先日の学園紛争で仲良くなった学友のこと。
新参対古参の対立、でしたか。あのときの主人はそれはもう楽しそうにしていました。
あんな経験をした後ですと、やはり今の体が思うように動かないときというものが殊更辛く感じられるのでしょう。
ただ……それにしても、

「それにしても、最近は随分と寂しそうにしているみたいだけど」
「……それもやっぱりわかるんだ」

そう。病気の症状が現れているときはいつも寂しそうといえ、最近は輪をかけて寂しそうに見えます。
学友に会えないというだけなら、あの後、何度か学友をお屋敷に招待して遊んでいますし、もう少し元気でいてもいいはずなのですが。
文机に向かってぼんやりとしていること、縁側でうつむいていること、いつもより多いと、お屋敷の住人は皆気付いています。
出来ればその胸の内を語っていただきたいもの。

「……凄い能力を持った人、みんなどんどん死んじゃって……」
「あ、そっか……」
「みんななんで私より先に死んじゃうかなぁ……」

なるほど。
凄いことを捜し求めて、やっと凄い人の集まる学園に転入して、だというのに凄い人がどんどん死んでしまって、と。
確かに寂しいものがあるのでしょうね。
特に主人の場合は病気もありますし、自分より先に他人が死ぬことに何か思うことがあるのかもしれません。

「この前も、凄い強い想いがふたつ見つかって、凄いことが見られるかもって嬉しくなって、だけど、その想いもいつの間にか死んだ人の未練になっていて……あれだけの想いなら、私の能力がなくても凄いことを起こせそうだと思ってたのに……なんで死んじゃったんだろう……」
「強い想いが……ふたつ?」
「うん。妃芽薗……だっけ。あの女子校。今も未練があそこに残っているみたいだよ」

病気の症状に加えて、すぐ近くに居たはずの凄いことを起こす人が皆死んでしまい、悲しく思っていた。
そこへ重なった、気にかけていた強い想いを持った人の死という出来事。そのことによって、ここ最近の凄いことを起こせる人達の喪失をはっきりと自覚してしまった。
――主人の気落ちの理由はそういうことでしたか。
これはなかなか元気付けるのが手強そうですね。ひとつふたつの凄いことを見せるだけでは分が悪いでしょうか。
だとすると、やはり主人を一息で元気にするためには――

「何か、誰か、凄いこと……」
「今は、さ。ゆっくり休んで、元気になったら色々やればいいよ。……どうしても気が晴れないなら私が景色のいいところにでも連れて行こうか?」

落ち込む主人にもたれかかられてテンション上がってますね。あの鳥。
主人の体調が万全でないときはいつも外出を渋る癖に、自分から外出の話を持ちかけるとは。
そんなに主人を元気付けたいなら、学園の生徒会長と番長の失踪について話してあげればいいでしょうに。
ふたつの強い想いって、おそらくこの二人のものだと、鳥自身も思っているのでしょう?

「!」
「ん?どうしたの?」
「え?この前新しく決まったって言ってた生徒会長と番長って失踪したの!?」
「えぇ!?聞いちゃったの!?」

うろたえてますね。鳥。
ついでに山乃端一人が消息を絶ったなんて風の噂も合わせて教えてあげれば完璧でしょう。

「!!」
「あ、う、もしかしてその顔……山乃端一人の……こと?」
「やっぱりそうなんだ!ちょっとこんなことしてる場合じゃないよ!出かけよう!」

効果覿面。
やはり主人を元気付ける一番の薬は――ハルマゲドンですね。

「……もう待ってと言ったって止まらないよね……」
「……うん、いつも心配してくれてありがとう」
「『でもここで止まるくらいなら最初から病院のベッドで眠っているよ』だよね……。仕方ないなぁ」

一度勢いのついたこの人は止まりませんからね。
それにしても明るい主人の表情、久しぶりですね。やはり主人にはいつも元気でいてもらわないと。
さあ忙しくなりますよ。出発準備を……と、おや、こちらに何かおっしゃりたいご様子でしょうか。

「あ、それと……教えてくれてありがとう。社(やしろ)」

いえ、どういたしまして。ご主人様。私は当然のことをしたまでです。
あ、そうそう。お出かけになるご主人様にちょうどよいプレゼントがありますよ。

「わ、かわいい下駄」

神通力のようなものは持ち合わせていませんが、これも年代物の付喪神です。
先程、私の造りと、ご主人様の紹介をしていたのですが……あなたのことをいつも陰ながら気にかけている人からの贈り物ですよ。

「うん!後でお礼を言わなくちゃ」

あとは、さて、

「黙っといてって言ったのに……」

そんなににらまないでくださいな、鳥さん。
あなたはいつも主人の体を気遣っていますが、私だっていつも主人の心を気遣っているのです。
私はこの屋敷全体の付喪神。主人の着物の袖も、寝具の枕も、私の一部なのですから。
いくら付喪神とはいえ、これ以上の塩分過剰摂取は主人の身を守る観点からも控えたいところなのです。
――それに、あなたもそんなものを用意している時点で、黙り通す気なんてなかったのでしょう?

「? 何かあるの?」
「あぁ!もしかして私のプレゼントのことも喋ったね!?」
「えっ!なになに?」
「あ、もう。……ええっと、片手じゃいつものペンは使えないでしょ。矢立もちょっと使い辛そうだったし、だから……ん」
「わぁ、筆ペンかぁ。ありがとう!」
「う、うん。どういたしまして」
「あ!外出用の筆をくれたってことは、もしかしてさっき言ってた『景色のいいところ』って……」
「う……社に先を越されちゃったし、ちょっと格好つかないなぁ……」

ふふふ、やはりそういうことでしたか。まあ、お先に失礼させていただきました。
さて、そんな鳥さんのプレゼントに合わせて私からもひとつ。
土蔵の中に積まれていた和紙を切りそろえてメモ帳にしてみましたよ。
いつもの鉄製みたいに魔人能力を刻み込むことはできないでしょうがよろしければ使ってくださいな。

「うん。みんな、ありがとう。これなら左手でメモ帳を持って……筆ペンを……もぐもぐもむもむ」
「えっ、口に咥えて書くの?」

そういえば主人は両手はおろか、口や足でも字が書けるのでしたね。
体のどこが動かなくなっても大丈夫なようにという訓練の賜物ですが、病気に打ち勝たんとするその気力はたいしたものです。

「袴もしっかり……よし!これで準備はOKだね!」

この先に待つであろう大騒動、主人はその気力を存分に奮ってください。
動かぬあなたの右手に代わり、私が火の粉を払いましょう。


「じゃあ出発しよう!目指すは――凄いこと!」

最終更新:2011年08月18日 00:06