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第六十五話:兄妹の過去

第六十五話:(兄妹の過去)



進達・・・


進「ん~・・・、ちょっと休憩しようか」
E「そうしましょう」

ここ監視カメラはあっても人が居ないから出入り自由。
おいてあった長椅子に乗って座る。

E「正直、つまらない物って思ってましたけど以外と奥深いですね」
進「イーブイのお前にこんな事言ってもしょうがないが、人間は刃物と共に進化してきたからな」
E「間違った使い方はして欲しくないものです」
進「だな」

EVは結構ニュースを見ているので最近の情勢にも結構詳しい。
俺はネットで俺好みな情報だけ見てたけど。

進「・・・!」
E「?」
進「・・・未歩の所に行かないと・・・」
E「え?何でまた急に?」
進「・・・嫌な予感がした・・・。第六感って奴だ」

俺は椅子から飛び降りるととりあえず町の入り口まで全力で走った。
EVが付いてきていたかどうかは確認していない。

進「未歩・・・」

辺りを見回し、未歩のいる場所を探していると、微かに泣き声が聞こえた。

進「!未歩!」(タッ!)

未歩が居た。
大声で泣いている。
サラとミミがそばでオロオロしている。

サ「あ、進!」
ミ「ミホ姉急に泣き出しちゃった!」
進「未歩!未歩、どうした?」(ガシッ)

俺は未歩の頭に腕を回して抱きかかえた。
依然未歩は泣くだけで答えられる状態ではない。

進「サラ、何してたんだ?」
サ「わからないわよ。未歩ちゃんにお母さんはどうしたのか聞いただけ」
進「!・・・そうか・・・」

‥‥そうゆう事か・・・。

進「未歩、思いっきり泣いて良いよ。気が済むまで。な?」

未歩の頭を撫でながら俺は言った。


五分後・・・


進「・・・泣き疲れたみたいだな」

未歩はすやすやと眠っている。

サ「・・・ねえ進。どうして未歩ちゃんは急に泣き出したの?」
ミ「ビックリしちゃったよ・・・」
E「教えて下さい。進さん」
進「・・・聞くか。そりゃそうだろうな。ハハッ」

進は空を見ながら言った。

進「ふぅ、この際だ、俺達兄妹のこと、話してやろう」

あたし達はちょっとだけ進の方に身を乗り出した。

進「まず・・・、俺達には親が居ない」
全「え?」
進「死んだ。トラックに撥ねられてな」
E「それは・・・、お気の毒に・・・」
進「親が居ないのは大変だった。親が居ないまま過ごしてたんだ。八年間。その間、学校にもウソついてたし知り合いのみんなにもウソついてた。・・・そのせいなんだろうなぁ・・・」
全「?」
進「まず歩美だ。EV。歩美は、お前のこと凄く大事に思ってるんだ。何でかわかるか?」
E「え?いえ・・・」
進「・・・お前が、歩美にとって初めての友達だからだ」
E「・・・初めての?」
進「ああ。お前に出会うまで、友達なんて居なかった。友達を作ろうとしても避けられてたし、イジメられてた。だから歩美は友達のことをもの凄く大切に思ってるんだ。今まで欲しくて欲しくてたまらなかったものだからな」
E「そうなんですか・・・」
進「友達がいないと言えば俺もだったが、俺はまだちょっと話せるぐらいは出来た。だけど歩美の場合、近づけば避けられ、近くを通れば舌打ちされ、片付けをしていれば散らかされ、物を投げられ、殴られ、蹴られ・・・。そんなイジメを受けてた。・・・それでも、あいつはめげずに友達を作ろうと努力してた」
ミ「そんなこと・・・」
進「あったんだ。本当に。歩美は・・・、強い。強い心を持ってる。何度はねつけられようと、どんなにイジメられようと、諦めずに友達を作ろうとしてた。俺には到底、そんなこと出来ない。はねつけられれば俺はもう終わりだ。歩美のように、立ち上がれない」
E「・・・・」
進「・・・俺は、特に何もない。歩美や未歩に比べればどうって事無いようなことばっかり。何もかも普通。でも友達だけは居なかったな・・・。みんな、俺に近寄ろうとしないんだよな。フフッ」
サ「・・・・」
進「最後に未歩。未歩には、友達はあまりいない。そこまで仲もよくないって事らしい。でも、未歩は・・・、未歩は・・・」

俺はちょっと言葉に詰まった。

進「・・・俺達の両親は交通事故で死んだって言ったな?」
サ「ええ」
進「その時、未歩は三歳だった。父さんと母さんは未歩の誕生日プレゼントを買いに行ってたんだ。そしてその帰り道、トラックの運転手がハンドルを切り損ねて、撥ねられて死んだ。ほぼ即死。遺体は撥ねられたあと後続車に轢かれぐっちゃぐちゃだ」
ミ「うぇ・・・」
進「幼気な子供が、それを見たらどう思う?誕生日ケーキに書かれてた自分の名前を見たらどう思う?未歩は・・・、未歩は・・・、父さんと母さんが死んだのは、自分のせいだと、今でも思ってるんだ」
サ「・・・そんな風に見えなかった・・・」
進「未歩は必死で明るく振る舞おうとしてる。必死で、自分のせいだという罪悪感に堪えてる。俺は・・・、未歩が可哀想で・・・、仕方ない・・・。誰のせいでもないのに・・・、自分のせいじゃないのに・・・、ずっと苦しんでる・・・。何とかしてあげたい、でも・・・、未歩、優しいから・・・、誰にも迷惑かけないようにって・・・。もっと、俺を頼りにしてくれて良いのに・・・、ずっと一人で、抱え込んでる・・・」
E「進さん・・・」

進さんの声は途中から涙声に変わり、目の端にはキラリと光る物が見える。

進「・・・ゴメン、こんな話して・・・。別に忘れてくれてもかまわないから・・・」
サ「忘れられる訳無いじゃない・・・」
E「そうですよ。貴方達がそんな辛い境遇に居ただなんて事を・・・」
ミ「そうだよね」
進「・・・そっか」(キラリ)
ミ「?スー兄、泣いてる・・・?」
進「え?いや、目にゴミが、さ」(ゴシゴシ)
E「・・・・」

強がっているが、一番辛いのは進さんだ。
保護者として妹二人を見守らなければならない。
その妹二人は、辛いことに立ち向かっている。
進さんはそれらを束ねたものと戦わなければならないんだから。
進さん・・・、貴方には、私達が付いてます・・・。


最終更新:2009年01月25日 20:22
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