第八十六話:(涙雨)
進「・・・・」
ペ「歩美が・・・」
未「そんな・・・」
ス「アイクくん!追いかけてよ!」
ア「無理だよ!早すぎる!」
ミ「アユ姉助けなきゃ・・・」
フ「無理よ・・・。仮に追いついた所であいつから歩美ちゃんを取り返すなんて事出来ないわ」
シ「・・・あれ?EVさんは?」
進「!EV!?EVー!!」
サ「EVはどこに行ったの!?」
キ「・・・まさか・・・、歩美さんを助けるためにギャラルに付いていったんじゃ・・・」
未「そんなの・・・」
進「死にに行くようなもんじゃないか・・・」
俺が呟くと同時にポツポツと雨が降り始めた。
俺の心の状態でも表してるのか?
大切な人が二人もいなくなった。
心に空いた空洞は大きすぎる・・・。
一「・・・とりあえず、この森を抜けよう。こんな所にいてもどうしようもないよ」
フ「そうね・・・」
花「みんな、行きましょ・・・」
キ「ふぁぁぁ・・・」
キリクは空気を読まずにいきなりあくびした。
わたし達はトイシタウンに向かって足取り重く歩き始めた。
サ「・・・あら?」
未「?」
サ「みんな先に行ってて。進がついてきてないから連れてくるわ」
ペ「わかった。急げよ」
サ「進、あの状態じゃ何するかわからないしね・・・」
進は雨に濡れるのも気にせずその場に立ちすくしている。
移動を始めたのにも気付いていないようだ。
サ「進」
進「・・・・」
サ「進、みんな移動してるわ。行きましょ?」
進「・・・サラ、歩美が・・・、EVが・・・」
サ「わかってるわ・・・。でも今はどうしようもないでしょ?」
進「どうすりゃ良いんだよ・・・。二人とも居なくなっちまった・・・」
進は涙声で言った。
本気で悲しんでいる。
サ「進・・・」
ボヒュゥゥゥ!!
サ「!キャッ!」
進「ぅぉっ!」
突然突風が吹いてきた。
炎タイプでなかったら火傷しそうな程の熱風だ。
進は吹き飛ばされた。
ガッ!
進「がはっ!」
進は吹き飛ばされた先で木に頭を打ち付けた。
気を失ってしまったようだ。
サ「進!大丈夫!?」
「全く・・・、女々しい男だ」
サ「!」
キュウコンだった。
艶やかな毛を持った男だ。
「俺の縄張りに、そんな男を連れてこないで頂きたい」
サ「あんた誰よ!そんな理由でこんな事したの!?」
「名乗るならまず自分からだろう?」
サ「・・・・」
「お前が名乗らないのなら、俺が名乗る必要はない」
サ「・・・なんでいきなり・・・」
「その男が気に入らない」
そのキュウコンは進を見ながら言った。
「様子は見させてもらった。ただ女が二人いなくなっただけ、それだけでメソメソと、見ているだけで虫唾が走る」
サ「あんたに何がわかるのよ!進にとって、あの二人は大切な人だったのよ!!」
「興味ないな。さて・・・」
キュウコンの口の端から火の粉が散った。
火炎放射を出すつもりだ。
標的は進。
気絶しているから避ける事なんて無論出来ない。
「消えて貰おう」
火炎放射が放たれた。
信じられない火力だ。あたしの火炎放射なんかよりもずっと大きいし温度も高い。
ゴォォォォ!!!
サ「っく・・・」(ォォォォ・・・)
「・・・もらい火か。何故邪魔をする」
サ「進に手を出さないで。ただでさえ、今は悲しんでるっていうのに」
「死ねばそれも関係ない」
キュウコンは冷ややかな眼差しであたしを見据えた。
最終更新:2009年01月25日 21:33