第八十七話:(求めるものは)
「退け」
サ「嫌よ」
「・・・・」
キュウコンはゆっくりとこっちに近づいてきた。
「・・・お前も邪魔だ。消えろ」(ヒュン!)
サ「!」
急にあたしに飛びかかってきた。
かなり速い。
ガッ!
サ「うあっ!」
「はっ!」(バッ!)
サ「ぐはっ!」
あたしは吹っ飛ばされた。
大分進から離された。
サ「ちっ!」
「どうする?お互い、炎は効かんぞ」
何とか進を連れてここから逃げなくちゃ・・・。
こいつかなり強い・・・。
「さあ、抗うがいい」
サ「・・・やあっ!!」(バッ!)
「おっと」(スッ)
サ「えいっ!」(ヒュッ!)
「美しくないな」(ヒョイ)
サ「今だ!」(タッ)
あたしは進の首をくわえて逃げ出した。
「逃(のが)すか!」(ヒュッ!)
サ「!」
九本の尻尾があたしの身体に巻き付いた。
前足、後ろ足、首、全て縛られた。
身動ぎも出来ない。
「動けまい?」
サ「くっ・・・」
「今、お前の命は俺が握っている」
サ「くそっ・・・」
「炎は効かない、かといって、噛み付いたりなどしたら血が出て汚れるな・・・。ならば」
キュウコンは少しだけ口を開けた。
そこから光がほとばしり始めた。
「壊してやろう」
サ「破壊光線・・・!?」
「終わりだ」(ヒュゥゥゥ・・・)
サ「やられて・・・、たまるかぁ!!」(ガブッ!!)
「っぐぁっ!!」
あたしが首に巻き付いていた尻尾に噛み付くと尻尾が全て緩み、破壊光線も散った。
素早く進を連れてあたしはかけだした。
「・・・待ちたまえ」
サ「誰が!」
振り返らずに走る。
みんなと合流すれば何とか・・・。
「止まれ」
サ「!!」
もう先回りされた!?
サ「・・・・」(ジリッ・・・)
「そう構えるな。俺の縄張りからはもう出ている。危害を加えるつもりは全くない」
サ「だったら・・・」
「・・・その男を貸せ」
サ「・・・・」
「危害は加えん」
サ「・・・・」
「・・・ん?」
キュウコンはあたしをからかうように見つめている。
あたしはゆっくりと進をその場に置いた。
信用した訳じゃない、九本の尻尾があたしの周りで蛇のようにユラユラと揺れているからだ。
「さて」
キュウコンは進をくわえると無造作に放り出した。
そっちに気を取られていると、あごを引き上げられた。
「フフフ・・・」
サ「な、何よ!」
キュウコンの顔の近い事。
「やはりな」
サ「?」
「まず名乗っておこうか。俺の名は、グリード・ヴァレンタイン。グリードとでも呼んでくれたまえ。キミの名は?」
サ「・・・サラよ。サラ・エルメンス」
グ「サラか・・・。フン、平凡な名だ」
サ「な!」
グ「まあ名などどうでも良い。俺が気にしているのは・・・、眼だ」
サ「?眼?」
グ「そう、サラ、キミの眼だ」
サ「あ、あたしの目が何よ?」
グリードはあたしの眼を覗き込んでくる。
目をそらしてもグリードの顔がすぐに追いついてくる。
グ「フム・・・、なんだこれは・・・。この光・・・」
サ「?」
グ「美しい・・・。微弱だがこの輝きは素晴らしいものだ。フフッ、是非とも手に入れたい」
サ「何が言いたいの?」
グ「簡潔に言おう」(クイッ)
サ「!」
グリードの顔が更に迫った。
更にグリードは妖しい微笑をたたえている。
グ「サラ、キミが欲しい」
最終更新:2009年01月25日 21:37