それから進は外に出た。
ポケモン用の扉があるのでさっさと出ていった。
瑞輝が慌てた様子でついてくる。
海岸まで走り、海を見た。
ちょうど見た方向がノダチ地方の方向だったはずだ。
何とか戻る方法を見つけないといけない。
きっとみんなノダチにいるはずだ。
一刻も早く戻り、みんなの無事を確認したい。
特に気になるのは妹の歩美と未歩、そして恋人のEV(イヴ)。
歩美も未歩も昔からの事情で根はしっかりしているので何とかやっているだろうが、EVはしっかり者でも抜けた所があって無事でいられるか心配だ。
誰かがそばにいてやらなければならない。
「・・・どうしたの?海が気になる?」
「向こうに渡りたい。一刻も早く」
「どうしてですか?」
「ノダチに大切な人が居る。会いたいんだ」
進がソルを振り返るとソルが目に涙を溜めていた。
急にそんな状態になっていたのと涙に驚いた。
「おい!?どうした!?」
「いえ、大切な人が居るんだなって・・・」
「だからってどうして泣く?」
それからソルはメソメソと泣くだけで訳を話さなかった。
その代わりにピュールが笑いを堪えているような様子で説明した。
「ソルったら進くんが打ち上げられてるの見つけてから進くんの事ばっかり話してるの。“きっと運命の人だ”とか“ここから愛が芽生える”だとか言ってるの」
「おいおい・・・、テレビの見過ぎだ。俺にはちゃんとした恋人もいる」
それからソルが声をあげて泣き始めた。
瑞輝も様子がおかしいと思ったのかソルの顔を覗き込んでいる。
さすがに気まずくなったので進はソルを慰める事にした。
でもそうゆう事をするのが得意な方ではない。
「ソル、泣くな。な?良いか?世の中に俺より良い男なんて腐る程いる。人選を誤るな」
「でも・・・」
「そうだ、ちゃんと人を選べ。こんなどこの馬の骨かもわからないような男、さっさと諦めて家に帰るぞ」
ヒュドールはそう言い放つ。
進は訳がわからず首を傾げた。
「酷いよお兄ちゃん!そんな事言うなんて!」
「事実だ。こんな奴ほっとけ」
「おい、俺何かしたか?」
遂に聞いてみた。
するとヒュドールは進の事を睨み付ける。
その眼光に少し進は怯んだ。
「お前が来てからというもの可愛い妹がお前の話しかしなくなった。お前が来る前は兄弟みんなで楽しい時間が過ごせたのに、お前のせいで台無しだ!」
「お、おい、そりゃ俺のせいじゃない!俺は別に何もしてないだろ!」
「うるさい!全部お前のせいだ!」
「理不尽だ!」
「こ、こら!喧嘩しないの!」
瑞輝がなだめに入ったが、それからしばらくヒュドールは進が悪いと捲し立てていた。
「ほら!戻るよ」
瑞輝が家に戻るとみんな付いていった。
「進くんも家に行こ。行く所無いんじゃないの?」
「あ?ああ・・・」
泊まれる所もないので、今は瑞輝の所に世話になるしかないだろう。
少なくとも、食料と寝床にはありつける。
最終更新:2009年05月03日 13:32