リュウトは真っ暗闇の中にいた。
「ここは・・・。」
リュウトはキョロキョロあたりを見回す。
でも、“黒”以外は何もない。
「トルテー?ラッセルー?ルックスー?ザンツー?セロウディアー・・・。」
リュウトは疲れて座りこむ。
そして、こう洩らした。
「本当に悪夢の中なんだ・・・。」
リュウトはまた立ち上がる。
その時だった。
白い何かが見える。
リュウトはそれに近づいた。
それは“人間”だった。
白いウェディングドレスのようなワンピース、カールの掛かったチョコレート色の髪。
その髪を束ねるピンクのリボン・・・。
白い雪のような肌、タイガーアイのような輝く茶色の瞳・・・。
リュウトはその姿に見覚えがあった。
それは幼い頃に病死したリュウトの母、リーだった。
「母さん!」
リュウトは涙を流して、駆け寄る。
「リュウト。立派になりましたね。」
リーは穏やかな顔でリュウトを見る。
「会いたかったよ・・・。母さん・・・。」
リュウトはつい思ってた事を言ってしまった。
リーは微笑んだ。そして、こう言った。
「リュウト。ダークライは悪い奴だと思いますか?」
リュウトは首を傾げながらも、うん、と頷く。
「残念だけど、それは違うわ。誰が悪い、とか、誰が正しい、とかは、分からないの。それが、犯罪でもない限り。今、あちこちで戦争が起きているでしょう?あれは、「正論」と「正論」のぶつかり合いなのです。・・・わかりますか?」
リュウトは勉強は嫌いだが、リーの言ってる事が分かった。
うん、と頷く。
「その心があれば、大丈夫です。」
そして、リーは小さな光を指差した。
「あれに触れれば、悪夢から目覚めれるわ。」
リュウトは少し恥ずかしそうに、
「ありがとう。」
と言った。
「頑張ってね。あたし、応援してるから。」
リーはそう言って、光となって、消えた。
そして、リュウトはその光に触れた。
温かい。母と父とポケモンの温もりだ。
と思った。
そして、悪夢からの脱出に成功した。
最終更新:2008年11月29日 19:06