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生まれ落ちた王権 第1話 前編
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ストーリー
| 私の最初の記憶は、薄暗い部屋 窓一つない石造りの部屋と すすり泣きの音 | |
| どうして泣いていたのか もうわからない 理由なんてあり過ぎた | |
| 痛くて、寒くて、ひもじくて 寂しくて、不安で…… きっとそんなところだろう | |
| 私と一緒の部屋に 閉じ込められていたのは 大勢の人間達 | |
| みんな傷つき、疲れ果て ただ生かされていた | |
| 大勢の人間達の数は 日に日に、段々と減っていった | |
| この部屋を管理する化け物…… クリーチャーが 人間を連れ出していくからだ | |
| 人間を連れて行くのは 「試練」を受けさせるためだと 言われていたが | |
| 連れ出された人々は それきり戻ってこない そんなことがずっと続いていた | |
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（何か恐ろしいことが起こってる きっとそうなんだ……） |
| 黒髪の少女 | |
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（だけど、この不安を 共有してどうにかなる ことでもない） |
| 黒髪の少女 | |
| どうしようもない 不安と恐怖に、人間達は次第に 誰も話さなくなっていった | |
| この状況を、私達は なぜかクリーチャーから渡された 「カード」で紛らわせていた | |
| 遊びのルールもよくわからない このカードだけが 私達の拠り所だった | |
| そして―― 最初は窮屈だった部屋に住人が 数えるほどしかいなくなったころ | |
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もうお前らで最後の組か |
| クリーチャー | |
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今回もハズレか とんだ無駄飯喰らいどもだ |
| クリーチャー | |
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奪われた魔導具を取り戻して 王が再誕するのは いつになるのやら |
| クリーチャー | |
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――いいか、お前ら あそこにいるのが「凶鬼」 お前らを襲ってくる敵だ |
| クリーチャー | |
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お前ら全員で あいつを一匹狩れ それで試練は終わりだ |
| クリーチャー | |
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ＧＲＲＲＲＲＷ！ |
| 凶鬼 | |
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畜生、何だよあの化け物！？ |
| 男 | |
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あんなものを 一体どうやって狩れって 言うのよ！？ |
| 女 | |
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（何、あのおっきいの？） |
| 黒髪の少女 | |
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（あれを……私達に 倒せって言うの！？） |
| 黒髪の少女 | |
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（できっこない…… 逃げなきゃ、なのに…… 足が震えて……動けない！） |
| 黒髪の少女 | |
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ヒッヒッヒ！ 早く凶鬼を仕留めないと お前ら、ここで死ぬぞ |
| クリーチャー | |
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ほら、お前らに渡している カードを使うんだよ クリーチャーを召喚するんだ |
| クリーチャー | |
|
お前ら人間だけが 使える技なんだろ？ |
| クリーチャー | |
|
それが使えなきゃここで終わり 簡単な話だ |
| クリーチャー | |
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畜生！ やってやる！ ……このカードを 使えばいいんだな？ |
| 男 | |
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あんたらの思い通りになんか ならないよ！ |
| 女 | |
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……畜生！ 出て来やがれ！ 俺の味方…… |
| 男 | |
|
うわあああっ！ |
| 男 | |
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こんなカードで 何ができるっていうんだい…… 畜生め！ |
| 女 | |
| 人間達を蹴散らしていく化物は 最後に残った私と、もう一人の 男の子に狙いを定める | |
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み、みんなやられた！ 早く逃げろ！ |
| 男の子 | |
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だ、だめ……！ 追いつかれる！ |
| 黒髪の少女 | |
|
ＧＲＲＲＲＲＷ！ |
| 凶鬼 | |
| 凶鬼による攻撃が 二人に襲い来る直前 | |
| 手にしたカードから 襲い来る凶鬼に似た怪物が現れ 凶鬼を弾き飛ばす | |
 |
え！？ また化物が増えた？ |
| 黒髪の少女 | |
 |
違う…… 今のはカードから出てきたんだ |
| 男の子 | |
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お前ら 召喚に成功したのか！ |
| クリーチャー | |
|
失敗作ばかりで うんざりしていたが ようやく成功したらしい！ |
| クリーチャー | |
|
だが……ん～？ |
| クリーチャー | |
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一体どっちが召喚した？ わからねぇなぁ |
| クリーチャー | |
|
失敗作を残しても しょうがねぇし…… まぁいいだろう |
| クリーチャー | |
|
凶鬼を追加して 確かめさせてもらうとしよう |
| クリーチャー | |
|
………… |
| 凶鬼 | |
|
ひ、ひぃっ！？ |
| 黒髪の少女 |
