デブチョコボ

「…これからどうしようかしら」
「………」
マリベルは呟いたあと、うつむいたままのビビを見て、ため息をついた。

二人は民家に身を潜めていた。
あの緑髪の男(ヘンリー)を振りきったは良いものの、走りどおしで大分体力を消費してしまっている。
休息を取るために、二人は危険を承知で、レーべの村を訪れたのだ。
運が良いことに、一件の家の窓が開いていた。
二人はそこから忍びこみ、誰もいないことを確認し、休憩していた。

――あの忌まわしい放送が流れたのは、それからしばらくしてからだった。
それ以来、ビビはこうしてじっとうつむいたままでいる。
(知り合いでもいたのかしら……)
マリベルには、それが誰でどんな関係だったのか、知る由もない。
だからこそ、ビビに掛ける言葉が見つからないでいた。

「…あ、そうだ。そういえばビビの武器って何だったの?」
思いついたように、マリベルが口を開いた。
その言葉に、ビビは初めて顔を上げた。
「…まだ見てないや」
「じゃあ、今のうちに確認しときましょ」
ビビの返事も聞かず、マリベルは彼の袋に手をつっこむ。
「あ、これかな? ……って、何コレ?」
彼女が掴み出したもの……それは、変な形の笛だった。
「こんなんで戦えっての!? ふざけてるわ!」
憤るマリベル。……ビビは笛を武器にしている人間を知っていたが、彼女の剣幕に言うことができなかった。
「あー、こんな笛ぴーひゃら吹いたって仕方ないじゃないの」
と言いつつも、マリベルは笛を口に運んだ。
もしかしたら、魔法の品か何かかもしれない、という期待があったからだ。

マリベルは笛を吹き鳴らした!
なんと、デブチョコボがあらわれた!

「何か用か~い?」
『……え?』

突然あらわれた巨鳥、デブチョコボに、二人は思わず目を丸くした。
「……何、この鳥。」
「ちょ、チョコボだと思うけど……(すごい太ってる……)」
「そりゃあ、デブチョコボだからね~。んで、何か預かろうか?」
「あ、預けようにも……今あまり持ち物もってないし……
 それ以前に、あんた何なのよ?」
「森の預かり屋、デブチョコボさ~。
 とりあえず今は何も用がないんだね~?
 何か物を預けたり引き出したりしたくなったら、その笛で呼んでおくれよ~」
それだけ言うと、デブチョコボは姿を消してしまった。
二人は、しばしの間呆然と立ちすくんでいた。

【マリベル 所持品:エルフィンボウ
 第一行動方針:休息中
 基本行動方針:非好戦的、自衛はする】
【ビビ 所持品:ギサールの笛
 第一行動方針:休息中
 基本行動方針:非好戦的、自衛はする】
【現在位置:レーべの村民家(アモスがいた家)】


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最終更新:2011年07月17日 18:29
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