「…」「…」
ゾーマの放送が流れている間、
バッツも
パパスも無言だった。
知った名が流れていないか、それを聞き取るために全神経を集中させる。
ナジミの塔の有る小島。バッツ達は今、そこにいた。
「知っている名はあったかね?」
パパスの問いに、バッツは無言で首を振った。シドという名は知っていたが、恐らくは同名の別人だろう。このゲームには参加していない…はずだ。
バッツは問い返すようにパパスを見たが、パパスはやはり首を横に振った。
その足下では、
クーパーと
アニーがぐっすりと眠っていた。
…この塔に泳ぎ着いてから丸1時間ほど、彼らは待っていた。塔の騒ぎに乗じて合流を図る者達を。
だが、これまで誰もここに出てきてはいない。味方も、敵も。
時折塔から人が出てきたが、彼らには気づかぬまま行ってしまった。
この島にはもう、バッツ達しかいないはずだ…生きている者は。
「…行きますか?」
バッツはパパスに聞いた。言うまでもなく、『
旅の扉をくぐるか?』と言う事だ。
パパスはこっくりと頷いて、言う。
「1時間だけ待とう。やる気のヤツらはさっさと行ってしまうだろうから、その後を狙う。」
「ギリギリまでとどまるかもしれませんよ?」
「ヤツらが狩るのは怯えた者さ。そして、怯えた者は首輪の恐怖から早く扉をくぐりたがる。それを追うのが狩る者だ。」
そこまで言って、パパスは大きく
ため息を付いた。
「まったく…考え抜かれたモノだ。この首輪は。どんな呪文がかかっているかはしらんが。」
その一言が、バッツの脳裏に引っかかった。呪文…つまりは魔法…。
だが、そのあまりに小さい引っかかりは、バッツの頭からあっさり消失した。
「しかし…またこの湖を泳ぐんですか。20分ぶっ通し泳ぐなんて久しぶりでしたよ。しかも、その二人を背負って。」
そう言って、バッツは笑って見せた。ゲームが始まった頃に比べれば、精神の硬直がいくらか溶け始めている。
パパスも答えてはは、と笑ってみせる。
「備えあれば憂いなし。普段から鍛えておくべきだな。」
その優しげな顔が…バッツの瞳の中で、一人の人物と重なる。ドルガン=クラウザー。
「…パパスさんって…俺の親父に似てるんですよね。」
「…そうか…似ているか。儂にも息子がいるが、君には似ていないな…君のようにまっすぐ育って欲しいとはおもうが。」
「俺みたいな風来坊になっちゃ駄目ですよ。」
和やかな会話。殺し合いの場にはとんと似つかわしくない、平和な会話。
それをうち切ったのは、爆音だった。
「っ!」「始まったか…!」
遠くから轟くような爆音に、バッツとパパスは振り返った。
少し遠く、湖の向こうのアリアハン城で、小さな爆発が幾つか起こった。戦っている。
アレが終われば、大半は旅の扉をくぐってしまうだろう。
「…1時間も待つ必要はなかったようだな。爆発が収まったら城に行こう。」
パパスは呟き、心配そうな顔つきのバッツに微笑んだ。
「君の友人も、この子らの両親も、極端なおびえを持って判断を誤るほど…弱くはあるまい。」
「…はい。」
【バッツ@魔法剣士(アビリティ:白魔法) 所持品:ブレイブブレイド
第一行動方針:塔へ移動
第二行動方針:レナと
ファリスを探す
基本行動方針:非好戦的だが、自衛はする
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【パパス 所持品:
アイスブランド
第一行動方針:塔へ移動
第一行動方針:子供達の両親さがし
基本行動方針:子供達の安全確保
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【クーパー 所持品:
天空の盾とマンゴーシュ(王女の支給品)
第一行動方針:塔へ移動
第二行動方針:両親さがし】
【アニー 所持品:なし
第一行動方針:塔へ移動
第二行動方針:両親さがし】
【現在位置:ナジミの塔の小島】
(このパーティは、城での戦闘が収まった時点で城へと向かう。)
最終更新:2011年07月16日 21:09