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食べたい

岬の洞窟から北西の海にほど近い森の中、そこでは既に戦闘が始まっていた。
「このぉ、あたれぇっ!」
木々の間を高速で移動する敵に、ねらいを定めてブーメランをなげる。
しかし、それは木々の葉を少し散らしただけで彼の手元にもどってきた。少しずつ
相手との間合が狭まってくる。不意に木の上から飛び出した相手の攻撃をぎりぎり
体をひねってかわす。闘技場で培われた高度な戦闘技術は、しかし慣れない森という
フィールドではその能力の半分もだせてはいなかった。それに対し、相手はこの状況を
十二分に引き出して襲い掛かってくる。一瞬、炎を吐くという考えが浮かんだが、森の
中でそんな事をすれば自分もただではすまないだろう。
「くそぉ、このままじゃやられる!」
この見えない狩人に、彼は追い詰められていた。


ネネの呼びかけを聞いた時、ルーキーはすぐさま彼女に会おうとしていた。
しかしナジミの塔へと続く階段に足を乗せたその時、ネネの断末魔の叫びを聞いて彼はパニック
に陥った。元来た道を全速で引き返していたら、いつのまにか洞窟の出口にたどりついた。
そしてソコから距離をとり、この場所でずっと隠れていたのだ。木々の葉と波の音が完全に自分の
気配を消してくれるはずだった。しかし全てに平等な大自然は彼より優れるヤセイをもつ者を呼び出していた。


「カプッ」
ブーメランを投げたわずかな隙に、背後から飛び掛ってきた相手にかみつかれた。
(やられたっ。・・僕は・・もう・・ダメ・・・みたいだ・・・)
既に口いっぱいにほおばられた彼の意識は遠く拡散していった。
このままおいしく死んでいくのか、と思ったそのとき、彼は誰かの声をきいた。

「ちがうそれは食べ物じゃない!」と。

ルーキーが戦闘に入るおよそ一時間前、ガウは聞きなれない音に意識を集中した。
他の四人はナニやら小難しい話をしていたので暇をもてあましていたのだ。
(はっぱのおと、なみのおと、ぷるぷる、なみのおと、ぷるぷる、はっぱ、はっぱ、
 なみ、ぷるぷる、なみ、ぷるぷるぷるぷる、、、)
「どうしたアルか?」 いつもと違う雰囲気を察してクイナが話しかけてきた。
「ガウ、、」 「え?」「ガウガウー!」そういってガウはまっすぐ南へ走っていった。
「どうしたでござるか!?」
他の三人は彼の行動に意表を突かれ、クイナに意見をもとめた。
「たべものが、、あるって、、、」 「へ?」「南に食べ物があるっていってたアル。」
「ナニィ?もうそんなに時間はのこってないのに!」「ワタシに文句いわれても困るアルよ。」
「とりあえず追いかけるでござるよ。」 メルビンはこの場をいさめ、ガウを追いかけて走っていった。

「この先かな?」森の中の少し先で、いかにも戦闘しているらしい音が聞こえる。もちろん食事を
している音にはきこえない。(まさかアイツ、人をたべるんじゃなだろうな)
いやな考えが脳裏に浮かぶ。彼、ホフマンは四人の中で一番最初にこの森についていた。他の三人が遅いだけなのだが。
彼らがここにつくまで、まだだいぶ時間がかかるだろう。しかし、人が襲われているなら
助けなくてはいけないだろう。彼は意を決して目の前の戦場にとびこんだ。
そこで彼は恐ろしいものを見てしまった。少年がスライムをほおばり、幸せそうな顔で舌触りを楽しんでいる姿を。
彼は駆け寄り、少年の後頭部を全力ではたいた。

「ちがうそれは食べ物じゃない!」
はきだされたスライムは二、三回転がると動かなくなった。既にノビてしまっていたのだ。


「どうするでござるか?ライアンどの」
異常な食欲をしめすガウとクイナを、近くにあったリンゴで誤魔化しておいてメルビンはライアンに話しかけた。
「ウーム、頭にのってる首輪をみると、コレも参加者でござろう。」
そういってその首輪をひっぱる。しかしそれは張り付いてとれなかった。
「大丈夫でござるよ。世の中には良いスライムもいるでござるから」
脳裏に知り合いのホイミスライムが浮かぶ。アレもこのゲームに参加しているはずだ。
ホイミン、、、これもイイスライムだったらな)
ソコらへんに生えている薬草を貼り付けたルーキーを見てそうつぶやいた。

ルーキーは目を覚ますとあたりを見まわした。
なぜ気絶していたのか覚えていなかったが、周りを囲まれていることと手元に武器が無いことから今の状況を
把握した。敵意は持っていないが深く警戒しているようだ。変な格好をした女と少年は、他の三人には無い光を
その目に宿していた。
(とりあえず警戒を解かなくちゃ。たしか先祖代々伝わる技にそんなのがあったはずだ)
「ぷるぷる。ぼくは悪いスライムじゃないよ。」
その言葉に男たち三人は困った顔をし、別の二人は唾をのみこんだ。
見知らぬ生物にたいする食への探求心と、なんとも言えなかった食感が二人をそうさせるのだろう。
「えーと、君はこのゲームの参加者なのかな?」
ホフマンは言葉を選んでルーキーに話しかける。
「じゃあ、旅の扉ってしってる!?僕達それをさがしてるんだ!」
ホフマンはいままでの事をかいつまんで説明した。
「うん。南の洞窟にあるっていってた。でも、あそこ危険なんだ。変なひとがたくさんいたんだ。」
ルーキーの脳裏に女性の叫び声がよみがえる。もうあそこへはもどりたくなかった。
「大丈夫でござるよ。拙者達はそんなにやわじゃないでござる。」
二人の剣士はおそらくかなり強いだろう。そして彼らの武器もなんだかゴツイものばかりだった。
「うん、わかった。案内するよ。   でも二つ約束をして。」
「なんでござるか?」
「僕を守ってくれる事。そして、、、」

僕を食べないこと、と。そう、本当の天敵はこの中にいるのだ。
あの二人の足元は、よだれで水溜りになっていた

【ルーキー 所持品:ブーメラン
 第一行動方針:岬の洞窟へ移動】
【メルビン 所持品:虎殺しの槍
 第一行動方針:岬の洞窟へ移動
 基本行動方針:仲間を集める。冗談を飛ばす。】
【ライアン 所持品:不明
 第一行動方針:岬の洞窟へ移動
 基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず。】
【ホフマン 所持品:ギガスマッシャー
 行動方針:岬の洞窟へ移動】
【クイナ 所持品:釣り道具一式
 第一行動方針:スライムを食べる
 基本行動方針:食べ物】
【ガウ 所持品:なし
 第一行動方針:スライムを食べる
 基本行動方針:食べ物】
【現在位置:西の海岸】


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最終更新:2011年07月18日 07:22
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