とんぬらは物陰に隠れていた。
あの男…
スコールは目の前に
旅の扉があるというのに、追ってきているようだ。
スコールがこのゲームに乗っていることを、認めざるをえなかった。
野放しにしておいたらどれだけの犠牲が出るだろう。
その犠牲の中には、父親も含まれるかもしれない。
唇を噛む。目の前で、嬲り殺された父親の姿は、今も忘れる事はない。
あの時、自分が死んでいれば、
パパスは死ぬ事がなかった。何もできない幼子のために、父は死んでいった。
それを、繰り返すというのか。
「そんなこと…させるものか」
とんぬらは決意した。あの男は、ここで倒す。ここで…殺す。
武器も腕前も劣っている。だが、戦闘においてそれは絶対的な有利ではない。
特にこの洞窟は、あちこちの壁が崩れ落ちており床は所々裂けている。死角も多い。
それをうまく利用すれば、勝てるはずだ。
さて、実際にどうしようか…考えていた、その時だ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
地面が震えだした。
まさか、と思う間も無く、揺れはどんどん激しくなっていく。
「崩壊が始まった!?」
パラパラと天井から粉が落ちてくる。
この調子では数分ともたず、この洞窟は潰れるだろう。そして、この世界も。
とんぬらは飛び出した。上に戻る階段は走ればすぐだ。
「…ッ!!」
そのすぐ向こうに、スコールはいた。
その目はどんよりと濁り、こんな状況でもまるで動じていなかった。
氷の刃が、空を舞う。揺れる足元のせいで、とても回避できない!
受け止めようと上げた
釘バットの先端が切り取られた。
釘のおかげで刃はあらぬ方向へ逸らす事ができたが、釘が刺さっている場所はほぼなくなってしまった。
これでは、もう
ひのきの棒にも劣る。
「このぉ!」
とんぬらは咄嗟に使えなくなった釘バットを投げつける。
至近距離にもかかわらず、首を動かしただけでそれを避けるスコール。
そこで…とんぬらは片手を突き出した。
「バギ!」
バチン、と。巻き起こした真空がスコールを弾き飛ばす。
倒れるスコールを見て、とんぬらは階段へと走った。
今のバギは不意をつくために放った簡略的なものだ、まともに当てても倒せるほどの威力はない。
現に、とんぬらが角を曲がろうとする頃には、スコールはもう立ち上がろうとしていた。
階段を駆け上がると、とんぬらは一気に旅の扉に飛び込む。
そのあと、ますます激しくなった揺れの中、スコールがやってきて旅の扉に入る。
スコールは、額から血を流していた。
顔面に伝う血を無造作に拭うスコールの口元は、微かに引き締められていた。
【とんぬら 所持品:なし
第一行動方針:パパスと会う】
【現在位置:新フィールドへ】
【スコール(人形状態) 所持品:氷の刃
行動方針:皆殺し】
【現在位置:新フィールドへ】
最終更新:2011年07月18日 02:30