寒い、乾いた風が吹き抜ける。
道無き道を、とんぬらは歩いていた。あるいは登っていた。
旅の扉に飛び込んで、ついた先は草木もない山間だった。
周囲を警戒したが、あの剣士はいないようだ。
というか、警戒するまでもなく、誰もいなかった。隠れる場所さえなかった。
まったく、極端な場所に飛ばしてくれるものだ。
主催者の底意地の悪さに溜息をつきながら移動を始めて半日近く。
その途中でその主催者の放送を聞いた。
「…雨だって?」
とんぬらは愕然とした。
標高の高いこの辺りは、はっきり言って寒い。
おまけに雨露を凌げる場所さえ見当たらない。しかも、降り始めるのは夜だという。
「…凍死確定」
なんて間抜けな死に方だろう、とんぬらは笑おうとして…失敗した。
はやく、この山脈を下らないと。父さんにあえないまま終わるなんて、ごめんだ。
そして、太陽が西の空に差し掛かった頃。
何とかとんぬらは眼下に平原を見下ろせるところまで来ることができたのだった。
道具袋から地図を取り出す。周囲の地形…海岸線の形や、山脈の外観から見当はついた。
「北西にツェン、南東に封魔壁、山脈を越えた南西が…首都のベクタか。
今更山越えはできないとして、ツェンか封魔壁か…距離は大体同じかな」
【
とんぬら 所持品:なし
第一行動方針:
パパスと会う】
【現在位置:ベクタ北東、ツェンと封魔壁の中間】
最終更新:2011年07月18日 02:30