青い光の渦が急激に変化し、新たな舞台を映し出す。
ヘンリーは空中に放り出される前に体勢を整え、難なく着地した。
「……ッ」
が、彼は顔をしかめた。押さえたのは足ではなく、左の頬。
指の間から、醜く焼け爛れた肌が覗く。よくよく見れば、左腕にも火傷を負っている。
マリベルとビビが放った、火炎魔法の傷痕だ。
風がヘンリーの身体を撫でる度に、鈍く強い痛みが伝わってきた。
「…くそっ!」
我慢できないほどの痛みではない。左腕も、決して動かせないわけじゃない。
しかし、今持っている武器は、重量のある斧。
手負いの状態や、まして片腕などで満足して振りまわせるような代物ではない。
並みの相手なら、それでも呪文を駆使すれば、まだ仕留められるだろうが……
(
ピエール……
パパス、……それに、あいつ)
脳裏に、仲間と、死んだはずの恩人と、親友の顔が思い浮かんだ。
――3人の強さは本物だ。それは、間近で見ていた自分が良く知っている。
(こんな状態じゃ、不意をついてもあいつらを倒せねぇ……傷を治すか、もっと良い武器がないと……)
そこまで考え、ヘンリーはゆっくり歩き出すと、民家の中へと入っていった。
【ヘンリー(顔の一部と左腕に火傷) 所持品:
ミスリルアクス
第一行動方針:ひとまず回復薬か武器を探す
最終行動方針:皆殺し】
【現在位置:アルブルクの町・民家】
最終更新:2011年07月18日 06:48