「なっ・・・なんということだ!!」
ケフカは目の前の惨状に我が目を疑っていた
己の力を文字通り全て注ぎ設計した魔道研究所が見るも無残な状態になっていたのだ
「私の苦労は・・・・・・私の野望は一体・・・・・・」
ぶつぶつと呟きながら廃墟同然の研究所を歩きまわるケフカの目に1人の男の姿が入る
「きっ・・・・キサマか、キサマが私の研究所を!!」
それが事実無根の八つ当たりだということはケフカも分かっていた
しかしそれでも怒りのぶつけどころが欲しかった、でなければ狂ってしまいそうだ
(もっとも、彼は普段から半分狂っているようなものだが)
ケフカは問答無用で男へと攻撃呪文を浴びせる
「ファイラ!!」
クラウドは辛くも自分に迫る火球を避ける
「随分いきなりだな」
壁に穿かれた大穴をたまたま覗きこんだらこのザマだ、まったく余計なことをするものではない
しかしこうなった以上は戦わなければ
クラウドは
ガンブレードを構えると一直線にケフカへと突っ込んでいく
再び火球がクラウドをかすめるが気にせず、さらにスピードを上げ、剣に気合を込める
それを受けて刃が輝き始める
「くらえっ!!凶斬り!」
ガンブレードがケフカの身体をとらえ、凶の文字を描くようにその身体を斬り裂いた。
「ちいっ!!」
一瞬で懐に入られてしまった、この男・・・・強い
寸前の所でなんとかわしたものの、かなりの傷を負ったことは間違い無い
肉体を強化してなければ一溜りもなかっただろう
ケフカの道化服がみるみる血で染まって行く・・・・だがしかし、ケフカは己が血を自分の顔に塗りつけ・・・にぃと笑う
「これでキサマの運命は決まった・・・・・楽には死なせんよ」
マントを翻し、呪文を唱える
「バニシュ」
と、同時にケフカの姿がクラウドの視界から消える
クラウドはケフカの気配の方向にガンブレードを振るうが虚しく空を切ってばかりだ
「ファイア」
背後で声がする、振り向いたクラウドの身体に先程の物よりも小さい火球が直撃する
のけぞるクラウドに
「サンダー」
火花が散ったかと思うと、痺れるような痛みがクラウドの全身を走る
「ブリザド」
無数の細かい氷塊がクラウドの身体を傷だらけにしていく
「畜生・・・・なぶり殺しか」
相手の位置はわかっている・・・しかしどうしても捉らえる事ができない
このままでは・・・・・
壁にもたれ荒く息をするクラウドへ姿を消したままのケフカが楽しげに囁く
「まだだよ、まだこんな楽しいショウタイムの幕は下ろさせないよ」
勘弁してくれ、と言わんばかりに皮肉げに笑ったクラウドの頬を殴りつけようとしたそのとき
「メラミ」
何処かからか放たれた火球がケフカの背中を直撃した。
その衝撃でケフカの姿が再び現れる
「だっ、誰だ、誰が私の邪魔を・・・・・」
そこまで言いかけてケフカは、はっと振り向く、そこにはガンブレードを構えたクラウドの姿があった
「遊んでくれたお礼をしないとな・・・・」
愛想笑いのようなものを浮かべて後ずさるケフカへとクラウドはこれまでに溜めに溜めた鬱憤を
ガンブレードに込めて叩きつけた
「画龍点晴!」
刃から生まれた竜巻がケフカの身体を斬り刻み、遥か彼方へと吹き飛ばしていく。
自分と向い側の外壁に叩きつけられピクリとも動かないケフカの姿を確認すると
そのままクラウドは城下町の方へと向かっていった
「やれやれ・・・・」
研究所を見下ろせる中二階で
サマンサはクラウドの後ろ姿を見送る
最初はどちらに加勢しようか迷ったが、よくよく考えると道化服なんぞを普段から着ているような奴が
マトモであるはずが無いし、ましてあんなやり口で相手をいたぶるのである
「全く・・迷う必要は無かったですね」
自分の真下の壁の無残な屍を覗きこむサマンサだったが、そのときケフカの体が不意に動き出した
「嘘でしょう・・・・」
普通なら死んでいるはずのダメージを負っていながら、ケフカはフラフラと立ちあがり工場棟の方へと歩き出していた。
「おのれっ・・・・・・」
混濁した意識の中、あるのはただ自らの目的のみ、そんな状態でケフカは工場へと向かっていた
「見ておれ・・・アレを・・複製し・・・・そうしたら」
「ほほう、アレとは何だ?聞かせてもらおうか」
またしても背後からの声にケフカはぎこちなく振り向く・・・そこには貴族を思わせる雰囲気の男が立っていた
貴公子といいほどの気品に満ちていたが、耳が尖っている辺りおそらく魔族なのだろう。
「言え・・・・・」
その男、
デスピサロの瞳が妖しく輝く・・・・それを見てしまったケフカの口が勝手に開き
少しずつ『アレ』の秘密をしゃべり出す
「おお・・・・」
驚きと喜びでデスピサロの顔がほころぶ、それこそ捜し求めていたものに違いない
しかしそのわずかな気の緩みが術の集中を解いてしまう
デスピサロが気がついたときにはすでに遅く
そのわずかの隙にケフカは自分の舌を噛み切ってしまっていたのだ
「貴様っ、これからが肝心なのではないか!!」
デスピサロの罵声にケフカは高笑いで答える
もっとも笑い声の代わりに血泡が溢れ出しただけだったが・・・・・
この程度の情報を卯のみにすると、むしろ却って研究の妨げになるかもしれない
貴様も魔学を齧った者なら分かるだろう・・・・・くくく
襟首を掴み罵声を飛ばすデスピサロをあざ笑いながら、ケフカは余裕の表情で息を引き取った。
腹いせにケフカの死体を蹴りつけるデスピサロの横から気配がする
「誰だ?」
デスピサロの声に応えて物陰からサマンサが姿を現し、貴族の礼法に従いデスピサロへとひざまずく
「先程の話、私も聞かせていただきました、ここは是非私に研究を手伝わせて頂きたい所存でございます」
その言葉を聞き、デスピサロは怪訝な顔をする
「いいのか・・・貴様らと我ら魔族とは敵同士ではないのか?」
サマンサはその問いに不敵な笑顔で答える
「ふふ・・・確かにそうですが、私も魔学の徒、今の話を聞いてはじっとしておれませぬ」
あの男の変身も確かに興味深いが、それよりもこちらの方が遥かに価値が高い
私の推測が正しければ・・・・・・・
「いいだろう、人間は気に入らんが、そこまで言うなら力を貸して貰おうか、余の名は・・・・・ピサロだ」
デスピサロは意外なことにサマンサの願いを聞き入れた、この女魔法使いがどれほどの力を
秘めていようが、あれを手に入れた私の敵ではありえないだろう・・・・・・
それに例え人間であろうとも助手がいればそれはそれで役に立つそう判断してのことだった
「感謝します、私はサマンサ、よろしくピサロ卿」
相変わらずの不敵な笑顔でサマンサはさらに深く頭を下げる
そして2人は連れ立って工場の中へと入っていった。
【クラウド 所持品:ガンブレード
第一行動方針:不明】
【現在位置:ベクタ城下町へ】
【デスピサロ
所持品:
正義のそろばん 『光の玉』について書かれた本
第一行動方針:進化の秘法の研究を進める
基本行動方針:所持している本を手がかりに進化の秘法を求める
最終行動方針:なんとしてでも生き残る】
【サマンサ 所持品:勲章
基本行動方針:デスピサロを手伝う】
【現在位置:魔導工場】
【ケフカ 死亡】
【残り 77人】
最終更新:2011年07月17日 22:42