「…この町には人の気配は感じないでござるけど、どうで
ござるか?」
「…いるとしても二、三人だね。警戒するにこした事はないけど。」
ライアンと
ルーキーの二人はツェンの町が見える小高い丘の上にきていた。
手持ちの武器が心もとないので十分様子見しておきたかったのだ。ここに来た目的はもちろん
武器の調達だった。日の傾き具合からみて、日没まであと四時間といったところか。できれば
暗くなるまで待ちたかったが、これ以上人が増えたりしたら困る。行くとしたら真中の一番大きい
家なのだが…。
「そういえば、ライアンさんの支給品ってなんだったの?」
「む?袋の中を見たときナニも入ってなかったようでござったから…」
「もう一回よくさがしてみたら?」
地面に袋の中身を出してみた。少量の食料、水袋、魔法のランタンと地図。
そして袋の底に、コブシくらいの包みが入っていた。
「なんだろコレ?あけてみたら?」
「…(ゴソゴソ)……眼帯…でござるか?」
縁は青灰色の鉱物でできており、眼球にあたる部分は虚ろな闇を抱いていた。
「こんなモノみた事あるでござるか?」
「無いよ。つけてみたら?」
目を閉じ、左目の所にそれをあてた。その質感に反して着けた時の感触は悪くない。
おもむろに手を離した。重さはほとんど感じない。ごく自然に肌についているみたいで
どこも止めていないのに落ちる気配は無い。そして目を開けた。
「…ムウ……」
ライアンは低く唸ると辺りを見回して、そして視線をツェンの町にむけた。
唇の端は笑みの形に歪み、先程まで虚ろな闇を抱いていた眼帯のソコにはまるで目のように
動く赤い光点が浮かんでいた。
「どうしたの?ライアンさん。」
不安そうにルーキーが見つめている。もしコレが呪われてたりしたら…。
「ム?いやいやコレは大した物でござるよ。着けてみるでござるか?」
ライアンは眼帯を外しルーキーに手渡した。そして装着し、目を開けた。
最初に見たのは風に揺れる木々の梢。いつもと違うのは、その像に赤い残像がついていた
ことだ。いや、その像にあわせて木が動いているから残像と言うには語弊があるだろう。
町を見ると、視力が良くなったように細部まで確認できる。隠れている人だろうか、赤いマークが
町の中に2つ確認できる。今ならどんなに速くて小さな的にもこの
ブーメランをあてることができるような気がした。
「うわぁ。すごいねコレ。」
眼帯を手渡しながら率直な感想を述べた。
「うむ。なかなかの品でござるな。町の中にいる者は二人、場所もわかるでござる。
まず無人の家から調べてみる事にするでござる。」
「うん。あ、このブーメランはライアンさんが持って。僕より使えそうだし。」
それにアノ眼帯をつけていればはずすことは無いだろう。アレはそういう力を持っている。
そして彼らはこの丘を後にした。
【ライアン 所持品:
スナイパーアイ、ブーメラン
第一行動方針:ツェンの町へ
第二行動方針:仲間をさがす】
基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず。】
【ルーキー 所持品:なし
第一行動方針:ツェンの町へ
第二行動方針:仲間、武器をさがす】
【現在位置:ツェンの丘】
最終更新:2011年07月18日 01:33