大粒の雨が屋根に落ち、地面に跳ね、窓を叩く。
月の光すらない雨の夜は冷たく、さびしい。
闇は安らぎをもたらすと同時に心の暗い部分を刺激する。
時間の流れは意味をなさない。夜はまだ始まったばかりだ。
「
ライアンさん。大丈夫?」
あの放送からどのくらい時間がたったのだろう。ずっとベッドにうつむいて
座っていたライアンに、
ルーキーがおずおずと尋ねる。
「…
クイナの他に…その……誰かいたの?」
「…うむ。…
トルネコ…殿。共に旅をしてきた、大事な仲間でござった。」
──しばしの沈黙に雨の音だけが埋められていった。
「…ごめん。聞かなかった方が良かったよね。」
「…名前だけでも覚えておいてほしいでござる。…せめてもの弔いに。」
「…うん。」
「ずっとこうしている訳にもいかないでござるな。」
「…もういいの?ぼくの事なら気にしなくても……。」
「いや、いいんでござる。
これからどうするにしても、時間は……無駄に……できないでござる。」
適当な言葉が見つからない。しぼりだすようにその言葉を口にした。
「…そう。…これからどうするの?」
「この家にはめぼしい物はなかったでござるから、
向かいの一番大きい家に侵入するでござる。
「あそこの家には、まだ誰かいるんじゃなかったっけ?」
「うむ。だが、いい物があるとしたらココしかないでござる。それに…」
「うん、わかった。ぼくが煙突から入って裏口をあける。ソコから入ってきて。」
ココに来たときから侵入を決めていたので、下見はもう済んでいる。
「うむ。…すまないでござる。一番危険な事を任せてしまって……。」
「ううん。気にしないで。」
ルーキーはライアンから
ブーメランと
スナイパーアイを受取ると、家の外に出て、
屋根に登った。屋根伝いに屋敷の煙突まで行く予定だ。雨に足を取られる恐れも無く
、難無く煙突までたどりついた。ソコまで見て、ライアンは足音を殺して裏口まで行く。
待つ事一分、止め金を外す音が聞こえた。
「ライアンさん。速く!」
抑えた声でルーキーは言った。
ライアンは音も無くドアの隙間に体を滑らせる。入った所は、どうやら厨房のようだ。
「中の者は?」
「気付かれてないみたいだけど、おかしいんだ。昼間からずっと同じ部屋にいるみたい。」
「ふむ……。」
理由を考えてみても、それらしい答えは見つからない。
「とりあえず、接触してみるほかないでござるな。」
刃物を探してはみたが、妙な炭があるだけだった。やむをえず壁に
かかっていた
フライパンを二個つかむと、部屋の出口に向かって歩き出した。
【ライアン 所持品:スナイパーアイ、ブーメラン、フライパン×2
第一行動方針:ツェンの町へ
第二行動方針:仲間をさがす】
基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず。】
【ルーキー 所持品:なし
第一行動方針:ツェンの町へ
第二行動方針:仲間、武器をさがす】
【現在位置:ツェンの屋敷】
最終更新:2011年07月18日 01:34