日没は近い

彼らは今、マランダからだいぶ北の平原まで来ていた。
焚火を起こして服を乾かした後、はぐれたライアン達を探すため
町の近くまで行ったのだが、ガウがおそらくライアンの側にいるであろう
ルーキーの気配を感じないらしいのでそのまま北に向かったのだ。
そして例の告知があったのがついさっき。日没まではもうあまり時間は無い。
それまでに町に戻るのは不可能に近かった。

「…地図では雨がしのげそうな所はありませんねぇ。」
「しょうがないでござるな。
 ここから北に山があるでござるからそこに洞穴があれば…」
「雨が降りそうな気配は無いんですけどねぇ。」
日は少し傾いてはいたが空はまだ青く、それらしい雲は見当たらない。
「遺失魔法には天候を変えるモノもあるでござるから。」
「なんでそんなこと知ってるんですか?そんなの聞いたこと無いですよ。」
「ワシが若い頃にはあったでござるよ。」
「あなた、年いったいいくつなんですか。」
そんなことを話ながら歩いて、山の麓につく頃には西の空が少し赤く色付いていた。

「それじゃあガウ殿。いいとこが見つかったらおたけびをあげるでござるよ。」
「ガウ!!」
ビシッと敬礼すると一目散に山へ走っていった。
「…かなり飼いならしてますね。いつのまにあそこまでしつけたんですか?」
「いや、前に少し羊飼いをやってたでござるから。」
「…今までどんな生活してたんですか?」
「戦士を中退した後少しばかり笑わせ……ム!合図があったでござる。」
(ちぃっ。もう少しだったのに)
そう呟いて走っていくメルビンの後を追いかけていった。


(これで五度目…)
頭の中のどうでもイイ部分でそんな事を考えていた。
たしかに見つけるのは速い。場所も普通に探していたら見つからない所ばかりだ。
しかしどこも何かしら問題を持っていた。入り口が狭かったり天井にあたる部分に
穴が開いていたり。入ろうとしたとたん入り口が崩れた時は死ぬかと思ったよ。
「もう時間ないですよ。どうするんですか?」
山を照らす赤い光が日の入りが近いことを示している。
「うむ。しかしコレしか方法はないでござるからなぁ」
半ば本気で雨の中で野宿するのを覚悟したその時、6度目の合図が聞こえた。

「今度のはわりとまともですね。」
安堵の息を漏らしつつそう呟いた。最初にいた所から少し北に行ったところの
山の中腹にゴツゴツとした岩に隠れる様に開いていた。中はなかなか広く、床は
さらさらと乾いていた。これなら浸水する恐れはないだろう。メルビンは得意そう
にしているガウにリンゴをあげていた。本当にこの二人は仲が良かった。

一度ふもとに下りて低木の枝を集め、それで入り口に中からふたができるようにする。
これで中で光を灯しても外からはわからないだろう。日没まであと少し。
三人は外に出てゾーマの告知を待つ。夜明けから半日、また多くの人が死んだので
あろう。ただ自分の大切な人の名前が言われないよう、身を硬くして祈っていた。

【メルビン 所持品:虎殺しの槍
 第一行動方針:雨宿り
 基本行動方針:仲間を集める。冗談を飛ばす。】
ホフマン 所持品:ギガスマッシャー
 第一行動方針:雨宿り
 第二行動方針:とりあえず仲間を探す】
【ガウ 所持品:なし
 第一行動方針:雨宿り
 第二行動方針:とりあえず仲間を探す 】
【現在位置:マランダ北の山】


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最終更新:2011年07月17日 11:29
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