アルブルク南東の岬。
血塗れの男が一人、海を見渡していた。
その血はどうみても彼の血のみとは言い切れず、
明らかに返り血が付着していると用意に見て取ることができた。
その姿を見れば、万人が疑うことなく彼がゲームに乗ったと理解することができるであろう。
そしてその瞳は、もはや正常とは言い難かった。
明らかに狂気の色が浮かんでいる。
いうまでもない、先ほどに
アリーナたちと一戦を交え、敗れて気絶したものの、
きづいた後なんの躊躇もなく傍にいた
ガライを無惨にも殴り殺した
スコールである。
もはや彼はもとの道に戻ることなど到底不可能としか思えなかった。
しかし、辺りの景色を眺め、
ゾーマの放送をきき、一人歩くうちに、その心情にはやや変化の兆しが見えた。
もともと彼がこのような状態になったのは、
大きくいってしまえば死への恐怖。殺戮への恐怖。
彼の心は脆く、それらに耐えうることができなかった。
しかし、幾重の殺傷、そして先ほどの少女らとの一戦は、彼自身に直接的な死を感じさせ、実戦は脆弱な心を強くした。
ガライを殴り殺したとき、彼は殴る手が痛いと微かに感じたのだ。ほんの、微かに。
とはいえ、相変わらず彼の瞳の狂気は色褪せることなどなかったが・・・。
決定的な何かが、彼には欠けていたのかもしれない。
「・・・ここは寒い」
久しぶりに言葉を発した。
地図を見た。少し遠いが、街がある。
人が集まりそうなところだ。
彼は歩いた。
一連の動作はあまりに自然だった。
そしてそこには、浅いけれども思考があった。
もっとも、ただ、それだけ。マリオネットの糸は依然健在、彼に殺戮への衝動を駆り立てていく。
【スコール(負傷、人形状態?) 所持品:なし
最終行動方針:皆殺し】
【現在位置:アルブルク南東の岬→アルブルクの町】
最終更新:2011年07月17日 17:04