神秘のかぶと

ごごごごご…と言う音と共に足下が滑り出す感覚を覚えて、カインは慌てて立ち上がった。

今さっきまで、人がとても上ってはこれないであろう(それこそ、カインに匹敵する竜騎士でなければ上れまい)山の上でカインは睡眠をとっていた。
エアリスの事は気になるが、慌てて探してもしょうがない。
体力をしっかりやしなっておかなければ、合流した所で守りきれないのが落ちだ。
眠りから覚め、雨が自分に降りかかっている事を自覚しても、カインはしばらく動かなかった。
セシルはどうしているだろうかとぼんやり考えながら…。
そして、そろそろ動こうかと立ち上がろうとしたその時、山の鳴動が始まった。

崩れ落ちる山の欠片を踏みしめてカインは高く跳躍した。
足場がこの上なく不安定なのにもかかわらず、その動きは機敏だ。
岩山に生えていた痩せた木を蹴っ飛ばして、泥の激流に足を取られる前に飛び上がって、飛んでくる石を槍で弾き飛ばして…!


その流れがやっと止まった時、辺りはただの泥の平原と化していた。
所々岩石が突き出してるっきりで、延々と続く不毛の平原。
「……。」
しばらく、ソレを眺めやる。
とりあえず、どこかに移動しようとしたカインは、自分の槍に何か見慣れない物が引っかかっているのに気づいた。
兜。金でも銀でも無い煌めきを持った兜だ。カバーできる部分が極端に少なく、頭を守るのには役に立ちそうにない。
だが、その輝きは奇妙に神々しかった。こんな雨の中なのに。
“ホントの持ち主が見つかるまでなら俺を使ってもかまわないぞ。”
何となく、兜がそう言ってきた気がした。何故かは分からないが。
かぶってみると見た目に反して相当重いが、それでもなにか暖かい感じがしてくる。
ソレをかぶったまま、カインは歩き出した。とりあえずは、当てもなく。

【カイン 所持品:ビーナスゴスペルマテリア(回復) 天空の兜
 第一行動方針:エアリス、セシルと会う 
 基本行動方針:戦闘は避けたいが、自衛なら戦う】
【現在位置:内陸西端の岩山のどこか(土砂崩れで詳しい現在位置不明)】


←PREV INDEX NEXT→
←PREV カイン NEXT→

最終更新:2011年07月14日 20:36
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。