咆哮

どうしてこんなことになってしまったのか・・・・・
土砂降りの中、ティーダはとぼとぼと歩いている、その背中に気を失ったエアリスを担いで
発端はそう・・・・

草木を編んで造った屋根の下で、アルスたちは休息を取っていた
放送の内容にはあえて誰も触れようとはしなかった
ある者は胸をなでおろし、またある者は心を痛めたのだろうが・・・・・・

誰かが近づいてくる、人数は2人・・・ティナとアルスが剣を構える
「待って下さい、灯りが見えたもので・・・・僕たちは争うつもりはありません」
先頭の金髪の若者が両手を後ろ手に組んで声を張り上げる
それを見て、ようやくティナとアルスは剣を下ろし、彼らを迎え入れる
「ありがとうございます、僕はラムザ、そして彼が・・・・」
「ソロです、よろしく」
そう言って二人は頭をペコリと下げるのだった。

それからしばらく経って
「そうですか・・・・トルネコは最後にそう言っていましたか」
ソロはエアリスと長々と話しこんでいる
「トルネコは僕の仲間です、あいつの志は僕の志でもあるんです、だから絶対この戦いを止めましょう
デスピサロを倒して!!」
と、熱弁を振るうソロだったが、エアリスは何か妙な違和感を彼に感じていた
何と言うか空々しいものを感じるのだ、まるで何かを必死で隠しているような・・・・

ティファの様子を知ることが出来たのはうれしかったが・・・・
そういえばティファのことを話すときソロはものすごくうれしそうな顔をしていた
実際、今もしきりにティファの事を尋ねている
(きっとティファのことが好きになっちゃったのね、でも、彼女が好きなのは・・・・)
「で、エアリスさん、ティファさんの・・・・・・」
そこでソロの言葉が止まる、驚愕に歪んだ表情で・・・その視線の先にあったもの、それは・・・

「ソロさんこの剣、偽物なんかじゃ無いですよ、確かに少し重いですけど切れ味は凄いですよ!」
アルスはソロが持っていた剣を構えている、たしか偽物とかいって無造作に放り出していたものだ
驚愕と屈辱に満ちた表情のソロへと、さらにアルスは神経を逆撫でするような一言を放つ
「ソロさん、もしよかったらこの剣、僕に使わせてくれませんか?」
 ・・・・ぶちり。
「なんで・・・・なんでお前が使えるんだよ!!この剣はなぁ!!勇者しか使えないんだよ!!」

ソロの大声に一同は静まりかえる、アルスは何が何だか分からない様子で呆然と立っている
「お前なんか勇者じゃない・・お前なんか、お前なんかぁ~」
次の瞬間、ソロはアルスに殴りかかる
「ちょっと、やめなさいよ」
ティナがソロを引きはがそうとするが、ソロはアルスの髪の毛を掴んで離さない。
たまらずアーロンが強引に2人を止めようとしたその時

「おうっ・・・・おおおおおっ」
突然リュックが苦しみ始める、彼女にしては珍しく何故か隅の方で大人しくしていたので
皆、彼女に注意を向けていなかった。
「熱いっ、熱いよう・・・助けてぇ」
喘ぎと同時にリュックの腹の中から巨大な蜘蛛の脚が飛び出し、ちょうど正面にいたアーロンの身体を貫いた
さらに背中から巨大な蝙蝠の翼がむくむくと生え、全身を黒いウロコが侵食していく
その凄まじい光景にそこに居る誰もが凍りついたように動けなかった。

そうしている間にもリュックの姿は魔獣としか形容できないものへと変貌していった
そいつはキチキチと大顎を鳴らし、ぶら下げていたアーロンを放り投げる
そのドスンという音で、呪縛が解ける。

ラムザはひぃと声を上げて我先に飛び出し、ティナはモニカを連れて外に出る
ティーダは何が何だかという表情で立ちすくんでいる、そしてリュックの進む先にはいたのは・・・・・

そこにはエアリスがいた、逃げ遅れたのだろうか?いや。
「危ないっ!」
誰かの叫び声が聞こえるがそれでもエアリスはその場から動かない。
何かに集中しているようだった、そして・・・・

「大地のッ、息吹!!」
気合と共に光がリュックを包み込む、リュックの身体が、ふるふると震え出したかと思うと
その巨大な大顎から声が聞こえ出した。

「えあ・・・りす」
「リュックさん・・・気をしっかり持って!!」
「ありが・・と・・で・・・も・・げ・・んか・・・おねが・・い、わた、わわ・・たしを・・・」
最後の言葉はほとんど聞こえなかったが、その言葉を聞いたエアリスが愕然となる、
その間にかつてリュックだったそいつは宙に舞いあがり
「キィェェェェェッ」
と咆哮すると、そのままどこかに飛び去っていった。

【リュック(魔獣化) 所持品:なし
 第一行動方針:不明】
【現在位置:不明(恐らく大陸西部一帯)】
※先程の咆哮にはレベル3コンフュの効果あり、その他にも特殊能力あり


そこにいた誰もが呆然と雨に打たれ夜空を見つめる中、ソロが勝ち誇った表情で叫ぶ
「やっぱりそうだったんだ、お前らもデスピサロの仲間なんだな!!ははぁ。
 さてはトルネコを殺したのもお前らだな・・・僕を騙そうとしても無駄だぞ!」
「そんな!!ちょっと・・何を」

反論しようとしたエアリスだったが、突然背中に鋭い痛みを感じその場に倒れる
振り返ったその先には
「ティナさん・・・・どうして・・・・」
血走った目で剣を構えるティナの姿があった

ティナはエアリスの声も届いていないようだ、むやみやたらに剣を振りまわしている
さてはあの咆哮のせいか!
そう気付いたアルスがティナを取り押さえにかかる、しかしその時ソロに対する警戒を解いてしまっていた。

その隙を見逃さずソロの口から呪文が放たれる
ライデイン!!」
雷撃が走る先にはモニカの姿があった。そう、れっきとした知己であるにも関わらず彼は彼女に
攻撃を仕掛けたのだ・・・・
さらにその時・・・・地響きと共に大量の土砂が彼らの方へと降りそそぐ
もともと地盤がゆるかった上に豪雨が重なったためだろう、突如発生した山津波は容赦なく
彼らを飲みこんでいった。

どれだけの時間がたったのだろうか?気がついたときは、そこには泥しかなかった
アルスもアーロンもティナもモニカも居なかった、
自分の隣に倒れていたエアリスを背負い、行くあてもなくティーダはさまよっていた。

「ティーダ君・・・・大丈夫?」
何時の間にかエアリスは気がついていたようだ
「俺は何とも・・・傷は・・・どうッスか?」
「うん・・・痛いけど、浅く斬られただけだから大丈夫だと思う、血も止まったし
 いいよ、下ろして」
それからまた沈黙、ティーダはエアリスと並んで雨の中を黙々と歩く
不意にティーダが口を開く
「ねぇ・・・エアリスさん、リュック、最後に何て言ってました?お願い私を・・・・の後」
エアリスは辛そうな表情でティーダから視線をそらす
「いいッスよ・・・覚悟は出来てるッス・・・・」
「殺して・・・・って言ってたわ・・・お願い私を殺してって・・・・・」
「そうッスか」

不思議と何の感情も起きない、涙も流れない
あまりにも多くのことがありすぎた・・・・・・もうどうしたらいいのか分からない
抜け殻になったような気分でティーダはただ雨に打たれるに任せていた。


【エアリス(かなり落ちこんでいます) 所持品:なし
 第一行動方針:とりあえず休憩
 第二行動方針:クラウドを探す
 基本行動方針:戦いを止める】
【ティーダ(かなり落ちこんでいます) 所持品:なし
 第一行動方針:とりあえず休憩
 基本行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:何らかの方法でサバイバルを中止、ゾーマを倒す
【現在位置:大陸西端の岩山南側】


「お願いします、この人を助けてください!お願いします、この人を助けてください!」
モニカは雨の中、闇に向かって声を限りに叫んでいた
その背後には腹に風穴をあけられ、さらに背中が黒焦げのアーロンが寝かされている

彼が傷ついた身体をおしてモニカを呪文からかばい、さらに山津波からも救ったのだ
しかし、彼もそこまでが限界のようだった。
その巨体に残された命の灯火は、今まさに燃えつきようとしていた・・・・

モニカは最後の希望にすがり叫び続ける
「誰かいませんか?この人を助けてください!お願いします、この人を助けてください!」


【モニカ 所持品:なし
 第一行動方針:助けを求める】
【アーロン(気絶、瀕死) 所持品:鋼の剣
 第一行動方針:――――】
【現在位置:大陸西端の岩山北側】


生暖かい潮風がラムザの頬を撫でる、海が近いようだ
しかし今のラムザにはどうでもいいことだった・・・・何故なら
「ラムザは僕のことを裏切らないよね・・・・・あのアルスって奴は何処に行ったんだい」
ソロがラムザに詰問する、その瞳は嘘のように冷めていて、それが返って恐ろしかった。

ラムザは震える手で適当に闇の中を指差す、実はどこに行ったかなんて知る由も無かったが
正直にそう言ってしまえば、この場で間違いなく殺されると判断してのものだった。
「そう、嘘は言ってないよね?信じていいよね?・・・ありがとう」
ソロはラムザが差した方角へと視線を向けそして呟いた。

「勇者は僕1人でいいんだ、そうだよね?」
ラムザは黙って頷くことしかできなかった。
ソロはラムザが指差した方向へと歩いていく
それに従いラムザはとぼとぼと後を追う、その手にスーツケースを持って。

【ソロ 所持品: エンハンスソード
 第一行動方針:アルスを追う
 最終行動方針:デスピサロを倒す】
【ラムザ@忍者(アビリティ:白魔法)
 所持品:スーツケース核爆弾
 第一行動方針:ソロに従う
 第二行動方針:アグリアスを探す
【現在位置:大陸西端の岩山西側】



「ティナさん・・・やっと気がつきましたね、大丈夫ですか?」
「・・・・・アルス君?」
ティナは慌てて周囲を見渡す、ひどい惨状だ・・・・
「ごめんね、あの叫びを聞いたら何が何だか分からなくなって・・・・」
ティナはうつむきかげんでアルスに詫びる
「仕方が無いですよ・・・・」
アルスもまた暗い表情でティナに応じた。

それからしばらくアルスとティナは誰かが埋まって無いか探してみたが
幾つか武器は見つかったものの、誰も見つけることはできなかった

捜索が一段落して、ティナはうずくまり頭を抱え込んでしまう
正直、もうくじけそうだった・・・・しかし
「ティナさん、こんなときだからこそ頑張らないと駄目ですよ!きっと皆大丈夫ですよ」
ティナはアルスのその声にはっ、と顔を上げる
「君は強いんだね・・・・すごいわ」

いや、そんなことはないのだろう・・・アルスも辛いに違いない、きっと今の自分以上に
それでもこうやって立ちあがろうとしているのだ・・・・負けてはいられない
「そうだね・・・じゃあ探しにいこうか」
きっと引き攣ってしまっているだろうな・・・そう思いながらも精一杯の笑顔を作り
ティナはアルスと共に歩きはじめた。


【アルス 所持品:小さなメダル 天空の剣 対人レミラーマの杖
 第一行動方針:仲間を探す
 基本行動方針:弱きを守り悪しきを裁く
 最終行動方針:ゲームを覆し、ゾーマを倒す
【ティナ 所持品:プラチナソード
 第一行動方針:仲間を探す
 備考:テリーに殺されるのならばかまわない】
【現在位置:大陸西端の岩山東側】
※いかづちの杖、天空の兜ブロードソードは現在不明、探せば見つかるかも


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最終更新:2011年07月17日 20:03
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