あと30分

「…ふむ。ここから北北東に500Mといったところでござるな。」
制限時間まであと30分、メルビン一行は砂漠の入り口まで来ていた。
「見えるのか?」
少々困惑した表情でアーロンが問い掛ける。
端からみれば手をかざしていくつモノ砂丘を見ているようにしか見えない。
しかし、メルビンの視点は高く青空に飛び砂漠を見下ろしている。
「昔、船乗りやってたでござるから。その時覚えたんでござる」
ホントに芸達者なじいさんだとモニカとアーロンは思っただろう。
「ほかに来ている奴はいるのか?」
「いや、ここに来たのはワシらだけのようでござる。足跡もないでござるし」
「やっぱりみなさん町のほうに行ってしまったでしょうか?」
「だろうな」
「大丈夫でしょうか。あのリュックさんと、ソロ…っていう人に……」
「あいつらはそんなにヤワじゃない。…アイツは泣いているかもしれんがな」
そのアイツというのはティーダの事なのだと、アーロンの微かに歪んだ唇から
モニカは理解した。短いつきあいだが、そのくらいわかる。
「ガウガウ~!」
ふと声の方を向くと、すでにメルビン達は砂丘を登りきっていた。
「ここから扉がみえるでござるよ~」
アーロン達は互いに苦笑いをみせ、砂丘を登り始めた。

「ほう、さすがだな」
アーロンがめずらしく感嘆の声をあげた。
砂丘の上から見える扉の位置と距離はほぼぴったりだった。
「…アーロンさん。…もうおろしてくれませんか?」
アーロンにだっこされているモニカが顔を赤らめて言った。
「ほう、あそこまで転ばずに行けるのか?お姫サン」
「もう、アーロンさんのバカ」
砂丘を登るのに何度も転んだのが恥ずかしいのか、からかわれて恥ずかしいのかわからなかったが。
「それならワシがおんぶするでござる」
「結構です」
「さみしいのぅ」
鼻の下をのばしているメルビンを一蹴して、モニカはひしとアーロンに抱きついた。

「もう時間も無いし入った方がいいでござるな」
「そうですわね。ってキャア」
すこし手前でおろしてもらったモニカがさっそく砂に足をとられて転んだ。
「もう。もっとイイ靴はいてくるんでしたわ」
「靴のせいにするな。おまえがドジなだけだ」
モニカも含めてみんな笑った。このゲームが始まってから、一番。
「もう、…あら?……メルビンさん。アーロンさん!これ、見てください!」
モニカは掘り返した足元に埋まっていた紙切れを拾って二人に手渡した。
「…ふむ。首輪についてのメモでござるな。ところどころにじんでいるでござるが」
「…なるほど。よくやったぞ、モニカ」
「もう、コドモ扱いしないでください!」
「…肝心なところが滲んで読めないでござるな。…エドガーという人物でござるか
「ガウガウ!」
「ほう、ガウ殿の仲間でござるか」
「…言葉……わかるんですか?」
部外者の二人は困惑した表情を浮かべている。あの4文字にあんな意味があるなんて。
「もうほとんど覚えたでござる。それよりもう入った方がいいでござる」
「ああ。行くか」
「ガウ!」
そして四人は同時に旅の扉へ飛び込んだ。微かな希望をその胸に抱いて。

【モニカ 所持品:エドガーのメモ(ボロ)
 第一行動方針:仲間を探す】
【アーロン 所持品:鋼の剣
 第一行動方針:仲間を探す】
【メルビン 所持品:虎殺しの槍
 基本行動方針:仲間を集める。冗談を飛ばす。】
【ガウ 所持品:なし
 第一行動方針:ホフマンの仇をうつ】
【現在位置:新フィールドへ】
※メモは肝心なトコが読めなくなってます


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最終更新:2011年07月17日 11:33
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