「う…」
覚醒した
セシルはぐらぐらと揺れる視界に、少し吐き気を覚えながらゆっくりと身体を起こそうとする。
何があったのかは思い出したくも無い、しかし少なくとも気絶したおかげで、
決定的なそれを喰らうことはなかったらしい。
ふぅ…と安堵の溜息を漏らすセシル。
ともかく脱出せねば、しかしセシルの身体は今まで見た事も無いような特殊な縛り方によって
拘束されている。まずは縄を解かねば話にならない。
と、そこで初めてセシルは自分が屋外ではなく洞窟の中にいることを知る。
洞窟の中はランプで照らされており、また自分から少し離れた場所には、
薪をくべた竈のようなものもあり、そこでまた新たな発見、
自分の枕元に手紙が置かれている。
そこには放送の内容に加えて、あの覆面男の綴ったものであるらしい文章が書き記されていた。
気がついただろうか?
君には大変申し訳ない事をしたと思っている…しかし一言弁明させて貰えるならば、
私は病気なのだ、発作が起きてしまえば、自分で自分を収える事が出来なくなり、
内なる欲望のままにふるまってしまう、結果、不快な思いをさせてしまい
すまないと思っている。
さて、君についての処遇だが。
君を殺し、後顧の憂いを絶つのも一つの手ではあるが、
あのような形での決着は私も望むところではない。
君を説得する事も考えたが、それは私ではなく、他の誰かの役目だろうし、
私の言葉など、いまさら君は聞く耳を持たぬだろう。
だから、あえて今回は君を見逃す。
しかし、タダで見逃すわけにもいかない、不本意な形とはいえ、君が私に敗れたのもまた事実。
ゆえに、君の身体を縄で厳重に縛らせてもらった。
君の背後の壁を見るがいい。
そこでセシルは縛られた身体をぎくしゃくと動かし、振り向くと洞窟の壁に
ブラッドソードが
突き刺さっているのが見える。
それを使えば縄を切ることも出来るだろう、ただしあの場所まで行きつくのも、
今の君にとっては容易な事ではないはずだが。
そして不運にも君が縄から抜け出せぬまま、他の何者かの手にかかったとしても、
それは君自身の武運が尽きたまでのこと、私の預かり知るところではない。
それからよしんば早々に縄を解く事が出来ても、私を追うのは諦めた方がいい。
私にはここよりも遥かに過酷な環境下で長年戦い抜いた、知識と経験がある。
年齢から察するに、君程度の経験では私の足元にも及ばないだろう、寒さに凍え、
無駄に命を散らすのが落ちというものだ。
悪い事は言わない、ここに朝までとどまり身体を休めることだ、君の所持品も
ここに残しておくし、食料と薪も分けておこう。
そして願わくば君が真に倒さねばならぬ巨悪の存在を思いだし、
正道に立ち戻ってくれることを切に願わん。
オルテガ
「ご丁寧な…ことだな」
皮肉気にセシルは唇を歪める、だか手紙の内容そのものには好感が持てた。
ここで長々と説教でもされていれば、彼は決してオルテガを許さなかっただろう。
ともかく縄を切らねば話にならない、ここで倒れるようなことになれば
目的を果たせないばかりか、自分の奪った命まで無駄になる。
そう、彼はすでにかけがえの無い仲間までも殺めているのだ、もう立ち止まるわけにはいかない。
セシルは瀕死の芋虫のような無様な姿で、洞窟の床を這いずっていった。
【セシル(拘束状態) 所持品:なし
第一行動方針:縄を解く(休息するか・外に出るかはお任せします)
第二行動方針:
参加者を殺す(
ハーゴンor
エドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)
最終行動方針:勝ち残る】
【現在位置:大陸北部山脈、西の湖近くの洞窟】
(
暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜
リフレクトリング 弓矢(手製)
ギガスマッシャー
それから分けてもらった食料と燃料は洞窟内部に放置されています)
最終更新:2011年07月17日 21:20