「頼む、出てこないでくれ」
キラーマシーンがしばらくランダムコースに入ることを導師は思い出していた。
ティファは黙って
エリアの足を抱え込んで走る。
医務室は暗い廊下の突き当たりにある。
決して遠くはないが、人一人を抱えて走るのは思った以上に難儀だった。
無事に到着できる保障はない。
ただ、ここで会ったが百年目というという事になれば、導師は命をかけてもエリアを守るだろう。
祈りが通じたのか医務室にたどり着くまでの間、キラーマシーンが姿を現すことはなかった。
最後まで気を緩めないよう、エリアを運ぶ二人は努めてドアに近づき、導師が片手で乱暴に開け放した。
思わぬ光景に導師は叫ぶ。
「これじゃ、どうやって助けるっていうんだ」
後手でドアを閉めたティファも異様な様子に気がついた。
二人とも愕然とするしかなかった。
医務室は無残に荒らされていた。ところかしこに割れた薬品のビンやら、薬箱の破片、飛び散った液体が
作り出した床の染み、穴が開いて使い物にならないベッドなどが散乱していた。
棚は倒され中の試験管や包帯やらがばら撒かれ、足の踏み場もないほどだった。
整然としていればかなり設備の整った大きな医療場であっただろう。
だが輸血用の血液パックや血液型検査の器材など、この有り様では求める方がどうかしていた。
「あのマシンがやったの?」
もうエリアを床に下ろして茫然としている導師にティファが聞いた。
「わからない、でも他に考えられない。あいつは神殿を守る機械のはずだ、
なのに、どうして……くそっ」
導師が見た床に横たわるエリアの顔は、青ざめてもう生気がなかった。
「どうしよう、どうしよう」
導師はおろおろして、壁と壁の間を往来した。
自分も似たようなことが過去にあったのを思い出した。
ティファは見ていられなくなった。
「私、
ハーゴンさんに聞いてくる、何か助ける方法があるかもしれない」
導師は聞いていないのか反応を見せない。
「待ってて、全速力で行ってくるから」
ティファは背を向け走り出した。
ニブルヘイムの魔鉱炉で
クラウドが傷を負った私を助けてくれた
あのときクラウドもきっと、最初どうしたらいいかわからなくてうろたえたんじゃないかな
でも、すぐ決断して私を救うために走ってくれたんじゃないかな
きっとそうじゃないかな……
ティファは医務室のドアを勢いよく開け、外に飛び出した。
一瞬前、心音が警報ランプのようにけたたましく鳴り響くのを、ティファは感じた。
それに構わなかったのが終わりを意味していた。
廊下は塞がっていた。
すぐ目の前に紫色が艶やかな、つるりとした金属の機械がいた。
意地悪をするように両腕を広げて、ティファを通してくれなかった。
「なんで」
キラーマシーンだから人を殺すことが使命であった。
無邪気な笑いとも取れるターゲット
ロックの機械音声が鳴り響く。
右腕の電流を帯びたブレードは、正確にティファの胸を狙った。
咄嗟にかざしたティファの左手は何の意味ももたらさない。
ブレードは左手の甲をいとも容易く貫き、その先の心臓に到達する前の、衣服も、薄皮も、肉も、骨も焼き、
溶かしていった。
全てを貫いたあとには、医務室のドアに少量の血がへばりついていた。
吹き出るはすの血は大半が蒸発したため凄まじい惨劇という光景にはならなかった。
その下でドアにもたれかかり、人形のように白い顔をしているティファは、まだ流れ出る生暖かい血とは裏腹に
急速に冷たくなっていった。
【導師(MP50%)
所持品:
天罰の杖 首輪
第一行動方針:エリアの治療
第二行動方針:ハーゴンの補佐、看病
最終行動方針:不明】
【エリア(瀕死)
所持品:
ミスリルナイフ 加速装置 食料2ヶ月20日強分&毒薬
水1,5リットル×2
小型のミスリルシールド フィアーの書×7
第一行動方針:クリスタルの戦士との合流
第二行動方針:?】
【現在位置:ハーゴンの神殿医務室】
※エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能
※現在荷物は全て食堂に放置状態です
【ティファ 死亡】
【残り 48人】
最終更新:2011年07月17日 16:56