部屋の中に現われた人影に、
サマンサは軽く会釈をしながら言った。
「おはようございます」
「ああ」
部屋を出て行ったときと同じ姿の
デスピサロと、やつれた
デッシュだった。
あれから
ハーゴンの部屋の前から離れ、徹夜で別の場所で研究をしていたようだった。
デッシュがやつれているのも無理はないだろう。デスピサロが平然としているのはさすがというべきか。
同じく徹夜空けの自分はつい先程化粧を整えたばかりだ。何とか見れる姿になっていると思いたい。
「儀式の準備は終わりました。そちらの首尾は如何ですか」
「マジャスティスは完成した」
「すごーい」
あっさりというデスピサロに、素直に感嘆する
バーバラ。
疲労が抜けてすっかり元気になったようで、瑞々しい肌がなんとも悔しいサマンサだったりする。
勿論デスピサロにそんな女性の機微がわかるはずもなく…わかったとしても気にするはずもなく。
「ただ、一つ問題がある。この呪文はかなり特殊で、私には使えぬ」
「ピサロ卿にも?」
「ある種の資質を備えた人間だけが使える魔法だ。勇者と呼ばれる特殊な資質がな」
「うーん…一人心当たりがあるけど、巻き込まれてないんだよね」
デスピサロの言葉にバーバラは呟く。
サマンサは少し考えた後、意を決して口を開く。
「ピサロ卿、以前
アルスと言う少年にあったことを憶えていますか?その者ならば、あるいは…」
「え?サマンサとアルス君は知り合いなんだ?」
バーバラの何気ない問いにサマンサは若干表情を歪め、すぐに能面に戻す。
「ここに来る前の…知己です。ここに来て袂を分かちましたが」
「ふーん…とにかくアルス君たちの協力を仰げれば心強いと思うな。
なんなら、私が勧誘しに行ってこようか?」
サマンサではなくデスピサロに言うバーバラ。デスピサロは少し考えた後、
「いいだろう、だが放送が会ったらすぐに戻ってくること」
「わかった」
そして、部屋の隅で壁にもたれている
ライアンに視線を向ける。
さすが鍛えているだけあって、徹夜明けでも王宮の戦士の姿に陰りはない。
「ライアン、小娘の護衛を頼む」
「承知したでござる」
「だから、私は小娘じゃないって…」
こうして、ライアンとバーバラは外出していった。
それを見送りながら、サマンサはふと、もう一つの成果が気になって訊ねてみた。
「そう言えば、あなたのほうはどうだったの?あまり…芳しくないみたいだけれど」
「ああ…ま、首輪にかかってる魔力的なのに関しては検討がついた。
けど、肝心の鍵の生成方法が見当もつかない。複数の魔法を同時に封じるモノがあれば」
「そんな便利なもの、この世に存在するとは思えませんが…」
直球で痛いところをついてくるサマンサに、デッシュは渋い顔になる。
そんな二人を横目で見ながら、デスピサロは言った。
「マテリア、と言うものがあるらしい。術式やら、知識…そう言ったものの結晶体で、
媒体にして魔法を具現させる事もできるそうだ。それが生成できれば、あるいは…」
「どの道、現状ではなんともならないと言う事ですね」
そうなんだよなあ、とデッシュは肩を落としたのだった。
【ライアン 所持品:
大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
第一行動方針:バーバラを守る
第二行動方針:デスピサロに協力する
基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず】
【バーバラ 所持品:
果物ナイフ ホイミンの核
メイジマッシャー
第一行動方針:アルスたちの勧誘】
【現在位置:神殿から外へ】
【サマンサ 所持品:勲章 星降る腕輪 手榴弾×1 ハーゴンの呪術用具一式
第一行動方針:儀式を行う(準備完了)
基本行動方針:デスピサロに従う
最終行動方針:生き残る】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本
第一行動方針:儀式を行う、
バッツたちの帰還を待つ
第二行動方針:腕輪を探す
最終行動方針:ロザリーの元に帰る】
【デッシュ(寝不足) 所持品:首輪
裁きの杖
第一行動方針:首輪の解除法を探る、マテリアの生成方法を調べる?
第二行動方針:エドガーに会う
最終行動方針:首輪を解除しゲーム脱出】
【現在位置:神殿ハーゴンの自室の前】
※マジャスティスは完成しました。ただし、使えるのはアルスと
クーパーだけです
最終更新:2011年07月18日 07:10