行動開始

「おちついた?」
クーパーリディアに声をかけた。
リディアはおろおろとしながらもコクリと肯く。
ある意味それは素っ気無くてクーパーはちょっとがっかりしたが、へこたれなかった。
自分たちがここに来た経緯と、ここであったこと…ジタンたちとの戦闘は誤魔化した…を話す。
ひとしきり話した後で、リディアのこれまでを聞いた。

リディアは途端に涙ぐんだが、それでも祠であったことを話し出した。
祠の前で起った争い、祠に侵入してきた者、
命がけで自分を助けようとしてくれたピピン、なのに掴まってしまった自分、
自分のせいで抵抗も出来ず炎の中に消えていくピピン、そして今度はターバンをかぶった男が脅されて…

「ターバンをかぶった!?」
そこで、クーパーが大声を上げた。
リディアの話を隣で聞いていたライアンも反応する。
「とんぬら殿か。やはり北に流されたようでござるな」
「お父さんのこと知ってるの!?」
お父さん、という言葉にリディア、ライアン、側にいたバーバラも目を丸くする。
ライアンはなるほど、と肯いた。
「うむ。そう言えばとんぬら殿は子供を捜していたでござる」
「お父さんが…あそこに」

クーパーはフラフラと二歩三歩した。それからぺたんと座り込む。
もしも…もしもなどないということは承知しているが――――もし、祠に残っていたら。
そして祠に戻っていたら。自分には、戻る機会が与えられていたのだ。
なのに…自分は神殿に来て、そして自分たちが神殿に来たことで人が死んでしまった。
ピエールだって、死ぬことはなかったはずだ。

失敗した。自分は誤ってしまったのだ…
クーパーの目の前は真っ白になった。


しばらくして、デスピサロは静かに顔を上げた。
ハーゴンは死んだが、幸いにしてノウハウと必要な道具は一通り揃っているようだ。
 儀式は行う。ただ、今すぐというわけには行かぬ」
「何か問題でも?」
側に控えたサマンサが問うと、デスピサロは一瞥して答える。
「純粋に術者が儀式のことを知らない。サマンサ、この儀式はお前が仕切れ」
サマンサはその言葉に驚いた。完全を求めるデスピサロのことだ、彼自身が執り行うものと考えていたが…
「その小娘は相当消耗しているので、朝まで休ませる。
 お前は朝までに儀式の全容を把握し、小娘の回復を待て」
「小娘小娘って…私にはバーバラって名前が!」

そんなバーバラの抗議をあからさまに無視して、サマンサは問う。
「しかし、ピサロ卿はなにをされるのです?」
「私は他にやることがある。マジャスティスを完成させねばならん」
『マジャスティス…?』
サマンサ、バーバラが唱和した。

デスピサロは肯くと、
「上手くいけば、ゾーマの結界を剥ぎ取れるかも知れぬ呪文だ。完成すれば必ず役に立とう」
「そのようなものを…承知いたしました。儀式は私にお任せください」
感嘆の色を滲ませながら恭しく答えるサマンサに、デスピサロは薄く笑みを返した。
「頼むぞ」

デスピサロはライアンを横目で見る。
「何があるのかまだ油断できぬ、側でサマンサたちを守ってやれ」
「承知でござる」

次にデッシュ
「貴様の用事は私が聞こう。こちらにもやることがあるから、片手間になるがな」
「それでも十分だ。助かるぜ」

そして、最後にバッツたちを見た。
「お前たちにはジタンの役割を引き継いでもらう。魔法使いを探し、連れてくるのだ。
 とはいえ、その体ではロクに動けぬだろうから明け方までは体を休めろ」
「…ああ。クーパーもそれでいいな?」

クーパーは即答しなかった。よろよろと立ち上がると、
「僕は…祠に戻る」
「クーパー?」
そして何かを言おうとしたデスピサロに先制して言い放つ。
「お父さんは、失われた古代魔法を復活させることを手伝った事もあるんだ。
 勿論、魔法だって使えるよ!」

とはいえ、復活させた魔法はデスピサロたちの時代には普通に使えていたルーラだが。
そんなことをデスピサロは知らないので、
「心当たりがあるということなら、構わん」
「私も…行く」
そういうリディアに、デスピサロは平然と言い放つ。
「好きにするがいい」

「リディア…」
「ごめんなさい、でもピピンに謝りに行きたいの…どうしても」
「………わかった。一緒に行こう」
「ありがとう、クーパー」
バッツはそんなやり取りをする二人を見ていた。
さっき名前を聞いたからだろうか…大人しいのに芯が強く、自分を曲げないリディアの姿が、レナと重なった。

サマンサはそっとデスピサロに尋ねた。
「よろしいのですか?あの娘の同行を認めても」
「かまわん。あの手の輩は意のままに動かすより、裁量に任せた方がいい。
 ある程度譲歩すればこちらへの融通を利かせるだろう。
 逆に人質をとろうものなら、我等を敵に見なす可能性もある」

それに…デスピサロは思った。あの娘の魔力は枯渇している。
器の大きさは凄まじいが、何らかの理由で魔力の源を潰してしまったようだ。

当り前だが、源は回復魔法では癒えない。
おそらく、あの娘は一生魔法は使えないだろう。

そんな子供を確保していても、こちらの負担になるだけだ。
ならば、クーパーに押し付けてしまったほうがよい。
デスピサロは一瞬冷笑を浮かべ、そして全員に言った。
「以上だ。各自、行動を開始しろ」


【バッツ@魔法剣士(アビリティ:白魔法)
 所持品:ブレイブブレイド グレネード五個 レナのペンダント
 第一行動方針:明け方まで休憩、クーパー達と共に行動する
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬらパパスを捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし
 第一行動方針:明け方まで休憩、祠に戻る
 第二行動方針:エーコと合流
 第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
【クーパー 所持品:珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
 第一行動方針:明け方まで休憩、祠に戻る
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパスを捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【現在位置:神殿ハーゴンの自室の前】

【サマンサ 所持品:勲章 星降る腕輪 手榴弾×1 ハーゴンの呪術用具一式
 第一行動方針:儀式の準備
 基本行動方針:デスピサロに従う
 最終行動方針:生き残る】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
 第一行動方針:サマンサ、バーバラを守る
 基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず】
【バーバラ 所持品:果物ナイフ ホイミンの核 メイジマッシャー
 第一行動方針:朝まで休憩】
【現在位置:神殿ハーゴンの自室の前】

【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本
 第一行動方針:呪術の実行・マジャスティスを完成させる
 第二行動方針:魔法使いを探す・腕輪を探す・偵察
 最終行動方針:ロザリーの元に帰る】
【デッシュ 所持品:首輪 裁きの杖
 第一行動方針:デスピサロに手伝ってもらって首輪を調べる
 第二行動方針:エドガーに会う
 最終行動方針:首輪を解除しゲーム脱出】
【現在位置:神殿ハーゴンの自室の前】


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最終更新:2011年07月18日 07:09
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