「ここは…酒場、か?」
周囲を見回して
バッツは呟く。
カウンターに椅子が並び、その向こうにビンが陳列している。
部屋には幾つかテーブルがあって無造作にビンが放置されていた。
アーロンはそのビンを手にとって撫でまわす。
「埃一つないな。人の気配などまるでないのに」
「お父さん、ここは…」
息子の
クーパーの言葉に、頷くとんぬら。
「ああ。次の世界のようだ」
「そっか……」
クーパーは少し肩を落とした。神殿に戻る事が出来なかったからだ。
不可抗力だったとはいえ、約束を破ってしまったことは少年にとって納得が行かない。
「お父さん、これからどうするの?」
父親の服を掴みながら見上げる
アニー。
そんな娘の頭を優しく撫でながら、
「まずは、ここがどんなところなのかを調べないとね。病人もいる事だし、休憩できる場所を探さないと」
「俺の事は、気にするな」
ぶっきらぼうにそう言い放つアーロンに、
リディアは泣きそうな目で首を横に振る。
「無理したって何にもならないでしょ。病人は寝てなさい」
エーコはやれやれと、どうも憎めない憎まれ口を叩く。
さすがのアーロンも子供二人に気遣われては、何も言えない。
とにかく、周囲の確認だけはしておこうという事になった。
病人のアーロンと薬師のバッツ、念の為にクーパーとリディアが酒場に残り、
とんぬらとアニー、そしてエーコが外の探索をすることになった。
最初はクーパーも探索に行くと立候補したのだが、
エーコがどうしても行きたいと強硬に主張したことと、
とんぬらがクーパーに酒場でみんなを守れ、といったことからこの組み合わせが決まった。
酒場の外は、何となく薄暗かった。
瓦礫やガラクタを組み合わせたバラックが幾つか立ち並んでいるのも、その印象を強める。
天井を見上げても、空は見えない。すっぽりと金属の天井に覆われている。
これまでいたロンダルキアと違い、暖かくて暮していくには問題ない気候だが、
空気が澱んでいるような、そんな錯覚さえ覚える。
酒場を出てちょっと進んだところで、エーコはアニーに囁く。
「ごめんね、親子水入らずの邪魔して」
「……わかってるから、気にしないで」
正直言えば、確かにエーコに邪魔をされたという気分はある。
けれど、エーコが外に行きたがった理由……
正確には、彼の側から離れたい理由はわかったから、非難するつもりはなかった。
「でも、今だけだよ?」
だが、何時までも引きずってもらっては困る。
バッツは『いい人』だ。それだけにエーコの葛藤が深いことも理解できるが、
それでもなるべく早く答えを見つけ、彼に対する態度を決めなくてはいけない。
そんな事はエーコもわかっているから、何も言わずにひとつ、頷いた。
とりあえず、三人は酒場の近くの探索を行った。
人の気配はない。誰かが住んでいたと思われる家には生活観がない。
まあ、これまでのフィールドも同じことだったが、やはり不気味だ。
「何にしてもベッドがあることだし、使わせてもらおうか」
この家の住人は多分女性と思われるが、この際割り切ってもらおう。
周囲に危険がない事を確かめ、三人は一旦探索を打ち切って酒場に戻る事にした。
【
とんぬら 所持品:
さざなみの剣
第一行動方針:子供たちを守る
第二行動方針:
パパスとの合流
第三行動方針:
アイラの呪いを解ける人を探す】
【アニー 所持品:
マインゴーシュ
基本行動方針:とんぬらについていく】
【エーコ&モーグリ 所持品:なし
第一行動方針:?】
【アーロン 所持品:折れた鋼の剣
第一行動方針:体を癒す
第二行動方針:仲間を探す】
【バッツ@薬師(アビリティ:白魔法)
所持品:
ブレイブブレイド グレネード五個 レナのペンダント
第一行動方針:パパスを捜す
基本行動方針:クーパー達と共に行動する
最終行動方針:ゲームを抜け、
ゾーマを倒す】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし
第一行動方針:アーロンの治療を見守る
第二行動方針:仲間を捜す?】
【クーパー 所持品:
珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
第一行動方針:とんぬらについていく
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【現在位置:七番街スラム】
最終更新:2011年07月16日 21:56