目の前に整然と並べられたカードを前にして、女性は気持ちを整えた。
おもむろに、伏せられたカードをめくる。
カードに書かれていたのは…落雷で壊れた塔。
「塔の正位置。突然の事故、災厄、危険……」
はあ、と
ミレーユは溜息を付いた。
無事、次の世界に辿り着いた二人だったが、そこは見た事もない場所だった。
まず、室内のようだが壁が木でも石でもない。
灯りは火を焚いているわけでもないのに煌々と明るい。
長椅子はふかふかだが、羽毛が使われているわけでもない。
あまりにも、自分が親しんでいる文化とかけ離れていた。
それで、方針を決める意味を込めて、今後どうなるのか占ってみた。
ちなみに道具は、自分たちがいる場所の上の階にある売店のタロットを拝借している。
それが理由かどうかはわからないが、結果は前述した通り。
一度頭を振ると、ミレーユは側にいる
セリスを見た。
彼女はぼんやりとした表情のまま、向こう側にある光の壁を見ている。
何とも頼りなく、だからこそ守らなきゃいけないと思う。
ミレーユはカードをかき集めると、もう一度並べ始めた。
自分たちが、向かうべき場所を占うために。
最終更新:2011年07月17日 12:57