神殿で儀式が為されると、その影響は遠く離れた洞窟にも来た。
自分が殺めた青年と、自分が見逃した青年に殺された少女を弔った
パパスもそれを感じ取った。
洞窟内、いや世界そのものを揺るがすかのような振動に、彼は眉を顰める。
「崩壊が始まったのか。随分と早いな」
何らかの理由があって、主催者側がタイムリミットを縮めたのか。
それとも他に理由があるのか。
何にしても、すぐに
旅の扉から次の世界に行かないといけない。
パパスは走って旅の扉に向かう。
青く濁った泉の前まで来ると、
トーマスが自分に、わん、と吼えた。
「む?」
見ると、トーマスは何かに噛み付いて、引き摺ろうとしている。
それは道具袋だった。おそらく
ヘンリーのものだろう。
「ふむ……まあ、回収しておくか。中身はあとで確かめよう」
パパスは道具袋を拾うと、トーマスに旅の扉に入るよう仕種をする。
トーマスは一度吼えてから躊躇なく旅の扉に飛び込んだ。
パパスもすぐに続く。
視界が青い光で満たされていくなか、次の世界で
バッツや双子たちに再開することを、パパスは願った。
大人として、親として成長したとんぬらと再会することも。
――――こうして、誰もいなくなった洞窟は静寂に包まれた……わけではなかった。
止まないどころか強まる一方の振動で壁の一部が崩れ、
天井から落ちる塵や石が床にぶつかって音を立てる。
今はまだ、洞窟そのものが崩落することはないだろうが、それも何時まで持つか。
一体、何が起こったの――――
ミレーユは尚早に駆られながら、洞窟内に入った。
背後には
セリスがついてきている。彼女は自分より体のこなしが優れており、
この足元が定まらない中で走る事に、さほど苦労をしていないようだ。
むしろ自分に合わせて速度を落としている節も見受けられる。
しかし、だからと言って意識がはっきりしているわけでもない。
現実を突きつけられ、涙を枯らした後に残ったのは、抜け殻。
彼女は現実を受け止めるだけの器をとうに埋め尽くしているのだろう。
辛うじて自分のいう事に従ってくれるようだが、夢現で焦点が定まっていない。
仕方ないこととも思うし、危険な状況で頼りないとも思う、
そして彼女を導かなくてはいけないという思いも、ミレーユにはあった。
旅の扉はすぐに見つかった。
周囲に人の気配はない…というか、世界を揺るがす振動の音で、感じるどころではない。
まあ、あの男とてこの状況では身の安全を優先するだろう。
残って待ち伏せしているとは考えられない。
そう判断して、ミレーユは一気に旅の扉に駆け込んだ。同時にセリスも駆け込む。
無事、次の世界に行けることに、ミレーユはほっと一息ついたのだった。
【パパス 所持品:
アイスブランド ヘンリーの道具袋
第一行動方針:旅の扉の前でギリギリまで待つ
第二行動方針:バッツと双子を捜す。 とんぬらに会う。
第三行動方針:
スコールを倒す
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【トーマス 所持品:
薬草×10 鉄の爪 手紙 碁石(20個くらい)
第一行動方針:パパスについていこうと思っている
基本行動方針:生き残る
最終行動方針:トム爺さんの息子に一言伝える】
【現在位置:
次の世界へ】
最終更新:2011年07月18日 06:21