超古代文明ゾビポディア。その伝説を追っていくと面白いことが分かった。
かつて存在していたゾビッポンによる古代文明。ゾビッポン液を利用した高エネルギー装置を大量に使用し、現在からは考えられないほどに科学が発展していた上に魔術にも長けていたらしい。
そんなゾビポディアにはある伝説がある。国名の由来となったともされる「腐植龍ゾビポディア」である。「ゾビポディアドラゴン」とも呼ばれるこのドラゴンはゾビポディアの民を守り続けていたという。守るといってもゾビポディアは侵略的な一族であったためそれを守るドラゴン他の国からは恐怖の存在として記録されている。ゾビポディアの王の頼みには基本従うが、あくまで王の器があると判断したときのみ。ゾビポディアにとってこのドラゴンは王の資質を見極める秤でもあったのだ。
そんなゾビポディアだが、ある時滅んでしまう。その原因は諸説あるが詳しくは不明。時の王が無能でありドラゴンに見放されたとの説や巨大な自然災害に巻き込まれたという説、他国との戦争で疲弊した説(後述)がある。いずれにしてもゾビポディアはただでは滅びなかった。ゾビポディアの種族はその文明が先に続くようにその遺伝子を込めた球を各地に打ち出したとされる。各地で何かのきっかけでその球体が壊れた時その遺伝子が近くの生物を元手にゾビッポンを増やしていくという算段だ。さすがにゾビポディア当時ほどの知能はゾビッポン達には残っていない。しかし、ごくまれに先祖返りか何かのように高い知能を持つものも現れるようだ。そういった個体が結束すれば帝国を作って侵略を始めてもおかしくないだろう。
ゾビポディアドラゴンはゾビポディア滅亡後どうなったかを綴った伝説は存在していない。しかし、ゾビポディアドラゴンは非常に高い生命力を誇ったとされることを考えれば今もどこかで眠っていたとしても決しておかしなことではない。もし全盛期のゾビポディアのような帝国が再び現れれば、その時にまた姿を現すのだろうか・・・
当時ゾビポディアと対立していたハボカニアンの遺跡にはこのような記述がある。「腐植龍天を翔け、その濁流多足を絡め、腐植地に溢れん。」この腐植とはつまるところゾビッポンのことであろう。どうやら大量の戦士を一気にゾビッポンと化してゾビポディアの尖兵としてしまう。そんな恐るべき存在であったようだ。
一方でキネラシアの石碑にはこのような記述も見られる。「海恩帝、かの龍黒き水を好み、幼子には攻撃せぬことにおどろきき」。恐らくだが、ゾビポディアドラゴンは石油を主食とする上に敵国の者でも子供は手にかけなかったということであろう。キネラシアに伝わる物語にはこのようなものもある。「龍の弱点を知った勇者は、石油を大量に用意して龍の住処近くに置いた。龍が出てくる前に子供の格好をしておき、石油を飲んでいる間に討伐した」というものだ。この勇者は基本的に男の勇者が女装したものとして描かれることが多い。
この物語が史実であるとはにわかには考え難いが、キネラシアとゾビポディアが同盟関係にあったということを示唆する壁画や書物がポロングキャニオンに残されている。恐らくここにあった国はその二国の同盟に滅ぼされたのだろう。この物語は龍そのものをゾビポディアの国と解釈し、石油の取引によって同盟国になったものと考えられる。
だが、メガイ森林奥の洞窟にはこの二国を象徴するゾビポディアドラゴンとサンカイエンフィッシュが激突している様が記録されている。恐らく何かしらの事情で再び争いとなったのだろう。壁画を順当に解釈すれば双方痛手を追って勝敗がついたとは言えない状態だったようだ。先ほどの他国との戦争説に立てば、ゾビポディアの滅亡もこの周辺の出来事と思われる。
ゾビポディア、そしてその帝国に仕えた龍。今は亡き存在だが、決して滅び去ったと断言することはできない。ゾビッポンが反逆の意思を固めたとき、かの国は新たな帝国として蘇るであろう。我々は忘れてはいけない、かの惨劇を・・・