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****エピソード
[[流血少女エピソード-内人王里-]]
[[流血少女エピソード-夕日千景-]]
[[流血少女エピソード-雨竜院血雨-]]
[[流血少女エピソード-加藤佐藤-]]
[[流血少女エピソード-口舌院単語-]]
[[流血少女エピソード-TEX2-コ89-]]
[[流血少女エピソード-二科ぴあ-]]
[[流血少女エピソード-白金七光-]]
[[流血少女エピソード-神尾まほろ-]]
[[流血少女エピソード-(ピー)ちゃん-]]
**SS
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[[流血少女エピソード-内人王里-]]
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**SS
***『ソーコ:ヘル・オン・アース』#1
あれっ、と小さく声がしたのを、彼女は聞き逃さなかった。
「須十岡(すとおか)さん、何があった!」
部屋の隅でサーバ筐体に向かっていた内人王里は、華麗な回転ジャンプで須十岡の
デスクの隣に着地、声をかける。3回転半ひねり、E難度である!
須十岡さんは電算部における王里の右腕で、優秀なエンジニアだ。
「いや、たいした事じゃないとは思うんですけど……」
須十岡は口ごもる。しかしその顔の前に王里は人差し指を立て、ぴしゃりと言った。
「ヒヤリ! ハット! そういった些細な疑念の中にこそ、危機はあるのだ」
小柄で華奢、高校三年のくせにちんちくりんな王里だが、口調は揺るぎない。
「また生徒が突然、倒れたんです。体育倉庫前」
観念した須十岡が報告する。短い時間に二度続いて、同じ場所で人が倒れた。
偶然といえる気もするが、何しろたった2時間の間に起こった出来事なのだ。
何らかの魔人能力の関与も疑われる。
王里たち電算部は生徒会活動の一環として、校内の監視カメラを管理している。
こうした異変を察知し、事件に発展するのを防ぐ。大事な役目である。
「ふむ」
王里は小さな顎に手をあてて少し黙考した。そしてやがて、言った。
「――私に、考えがある」
/* comment */
「さば子くん、あんこラテをくれたまえ」
「あっ、はい……ちょっとあっち、向いててください///」
生徒会室に赴いた王里は、取飲苦さば子にドリンクを注文していた。
慣れた振る舞いでくるりと後ろを向くと、背後から「うっ、おぷっ、おげええぇ」
と声がする。続いて、コップに粘性のある液体が注がれる音がした。
「ど、どうぞ」
「ありがとう! やーッ!」
礼を言うと同時に、王里は気合とともに飛び上がっていた。くるくると回転上昇し、
天井のレバーを掴む。すると天井の一部がマンホールのように、パカリと開いた。
秘密の屋根裏部屋だ。王里がTEX2-コ89にお願いして勝手にリフォームした。
王里はプログラマーだ。理想の部屋のレイアウト、家具の配置をプログラムすれば
『コハク』は寸分違わず完璧に改築してくれた。やはり機械は美しい。
天井の部屋に華麗に入った王里はテーブルに好物のあんこラテを置くと、
キングサイズベッドに腰掛けてひと息ついた。すかさず、背後に大きな影が現れる。
「オ肩をお揉みシマス」
「ゴクソツくん、頼む」
ゴクソツもまた、生徒会になぜか居座っている機械である。なぜか己のマッサージ
性能をを熱烈アピールしてきたため、王里は彼をよく利用している。
壁のスピーカーからは小粋なピアニカ・ジャズが流れる。間接照明があたたかい。
屋根裏は、上質な安らぎ空間なのだ。
「ゴクソツくん」
「ハイ」
「尻を揉めと頼んだ覚えはないのだが」
「サービス、デス。私に感情はありません」
/* comment */
その頃、須十岡はゲームに熱中していた。
「たぶん、あと一時間は帰ってこない」
#2に続く
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