ミトコンドリア
ミトコンドリアは、内膜と外膜とよばれる二枚の生体膜からなる二重膜構造を形成する。
ただし、核とは異なり、その内膜と外膜の性質が異なるため、ミトコンドリアの二重膜は特に異質二重膜と呼ばれる。
内膜と外膜のこの異質性は、共生説(後述)の証拠の一つと見なされている。
ミトコンドリアは、自身のDNA(環状)を持つとともに、
細胞分裂とは無関係に分裂して増殖するが(これを「半自律的増殖」という)、これらの事実も共生説の証拠と見なされている。
ミトコンドリアの内膜はひだ状になっていて、その構造をクリステと呼ぶ。
また、内膜に囲まれた空間はマトリクスと呼ばれる。
ミトコンドリアのはたらきは
好気呼吸、つまり
クエン酸回路と
電子伝達系によって、細胞の活動に必要なエネルギーを
ATPという形でを作り出すことにある。
なお、クエン酸回路はマトリクス中の酵素群がはたらいて進行し、電子伝達系では、内膜に埋め込まれたチトクロム(シトクロム)と呼ばれるタンパク質が重要なはたらきを担っている(詳細は後述)。
葉緑体
葉緑体は、ミトコンドリアと同じく異質二重膜からなる(ただしチラコイド膜を入れると三重膜になる)。
独自のDNAを持つ点や半自律的増殖が見られる点も、ミトコンドリアと同様であるため,その起源は共生説で説明される。
しかし葉緑体の場合は、ミトコンドリアのクリステのようなひだ状構造はみられず、そのかわりに、平らな袋状の膜構造が存在する。
この膜はチラコイド(膜)と呼ばれる。
さらに、ところどころに、チラコイドが多数積み重なった構造が見られ、この積み重なりはを特にグラナと呼ばれる。
ミトコンドリアのマトリックスに相当する領域、つまりチラコイド周囲の空間はストロマと呼ばれる。
葉緑体のはたらきは、光合成によって空気中の二酸化炭素を取り込み、グルコースを合成することにある(炭酸固定)。
葉緑体には、正確に言えばチラコイド上には、緑色色素であるクロロフィル等の光合成色素が含まれるため、染色しなくても観察可能。
最終更新:2009年05月20日 14:38