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[[■政局10Ⅳ]] から #contents *110124 熟議の国会めざす 野党に議論呼びかけ 首相が施政方針 [朝日]  菅直人首相は24日午後、衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。首相は消費増税と社会保障の一体改革と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加問題を改めて政権の最重要課題に掲げる。特に社会保障で自民、公明両党が与党時代に与野党の超党派で合意形成を進めるよう提言していたことを指摘。野党各党に議論を呼びかけ、「熟議の国会」をめざす構えだ。  第177通常国会はこの日召集され、6月22日まで150日間の論戦が始まる。  首相は演説で、今年の年頭所感でも取り上げた「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」の三つを掲げ、「国づくりの理念」と位置づける。  「平成の開国」は、現在を明治維新、戦後の改革に続く「第三の開国」と指摘。「貿易・投資の自由化、人材交流の円滑化で踏み出す」と語り、韓国や欧州連合(EU)などとの経済連携協定(EPA)交渉の再開や立ち上げに加え、日中韓自由貿易協定(FTA)の共同研究推進も目標に掲げる。  開国の目玉として環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を取り上げ、「今年6月をめどに交渉参加について結論を出す」と宣言する。同時に、貿易自由化で影響を受ける農林漁業の再生も「待ったなしの課題」と位置づけ、農業者戸別所得補償制度に加え、商工業と連携した6次産業化や農地集約による大規模化などを訴える。  「最小不幸社会の実現」では少子高齢化など社会・経済状況の変化を踏まえ、「社会保障制度を根本的に改革する必要に直面している」と強調。「国民にある程度の負担をお願いすることは避けられない」と語り、6月までに社会保障改革の全体像と、消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すことを打ち出す。  これに関連して首相は昨年自民党がまとめた「税制改正についての基本的考え方」や公明党の「新しい福祉社会ビジョン」に言及。「問題意識と論点はすでに共有されている」と与野党協議を呼びかける。  「不条理をただす政治」では、社会から孤立する人への対策や政治資金の一層の透明化などを指摘する。民主党の小沢一郎元代表をめぐる「政治とカネ」の問題には具体的に触れない方向だ。  外交・安全保障では、日米同盟の深化に向けて今年5月に予定している首相の訪米時に21世紀の日米同盟ビジョンを示すと宣言。沖縄の米軍基地問題では「沖縄だけ負担軽減が遅れていることは慚愧(ざんき)に堪えない」と語り、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については「沖縄の皆さまに誠心誠意説明し、理解を求めながら、危険性の一刻も早い除去に最優先で取り組む」と述べる。(金子桂一) *110124 「菅政権は債務不履行」「約束ほご」野党が対決姿勢鮮明 [朝日]  自民党の谷垣禎一総裁は24日の全議員懇談会で「菅政権は国民との契約が債務不履行になっている。今国会は、どちらが国民に議論を信用していただけるかの戦いだ」と政権を追及する考えを強調した。公明党の山口那津男代表も参院議員総会で「民主党の歩みは、国民と約束したマニフェストの破綻(はたん)のプロセスだった。約束が守れない政権に、どこまで正当性があるのか」と菅政権への対決姿勢を鮮明にした。  社民党の福島瑞穂党首は両院議員総会で「民主党は『4年間は消費税をあげない』という約束をほごにしている。おかしいと歯止めをかけ、場合によってはしっかり対決する」と是々非々の立場で臨む考えを示した。  一方、菅直人首相(民主党代表)は24日、民主党両院議員総会で「野党も対案を出して私たちと議論をたたかわせ、取り入れるべきものがあれば取り入れていく建設的国会にしていかなければならない」と述べ、野党側に国会での合意形成に参加するよう呼びかけた。「社会保障と財源の議論、貿易自由化など、野党の方がこういった議論から逃げようという姿勢も見える。それでは国会の意味がない」と野党側を牽制(けんせい)もした。 *110121 民主、小沢氏の喚問容認へ 政倫審出席の議決断念 [朝日]  民主党の岡田克也幹事長は20日、小沢一郎元代表に衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を求める議決を断念することを表明した。野党が要求する証人喚問を容認する形で、小沢氏の国会招致を目指す方針に転換する。ただ、全会一致原則などがあり、喚問実現は簡単ではなく、党執行部は小沢氏の強制起訴を待って、離党勧告に踏み切ることも検討し始めた。  小沢氏は20日、土肥隆一政倫審会長に対し、事実上出席を拒否する文書を提出した。政倫審での議決に強制力はなく、岡田氏は同日夕、愛知県豊橋市で「はっきりこれだけ拒絶されるということであれば、議決しても政倫審に出てこられないわけだから(議決に)意味がない」と記者団に語り、議決断念を表明した。  岡田氏はそのうえで「国会で説明する手段は、政倫審か証人喚問かしかない。政倫審がノーということになると、(証人喚問を求める)野党の声が力を得てしまう。今後は党の中での議論が必要だ」と述べた。野党の要求を容認する形で、出席に強制力がある証人喚問の実現に切り替える考えを示したものだ。  ただ、証人喚問は慣例で全会一致が原則だ。小沢氏に近い国民新党の亀井静香代表が賛成する保証はない。証人喚問の舞台となる衆院予算委員会の民主党委員を賛成の議員でそろえることにも、小沢氏を支持する議員が強く抵抗するのは必至で、実現には困難が予想される。  岡田氏は昨年末から「小沢氏が政倫審への出席を自ら申し出ない限り、通常国会前に政倫審で出席を求める議決を行う」と繰り返し表明してきた。だが、小沢氏は拒否する姿勢を崩さず、野党も政倫審での議決を拒否する姿勢を強めていた。岡田氏は24日の通常国会召集を前に野党の意向を尊重せざるを得ず、政倫審での議決断念に追い込まれた格好だ。  一方、小沢氏の国会招致が実現しなければ、今度は小沢氏の問題を批判し続けてきた菅直人首相の政治姿勢が根本から問われかねない。このため、岡田氏ら党執行部は小沢氏の強制起訴後に党常任幹事会で離党勧告を決め、政治とカネの問題に対する厳しい姿勢を示す検討に入った。  首相は20日、「小沢さんは条件をつけないで政倫審に出ると約束されていたが、状況が変わった。岡田幹事長と今後のことについて相談したい」と記者団に語った。 *110120 「日米同盟の再出発」掲げる 菅首相が外交演説 [朝日]  菅直人首相は20日、東京都内のホテルで財界関係者や各国駐日大使らを前に外交・安全保障政策について演説した。昨年6月の内閣発足後、菅政権としての包括的な外交演説を行うのは初めて。日米同盟を基軸に据えるとともに、「平成の開国」を掲げて経済・資源外交を進める考えを改めて打ち出した。  演説では「5本の柱」として(1)日米基軸の再出発(2)アジア外交の新展開(3)経済外交の推進(4)地球規模の課題への取り組み(5)安全保障環境への日本自身の的確な対応を表明。  日米同盟を「政権交代にかかわらず維持、強化されるべき日本外交の基軸」と位置づけた。今春に予定する訪米の際に、日米同盟の将来ビジョンを示す考えを示した。  アジア外交では、中国や韓国、ロシア、豪州などとの協力関係を重視。アジア太平洋経済協力会議(APEC)などの枠組みを活用するとした。中国に対しては「透明性を欠いた国防力の強化や海洋活動の活発化に懸念を抱かざるをえない」と指摘。昨年秋の尖閣諸島沖衝突事件を「極めて残念な出来事」としたうえで、両国で戦略的互恵関係を深める必要性を訴えた。鳩山由紀夫前首相がアジア重視の象徴として掲げた「東アジア共同体」構想には触れなかった。  経済・資源外交では、「平成の開国」の実現が今年の最優先課題だと指摘。貿易だけでなく人材交流を含めた経済連携の重要性を主張した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加について「今年6月をめどに結論を出す」とした。  首相がこの時期に外交演説に踏み切ったのは、「外交政策が定まらない」という批判への危機感からだ。昨年末、首相は「国民にまとまった形で外交の考え方を話したい」として、演説の準備を指示。笹森清内閣特別顧問が役員で、経済人や各国大使らが出席する非営利団体「民間外交推進協会」の演説会を舞台に選んだ。  菅政権は発足以降、尖閣事件や北朝鮮による砲撃事件など外交懸案への対応に追われ、内閣支持率は低下。首相は「(外交対応が)部分部分で切り取られている」と不満を募らせた。24日に開会する通常国会の施政方針演説でも外交分野を盛り込むものの、「ほんの一部」(首相周辺)に過ぎないため、「菅外交」の全体像を示すことにした。  この日の演説では、米軍普天間飛行場移設問題で沖縄の理解をどう得るかという具体的な道筋は示されず、首相が韓国と約束した朝鮮半島由来の図書の返還の見通しにも触れなかった。(倉重奈苗) *110117 与謝野氏起用「評価しない」50% 朝日新聞世論調査 [朝日]  朝日新聞社が15、16日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、菅直人内閣の支持率は26%で、昨年12月の前回調査の21%からやや増えた。不支持率は54%(前回60%)。内閣改造で、社会保障と税の「一体改革担当相」に与謝野馨氏を起用した人事に対しては「評価しない」が50%に達し、「評価する」の31%を大きく上回った。 世論調査―質問と回答〈1月15、16日実施〉  菅首相に「期待する」との意見は前回とほぼ同じ35%で、内閣改造による政権浮揚効果はいま一つのようだ。  参院で問責決議を受け、去就が焦点となっていた仙谷由人官房長官の交代については「評価する」が47%で「評価しない」の34%を上回る。後任の官房長官に枝野幸男氏を起用した人事は「評価する」41%、「評価しない」39%と見方が分かれた。  改造の目玉人事である与謝野氏の起用は、民主支持層で「評価する」51%、「評価しない」36%なのに対し、与謝野氏がかつて所属した自民の支持層では24%対64%と「評価しない」が多数を占めた。  一方、菅首相が「社会保障とその財源について議論し、6月までに方向性を示したい」と述べ、消費税引き上げの議論に積極的であることを紹介したうえで、それに対する首相の姿勢を聞いた質問では「評価しない」48%が「評価する」39%を上回った。  民主支持層では「評価する」が56%、「評価しない」が35%。これに対し、自民支持層では「評価しない」が52%と多いものの、「評価する」も40%に上る。自民支持層の内閣支持が8%しかないことを考えると、かなりの割合で社会保障と税の一体改革に限っては理解を示している、ともいえる。  菅首相は一体改革を超党派で議論しようとして与謝野氏を起用したが、首相の社会保障・消費税引き上げの議論への姿勢を評価するという人の中でも、与謝野氏の起用については「評価する」42%、「評価しない」45%で意見が分かれた。  また菅首相は、社会保障と税の一体改革と並んで環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加に意欲を示している。これに関連して、農産物の関税を大幅に引き下げ、貿易の自由化を一層進めることの賛否を聞いたところ、「賛成」が41%、「反対」が39%だった。 *110114 「税と社会保障を一体改革」 第2次菅改造内閣が発足 [朝日]  菅第2次改造内閣が14日、発足した。菅直人首相は同日夕、首相官邸で記者会見し、「安心できる社会保障制度のあり方と持続可能な財源について、国民的な議論を高めたい」と述べ、税と社会保障の一体改革に意欲を示した。年金制度改革では、民主党が掲げる全額税方式による最低保障年金の創設にはこだわらない姿勢を示した。また、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加問題と農業改革も重要課題に据えた。  首相は会見で、改革の進め方について「社会保障制度のあり方を考えていく中で、持続可能な財源のあり方についても議論する」と指摘。議論は、制度のあり方から財源問題へと二段構えで進める考えを示した。  その上で、2009年衆院選政権公約(マニフェスト)にも盛り込んだ全額税方式による最低保障年金創設について「民主党の提案をベースにしながらも、根源的な改革に向かって他の議論を含めて議論されることは十分あっていい」と言及。首相が呼びかけている税と社会保障の超党派協議に野党を巻き込むため、現行の社会保険方式に歩み寄る姿勢を示した。  さらに、税方式についても「公約を議論した当時からの人口構成の変化、今後5年、10年先の変化を考えれば、そのころの前提がそのままでいいのか考えるのは当然だ」と指摘。衆院選マニフェストの修正もありうるとの考えを示した。  首相は税と社会保障一体改革について、自民党時代から財政再建派で知られる与謝野馨・元たちあがれ日本共同代表を経済財政相に「一本釣り」し、与謝野氏を中心に議論を進める意向だ。会見では、与謝野氏起用の狙いについて「問題の責任者になってもらったことは内閣改造の一つの大きな性格の表れだ」と期待を込めた。 ただ、民主党内では最低保障年金の創設にこだわる意見が根強い。与謝野氏はこの日、記者団に「なるべく早く具体的な案をつくって世に問いたい」と強調したが、年金制度改革については「社会保険方式で進むことが具体的であり、実現可能性がある」と述べており、政権内の意見調整に手間取る可能性もある。  首相は与野党の協議を進めた上で、今年6月をめどに具体案を取りまとめたい考えだ。ただ、野党側はかつて民主党批判を繰り返していた与謝野氏が政権入りしたことに反発しており、協議を始めるめどすらついていない。  一方、首相は「平成の開国」を掲げ、TPP交渉の参加にも意欲を示した。TPP推進派の海江田万里氏を経済財政相から経済産業相へ横滑りさせたことをテコに、6月ごろの結論をめざす考えだ。「日本の農業はこのままでは成り立たなくなる」として農業改革も取り上げ、「(TPPとの)二つを両立させる道筋をしっかりと打ち出していきたい」と訴えた。  このほか、内閣改造と民主党役員人事の狙いについて「民主党の危機を乗り越えるためでなく、日本の危機を乗り越えていく上で最強の体制をつくるという考えで進めた」と強調。通常国会での対応について「できるだけ早い機会に積極的に党首討論に応じたい」などと語り、野党側に審議への協力を求めた。  今回の改造で、首相は参院で問責決議を可決された仙谷由人・前官房長官、馬淵澄夫・前国土交通相のほか、参院に問責決議を提出された岡崎トミ子・前国家公安委員長の3氏をいずれも退任させた。首相はこれまで、参院問責の法的拘束力に疑問を示す発言をしたこともあったが、この日の会見では「そういうことをベースに行った改造ではない」と述べるにとどめた。 *110103 菅氏「権力を掌握する」 首相と小沢氏、新年会で火花 [朝日]  菅直人首相と民主党の小沢一郎元代表が1日午後の同じ時間帯に、別々に新年会を開き、側近らを集めて今年の抱負を語った。小沢氏がいつ衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席するべきなのか、主張に開きがある両者が、互いを意識した発言で見えない火花を散らした。  菅首相は1日午後、約5時間にわたって首相公邸で新年会を開催。閣内から仙谷由人官房長官、北沢俊美防衛相、蓮舫行政刷新相ら、民主党側から枝野幸男幹事長代理、江田五月前参院議長など衆参約45議員が参加した。  出席者によると、首相はあいさつで「今年は自分らしさをしっかり出したい」と宣言。さらに「臨時国会は守りに徹したが通常国会はそうはさせない。やりたいことをやるために権力を掌握する」と意気込みを見せた。  首相は例年元日、東京都内の自宅に側近議員や知人を招いており、今年は首相の希望で「祝賀会」を開いた。公邸内の私生活スペースを使い、首相側がすしやおでんなどを用意した。  一方、小沢元代表は都内の自宅で新年会を開き、原口一博前総務相、山岡賢次副代表、細野豪志前幹事長代理、谷亮子参院議員ら衆参約120議員が参加した。  小沢氏はあいさつで、自らの自民党幹事長時代に参院が与党少数ながら法案成立にこぎ着けた事例を挙げながら「ねじれ国会になったんだから仕方ない、という理屈は通用しない」と、菅政権の国会運営を暗に批判。その上で「本当の議会制民主主義と、国民の生活が第一の政治を実現したい」と訴えた。  小沢氏は自らの「政治とカネ」の問題については「私自身、皆さんにご迷惑ばっかりかけております」と触れただけだった。ただ、昨年末には自ら政倫審出席を表明しており、局面を打開すべきなのは参院で問責を受けた仙谷氏らを抱える首相側だとの主張だ。参加者は「小沢氏はかなり高揚していた」と話した。
[[■政局10Ⅳ]] から #contents *110129 民主、強気の国会運営 低姿勢から一転、主導権狙う [朝日]  民主党は28日、野党欠席のまま衆院予算委員会で新年度予算案の趣旨説明に踏み切った。野党に低姿勢で接した結果、閣僚への問責決議で主導権を奪われた昨年の臨時国会の反省を踏まえ、強気の国会運営に方針転換した。野党の審議拒否は長くは続かないとみて、週明けの31日から与党単独でも基本的質疑に入る構えだ。  自民、公明、共産、みんなの野党4党は「民主党は予算委の前に小沢一郎元代表の証人喚問を実現する姿勢を明確にすべきだ」と主張。趣旨説明を週明けの31日以降に先送りするよう求めたが、民主党は応じなかった。28日の予算委には民主、社民、国民新の3党が出席したものの、中井洽衆院予算委員長は、野党4党が不在のまま開会を宣言。4党は反発し、31日の基本的質疑には出席せず、審議拒否で抵抗する構えをみせている。  民主党の安住淳国会対策委員長は記者会見で「日程協議で闘争するやり方はどうか。一日休めば、国会議員は一日さぼったことになる」と4党を強く牽制(けんせい)。民主党の中川正春筆頭理事も「証人喚問は予算審議と切り離すべきで、野党の主張は国会を混乱させるだけだ」と批判した。  民主党は円滑な審議入りを目指し、野党が結束して求めていた仙谷由人前官房長官の交代を受け入れて通常国会に臨んだ。一方、野党の要求に応じるばかりでは国会の主導権をつかめないと判断。予算審議前の小沢氏の証人喚問を拒否しても、野党が審議拒否で結束を続けることは難しいとみて強硬路線に転じた。  野党4党は28日、共同で記者会見。自民党の武部勤筆頭理事は「冒頭から職権で委員会を開くのは前代未聞」と反発し、公明党の漆原良夫国対委員長も「話し合う姿勢が全くない。熟議の環境を壊している」と強調した。 *110128 首相、「疎い」とは「詳しく聞いていないという意味」 [朝日]  菅直人首相は28日午前の閣僚懇談会で、米格付け会社による日本国債の格付けが引き下げられたことに「そういうことに疎いので」と述べた前日の発言を自ら取り上げ、「詳しく聞いていないという意味であり、格付けに詳しくないということではない」と釈明した。  同日午前の参院代表質問では、公明党の山口那津男代表が「昨日の首相発言には耳を疑った」と批判。これに対して首相は「『疎い』というのは情報が入っていないということを申し上げた」と弁明した。さらに「財務相時代に、財政や国債の重要さは嫌というほど認識させられた」とも述べた。  野党は、一斉に首相の発言を批判。首相の資質を疑問視する声も上がった。  自民党の石原伸晃幹事長は28日午前、記者団に「この総理を仰いでいる限り『最大不幸社会』だ」と指摘。同党の逢沢一郎国会対策委員長は国会内の会合で「日本のトップリーダーがその程度の認識しかないのか。こういう方がダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に行かれて大丈夫なのか」と批判した。公明党幹部も「国債に疎い人に国民は総理大臣を任せたくはないだろう」と指摘した。  一方閣僚からは、閣議後の会見で首相をかばう発言が相次いだ。野田佳彦財務相は「まだしっかり情報が入っていないという意味で表現をされたと思う。格付けや国債問題そのものに疎いはずはない」。与謝野馨経済財政相も「格付けに総理がコメントするのは、世界各国あまり例を聞いたことがない」と語った。 *110124 熟議の国会めざす 野党に議論呼びかけ 首相が施政方針 [朝日]  菅直人首相は24日午後、衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。首相は消費増税と社会保障の一体改革と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加問題を改めて政権の最重要課題に掲げる。特に社会保障で自民、公明両党が与党時代に与野党の超党派で合意形成を進めるよう提言していたことを指摘。野党各党に議論を呼びかけ、「熟議の国会」をめざす構えだ。  第177通常国会はこの日召集され、6月22日まで150日間の論戦が始まる。  首相は演説で、今年の年頭所感でも取り上げた「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」の三つを掲げ、「国づくりの理念」と位置づける。  「平成の開国」は、現在を明治維新、戦後の改革に続く「第三の開国」と指摘。「貿易・投資の自由化、人材交流の円滑化で踏み出す」と語り、韓国や欧州連合(EU)などとの経済連携協定(EPA)交渉の再開や立ち上げに加え、日中韓自由貿易協定(FTA)の共同研究推進も目標に掲げる。  開国の目玉として環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を取り上げ、「今年6月をめどに交渉参加について結論を出す」と宣言する。同時に、貿易自由化で影響を受ける農林漁業の再生も「待ったなしの課題」と位置づけ、農業者戸別所得補償制度に加え、商工業と連携した6次産業化や農地集約による大規模化などを訴える。  「最小不幸社会の実現」では少子高齢化など社会・経済状況の変化を踏まえ、「社会保障制度を根本的に改革する必要に直面している」と強調。「国民にある程度の負担をお願いすることは避けられない」と語り、6月までに社会保障改革の全体像と、消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すことを打ち出す。  これに関連して首相は昨年自民党がまとめた「税制改正についての基本的考え方」や公明党の「新しい福祉社会ビジョン」に言及。「問題意識と論点はすでに共有されている」と与野党協議を呼びかける。  「不条理をただす政治」では、社会から孤立する人への対策や政治資金の一層の透明化などを指摘する。民主党の小沢一郎元代表をめぐる「政治とカネ」の問題には具体的に触れない方向だ。  外交・安全保障では、日米同盟の深化に向けて今年5月に予定している首相の訪米時に21世紀の日米同盟ビジョンを示すと宣言。沖縄の米軍基地問題では「沖縄だけ負担軽減が遅れていることは慚愧(ざんき)に堪えない」と語り、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については「沖縄の皆さまに誠心誠意説明し、理解を求めながら、危険性の一刻も早い除去に最優先で取り組む」と述べる。(金子桂一) *110124 「菅政権は債務不履行」「約束ほご」野党が対決姿勢鮮明 [朝日]  自民党の谷垣禎一総裁は24日の全議員懇談会で「菅政権は国民との契約が債務不履行になっている。今国会は、どちらが国民に議論を信用していただけるかの戦いだ」と政権を追及する考えを強調した。公明党の山口那津男代表も参院議員総会で「民主党の歩みは、国民と約束したマニフェストの破綻(はたん)のプロセスだった。約束が守れない政権に、どこまで正当性があるのか」と菅政権への対決姿勢を鮮明にした。  社民党の福島瑞穂党首は両院議員総会で「民主党は『4年間は消費税をあげない』という約束をほごにしている。おかしいと歯止めをかけ、場合によってはしっかり対決する」と是々非々の立場で臨む考えを示した。  一方、菅直人首相(民主党代表)は24日、民主党両院議員総会で「野党も対案を出して私たちと議論をたたかわせ、取り入れるべきものがあれば取り入れていく建設的国会にしていかなければならない」と述べ、野党側に国会での合意形成に参加するよう呼びかけた。「社会保障と財源の議論、貿易自由化など、野党の方がこういった議論から逃げようという姿勢も見える。それでは国会の意味がない」と野党側を牽制(けんせい)もした。 *110121 民主、小沢氏の喚問容認へ 政倫審出席の議決断念 [朝日]  民主党の岡田克也幹事長は20日、小沢一郎元代表に衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を求める議決を断念することを表明した。野党が要求する証人喚問を容認する形で、小沢氏の国会招致を目指す方針に転換する。ただ、全会一致原則などがあり、喚問実現は簡単ではなく、党執行部は小沢氏の強制起訴を待って、離党勧告に踏み切ることも検討し始めた。  小沢氏は20日、土肥隆一政倫審会長に対し、事実上出席を拒否する文書を提出した。政倫審での議決に強制力はなく、岡田氏は同日夕、愛知県豊橋市で「はっきりこれだけ拒絶されるということであれば、議決しても政倫審に出てこられないわけだから(議決に)意味がない」と記者団に語り、議決断念を表明した。  岡田氏はそのうえで「国会で説明する手段は、政倫審か証人喚問かしかない。政倫審がノーということになると、(証人喚問を求める)野党の声が力を得てしまう。今後は党の中での議論が必要だ」と述べた。野党の要求を容認する形で、出席に強制力がある証人喚問の実現に切り替える考えを示したものだ。  ただ、証人喚問は慣例で全会一致が原則だ。小沢氏に近い国民新党の亀井静香代表が賛成する保証はない。証人喚問の舞台となる衆院予算委員会の民主党委員を賛成の議員でそろえることにも、小沢氏を支持する議員が強く抵抗するのは必至で、実現には困難が予想される。  岡田氏は昨年末から「小沢氏が政倫審への出席を自ら申し出ない限り、通常国会前に政倫審で出席を求める議決を行う」と繰り返し表明してきた。だが、小沢氏は拒否する姿勢を崩さず、野党も政倫審での議決を拒否する姿勢を強めていた。岡田氏は24日の通常国会召集を前に野党の意向を尊重せざるを得ず、政倫審での議決断念に追い込まれた格好だ。  一方、小沢氏の国会招致が実現しなければ、今度は小沢氏の問題を批判し続けてきた菅直人首相の政治姿勢が根本から問われかねない。このため、岡田氏ら党執行部は小沢氏の強制起訴後に党常任幹事会で離党勧告を決め、政治とカネの問題に対する厳しい姿勢を示す検討に入った。  首相は20日、「小沢さんは条件をつけないで政倫審に出ると約束されていたが、状況が変わった。岡田幹事長と今後のことについて相談したい」と記者団に語った。 *110120 「日米同盟の再出発」掲げる 菅首相が外交演説 [朝日]  菅直人首相は20日、東京都内のホテルで財界関係者や各国駐日大使らを前に外交・安全保障政策について演説した。昨年6月の内閣発足後、菅政権としての包括的な外交演説を行うのは初めて。日米同盟を基軸に据えるとともに、「平成の開国」を掲げて経済・資源外交を進める考えを改めて打ち出した。  演説では「5本の柱」として(1)日米基軸の再出発(2)アジア外交の新展開(3)経済外交の推進(4)地球規模の課題への取り組み(5)安全保障環境への日本自身の的確な対応を表明。  日米同盟を「政権交代にかかわらず維持、強化されるべき日本外交の基軸」と位置づけた。今春に予定する訪米の際に、日米同盟の将来ビジョンを示す考えを示した。  アジア外交では、中国や韓国、ロシア、豪州などとの協力関係を重視。アジア太平洋経済協力会議(APEC)などの枠組みを活用するとした。中国に対しては「透明性を欠いた国防力の強化や海洋活動の活発化に懸念を抱かざるをえない」と指摘。昨年秋の尖閣諸島沖衝突事件を「極めて残念な出来事」としたうえで、両国で戦略的互恵関係を深める必要性を訴えた。鳩山由紀夫前首相がアジア重視の象徴として掲げた「東アジア共同体」構想には触れなかった。  経済・資源外交では、「平成の開国」の実現が今年の最優先課題だと指摘。貿易だけでなく人材交流を含めた経済連携の重要性を主張した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加について「今年6月をめどに結論を出す」とした。  首相がこの時期に外交演説に踏み切ったのは、「外交政策が定まらない」という批判への危機感からだ。昨年末、首相は「国民にまとまった形で外交の考え方を話したい」として、演説の準備を指示。笹森清内閣特別顧問が役員で、経済人や各国大使らが出席する非営利団体「民間外交推進協会」の演説会を舞台に選んだ。  菅政権は発足以降、尖閣事件や北朝鮮による砲撃事件など外交懸案への対応に追われ、内閣支持率は低下。首相は「(外交対応が)部分部分で切り取られている」と不満を募らせた。24日に開会する通常国会の施政方針演説でも外交分野を盛り込むものの、「ほんの一部」(首相周辺)に過ぎないため、「菅外交」の全体像を示すことにした。  この日の演説では、米軍普天間飛行場移設問題で沖縄の理解をどう得るかという具体的な道筋は示されず、首相が韓国と約束した朝鮮半島由来の図書の返還の見通しにも触れなかった。(倉重奈苗) *110117 与謝野氏起用「評価しない」50% 朝日新聞世論調査 [朝日]  朝日新聞社が15、16日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、菅直人内閣の支持率は26%で、昨年12月の前回調査の21%からやや増えた。不支持率は54%(前回60%)。内閣改造で、社会保障と税の「一体改革担当相」に与謝野馨氏を起用した人事に対しては「評価しない」が50%に達し、「評価する」の31%を大きく上回った。 世論調査―質問と回答〈1月15、16日実施〉  菅首相に「期待する」との意見は前回とほぼ同じ35%で、内閣改造による政権浮揚効果はいま一つのようだ。  参院で問責決議を受け、去就が焦点となっていた仙谷由人官房長官の交代については「評価する」が47%で「評価しない」の34%を上回る。後任の官房長官に枝野幸男氏を起用した人事は「評価する」41%、「評価しない」39%と見方が分かれた。  改造の目玉人事である与謝野氏の起用は、民主支持層で「評価する」51%、「評価しない」36%なのに対し、与謝野氏がかつて所属した自民の支持層では24%対64%と「評価しない」が多数を占めた。  一方、菅首相が「社会保障とその財源について議論し、6月までに方向性を示したい」と述べ、消費税引き上げの議論に積極的であることを紹介したうえで、それに対する首相の姿勢を聞いた質問では「評価しない」48%が「評価する」39%を上回った。  民主支持層では「評価する」が56%、「評価しない」が35%。これに対し、自民支持層では「評価しない」が52%と多いものの、「評価する」も40%に上る。自民支持層の内閣支持が8%しかないことを考えると、かなりの割合で社会保障と税の一体改革に限っては理解を示している、ともいえる。  菅首相は一体改革を超党派で議論しようとして与謝野氏を起用したが、首相の社会保障・消費税引き上げの議論への姿勢を評価するという人の中でも、与謝野氏の起用については「評価する」42%、「評価しない」45%で意見が分かれた。  また菅首相は、社会保障と税の一体改革と並んで環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加に意欲を示している。これに関連して、農産物の関税を大幅に引き下げ、貿易の自由化を一層進めることの賛否を聞いたところ、「賛成」が41%、「反対」が39%だった。 *110114 「税と社会保障を一体改革」 第2次菅改造内閣が発足 [朝日]  菅第2次改造内閣が14日、発足した。菅直人首相は同日夕、首相官邸で記者会見し、「安心できる社会保障制度のあり方と持続可能な財源について、国民的な議論を高めたい」と述べ、税と社会保障の一体改革に意欲を示した。年金制度改革では、民主党が掲げる全額税方式による最低保障年金の創設にはこだわらない姿勢を示した。また、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加問題と農業改革も重要課題に据えた。  首相は会見で、改革の進め方について「社会保障制度のあり方を考えていく中で、持続可能な財源のあり方についても議論する」と指摘。議論は、制度のあり方から財源問題へと二段構えで進める考えを示した。  その上で、2009年衆院選政権公約(マニフェスト)にも盛り込んだ全額税方式による最低保障年金創設について「民主党の提案をベースにしながらも、根源的な改革に向かって他の議論を含めて議論されることは十分あっていい」と言及。首相が呼びかけている税と社会保障の超党派協議に野党を巻き込むため、現行の社会保険方式に歩み寄る姿勢を示した。  さらに、税方式についても「公約を議論した当時からの人口構成の変化、今後5年、10年先の変化を考えれば、そのころの前提がそのままでいいのか考えるのは当然だ」と指摘。衆院選マニフェストの修正もありうるとの考えを示した。  首相は税と社会保障一体改革について、自民党時代から財政再建派で知られる与謝野馨・元たちあがれ日本共同代表を経済財政相に「一本釣り」し、与謝野氏を中心に議論を進める意向だ。会見では、与謝野氏起用の狙いについて「問題の責任者になってもらったことは内閣改造の一つの大きな性格の表れだ」と期待を込めた。 ただ、民主党内では最低保障年金の創設にこだわる意見が根強い。与謝野氏はこの日、記者団に「なるべく早く具体的な案をつくって世に問いたい」と強調したが、年金制度改革については「社会保険方式で進むことが具体的であり、実現可能性がある」と述べており、政権内の意見調整に手間取る可能性もある。  首相は与野党の協議を進めた上で、今年6月をめどに具体案を取りまとめたい考えだ。ただ、野党側はかつて民主党批判を繰り返していた与謝野氏が政権入りしたことに反発しており、協議を始めるめどすらついていない。  一方、首相は「平成の開国」を掲げ、TPP交渉の参加にも意欲を示した。TPP推進派の海江田万里氏を経済財政相から経済産業相へ横滑りさせたことをテコに、6月ごろの結論をめざす考えだ。「日本の農業はこのままでは成り立たなくなる」として農業改革も取り上げ、「(TPPとの)二つを両立させる道筋をしっかりと打ち出していきたい」と訴えた。  このほか、内閣改造と民主党役員人事の狙いについて「民主党の危機を乗り越えるためでなく、日本の危機を乗り越えていく上で最強の体制をつくるという考えで進めた」と強調。通常国会での対応について「できるだけ早い機会に積極的に党首討論に応じたい」などと語り、野党側に審議への協力を求めた。  今回の改造で、首相は参院で問責決議を可決された仙谷由人・前官房長官、馬淵澄夫・前国土交通相のほか、参院に問責決議を提出された岡崎トミ子・前国家公安委員長の3氏をいずれも退任させた。首相はこれまで、参院問責の法的拘束力に疑問を示す発言をしたこともあったが、この日の会見では「そういうことをベースに行った改造ではない」と述べるにとどめた。 *110103 菅氏「権力を掌握する」 首相と小沢氏、新年会で火花 [朝日]  菅直人首相と民主党の小沢一郎元代表が1日午後の同じ時間帯に、別々に新年会を開き、側近らを集めて今年の抱負を語った。小沢氏がいつ衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席するべきなのか、主張に開きがある両者が、互いを意識した発言で見えない火花を散らした。  菅首相は1日午後、約5時間にわたって首相公邸で新年会を開催。閣内から仙谷由人官房長官、北沢俊美防衛相、蓮舫行政刷新相ら、民主党側から枝野幸男幹事長代理、江田五月前参院議長など衆参約45議員が参加した。  出席者によると、首相はあいさつで「今年は自分らしさをしっかり出したい」と宣言。さらに「臨時国会は守りに徹したが通常国会はそうはさせない。やりたいことをやるために権力を掌握する」と意気込みを見せた。  首相は例年元日、東京都内の自宅に側近議員や知人を招いており、今年は首相の希望で「祝賀会」を開いた。公邸内の私生活スペースを使い、首相側がすしやおでんなどを用意した。  一方、小沢元代表は都内の自宅で新年会を開き、原口一博前総務相、山岡賢次副代表、細野豪志前幹事長代理、谷亮子参院議員ら衆参約120議員が参加した。  小沢氏はあいさつで、自らの自民党幹事長時代に参院が与党少数ながら法案成立にこぎ着けた事例を挙げながら「ねじれ国会になったんだから仕方ない、という理屈は通用しない」と、菅政権の国会運営を暗に批判。その上で「本当の議会制民主主義と、国民の生活が第一の政治を実現したい」と訴えた。  小沢氏は自らの「政治とカネ」の問題については「私自身、皆さんにご迷惑ばっかりかけております」と触れただけだった。ただ、昨年末には自ら政倫審出席を表明しており、局面を打開すべきなのは参院で問責を受けた仙谷氏らを抱える首相側だとの主張だ。参加者は「小沢氏はかなり高揚していた」と話した。

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