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◎社会民主主義しかない - (2006/02/11 (土) 19:57:19) の編集履歴(バックアップ)


◎社会民主主義しかない

社会民主党宣言(第2次案) [社会民主党]

I 前文
 私たちは、社会民主主義を掲げる政党として、人々が個人として尊重され、自然と調和しながら、平和で人間らしく生きることのできる社会の実現を目指し、努力することをここに宣言します。人々が貧困や抑圧、偏見から解放され、生涯を通じて安心して生活を営むことが可能となるよう、社会のすべての分野で民主主義を不断に拡充し、あらゆる差別を廃し、格差と不平等の解消に取り組みます。これは、平和と民主主義、人権尊重、福祉の拡大を目標とした日本社会党以来の伝統を継承・発展させる社会改革の運動でもあります。

 私たちの社会では今、競争を万能とした新自由主義に基づき、市場任せの利潤追求が最優先とされた結果、雇用の安定、人間らしい生活、自然環境の保護などが背後に追いやられ、さまざまな分野で格差の拡大が進行しています。

 また、冷戦構造が終焉してもなお、話し合いや協力によって戦争や紛争を防ぎ、世界の平和と安定を求めるのではなく、強大な政治・経済・軍事力を背景に、力づくで問題の解決を図ろうとする潮流が顕在化しています。この流れと一体で、戦後日本社会の礎(いしずえ)となってきた憲法を改悪しようという動きも、保守支配層によって頂点に達しています。

 これらは、社会民主主義を掲げる私たちの価値観とは相容れません。

 私たちは強いものはますます強く、弱い立場のものはますます弱くといった考え方を否定します。戦争を放棄し戦力を保持しないとした憲法を変え、日本を再び「戦争のできる国」へと回帰させることを否定します。
そして、岐路に立つ日本社会において、人間の尊厳を奪う新自由主義や新保守主義とはまったく別の「もう1つの社会」の在り方を提唱し、その実現に力を尽くします。

 私たちは目指します。憲法の理念が実現された社会を。それは、憲法の前文で「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」と位置づけた平和的生存権を尊重し、誰もが平和な環境の中で暮らすことのできる社会です。

 私たちは目指します。格差を是正した生活優先の社会を。それは、市場経済を万能として規制緩和や民営化をやみくもに進め、「小さな政府」と称して福祉や医療、教育などの公共サービスを一方的に切り捨てて自己責任だけを強要する社会ではなく、子どもを産み育て、学び、働く機会を公正に保障し、不安なく老後をおくることができるよう、生活条件の向上を最優先とした社会です。

 私たちは目指します。人々が支えあい、尊重しあう社会を。それは、あらゆる差別をなくし、人権と社会参加の条件を等しく保障することで、男性と女性、子どもと高齢者、健常者と障害を持つ人々などが共に生きていくことができるよう、連帯を柱に据えた共生社会です。

II 社会民主主義の理念
1.私たちは、社会民主主義の理念が広く社会に根付くよう、経済・社会の中心を担う働く男女、生活者の立場から社会の民主的な改革に取り組み、すべての人々に門戸を開いた政党です。

2.私たちは、社会のあらゆる領域で民主主義を拡大していく不断の改革運動を社会民主主義と位置づけます。その理念は「自由・平等・連帯」という価値観にあります。人々が自らの目標を定め、実現していくための自由。一切の差別を否定し、あらゆる人々に社会参加の機会と権利を保障するための平等。そして人間が人間らしく生き、生活することを社会全体で支えあうための連帯。これらの価値観が経済、社会、政治、文化のあらゆる場面で基本に据えられるよう努力します。

3.私たちは、「自由・平等・連帯」という理念を実現していく際に、その前提条件として、平和な社会が存在していることが不可欠だと考えます。第2次世界大戦でアジア諸国を侵略・植民地支配した加害者としての歴史、そして世界で唯一の被爆国である被害者としての歴史の重みを踏まえ、人間の一切の権利を奪う戦争を絶対的に否定して、平和な社会の構築に努力します。

III 政策の基本課題
 政策の基本課題を掲げるにあたり、人権の尊重、差別の解消、そしてより多くの平等の実現をすべての政策の基盤に据えます。

<経済>
 生産・交換・分配の手段として市場の機能を認めつつ、それを万能として、すべてを競争の結果に委ねて、資産や所得の格差を放置する立場には立ちません。生活条件の向上と自然環境との共生を経済活動の主眼におき、公正な交換や取引き、分配が行なわれるよう市場の民主化や監視、規制に取り組み、福祉や医療、教育など人々が共同で社会生活を営む分野で公共サービスの役割を充実させます。

<雇用>
 労働は人々が生活を営み、自己実現していくために不可欠の要素であると同時に、社会の富の源泉です。同一労働・同一賃金といった均等待遇の保障の下で、多様な働き方を尊重し、働くことを望むすべての人々が完全雇用されることを社会の大きな目標とします。性差や年齢、国籍、障害の有無による雇用差別、コスト削減と目先の利益だけを追求した安易なリストラは否定します。

<税財政>
 財政は人々が共同で公平に負担し、社会全体の利益のために事業を営む領域です。特定の企業・階層の利益や巨大公共事業に偏重した財政構造から雇用や福祉、教育、子育て支援など生活重視型に転換し、地方への財源移譲によって健全な財政を目指します。税制には、富の偏在を防ぎ、負担能力のある人から社会の支えが必要な人へと所得を再分配させていく機能こそ必要です。逆進性の強い消費税を基幹税に位置づけて安易に税率を引き上げることは、低所得者層に一層の負担を強いるだけです。所得税・住民税の最高税率の引き上げや累進性の強化、企業に応分の社会的責任を求めた法人税の見直しに取り組みます。

<福祉・社会保障>
 福祉と社会保障制度の充実は、誰もが安心して人生をおくるために不可欠であり、市場競争原理や自己責任よりも、行政の責任と社会の連帯が重視されるべきです。税方式による基礎的暮らし年金の創設を始め、税と応能負担を原則とした保険料拠出によって、持続可能な制度へと社会保障全体の抜本改革を図ります。

<安全保障>
 核兵器の廃絶を始め、最終的にあらゆる軍事力の保有が否定された非武装の世界を目指します。北東アジア地域の非核化と対話・協力を基盤にした総合的な安全保障機構の創設、そして東アジア共同体の実現に努力します。自衛隊の改編・縮小、日米安全保障条約の平和友好条約への転換、在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進めます。国連の集団安全保障活動であっても、自衛隊がこれに参加して海外で武力行使することを認めず、憲法9条に基づき、国際貢献については非軍事・文民・民生を基本に積極的な役割を果たします。

<経済のグローバル化>
 情報技術の急速な発展などが、国境を越えた経済の相互依存関係を拡大させる一方で、巨大な多国籍企業や金融資本が独占的に利益を獲得したり、南北間の格差を拡大させるなどの否定的な影響を生み出しています。また、企業が低廉な労働力の存在する発展途上国へと生産工程を移管することにより、国内産業の空洞化も進んでいます。成長と発展の恩恵が先進国や特定の企業にだけ還流することのないよう、通貨・貿易・信用取引きの公正なルール、国境を越えた労働者の権利の保障、多国籍企業の活動に対する国際的な規制の実現に努力します。

<男女平等>
 職業、社会、そして家族生活において男女は常に平等であるべきです。女性が個人として尊重され、積極的に社会参画が果たすことのできるよう、女性に対する直接・間接の差別を禁止するなどの環境整備に努め、クオータ制度の導入・定着を図ります。また働く男女が共に子育てや介護に従事できるような法整備と長時間労働・サービス残業の規制など、働き方の改善に取り組みます。

<環境>
 大量生産・大量消費・大量廃棄といった経済構造を自然環境と共生する循環型に転換し、水資源保護や森林整備を推進します。安定した食料自給率の実現の下で食の安全を守り、農林水産業の多面的な機能の対価として直接所得補償制度を創設するなど第1次産業を維持、発展させます。また、あらゆる核を否定する立場から脱原発を推進し、自然エネルギーの開発を促進します。

<教育>
 将来を担う子どもたちが、生き生きとすこやかに、そして個性豊かに学び、遊び、生活できる条件を社会の責任で保障します。すべの子どもが、性差や個性、家庭の所得状況にとらわれず、能力に応じてどこでも等しく教育を受けられるように、教育基本法の理念、子どもの権利条約の原則が社会で具体化されるよう努力し、子育て支援を充実させます。また、生涯のあらゆる段階で、人々が自らの能力と存在感を高めていけるよう、職業および技術教育の機会を公正に保障します。

<文化>
 生活を豊かにおくるために不可欠な文化や芸術の分野では、表現の自由やあらゆる価値観が保障されるべきです。また階層、性差、障害の有無などによって、文化や芸術を体験し、創出する権利が損なわれてはなりません。メディアの発展は民主主義の根本にかかわる問題であり、権力や支配層の意思、考え方が一方的に押し付けられることがないように、表現および言論の自由を徹底的に擁護します。

<政治改革>
 政治の民主主義を拡充する前提は、人々の多元的な価値観が議会政治の場に的確に反映されることにあります。そのためには、民意を切り捨てる小選挙区制度ではなく、比例得票数を議席配分の中心に据えた選挙制度への改革が不可欠です。政策の対立軸を明確にした穏健な多党制の下で、国民に信頼される政治の展開を促します。また、中央集権・官僚主導の政治を分権・地方主権に転換すると共に、政官業癒着・金権腐敗政治の根絶に向け、企業・団体献金の規制・廃止に努力します。

IV 改革の道筋
1.社会のあらゆる分野で不平等と格差が依然として存在する中、私たちは働く男女、子ども、高齢者、障害を持つ人々など、弱い立場に置かれている人々の利益を実現することが、社会の安定と進歩に不可欠だと考えます。人々の自律を社会が支え、人々が公平に社会参加できる機会を保障し、人々の生活に密着した地域に主権を移す分権を促進させます。

2.労働運動、そして非正規雇用や未組織労働者を含めたすべての働く男女は、「自由・平等・連帯」という社会民主主義の理念と平和な社会を実現する過程で、最も重要な役割を担っています。また経済を足元で支える中小企業は、大企業の動向によって経営は安定せず、地域生活に欠かせない個人商店なども、大店舗の進出に脅かされています。食の安全や自然環境の保護で積極的な役割を果たすべき農林水産業も、市場の自由化の波にさらされています。私たちは、労働運動と働く男女、中小企業や個人商店、第1次産業に従事する人々と固く連帯すると共に、生活者の立場から様々な課題に取り組む市民運動、非営利団体(NPO)などの活動、さらには社会の進歩と改革を担う学者や文化人とネットワークを結び、改革を進めます。

3.私たちは、社会民主主義の理念を議会制民主主義の機能を通じて実現させていきます。徹底した情報公開によって議会制民主主義が役割を発揮できるよう監視し、必要な政策を提示することによって、党への信頼と社会民主主義への支持が拡大するように努力します。中央・地方議会における党の議席増を党活動の主眼に据え、やがて社会民主主義の政権を日本に樹立することを目指します。この過程において、新自由主義・新保守主義の政治を転換させるために、主体性を堅持しながら連立政権を構成することを排除しません。

4.私たちは、21世紀を迎えた今、自由・平等・連帯、そして平和な社会の実現を掲げる社会民主主義の政治が、岐路に立つ日本社会の改革にとって必要不可欠な存在だと確信します。「もう1つの日本社会」を実現させる挑戦に、若い世代から高齢者まで、すべての人々が参加してくださることを呼びかけます。



社民党 福島さん、旗印は重いぞ [朝日]

 「わたしは市民運動出身。小さいところでガンバルのには慣れている」。社民党の党首選挙で、無投票で再選された福島瑞穂氏はそう語る。

 社会党から社民党に衣替えして、来年1月で10年になる。初代党首は村山富市元首相、2代目が土井たか子元衆院議長と、旧社会党の大物が率いてきた。

 2年前、一枚看板といってもよかった土井氏が秘書給与詐取事件後の総選挙で大敗して退いたあとを、若い福島氏が引き受けた。2度の国政選挙をこなし、名実ともに党の「顔」になった。

 だが、この10年の凋落(ちょうらく)ぶりはすさまじい。社会党時代の最後には衆参合わせて約100人の議員がいた。民主党の誕生でごっそり抜けたとはいえ、衆院7人、参院6人の小所帯になってしまった。

 それでも、福島氏は「いまがチャンス」と言う。その理屈はこうだ。


 小泉自民党は「小さな政府」を掲げ、社会の格差を広げる政策を進めている。民主党も方向性はさほど変わらない。憲法改正にも積極的だ。その結果、平和や環境を大事にし、働く人の権利や福祉を重視したい有権者が行きどころを失っている――。

 確かに、そうした有権者がいたからこそ、小泉劇場に沸いた総選挙で社民党は票を伸ばせたのだろう。全国の比例ブロックで得た370万票は、前回を70万票も上回った。

 こうした層への訴えをさらに明確にするため、社民党は来年2月の党大会で「社会民主主義」を前面に掲げた宣言を採択する予定だという。

 社民党の最大の売りは護憲であり、同時に原発や基地、環境、ジェンダーといった市民運動と国会との橋渡し役としてなんとか生き残ってきた。


 これを土台に、少しでもウイングを労働組合などに広げていこうというのが狙いだろう。

 さきの総選挙での惨敗で誕生した前原民主党は、労働組合と距離を置いてでも改革を自民党と競う姿勢を見せている。その一方で、官民のリストラで労組や労働者への逆風はやみそうにないのに、その政治的な受け皿が乏しい。そこに新たな活路を見いだそうという戦略は理解できることだ。

 ただ、社民主義の旗印を掲げて支持層の拡大を目指すというなら、将来的には民主党内のそうした勢力との連携も展望すべきではないか。


 社民主義は、小泉自民党などの新自由主義に対する有力な対立軸になりうるものだ。それを志向する勢力が分裂しているのは得策ではなかろう。いまの小所帯では夢物語なのは確かだが、今後の政界再編の可能性も見据えて多数派の形成という視点を忘れるべきではない。

 「憲法を変えない」という姿勢や市民運動との連携といった従来の路線を守りつつ、より幅広い層にどう手を伸ばすか。福島党首の2期目の課題である。
TITLE:asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-社説
URL:http://www.asahi.com/paper/editorial20051204.html

都市サラリーマンがコイズミ自民党を選んだ理由/寺島実郎 [世界]

05年11月号
(抜粋)
今回の総選挙における都市中間層の小泉支持には、「自らの分配が乏しくなってきたが故に、分配問題に一段と神経質になりはじめたサラリーマン層」という構図が見える。真綿で首を絞められるように生活が苦しくなった都市サラリーマンにとって、旧来型の分配論、すなわち産業と人口の集中した中央(大都市部)で税金を徴収して地方(田舎)に政治力で分配するという旧来の自民党型分配は許容できないものとなった。

「小泉改革」を通じて時代の空気が競争主義・市場主義の徹底を醸成するにつれ、競争と市場によらない配分に不公正を感じるようになった。
連合傘下の組織労働者を含め、すべての働く者が生活条件の劣化にさらされているのだが、「誰がより多く損をし、より得をしているのか」に対する猜疑心の高揚によって真の問題を解決しようとする意思が、屈折した方向に向かっているのである。

分配だけが関心を惹き、「どういう産業や事業を育て、どういう仕事で日本人が生活していくのか」という基本的議論がまったくなされないのである。
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