「ねえ~、空。今日は何の日だか知ってる?」
「今日? 何かあったっけ?」
「……ばかっ」
「わかってるよ。バレンタインだろ? 今年も、作ってきてくれたの?」
「うんっ。ほら、これ。昨日、頑張って作ったんだよ!」
「え、今?」
「だって、もしものことがあったら渡せないじゃない……だから、今!」
「もしもって何だよ! そんなことあるわけないだろ!」
「でもさ、でもさぁ……」
「それに、お前が居るんだろ? 俺の横に、いつまでもさ」
「……うん、そだねっ! 変なこと言って、ごめんっ」
「いいよ、そんなことくらい。じゃあ、さっそく開けるよ」
「ねね、これ昨日ね、頑張って作ったんだよ!」
「ハートの、剣?」
「だってさ、空言ってくれたじゃん。私を守り、誰もを払う剣になるって。だから、それをイメージして作ったの」
「燐……ありがと」
「あいつら電車内で何でイチャイチャしてんの?」
「……いいじゃない。任務に行く前のわずかな時間、自由に過ごしたって。これから向かうところは戦場なんだから」
「それはわかるけどさ。なんつーか、ワーディング張ってるんだけど。主に独男だけに効く」
「それもそうね。……ちょっと、二人とも」
「「にゃ?」」
「ここは公共機関よ。あんまり大きな声で話すのはやめなさい」
「椿さん、そんなこと言われても~」
「そうですよー。それに、戦地着いてからだと
死亡フラグじゃないですか~」
「何言ってんだ、周りの目を考えろよ」
「隼人さんもー。空が戦い始めたらせっかく作ったチョコレートどろどろになっちゃいます~」
「それに、椿さんもチョコ持ってるんでしょ? 俺らいると溶けちゃいますよ、サラマンダーだから」
「!? な、いや……これは、その」
「……椿ぃ」
「……後で渡そうと思ってた。ハイ」
「結局渡すんか……いや、もらうよ。ありがとう」
「うん、素直が一番ですね!」
「そ、それは、そもそも二人とも電車内でね……!!」
最終更新:2011年02月19日 22:45