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種苗生産学

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第一回:種苗とは?,品種の成り立ち,種苗生産が産業として成立した理由,種子繁殖の利点欠点

種苗とは何か

種苗とは作物を圃場に定植するために養成した幼植物である.
生産方法から見ると種子繁殖によるものと栄養繁殖によるものに大別できる.

園芸種苗生産の発展の歴史と現状

種苗生産は特定の「品種」を安定的に入手したいとのニーズから発展したものである.以下では品種の成立と種苗生産の発展を平安時代にまで遡って見ていく.
  • 平安期
品種の黎明期といわれる平安期では,品種といえばすなわち産地に関連したものであった.このころに成立した品種には,「堂上蜂屋」「会津不身知」など産地名を持つものが見られる.
  • 江戸期
江戸期には自由に日本中を回ることは出来なかったが,伊勢参りの時期にだけは特別に手形が発行された.農家はこれを利用して各地の品種を持ち寄り,品種交換会を開催していた.これにより全国各地へ遺伝資源が導入されることになり,多数の品種が出現することになった.
  • 明治
海外の作物,品種導入が盛んになる.
  • 1940~(WW2後)
WW2後,人口の急増から食糧生産の必要に駆られ,種苗会社の設立や市場の整備が起こった.作物は単一のものを大規模に生産するようになり,生産と消費の分離,種苗生産と作物生産の分業化が進行した.
  • 1950~
組織培養,F1品種といった新たな技術が生まれる.
  • 1970~
茎頂培養によるウイルスフリー化技術の確立,プラグ苗生産システムの開発.

種苗生産が産業として発展した背景

農家の高齢化,そして農業人口そのものの減少から苗の生産は専門の企業が行うようになった.農業の機械化,大規模化にも都合が良かった.
また,個人の手には負えないほどに多様化した品種を維持するのは企業でなければ難しいことだった.

  • 種苗会社の責任
「苗半作」「苗八分」といった言葉が示すように,苗の出来具合は収穫に大きく響く.ゆえに苗を供給する種苗会社の責任は重く,過去には訴訟沙汰になったこともある.

種子繁殖の利点・欠点

種子繁殖は大量生産・保存・輸送などの面で優れている.
だが遺伝的に形質を固定しなければ形質が分離してしまう危険性があるし,固定には長い年月が必要である.また,果樹などではその生長そのものに長い年月を要する.
ゆえに種子繁殖の利用は野菜や一年草,二年草などに限られている.

第二回:栄養繁殖,採種,種子発芽の生理

栄養繁殖

栄養繁殖とは植物の全形成能を利用した繁殖方法である.
  • 利点:種子を要せず,同型質の個体を容易に増殖できる.また,接ぎ木によって耐性を与えることもできる.
  • 欠点:長期保存と大量増殖に適さない.
上記の利点,欠点から,栄養繁殖が有効に適応できるのは果樹や花木などの木本植物,ならびに花卉類や希少価値のある植物に限られてくる.

採種

種苗会社が植物の種子を採種しようとする場合,採種場所に必要な条件は
  1. 安定した気候(安定した収量)
  2. 湿度が低い(病気を防ぐため)
  3. 周囲に類縁植物がない(交雑防止)
の3つである.すなわち,日本という場所は採種に全く適さない.
1955年頃から海外採種が行われ,現在はチリ,ペルー,オーストラリア,カルフォルニアなどで主に採種が行われている.これらの場所は気候が温暖で雨が少なく,植生が日本と異なり人件費が安いなどの点で優れている.
なお,日本で栽培される野菜の90%以上は海外産の種子を使用している.

種子発芽の生理

種子は果実中での登熟過程からすでに発芽生理を開始している.すなわち休眠現象の開始である.休眠は種子中に休眠物質が蓄積し,含水率が10%程度(通常の植物体は90%前後)になるまで脱水することで起こる.
休眠は発芽に必須というわけではないので,休眠前の種子を取り出して播種してやれば(取り播き),すぐに発芽する.休眠が深い植物などには有効な手法である.

種子の発芽過程

種子の発芽は3つの吸水過程に分けることができる.
  • 第1吸水過程
物理的吸水過程とも言われる.含水率が70%程度になるまで吸水する.種子の生死には関係ない.
  • 第2吸水過程
生理的吸水過程とも言われる.吸水した水を使用して各種の貯蔵物質(デンプン,タンパク,高次リン酸etc)を加水分解する.初期の代謝を決定する重要なステージである.
  • 第3吸水過程
成長的吸水過程とも言われる.植物体の成長に伴う吸水.

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