観測立ち上がり時間=〔(信号の立ち上がり時間)2+(オシロの立ち上がり時間)2〕1/2
周波数帯域(Hz)×立ち上がり時間(sec)=0.35
このページはhttp://www.orixrentec.jp/cgi/tmsite/knowledge/know_tachiagari.htmlからの引用です
オシロスコープは波形を観測する装置です。管面に表示される信号の横軸は時間です。オシロスコープにもピンからキリまでありますから、使用する場合は使用するオシロスコープが測定にふさわしい性能を持ったものであるか否かを知っておく必要があります。オシロスコープの基本性能を表すスペック項目はいくつかありますが、波形を見るわけですから、どのくらい高速な信号を波形として正確に捕らえる事ができるかが重要です。
ところで、パルス波形の観測でオシロスコープの性能に一番影響されるのは「立ち上がり時間:Tr」です。立ち上がり時間は、パルスのベースとなるレベルから立ち上がり後の定常レベルまでのレベルの差を100%としたとき、10%レベルのところから90%レベルのところまでの時間差と定義されています。一般のオシロスコープでは立ち上がり時間を測定しやすいように、管面に0%、10%、90%、100%のラインが引かれています。(図1参照)
図1:立ち上がり時間の定義
ところが、図の様にして測定した信号の立ち上がり時間は、オシロスコープ自身の立ち上がり時間の影響を受け、本来の立ち上がりより少し遅く見えます。その関係は下の式の様になります。
従って、正確な測定をするには測定信号の立ち上がりよりずっと早い立ち上がりのオシロスコープを使う必要があります。このため、オシロスコープの仕様書には立ち上がり時間が記されています。
しかし、使用に当たって一々仕様書を引っ張り出すのは大変です。パネル面に立ち上がり時間が書いてあると良いのですが、残念ながらそのようなオシロスコープは少数派です。大方のオシロスコープのパネル面には周波数帯域幅が明記されています。オシロスコープの性能を大雑把に言う時はこの値が便利だからです。例えば、100MHzのオシロスコープと言われれば、一人前の技術者であればその全体性能を予測できます。
では、オシロスコープの周波数帯域から立ち上がり時間を導く方法はないものでしょうか?。実は、両者の間には以下の式の関係があります。例えば、100MHzのオシロスコープの立ち上がり時間は3.5nsになります。下の式はオシロスコープ以外でも大いに役立つ関係式なので、この機会にぜひ憶えておいてください。
ただし、この関係は、回路が、図2のようにCR一段(6dB/oct)の時に成立する式です。実際の回路では高域の減衰がCR一段とはみなせないこともあり、その場合は誤差を含むことも忘れないでください。
図2:CR一段の回路と周波数特性