其の肆:戦う意味は

 山間に沈む夕日。
 橙と濃紺とが混ざる黄昏時に、獣の様な咆哮が響き渡る。
 一本足の怪物が雄叫びと共に肥大した右腕を振りかぶり、勢いよく打ち放つ。
 だが、その拳が標的を捉える事はない。
 屈む様な姿勢で強烈な右フックをやり過ごしたライダーが、右手に持った刀剣にてがら空きになった胴を薙ぎ払う。
 腹部を裂かれた異形が絶叫をあげ、体をくの字の様に折り曲げて崩れ落ちた。
 それが最後の1体だ。あるものは体に空いた穴から血を流し、またあるものは深々と斬りつけられた傷を晒しながら大地にその身を沈めている。

「妖鳥の次は山の精か」
「恐らく、シッティング・ブルの差し金だろう。獣や鳥と語らい精霊を使役するのは我々の十八番だ」

 チン、と音を立てながら山の精霊――サンショウという――の体液を拭った双剣を腰に差し、一息ついたライダーへジェロニモが馬上から答える。
 ジェロニモが乗ってきた馬には消耗の激しいジェロニモと生身の人間で体力にも限りがある立香が搭乗しており、ライダーとビリーは徒歩だ。

『ダコタ・スー族の優れたシャーマンであったとはアーカイブに記録されていましたが、まさか生地と異なる地の精霊を使役出来る程の力量を持っているとは予想外でした』
「なに、場所は違えど精霊との交信であることは変わりない。シャーマンであるならばこの程度の芸当はこなしてみせるものさ」
「じゃあジェロニモもこういうことは出来るのかい?」
「結論から言えば可能だ。だが、使役できたとしても3,4体がいいところで、これだけの数となると難しいな。かの男はその実力に見合うだけの修練を積んでいる。無論、天性の素質もあっただろうがね」
「随分と敵を持ち上げるんだねぇ。相手の方が格上だってのかい?」
「シャーマンとしての腕だけであれば、私は彼より劣るだろう。だが、私はキャスターである前にアパッチの戦士だぞ、小僧」

 立香の問いに返答するジェロニモに対し、ビリーがからかい混じりの挑発をする。
 その挑発を受けてジェロニモはニヤリと不敵な笑みでもって答えた。
 術士としての技量だけでサーヴァントの戦いの勝敗が決まる訳ではない。そう言っているのだ。
 その様に「頼もしいことだね」とビリーは肩を竦めておどけてみせる。

「もう少し進んだ先で野営をしようか。我々だけならともかく、立香殿を連れて夜通しの強行軍をする訳にもいかぬだろう」

 山間へと沈んでいく夕日に目を細めながらライダーが提案する。否定の声は上がらない。
 2時間ほど馬を走らせて夜の帳が完全に下りきったところで一行は野営をすることとなった。
 冬場の山間部、暖を取るべく作った焚き火を囲む様にして座る立香とサーヴァント達。
 食事の必要のないサーヴァント達と異なり人間である立香は、レイシフト時に携帯しているサバイバルキットの携帯食料を齧っている。
 トラブルと襲撃続きだった一日で漸く人心地ついたといった所だろうか。
 煮沸した飲料水でもって溶いた固形スープを啜ると湯気交じりの白い吐息が漆黒の闇に溶けて消える。
 塩気の効いたコンソメ仕立てのスープだ。
 熱を持った液体が凍えた体に染み入り、疲労が解きほぐされていく感覚に心地よさそうに立香は目を細めた。

「あ゛ー、ホッとするー」
『お疲れさまでした、先輩。明日も引き続き五丈原に向けての強行軍ですから、今日は早めに休んでくださいね?』
「マシュ殿の言う通りだな。私とビリー殿、ジェロニモ殿が交代で番をするから、立香殿はゆっくりと休むといい。早朝にここを発つつもりだしね」
「うん、そうする」

 マシュとライダーの言葉に緩んだ顔のまま答えると、一つ伸びをしながら立香がテントへと向かう。
 テントに入り込んだ立香はいつ襲撃が来ても対応できる様にカルデア戦闘服を来たままで寝袋に潜り込んだ。
 寝転がり天井を見やればぼんやりと光るランプの灯り。激動の一日が漸く終わるのだという実感が疲労感へと置換されて立香の身を包んでいく。
 不意に、テントに入ってくる影があった。ライダーである。
 追どうやら最初の番はジェロニモとビリーの二人であるらしい。

「改めてご苦労だったな、立香殿」

 寝袋に潜りこんだ立香の横にライダーが座り込み、波乱に満ちた今日一日の道中を労う言葉を投げかける。

「ハハ、危ない目に遭うのは慣れたとはいえ、流石に今回はどうしようかと思ったよ」
「危ない目に遭うのは慣れた、か。人理修復を巡る戦いなど、私には到底想像のつかぬ危険の連続だったのだろうな」
「まあ、ね」

 ライダーの言葉に、立香は遠い目をしながら、テントの天井を見つめる。
 微かな沈黙。

「不躾な質問だけどさ」
「何かな」
「ライダーは、どうしてこの特異点の修復に協力してくれているの?」

 立香の真剣な眼差しがライダーへと向けられる。
 彼を見下ろすライダーの視線と交差した。

「私はこの国の出だ。生まれた国が乱されればそれを正すのも当然だろう。――と言ったところで立香殿は真名も教えてくれぬ男の言を信じてくれるかな?」
「信じるよ」

 真意の読めぬ微笑と共に放たれた問いかけに対し、立香はライダーを真っ直ぐに見つめて即答する。
 ほんの僅か、ライダーの眉が見開く様に動く。

「僕はライダーを信じるって決めたから、ライダーがそう言うなら僕は信じる」
「……其方も大概な人たらしの様だ」

 立香の愚直ともとれる言葉を受けて、ライダーが苦笑を浮かべた。
 衣が擦れる音が響く、ライダーが居住まいを正した音である。

「立香殿は戦でもっとも被害を受けるのが誰か、ご存知かな?」
「……そこに住んでる人たち、かな」
「その通り」

 ライダーからの問いを受け、立香の脳裏に浮かんだのはこれまでの特異点で見てきた人々の姿。その中でも6つ目に降り立った聖地での記憶が強く揺り起こされた。
 獅子王とファラオの争いに巻き込まれた、本来であればその地で平穏な日常を送っていた人々。
 かの地で最も被害が深刻だったのは彼らであろう。
 立香の返答を受け、ライダーは肯定の言葉と共に頷く。

「住む場所を荒らされ、日々の蓄えを戦の為に徴収され、いつ敵国が来るものかと怯え、大切な家族を兵士として死地に向かわされることだってある。戦による爪痕を一番に受けるのは民なのだ」

 悲痛な声色だ。
 ライダーは戦の犠牲になる民草を悼んでいる。そんな声だった。
 傷ついた兵士、残された妻子、蹂躙された村に人。立香が歩んできた軌跡にもそんな悲しい光景は深く心に刻み込まれている。

「蜀が降伏し、魏との戦は終わった。その是非はともかくしとして、それで少なくとも蜀の領地にいた民は魏との戦に生活を脅かされる事は無くなった。あの国とて法治の国だ、敵国の領民だったからと不当な扱いをすることはなく、民達の平穏は保証されている。だが、今それが覆されようとしている」

 そう語るライダーの表情には深い悲しみと憂いが浮かんだ。

「流れなくて良かった筈の血が流される。私は、それを見過ごしていることが出来なかったのさ」

 どこく悲しげな微笑みを形づくりながら、ライダーは己の戦う理由を締めた。

「ライダーは民のことが大事なんだね」
「ああ、何気ない日常の光景。賑わう市場に駆け回る子供たち、井戸端で世間話に興じる母親達。そういった全ての営みを愛している。その心が私というサーヴァントの原点だ」

 ライダーの語る言葉に込められた万感の想い。それがどんな物であるのか推し量れることは立香にはできない。
 それでもその想いにある根幹らしきものだけは察する事が出来た。

「さて、これで、納得はいったかな、立香殿」
「うん。ありがとう、ライダー」

 その言葉と共に正していた居住まいをライダーは崩す。話は終わりということだろう。
 確かめなくとも、彼の話した戦う理由は本音だったのだと立香は理解できた。だから、今この時に聞くことはもう何もない。
 明日も早い。ライダーに礼を告げ、立香は目を瞑る。
 微睡みの中へ意識が沈むのにそう時間は要さなかった。



 五丈原。
 魏軍の陣地は火が点いたかのような騒がしさだ。
 何度目かの蜀軍の侵攻を凌ぎきり撤退に追い込んだ現在は、負傷兵を傷病者用の幕舎へ運び込む者や、備品・兵糧といった輜重を担当する兵が忙しなく駆け回っている。
 そんな陣地を歩み進む影が1つ。

 精悍な顔立ちに知性を湛えた切れ長の目、兵達に比べて明らかに上等な甲冑に身を包んだその姿は、この男がこの陣営において一定以上の地位にある存在であることを示している。
 この男、姓を司馬、名を昭、字(あざな)を子上。魏の命運を担い軍を率いて蜀の侵攻に備える大都督(総司令官)である。
 すれ違い様に手を組み礼をする兵達を横目に、司馬昭が1つの幕舎へと足を踏み入れる。

 灯りの灯った幕舎に2つの影。
 男が一人と女が一人。

 右腕を完全に覆う手甲を嵌め、どこか飄々とした雰囲気を漂わせる中年の男性と、目が隠れる程に伸びた前髪が特徴的な貫頭衣に身を包んだ女性。どちらも服装や目鼻立ちからして、漢の人間では無いことは見てとれる。
 その二人の人物に対し、司馬昭が手を組み礼をした。それは先ほど彼に向けて兵士たちが行っていたのと全く同じ所作。
 これが意味するところは即ち、彼の前にいる二人の人物が魏を支える大都督にとって敬意を持って接するべき相手であるということを表していた。

「まずは此度の防戦も大儀でありました。ヘクトール殿」
「ま、今回もなんとか凌げましたわな」

 畏まった司馬昭に合わせる様に礼で返した後、ヘクトールは些か疲労の混じった笑みを浮かべて応える。
 トロイアの守護者、輝く兜のヘクトール。この特異点に召喚されたはぐれサーヴァントの一騎は生前と同じように守る為の戦いにその身を投じていた。

「そして、アサシン殿も」
「別に汝(なれ)らを助けるためではない、共通の敵がいるからだと言うておるだろうに」

 続けて礼を述べる司馬昭に対して、アサシンと呼ばれたサーヴァントは辟易した表情で、まるで犬でも追い払うかの様に手をヒラヒラとさせる。
 アサシン。彼女こそが"漢中王"の声に応えて召喚されながらも、数奇な巡り合わせの末に敵対の道を選んだ6騎目の将であったかもしれぬイレギュラー。

 ここはヘクトールと彼女、そしてここにはいないジェロニモと漢中のライダーのために宛がわれた幕舎である。
 男女が1つの幕舎を共有する事に対して何も言われないのは、蜀から寝返った彼女に対しての監視という意味合いもあるからだ。
 ただの人間に過ぎない兵士を何人監視に充てようと、超常の力を振るうサーヴァントの前では無力である。
 つまるところ、餅は餅屋、サーヴァントにはサーヴァントということだろう。

「して、ジェロニモ殿から報があったと伺いましたが」

 顔を上げて司馬昭が尋ねる。
 彼がここに顔を出した理由は、現在漢中のライダーを迎えに出ていたジェロニモからの連絡を受けたので来て欲しいとヘクトールに遣わされた兵士からの言伝てがあったからだ。

「それなんですがね。いい知らせと悪い知らせ、司馬昭殿はどちらからお聞きになられます?」
「ふむ、でしたら悪い知らせからといたしましょう」
「承知しました。……前線に五虎将のキャスターとアーチャーが合流します」

 ヘクトールから告げられた情報に、司馬昭の顔が自然と険しくなった。
 現在、五丈原において"漢中王"の進軍を防ぎきれているのには、この戦線を受け持っているヘクトールとアサシンに対し敵方のサーヴァントがセイバーとライダーの二騎であり数の上では拮抗している点が大きい。
 今回の戦闘では姿が確認出来なかったものの、涼州を平吞した五虎将のランサーが前線部隊に合流したという情報は既に得ている。そこに加えてキャスターとアーチャーの参陣の報だ。
 つまりこの五丈原に蜀の最大戦力である五虎将軍が全て集結したとなれば、到底凌ぎきれる戦力差ではなくなってしまったという事になる。

「五虎将のランサーに加えて残りの将まで……。漢中王はついに本格的にここを攻め落とすつもりと見える」
「それが、そうとも言いきれないところでしてなぁ」

 ヘクトールの物言いに司馬昭が訝しげな表情を見せる。
 これだけの軍勢を揃えたうえで、その狙いが魏を攻める以外にあると言われれば疑問に思うのも無理はない。

「と、いうと?」
「これがまあ、いい知らせってのに繋がるんですがね、キャスターとアーチャーは今こちらに向かっているジェロニモとライダー、そして二人の協力者を狙って前線までやって来たっていう訳でして。取り分け、その内の一人に漢中王が随分とご執心の様子なんですわ」

 その言葉に司馬昭の疑問はますます強まる。
 たった一人の人間が自国に比する程の敵意を向けられる、それがどれだけ異常な話であろうことか。
 そしてそれは傍らで話を聞いていたアサシンにとっても同じであるらしかった。

「にわかには信じられぬな。たった一人の人間にそこまで固執するとは」
「腕っぷしが強いとか神算鬼謀の策士って訳じゃあないがね、英雄だらけの戦場で無茶をやれるだけの胆力と底力なら保障できるぜ」
「ほう」

 疑惑の念を隠そうともしないアサシンの言に、不敵な笑みで返すヘクトール。
 その言動にアサシンと司馬昭の二人が揃って興味深げな表情を浮かべた。
 ヘクトールの人格や能力に彼らは信頼を置いてる。その男が自信をもって評価する様は強く興味を惹かれた。

「どうして漢中王が奴をここまで念入りに殺そうとしてるのかは知らねえが、勢力下で指名手配までするくらいだ、よっぽど奴を警戒してるんだろうさ。だから俺の読みが合ってりゃあ、ここを守りきれる手がある」

 ヘクトールの表情から常に浮かべている軽飄な笑みが消える。
 その瞳が向かう先は下知すべき相手である司馬昭だ。

「司馬昭殿、貴方には辛い決断をしてもらわにゃなりません。その代わりにこれが容れられるなら命と引き換えになってでも、ここは俺が守って見せますよ」


 篝火の焚かれた陣営。風にたなびく戦旗には"蜀"の一文字が翻る。
 そこに向けて駆ける騎馬が二騎。シッティング・ブルと五虎将のアーチャーだ。
 昼夜を問わず死霊の馬を駆り漢中を駆け抜けた彼らを出迎える様に三つの影が陣営の入り口に立っている。

 青く光るプレートアーマーを着込んだ騎士、セイバー。
 赤き甲冑を纏った荒武者、ライダー。
 白銀の鎧に身を包んだ美しき女戦士、ランサー。
 残りの五虎将のサーヴァント達だ。

「警邏隊はお前達を除いて全滅か。随分とこっぴどくやられたものだな!」

 邂逅一番に口を開いたのはライダーだ。
 快活な声色に敗走した二人を嘲るような調子は含まれていない。
 彼は諸手を上げながら、馬から降りた二人を迎え入れた。

「返す言葉もない。我々の不手際だ」
「なに、一時の敗戦でこの後の大勢が決した訳ではないんだ。戦える限りは負けじゃあない、いくらだって挽回できるさ」

 沈んだ面持ちのブルとアーチャーの肩を叩きながらセイバーが笑い飛ばす。
 無精髭のまばらに生える口元がニカッとした野性的な笑みを形作った。
 セイバーの澄んだ様に青い瞳は、二人にかけた言葉を象徴する様な不屈の炎が灯っている。
 ライダー、そしてランサーも、ここにいるサーヴァントに任務に失敗した彼らを糾弾する者はいない。

「しかしこれからどうするつもりだ? 明日は私も含めてセイバーとライダーの三人で敵の陣地を落とす腹積もりではあったが」
「いっそ術士殿と弓の娘御も引き連れて一揉みに揉みつぶすか? あの化け物女も槍の大将も数でかかれば襲るるに足りんだろうよ」

 ランサーの問いにライダーが総力を挙げての侵攻を提案する。
 彼らの侵攻を妨げてきた二騎のサーヴァントの事を口にした途端に、ライダーの表情に苦いものが混じった。
 気配遮断スキルを用いてこちらに気取らせることなく、"殺"の一文字が描かれた軍旗と共に神出鬼没に場を荒らしてはいずこかへと姿を晦ますアサシン。
 柔軟な用兵と大砲と見間違うかの投擲攻撃でこちらの攻め手を幾度となく凌いで見せたヘクトール。
 今日まで五丈原を攻めていた彼とセイバーにとっては煮え湯を飲まされ続けてきた仇敵である。

「それも一つの手ではあると思う、だが……」
「注意を払うべきはカルデアのマスター、そうだろう?」

 ブルの台詞を途中から引き継ぐ形でセイバーが彼へと問いかける。
 セイバーの問いかけは自身の発言の意図と違いはなかったのだろう、ブルは首肯でもって同意を示した。

「倒すべき敵はカルデアのマスターの側に集中している。ここを叩くことが出来れば残るのは魏を守護する二騎だけ、そうなれば我々の勝利は盤石だろう」
「漢中王もカルデアのマスターを危険視していたからね。なら優先して叩くべきはカルデアのマスターか」
「でも皆で行くって訳にはいかないよね。ボクらが皆で動いたら魏の側に気付かれちゃうよ」

 アーチャーの危惧はもっともだ。
 全員で動いてしまえば魏に与しているヘクトールとアサシンもその妨害の為に動くだろう。
 それで合流されてしまっては元も子もないのだ。

「なら必要なのは陽動か、であれば私と私の軍勢が出よう。セイバーとライダーの話から、敵のランサーに心当たりもある」

 ランサーから告げられた情報に微かにライダーとセイバーの眉が動く。
 どうやらヘクトールがランサーの既知の人物の可能性があるという情報は彼らも聞かされていなかったらしい。

「おいおい、それは初耳だな」
「すまないな。確信もない以上、無暗に話すものでもないと思っていたのだ」
「まあいいさ。なら俺もランサーに同行しよう。サーヴァントが一騎だけでは怪しまれるだろうし、相手の二騎を抑えるなら最低でもこちらも二騎必要だろうからね」
「ということは、小僧の御首を上げるのは俺と術士殿、それに娘御か。剣の大将、俺の麾下の兵を連れて行っても構わんか」
「ああ、万全を期すならそうすべきだろう。ランサーの軍勢もあることだしこちらが攻め込むに不足はないさ」

 五虎将らの会話は特に反対が出ることもなく順調に進んでいく。

 攻める者。
 守る者。
 それぞれの策略が絡み合い、膠着していた戦線に一陣の風が吹き荒ぶ兆候を見せる。

 最後に勝利する者が果たして誰になるのか。
 激戦の幕が、今開かれようとしていた。


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其の参:漢中にて(3) 最終北伐戦域 漢中 其の伍:戦場は紅に染まる(1)

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最終更新:2018年08月16日 00:08