基底三章:血飲みの嵐

Ut queant laxis Resonare fibris Mira gestorum Famuli tuorum(あなたのしもべが声をあげ、あなたの為す奇跡を響かせられるように)

 それは、歌であった。
 兆をも越える蝗の群れ。
 羽音が、打ち鳴らす牙の音が、脚の擦れる音が、山ほど合わさって耽美な音色を響かせている。
 遠くの方からやって来る悍ましい光景が奏でる聖歌の音があまりにも美しくて、立香はカチ、と思わず己の歯を鳴らした。
 まるでとびきり趣味の悪い風刺画でも見ているかのよう。
 無神論者が十年掛けて世に打ち出した冒涜的悪書でさえ、この光景のほんの断片ほども神を嘲ることは叶うまい。

「あまり耳を傾けるなよ。あれは呪詛の類だ、呑まれるぞ」

 肩に手を置き、エミヤ・オルタが鋭く放った一言に立香はハッとする。
 呑まれるぞ、と言われるまで、確かに自分は呑まれかけていた。
 もしあの害虫の賛美歌に聞き惚れてしまったなら、果たしてどうなってしまうのか。
 考えるだけでも有害だ。かぶりを振って、余計なことを考えるのを止める。
 今はただ、この窮地をどうやって脱するかを考えなくては――!

「……総員、術の行使に移れ。蝗共の進軍を僅かでも遅らせるのだ」

 総員、というのは無論カルデア一行を指した台詞ではない。
 黄帝の命が轟くや否や、陵墓の奥から足音が響き出す。
 蝗の歌には数で遥か劣るものの、確かな力強い意思を秘めた足音だった。
 数秒と経過する前に姿を現したのは、天帝陵墓の総軍。
 万に届くであろう軍勢は、皆が黄帝に心から忠誠を誓っているのだろう。彼らの目と佇まいを見れば、誰にでもそのことが分かる。

「キャスター、お前は思うままに動け。
 お前ほど聡明な男であれば、余が操らずとも余の描く最善以上で動けよう」
「それは買い被りすぎかと思いますが……善処は致しましょう。つくづく便利な霊基(カラダ)です」

 道術使い、故にキャスターか。
 人形のように精微なその男は、軽やかに地面を蹴ると共に皆の視界から消失した。
 次の瞬間、蝗の賛美歌を掻き消さんと迸る万軍の詠唱。
 一つ一つはアバドンにとって塵にも劣るものであろうが、万以上と集まれば即席の壁としては上等なものになる。

「さて、これで数十秒阻めるかどうか。分まで保てば重畳よな」

 そのことは立香にも分かったが、だからこそ、黄帝がポツリと漏らした声が恐ろしかった。
 これだけ揃えて、まるで乱れのない連携をして、それでも秒の単位の話なのか。
 恐らく、純粋に物量が違いすぎるのだろう。
 蟻の群れがどれだけ酸を吐こうと、象の進軍を前にしては針で突くほどの影響にもなるかどうか。

「……ちーちゃん、今の内に逃げられないかな?」
「付き合ってやる義理は、ありませぬな」

 天帝陵墓とカルデアは言うまでもなく敵対関係にある。
 仮に手を組んでアバドンの嵐を退けたとして、その後、確実に黄帝の暴威は立香達の方を向くだろう。
 はっきり言ってしまえば、此処で総力戦をやるのは得策とは思えない。
 元々、どうにかしてこの場を逃れる為の戦いだったのだ――アバドンは恐ろしいが、ある意味では好機と言えないこともない。
 少なくともあの嵐がこちらに迫って来ている間は、黄帝はアバドンに掛かりきりになるわけだ。
 その間に逃げることが出来れば、立香達にとって不都合なことは何一つない。

「とはいえ、安穏たる道中にはならぬでしょう」

 黄帝達、天帝陵墓の追撃があるかもというわけではない。
 あのアバドンは、意思の有無に関わらず"ただ移動するだけ""ただそこにいるだけ"で気の遠くなるような範囲の空間を攻撃する文字通りの災害だ。
 立香達が逃げる為に走ることがアバドンにとって至極どうでもいいことだったとしても、立香たちには死の蝿声が否応なく襲い掛かるのである。

「その辺りはもう腹を括るしかないわね。
 ……でも、心配無用なのだわ! 私と立香は過去にティアマトのアレを見てる。
 こういう状況にも幾らか耐性はあるし、冷静にもなれる。そうでしょう?」
「……うん。それに、今回はラフムもケイオスタイドもないもんね」

 重ねて言うが、これは好機だ。
 黄帝という強大な敵から離れながら、黄帝に未曾有の脅威をぶつけられる好機。
 生きるためにこの状況を利用する。生きるために、今はリスク承知で走るしかない。

「燕青殿とエミヤ殿にはお館様の護衛をお願い致したく。
 拙者は魁として、事前に嵐の動向を偵察しつつ道を開きます故。
 エレシュキガル殿は、手間を掛けますがどうか殿を。天帝陵墓の追手がないとも限りませぬ」

 すらすらと役割分担を決めていく手際の良さは流石に戦国を馳せた忍だ。
 数の殲滅を不得意とする燕青、エミヤ・オルタの二騎をマスターの護衛に回し。
 敏捷性と偵察力を併せ持ち、いざとなれば数の撃破も請け負える千代女は先頭。
 最も出力が高く、尚且つ全員のサポートにも手を回せるエレシュキガルは最後尾。
 この状況で、これ以上の布陣はあるまい。アバドンがどれほどのものであるにしろ、一定の働きは可能な筈。

「とんだ怪獣大戦争だねえこりゃ。ま、仕事はきちんとこなすがよ」

 肩を竦める燕青の視線の先に、王冠のキャスターの姿は既にない。
 天帝によってアバドンを引き寄せたことが割れた時点より、彼はずっと魔女の動向に気を配っていた。
 何かもう一つでも泥を被せてくるようなら、容赦なく叩く。
 そのつもりだったが、あちらもどうやら引き際はよく弁えていたらしい。
 燕青に微笑みを一つ送って、まんまとその後は消失を果たした。
 王冠のキャスター。熾天の魔女。油断も信用も決してしてはならない、心の芯まで腐り切った悪女であった。
 次に出会ったなら、対話の余地もあるまい。これは何も燕青に限った話ではなく、全員の総意である。

「立香、準備はいい?」
「いつでも。目的地は最初の花畑でいいんだよね?」
「妥当ね。あの辺りにまでアバドンの蝗害が伸びているなら話も変わってくるけれど、そこら辺は臨機応変に変えていくしかなさそうなのだわ」

 目指す先は初めの地点。
 あの、どこまでも争いとは無縁の花畑。
 恐るべき支配と、全て喰らう蝗害から逃れる為の大一番。
 人類最新の救済神話はこれより、早くも二度目の試練へと臨む。




「やれやれ。余波のみでこれとは、何度見ても溜息が出るわ」

 アバドンという陣営について割れていることは、他の四神話と比べて多い。
 未だバアル以外の神性の情報が乏しい神聖冥府に、全ての情報が悉く小出しである四終。
 ただただ引っ掻き回すことに終始している熾天の冠、そして新参者のカルデア。
 彼らに比べ、アバドンはそもそも配下のようなものを有していない。
 真名も割れている。脅威の形も、言ってしまえば分かりやすい。
 『白澤図(バイゼトゥ)』に記された数多の厄災のように、誘導し、或いは遠ざけることで十二分に対処可能な存在でしかないのだ。
 にも関わらず、アバドンが最悪の神性であるということに異論を唱える者はまずいない。
 では、それは何故か。

「特定のナンバーを持たない異端(EXTRA)の獣。これを紛れ込ませたのもあの悪神だというのなら、つくづく迷惑な話ですよ。
 あれほど出力の桁が違っては、私の道術も魔拳も届きますまい。それこそ、陛下の"龍体"を直接ぶつけでもしない限りは」

 単純に、出力の差が異次元なのだ。
 兆に届く軍勢を有し、末端を潰した程度では何ら崩れない。
 おまけに減った総体を自己修復する機能まで有していると来た。
 千の蟻を並べて酸を吐かせても、確かに象はまるで揺るがないだろう。
 だがその数が兆だったなら、象は容易く倒れ伏す筈だ。
 アバドンとはひとえに、そういう馬鹿げた理屈を地で実現させてくる手の存在。
 ロキも、黄帝も、バアルも、悪辣なる王冠の魔女にも、誰にも止められない真性の"怪物"。

「さて、天文台の英雄(メシア)よ。これは先輩としての忠告だが……アバドンの恐ろしさを見縊っているのなら、早々に認識を改めた方がいい」

 中心から遠ざかれば逃げ切れる?
 直接的害意のない余波のみならばやり過ごせる?
 アレはそんな甘い存在では断じてない。
 カルデアのマスターはこれから、身を以ってそれを知ることになるだろう。

「さもなくば。魂の欠片に至るまで、総て――青草のように貪り尽くされるぞ」

 とはいえ、業腹ながら今回一番割を食わされたのは自分達・天帝陵墓だ。
 魔女はいずれ熾天諸共に叩き潰すとして、吹っ掛けられた災害を退けることに腐心しないことには総崩れである。
 死力を尽くしてあの蝗害を迎え撃つ。そして、己と部下の住まう陵墓から叩き出す。
 正攻法での打倒を目論むのは今ではない。今はまだ、アバドンと全面戦争を演じるだけの用意がない。
 程々に茶を濁しつつ、最低限の犠牲で事を抑えるのだ。
 帝王は、救済神話の存在を脳裏の片隅に追いやり……僅かな哀れみの念のみを残して、寄せ来る暴食の津波にのみ注力するのだった。




Solve polluti Labii reatum(私達の穢れた唇から、どうか罪を拭い去ってくださいませ)

 歌がとめどなく無限の軍勢から溢れてくる。
 世界を腐り落ちさせながら、あらゆる奇跡とあらゆる神秘を冒涜する穢れた歌。
 蝗の一匹一匹があらゆる邪念を以って形ない何かを嘲り笑う。
 かの宗教を信じる者でなくとも、たとえ神を信じぬ者であろうとも、これを耳にして素面でいられるのなら特級の異常者以外には有り得まい。

(ッ……何と、悍ましい!)

 魁を担った千代女は、唾の一つも吐き捨てたい想いで両耳から押し入ってくるその音色を意識から弾き出す。
 目を閉じ、耳を塞ぐわけにはいかない己の状況を呪いたくなるほどの苦境。
 されど主の為の道を切り開く栄誉、それだけを胸に実質孤軍に等しい戦いを演じるのだ、この忍は。
 道を塞ぐ蝗の群れを、地面から噴き出させた呪詛の波動で以って食い破り、蹴散らして道を開く。
 だが、次の瞬間。千代女は瞠目と共に、その足を止める羽目になった。

Sancte Johannes(聖なるヨハネ様)

 ギョロリ、と。
 蝗の死骸が凝集して、全長十数メートルはあろうかという巨大な眼球を象った。
 ぶちぶちと耳障りな音を鳴らしながら、流すのは夥しい数の蝗の体液だ。
 その一滴一滴に至るまで全てが致死性の猛毒であることなど、英霊であれば誰でも分かる。

Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)
 Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)
 Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)!」

 目玉の表面がささくれ立つ。
 蝗共が、先程まで確かに死んでいた筈の骸の群れが。
 例外なく息を吹き返して、両足で真下の死骸を抑えながら身を乗り出し、キィキィと鳴いている。
 一つ一つは意味のない音声でしかない筈なのに、膨大な数が集まることで、それは確かな何かの声音へと変わっていた。
 聖なる名を吐き散らす壊れたスピーカー。それらがぶおんと勢いよく羽を広げた瞬間、千代女は最早消耗など気にしていられぬと即断した。

 肉体を喰らい、魔力を喰らい、霊基を喰らう害虫の群れ。
 蝗害という概念に無限の邪念を注ぎ込んで創り上げた大災害。
 断片程度でも十二分に英霊一騎程度は秒で砂に変えられるこれを前に、一体どうして出し惜しみをしていられる余裕があろうか。

「お館様、お見苦しいものをお見せ致しますが――どうぞ、ご容赦を!」

 地面に刀を突き立てると同時に、より増幅されて溢れ出す伊吹大明神の詛呪。
 この上なく分かりやすい呪殺の宝具は、数百もの命を一撃で滅ぼせる毒素の塊に他ならない。
 加護の形で取り出したならいざ知らず。甲賀望月の血を呪うそれは、絶望したくなるほど祟りの方へと傾いている。
 それを外側に出力するのだから、殺傷力の高さは改めて確かめるまでもなく明白だ。

Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)
 Johannes(ヨハネ様)! Johannes(ヨハネ様)! Joha(ヨハ)――――」

 耳障りだ。
 そう告げるように、蛇の詛呪が蝗の群れへと喰らいついて行く。
 肉が潰れて毒が飛び散る音。
 羽が破け、死骸の山が生まれる音。
 だが、終わりではない。
 千代女は眦を細めながら、自身の詛呪の内で膨れ上がり出した"それら"へと意識を移した。

「――nne()! Johanne(ヨハネ)! Johanne(ヨハネ)! Johanne(ヨハネ)
 JohanneJohanneJohanneJohanneJohanne(ヨハネヨハネヨハネヨハネヨハネ)、キ、キヒッ、ヒハハハハハハハハハハハッ!!」

 蝗というよりも、千代女は蛆虫の類を想起した。
 袋に詰められた腐肉に湧いた蛆が際限なく増え続けて、終いには袋そのものを食い破って人里に飛んでいくように。
 これらはどれだけ念入りに咀嚼しようが、ほんの一欠片でもこの世に残っていれば死骸を元手に新手が湧く。
 一体どれだけ深く破壊すれば、修復を潰せるのか。アバドンの総体を減少させられるのか、千代女にはまるで想像出来ない。

 だが、抑えること、遅らせることなら出来る。
 呪詛の強度をより高く。蝕む勢いをより強く。
 蘇りかけた、もとい新たに生まれかけた蝗害を上から滅していく。
 そして――抱えた蝗共諸共に、詛呪の波動を寄せ来る嵐へと叩き付けて強引に道を抉じ開けた。
 こちらへ! と叫ぶや否や、立香を抱えた燕青と、それに侍るエミヤ・オルタ。
 少し遅れて殿役のエレシュキガルが、「ちょ、ちょちょちょちょ! 少しは待ってほしいのだわ~~っ!!」と涙目で駆け込んでくるが、もちろんペースを落としている余裕はないのでスルーする。

 今、嵐のどの辺りに居るのか。
 そこまではさしもの千代女も断言は出来ない。
 アバドンの狙いはあくまでも天帝陵墓。そういう風に、魔女は招いた筈。
 ならばこのまま前進さえしていれば、いつかは嵐を抜けられる筈だが……
 そんな思考の流れはしかし、千代女をして対応不能の、鉄砲水が如き勢いで飛び出した蝗の群れを前に断ち切られた。

「ッ――!」

 四の五の言っちゃいられない。
 立香は虎の子である、当たりさえすれば魔獣・神獣の類にさえ通用するガンドの弾丸を蝗群へと放った。
 蝗は幸い一匹一匹は極めて小さいただの虫ケラだ。
 本来一体の敵しか止められない筈のガンドでも、サイズと勢いに任せて沢山の敵へその拘束を届かせることが出来る。
 そして純粋な破壊力が相手ではない故か、ガンドを浴びた蝗達は地へと落ち、ピクピクと痙攣し始めたではないか。
 正攻法のみが必ずしも有効打になるというわけではない、立香はその一例を見た気分になった。

「燕青殿!」
「はいよぉ!」

 とはいえ、ガンドの一発でカバー出来る範囲は極小だ。
 ケタケタと笑い声をあげながら殺到する蝗の群れへ、燕青が針の穴を縫うような正拳を打ち込んで破砕させる。

「ちっ、気色悪ぃな。おまけに俺とはあまり相性も良くねえらしい」
「やっぱり、毒の塊みたいなものなの?」
「間違いないな、多分。マスターは絶対触れるなよ、一滴でも変な病気に罹りかねねえぞ」

 燕青の腕がどれだけ優れていようと、殴って殺す以上は必ず蝗の中の汚濁に触れる機会がある。
 その時点で、彼とアバドンの嵐の相性は世辞にもいいとは言えないのだった。
 攻撃の命中が微小なれ被弾とイコールである存在を、一体どうして好相性などと言えようか。

「"血飲みの嵐"……か。言い得て妙だな、全く趣味が悪い」

 銃剣の閃撃で敵を散らしながら、燕青と並走するはエミヤ・オルタ。
 彼は黄帝や魔女が口にしていたアバドンの異名を反芻し、皮肉るような笑みと共にそう溢した。
 「どういうこと?」と問う立香を「舌を噛むなよ」と一言諌めてから、彼は語り出す。

「あれに見境はない。神も、人も、獣も、星そのものでさえも文字通りに食い尽くし、飲み干す存在だ。
 血飲みの嵐。単に破壊するのではなく、明確な邪念でもって他者を、概念を喰らい肥え太る救えない悪。
 王冠のキャスターがあれだけ恐れていたのも頷けるよ。純粋な脅威度以前に、これは存在そのものが救えなすぎる。
 関われば関わっただけ損をする、相互理解という概念をどこかに置き去ってきた存在――自らの抱える邪念の意味さえ理解しているか怪しい、白痴の大災害。それが奴だ。アバドンの嵐だ」

 アバドンは純粋な存在だ。極めて単調で、予測のしやすい存在だ。
 しかし無垢ではない。ありとあらゆる邪念を煮詰めて生み出したような、この世の全てにとって有害な存在でもある。
 故にこそ、これに限っていえば最善手は一つ。"関わらない""無視する"ことが、一番賢い。
 そういう意味ではアバドンの利用を目論んだ王冠のキャスターでさえ、利口でない選択をしたと言えるだろう。
 アバドンと関われば必ず損をする。どれだけ上手く利用したつもりでも、血飲みの嵐は確実に肥え太って呪いを撒き散らしていく。

「……いつかアレを完全に滅却せねばならない局面が来るかもしれないと思うと、気が重くなるがな」

 エミヤ・オルタは肩を竦めてそう言った。立香も、完全に同意見であった。
 離れた位置ですらこの破壊力を持つ災害の爆心地がどうなっているのかなど想像もしたくない。
 だが、いつかは向き合わねばならない日も来るのだろう。この聖杯大戦を真に止め、全ての企てを砕いて人理を守ろうと思うならば、必ず。

In principio erat Verbum et Verbum erat apud Deum et Deus erat Verbum(初めに言葉があった。言葉は神と共にあり、言葉こそは神であった)

 その時であった。アバドンの奏でる音色が、一気にその波長を変える。
 いや、これは歌ではない。呪わしき祝詞。聖歌ならぬ聖句、より直接的な啓示のカタチ。
 大気が蠢き、悲鳴をあげる。死の砂嵐が一本の柱となって、遥かな天空へ聳える一個の構造物(オブジェ)へと変わる。
 星の楔。立香は、思わずそんな言葉を想起した。獅子王の聖槍、新宿のバレル。そうしたものを彷彿とさせる、星に突き立った柱。否、楔。

 不味い――
 立香も含めた全員が悟る。
 距離だけで言えばむしろ蝗共は自分達から離れ、道は開けて見通しもいい。
 そんな状況であるというのに、これまでの全てが座興に思えるほど濃密な死の気配が鎌首を擡げている。
 何かが来る。何か、とてつもなく致命的なモノが……!

Ecce homo(この御方を見よ)

 刹那、億を越える虫々の羽音が文字通りの嵐となった。
 かつて神であり、人であり、獣であり。有機であり、無機であったものの残骸たる砂々。
 鱗粉のように蝗を通じ撒き散らされた星の成れの果てが、超振動による物理的破壊力を伴った超広範囲殲滅攻撃としてカルデアへ降り注いだのだ。
 防御不能。論ずるまでもない。相殺不能。考えるまでもない。回避ですら目は極めて薄いだろう。あまりに、密度が違いすぎる。

「なんて、デタラメ……!」

 こういう存在を、立香は確かに知っている。
 バビロニアのティアマト。時間神殿のゲーティア。月の海の、殺生院キアラ。
 人類悪(ビースト)……七つの冠位を以って相対せねばならない、規格外であることを宿命付けられた存在。
 本来であれば事の中枢にあって然るべき文明の自滅機構が、喰らい合う神話の一片として擁されている。
 ロキの企てのスケールの大きさには、憎々しいが舌を巻く他なかった。一体こんなものを擁して、何をするつもりだというのか。

「はッ――!」

 立香を庇うように立ち、宝具を解放する千代女。
 己を苦しみ苛んで来た呪わしき神の祟念を以って、星喰みの軍勢を少しでも減らさんと巫女は猛る。
 しかしながら純粋な出力の差ばかりは如何ともし難い。
 英霊としての格自体は名だたる英傑に遅れを取る千代女だ。神性、その中でも更に極めて高い位階にあるアバドンの魔力を真っ向喰らうとなれば至難である。
 粒子の一つ一つが秒間数億の共振を引き起こしながら、世界の全てを際限なく貪る奈落の黄砂。
 直視してはならない。砂粒の一つ一つが底なしの怨嗟と共に押し寄せる様は、英霊の精神さえ発狂に追いやる生理的嫌悪感の塊だ。
 異界の邪神にすら真っ向拮抗し得る悍ましさ。存在そのものが冒涜の塊である、暴食の権化。

Et venit et accepit de dextera sedentis de throno(仔羊は今こそ進み出、御座におわします方の右手より知恵を授かる)

 柱が崩れる。
 次いで殺到する、屑星の群れ。
 単純な数を手当たり次第に投げ付けるという、原始的故に最も高い殲滅力を持った特攻攻撃。
 一つ一つの端末に頓着しない、無限の性質を持つモノならではの殲滅手段であった。
 これ以上は――! 千代女の頬を汗が伝ったその時、女神が動く。

「下がって!」

 ――押し寄せる災害を堰き止める防波堤が、食い荒らされた大地を砕き割りながら顕現した。

 冥界の魔力、檻の放出展開。
 宝具並の出力を以って呼び出されたそれは、エレシュキガルの正真正銘の全力だ。
 いわば世界そのものを、地上に無理矢理引き出すような芸当。
 普段の言動で誤解しそうになるが、彼女もまた、イシュタルやケツァル・コアトルと比べても何ら遜色のない女神なのである。
 アバドンの柱。遥か天空まで伸びたそれを、丸ごと囲い込む冥界の檻。
 更に、それだけでは終わらない。一切の出し惜しみは、この場において好作用を齎さないとエレシュキガルは判断した。

「――メスラムタエア、お願い……!」

 その手に担う槍の銘は発熱神殿メスラムタエア。
 サーヴァントとして召喚に応じた彼女の霊基にのみ許された、地の底を温める光。

「冥界の護りよ、今此処に。……いでよ、発熱神殿! これが私の――」

 世界が、震える。
 否、変革する。
 純粋な破壊力のみならば、金星神のそれに劣るが。
 地の底から噴き上がるそれは檻の中に囚われたアバドンの蝗害を、余すところなく蹂躙する星の怒りだ。
 この地上と隣り合った死者の世界による、増長した邪欲に対する鉄槌だ。
 死んだ世界そのものを書き換えながら、己の領域を現出させながら――冥界の女主人は高らかに、その名を吼える!!


「――『霊峰踏抱く冥府の鞴(クル・ギガル・イルカルラ)』!!」


 地が嘶いた。
 星が叫んだ。
 これなるは、黄帝が振るったものと同じ災禍。星の咆哮。
 かつてエビフの山々を崩壊させた地殻変動・アースインパクト。
 檻の内より這い上がり、地の底から地続きに行われる大破壊宝具の一撃は、尚も呪わしき音色を奏でる億の蝗共を一匹残らず制裁した。

「やった……!?」
「……いいえ、まだね。恐らく根本的な解決には、なっていないのだわ」

 そう、まだだ。
 エレシュキガルの宝具は確かに絶大なものである。そこに疑いの余地はない。
 しかし、あらゆる生命を根絶する死の属性などは持っていない。
 冥界を温める発熱神殿より齎される破壊はむしろその逆、生の属性に満ちたそれだ。
 故に、アバドンの殲滅には不向き。形だけの蹂躙は成っただろうが、直に再び死骸は死骸を産み、またあの地獄が羽音を鳴らすことだろう。
 冥界の檻がまだ生きているとはいえ、そう長くは保たない筈だ。
 あの手の獣は神の業を以ってしても測りきれない規格外。
 ティアマトよりも攻性に特化しているアバドンならば尚の事、急いで行動するに越したことはない。

「でも"護り"が働いている今なら、奴らの妨害を最小限にまで抑えられるはずよ。
 ……急ぎましょう。嵐がまた襲ってくる前に、一刻も早くこの場を離れるのだわ……!」

 されど、『霊峰踏抱く冥府の鞴』の真骨頂は副産物にこそある。
 地形を冥界のそれに書き換える彼女の宝具は、必然、冥界の女主人としての権力を保証するものだ。
 ティアマト討伐戦で立香やその仲間達を支える強力な防衛ラインとなった、"冥界の護り"。
 人類悪の暴威すら跳ね除ける加護が今、宝具の解放と共にカルデア一行へと付与されているのだった。
 今の内ならば、アバドンの呪詛も干渉も最低限に抑えられる。今の内ならば、勢い任せでこの死地を抜け出ることも出来る……!

「飛ばすぞマスター。振り落とされんなよ――!」

 蘇り始めた蝗害が、冥界の檻を内側から貪る音を聞きながら。
 立香は燕青に抱えられたまま、ただ、皆の無事を祈った。
 今はその先のことなど考えてられない。この"血飲みの嵐"を抜け出られるようにと、ただそれだけを、祈る――




「逃げ遂せたか。流石は三度の人類悪を退けた猛者よ。
 あの蝗害めにまんまと喰らい尽くされるようでは心底興醒めだったが、どうやら六つ目の神話を名乗る資格は十分に備えているらしい」

 アバドンの中枢が近付く天帝陵墓の地は阿鼻叫喚の地獄絵図と化しつつあった。
 万軍を以って構築した陣は修復した端から貪り食われ、かと言って陣を消せば黄帝に従う兵は瞬く間に殲滅される。
 黄帝とその軍勢が弱いわけではない。むしろ、よくやっている方だ。アバドンの嵐に直接狙われた上でこれだけ防戦出来る時点で、軍としては超の三つは付く一級品である。

「……【平等】の理を持つ獣。この軍勢――蚩尤を思い出すな、忌々しいわ」

 嫌なものを思い出したとばかりに顔を歪める、天の帝。
 軍神蚩尤。黄帝が文字通りの死力を尽くして戦った、災害としか言い様のない神。
 あれはつくづく傍迷惑の一言に尽きる娘であったが、奴との戦いもまた、黄帝とその部下達がこうしてアバドンの嵐に対抗する上での貴重なノウハウとなっているのが何とも因果だ。

「準備は整ったか、キャスター。余の陵墓に蝗を踏み入らせる無様だけは晒すでないぞ」
「ご心配には及びませんよ。既に"大道術"の準備は粗方整いました」

 今回の一連の戦いで最も割を食った天帝陵墓だが、アバドンを退ける手段自体は既に確立済だ。
 その場凌ぎでしかないというのは確かなものの、先程も言ったように、今はまだあの嵐を鎮める時ではない。
 遠ざけ、やり過ごし、茶を濁す。嵐の直撃を喰らうことだけを避けながら、来るべき時を待つのみである。
 アバドンをぶつけられた時点で即詰むような軟弱な神話など、このヴァルハラには存在しない。
 どの神話も、嵐に耐え、逃れる知恵を有している。聡明なる黄帝が、その例外である道理は当然ない。
 その要こそが、このキャスターであった。

「……フ、お前に釘を刺すほど無意味なこともないな。つくづく優秀な男よ」
「正直な話、好みなのは殴る方なのですがね。霧を殴る趣味はありません」

 女でも男でも最上の見た目として通るだろう優男は、その美麗な見た目にまるでそぐわない台詞を吐いてのける。
 彼は道術の天才であると同時に、骨肉の砕き合いを愛する魔拳士でもある。
 文武両道といえば語弊はあるが、黄帝ほどの男が側近に使っている事実は伊達ではない。

龍を回す(・・・・)。墓を動かし、嵐の目を飛ばすぞ」

 天帝の寝床に蜷局を巻いた龍の震動が軋みをあげた。
 万の軍勢が築き上げた陣の残骸。その全てが再び紡ぎ上げられ、一つの巨大な円を描く。
 魔術師の適性も所持する黄帝の陣地統括能力に加え、彼の陵墓で眠る龍の魔力。
 そして側近である道術士が彼方に飛ばした陣、その間に接続される大地のパス。

 置換術式だ。
 言わずと知れた"魔法"の形である空間転移、その域に限りなく近付いた大地の置換。
 移動手段が物理的であるということを除いたなら、間違いなく天帝陵墓は今、魔術の限界を超えたと言ってもいい。
 アバドンの中枢。襤褸布を纏った残骸の王が、位置座標は同じままで大地ごと宙に浮かぶ。
 それと同時に始まる、音速の数十倍にも達する高速移動。彼方の地を此方に。此方の地を彼方に。
 人の手では嵐は止められない。ならば、嵐の軌道を反らす以外に出来ることがあるものか。

 嵐の目は遠ざかった。
 意思を持たない血飲みの嵐は、必然"目"に引き摺られて移動する。
 これにて当分、アバドンの脅威は去ったと言っていい。
 アバドンの唯一の弱点は主体性の欠如。少なくとも現状は、無我に限りなく近い邪念だけの存在である一点が――脆い。

「……どう見る、キャスター」

 取り敢えずは難を逃れた。
 陵墓の崩壊は免れた。にも関わらず、黄帝の表情は苦い。
 ひとえに、此度の防衛戦の中で感じ取ったアバドンの異変――
 より正確には、"嵐"に起こりつつある変化の兆し。お世辞にも良いとは言えない兆候の為である。

「以前の襲来よりも明らかに指向性が増していますね。
 今回アバドンは、進行通路上に存在する我々の暴食を意図して動いていた。
 幸い、視界から消えた存在を追うほどの知性はまだ備わっていないようですが……」
「……時間の問題、だな」

 アバドンは成長している。
 度重なる神話との戦いの中で、明らかに悪意の質を増している。
 だからこそ、あの嵐は目の上の瘤なのだ。
 今はやり過ごせばいい。されど、次も同じかどうかは分からない。
 ……早急に全ての準備を整え、嵐の目を摘まなければ、最悪の結末も有り得るか。
 聡明なる黄帝ですら頭を悩ませねばならない苦境が今、神々の喰らい合うヴァルハラの地に訪れているのだった。
 無論、それは彼に限った話ではない。神話の描くウロボロスは、確実に変革の時を迎えようとしている。
 これ以上の停滞は、恐らくない。……アバドン以外にも、新たな風は吹き込んできたのだから。

「カルデア。偉大なる魔術王が導いた、人類最新の救済神話(サーガ)、か」

 このヴァルハラで唯一、完全に人間の肉体を持った存在。
 藤丸立香――カルデアのマスター。どんな英霊にも不可能な大偉業を成し遂げた、現代の英雄(メシア)

 冥府よ、四終よ。もし僅かでもあの天文台を侮る心を持っているのなら、捨てるのは早い方が良いかもしれんぞ。
 忌まわしき熾天よ。貴様らの目論見通りに事は動きそうだ、心底腹立たしいがな。
 帝王は思考する。未来をも見通す、その域に達した頭脳を以って戦況を予測する。
 ……どう考えても、帝王の目には、あの救済神話が芥として蹴散らされる未来が見えなかった。
 生きるにしろ滅ぶにしろ、必ず奴らはこのヴァルハラを揺るがす。破壊していく。

 分水嶺の時は近い。嵐の過ぎた陵墓にて、静かに帝王は踵を返した。




「はっ、はっ、はっ――……、どうにか、逃げ切れた……?」
「……そのようでござるな。お疲れ様でした、お館様」

 遠くの方に消えていく嵐が見える。
 立香達は今、無事に最初の花畑へと帰り着くことに成功していた。
 争いのない世界は、あの天帝陵墓や蝗に喰らい尽くされた大地とは似ても似つかない。
 祝福に満ちた輝きの園。まさに、楽園だ。此処に嵐が来ることがあったなら、それはまさしく世界の終わりと呼ぶに相応しい局面に違いあるまい。

 ずっと抱えられていた筈の立香だが、その顔色は芳しくない。
 無理もない話だ。人間にとっては有毒過ぎるアバドンの声を聞き続け、蝗の死骸が放つ死臭に頭を冒され続け。
 挙句の果て、エレシュキガル達の宝具によって魔力を大きく吸い上げられた。
 エミヤ・オルタの固有結界。望月千代女の宝具疑似展開。そして、エレシュキガルの一撃。
 これで体調を万全に保っていられるほど立香が優れた魔術師だったなら、人理修復の旅路はもう幾らか容易なものであったことだろう。

「大丈夫? なりふり構っていられない状況だったから、加減せずに宝具を使ってしまったわ……」
「ううん、……大丈夫。むしろありがと、エレシュキガルが頑張ってくれなかったら、皆でこうやって助かることは出来なかったかもしれない」

 長く恐ろしい戦いだった。
 少しでも出し惜しみをしたなら、その時点で誰かが欠けていた。
 そういう次元の戦いだった――これが、ヴァルハラのスタンダードなのか。

「ただまあ、流石に少しは休みたいかな……! 皆も結構、激しい戦いだったわけだし」
「そうさな。俺もこう見えて体がガタガタだ。あの皇帝、馬鹿力でぶん殴ってくれたからな」

 肩を回しながら言う、燕青。
 一行の中から、特に異論は出ない。
 仮に万全だったとしても、立香がこの有様な時点で重ねての行動は余りに愚策が過ぎるというものだ。
 ……それにこの花畑ならば、疲れを取るにはもってこいだろう。
 後はこれで、体を休められる建物の一つ二つあれば完璧なのだが――そんなことを思った、矢先のことであった。


「あー、すっかり休憩ムードなところ悪いんだけどさ。此処、人の土地だって知ってた?」


 少女の声がした。
 この楽園めいた景色に、この上なく相応しい鈴の鳴るような声。
 世界に染み入るような音色にしかし、この状況で聞き入る阿呆は存在しない。
 バッと動く全員の視線。警戒心を多分に含んだ眼差しの先には――美しい少女と、それを護るように侍る男が一人。いや、一柱。

「……君、は?」

 少女の美しさは、神の御業と呼ぶ他ない次元のものだった。
 黄金の頭髪に一切の傷みや曲がりはなく、さらさらと風にそよいでいる。
 彼女に微笑みかけられたなら、性別の概念など何の役にも立たないだろう。
 ただ生きて、動き、喋るだけで万物を魅了する。そういう、カリスマの次元をも超えた輝きを、この少女は放っていた。

「言ったでしょ? この花畑の持ち主だよ。
 もっと言うなら、喰らい合う神話の一つに属する女神、かな」
「っ――」
「あ、こっちは私の弟ね。見ての通りバーサーカーだから意思の疎通は難しいだろうけど、悪い子じゃあないから」
「▇▅▇▃▇▇」

 言語化出来ない音声を漏らす、神に侍る神。
 バイザーで目元を隠し、弓を携えた彼は成程理性が飛んでいるらしい。
 ……それよりも、だ。今、彼女は自分でこう名乗った。
 喰らい合う神話の一つに属する女神――即ち、聖杯大戦に名乗りを上げた者の一人であると。

「なあに、そう警戒しないでよ藤丸ちゃん。
 少なくとも私達は藤丸ちゃんを今すぐどうこうしようってつもりはないし、何ならお互いウィンウィンの関係で居たいな~って思ってるんだよ?」
「……どういうこと」
「焦らない焦らない。今すぐ教えてあげるから――ああ、でもこんな野の真ん中でお話ってのも芸がないか」

 ぱちんと、少女が指を鳴らした。
 次の瞬間、驚くべき事象が発生する。
 浮かんだ、のだ。
 楽園と称された花畑が――全長数キロメートルは優にあろうその面積全てを、空高く浮き上がらせたのだ!!

「…………はい?」
「ようこそ、私の"舟"に。そんでもってもう一回、ようこそ」

 楽園の舟を駆る女神。
 あまりにも唐突過ぎる出現を果たした、神話の断片。
 彼女と、それに侍るバーサーカー。
 この二柱の存在は、果たして――

「――――私の"宮殿"へ」

 ――カルデア(わたしたち)にとって、吉と出るのか、はたまた凶と出るのか。
 楽園の彼方に坐す、先程までは間違いなく存在しなかった筈の巨大且つ豪奢な宮殿を見据え、立香は己の行く末に思いを馳せるしか出来ないのだった。


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最終更新:2018年04月03日 16:53