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東京都青少年条例の質問回答集に対する反論 2 - (2010/05/03 (月) 16:01:56) のソース

法学に詳しいマンガ家の方が法学的に反論・注釈しておりなかなか興味深かったので許可をもらい転載させて貰いました。
&bold(){&italic(){注釈}}や&bold(){&italic(){反論}}となっている部分以降はマンガ家の方が書かれたものです。

&bold(){質問回答集原文}
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm
&bold(){反論・注釈原文}

>**&bold(){東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集}

目次一覧
#contents
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**19.国が児童ポルノ法を改正し、漫画やアニメを「児童ポルノ」に含めやすくするための第一歩として、東京都が条例を改正しようとしているのではないですか?

今回の条例の目的は「子供を性的対象として扱う図書類を、『子供
が』容易に見ることができないようにする。」ことです。これまでと
同様、18歳以上の『大人』に対する販売は制限されない仕組みに
なっています。
一方、児童ポルノ法は、実在の(生きている)子供を保護するた
めに、児童ポルノを製造すること自体や、大人に対する販売をも禁
止し、処罰するものです。
このように、児童ポルノ法と条例は、目的も効力も全く異なるも
のであり、国会における児童ポルノ法の改正に関する議論と、今回、
東京都が条例を改正しようとしていることは、全く別の話です。
なお、改正条例案のなかに、「何人も、児童ポルノをみだりに所持
しない責務を有する。」という条文がありますが、これは児童ポルノ
を所持したりしないよう自主的に取り組んでいただくための理念的
な規定であり、所持することを罰するものではありません。

&bold(){&italic(){壺・注釈}}
&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**20.なぜ、小説は規制の対象になっていないのですか?


小説は、その表現に用いられる言葉が様々であり、それを読んだ
人の年齢、性別、経験、読解力などにより、捉え方や感じ方が千差
万別であって、絵や映像のように一律・具体的・客観的な印象を与
えるものとは言えません。例えば、性器や性交を表す言葉自体多岐
にわたり、どんな子供でもすぐにその意味が理解できるものではあ
りません。
これに対し、漫画などの「絵」は、年齢にかかわらず、何を表し
ているかを見るだけで具体的に捉えることが可能です。
この条例の目的が「小学生などの低年齢を含めた18歳未満の子
供を有害な環境から守ること」であることから、条例改正による規
制の対象は、青少年の性行為を絵などの「視覚で直接的に認識でき
るもの」としています。

&bold(){&italic(){壺・注釈}}
&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**21.同人誌は規制の対象になるのですか?
通常、「同人誌」を発行する方は、「個人の趣味」としての、同人
間での交換や年に数回の販売にとどまり、「図書類の発行を事業(ビ
ジネス)としている」とは言えないため、条例第7条の「自主規制
(発行者や販売者に対し、自主的な取組として、いわゆる『18禁』
の表示をし、子供に見せない、売らないために区分陳列を行うなど
の取組をお願いするもの)」の対象ではありません。
ただし、同人誌の存在が広く知られるようになるとともに、事業
(ビジネス)として、同人誌の販売を常時行う、いわゆる「同人誌
ショップ」も見られるようになり、これらの中には、店頭での同人
誌の常設販売や通信販売を手がけているところもあります。
このような販売形態を採っている場合は、「個人の趣味」を超えた
「事業(ビジネス)」に当たるため、そのような同人誌ショップは、
条例第7条に基づき青少年の健全な成長を阻害するおそれのある図
書類を青少年に販売しないよう、自主的に取り組んでいただく対象
となります。
また、同人誌ショップで販売されている図書類は、都による不健
全図書指定の対象にもなり得ます。
ただし、このような場合であっても、同人誌を作ること、18歳
以上の人に販売すること、18歳以上の方が読んだり所持したりす
ることは、一切規制されません。

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&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**22.コミックマーケットなど同人誌販売会は対象になるのですか?
年に数回程度開催される同人誌販売会での販売は、発行者や販売
者が「図書類の発行を事業(ビジネス)としている」とは言えない
ため、「個人の趣味」の範囲でのやり取りであると捉えています。
同人誌ショップにおける販売とは違って、このような場合は条例
第7条の「業界による青少年に販売しないよう自主的に取り組む」
対象とはなりません。
ただし、そのような販売会の主催者に対しては、現在も、「子供の
健全な成長を妨げる図書類を子供から遠ざける」という、この条例
の根本的な趣旨をご理解いただき、「性的感情を刺激する」図書類の
子供への販売について適切に対応していただけるよう、ご協力をお
願いしているところです。

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&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**23.既に、自主的に表示図書として成人コーナーに置いてある漫画やアニメでも、強姦など青少年への悪質な性行為の描写が含まれるものについては、不健全図書に指定されてしまうのですか?
条例の目的は、青少年が性的対象として描写された悪質な漫画などを青少年の目に触れさせないことにあります。
図書類発行業者が、自主的な取組として、いわゆる18禁マーク(成人指定)を付け、既に、青少年への閲覧・販売制限や包装・区分陳列が行われている表示図書類については、この「青少年の目に触れさせない」という目的を果たしているため、不健全図書類として指定することはありません。

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&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**24.「表示図書」として、自主規制団体等が、いわゆる「18禁図書」の表示をして自主的に「成人コーナー」に「区分陳列」を求められる対象の漫画やアニメには、強姦等の場面が描かれている必要はなく、セックスシーンが肯定的に描かれてさえすれば、対象になってしまうのではないですか。
これまでと同様、「不健全図書」レベルに至らないものは、「表示図書」制度の対象にはなりません。
「表示図書」制度とは、自主規制団体等が、いわゆる「18禁図書」の表示をして、「成人コーナー」に、東京都規則で決められた方法で、区分陳列を行うよう努める仕組みのことですが、その対象となる漫画などは、「不健全図書」として行政が指定する際に用いられ
る基準に照らして判断するよう、条例案で明記しているからです。
したがって、「不健全図書」レベルのもの、すなわち、強姦や近親相姦など、実社会では社会的に許されない性行為について、読者の性的好奇心を満たすため、あたかも楽しいこと、社会的に許されることであるかのように描く漫画などが、「表示図書」制度の対象とな
ります。
他方、「不健全図書」レベルにまで至っていなくても、読者の性的好奇心を満足させるため、子供との性交、性交類似行為のシーンを「売り」にして、その行為を不当に賛美・誇張するように描いた漫画などについては、条例案第7条において、子供に販売しないよう
自主的な努力を求めています。「表示図書」制度と異なり、決められた販売方法はありませんが、個々の販売者において、棚を分けるなど、自主的な工夫が期待されることになります。
なお、いずれの場合も、取組をしなかったからといって、作家はもちろんのこと、販売者等に罰則が科せられることは一切ありません。取締、摘発はあり得ません。

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&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**25.条例案第7条の漫画やアニメは、子供のセックスシーンを肯定的に描いていれば対象になり、さらに、それは、青少年性的描写物として、蔓延抑止、すなわち悪書追放の対象とされるのではないですか。
条例案第7条の対象は、子供のセックスシーンを明確に描写し、読者の性的好奇心を満たすことを目的として、その行為を不当に賛美したり誇張したりするような漫画などです。いわゆる「エロ漫画」のうち、子供との性行為の描写がメインとなっているものです。このような漫画などを判断能力が未熟な子供が読んだ場合は、子供に強烈な視覚的インパクトを与えかねません。性に関する知識や判断能力が十分でない子供が、性に真摯に向き合う前に、いたずらに興
味、関心を煽られ、誤った認識をしてしまうおそれがあります。
そこで、子供が、簡単に、買ったり、読んだりすることがないように、大人として努めていこうというのが条例の趣旨です。これらの漫画などを世の中からなくしていこうということを目指しているものではありません。
なお、子供が、簡単に買ったり読んだりすることのないように、大人として努めていく取組は、あくまで自主的なものであり、摘発や、取締の対象ではないことは、言うまでもありません。

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&bold(){&italic(){壺・注釈}}
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**質問集に対する私的反論
まず条文の内容と都の説明はあまりにも違いすぎる。

私としては『18歳未満の性行為を肯定できるものではない』『それを見せることによって認識が歪む』というのがあまりにお粗末だと思います。
そもそも、18歳未満の人間が性行為をすることが歪んでいるのでしょうか?間違っているのでしょうか?
江戸時代なら14歳で元服していたわけです。それを変な価値観の下で『18歳未満はセックスするな』『エロ本も読むな』というのは本当に正しいのでしょうか?

これが『13歳未満の性行為』とかなら分かります。しかし13歳未満は例え同意があっても強姦になりますから、新しい条例を作る必要がありません。
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**参考
【東京都の青少年育成条例】非実在青少年の必要性についてのノート
http://ameblo.jp/ohkoshi/image-10519196762-10514022943.html
 協議会の力学について
 http://ameblo.jp/ohkoshi/entry-10503939275.html
 都の発表した見解への疑問・反論・意見ノート
 http://ameblo.jp/ohkoshi/entry-10504192904.html
「藤本由香里さん、「(都条例改正に関する)質問回答集」の問題点指摘」 -ツイッター発言まとめ- 
http://togetter.com/li/17007 
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