Falcon4.0 AF マニュアル

ミッション3:コーナー速度における最大G旋回

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 ミッション3:コーナー速度における最大G旋回

 このミッションでは、重要な空戦技術のひとつつである「急旋回」の訓練を行います。

 F-16のような戦闘機というものは、言うまでもなく敵に喰らいつきそして撃墜するように設計されています。そしてそれを実現させるためには、機体を旋回させて敵機に向けてミサイルや機銃を発射し、また同時に逆に撃ち落されないよう敵機のミサイルや機銃を回避しなければなりません。

 旋回には理解すべき重要な要素が2つあり、そのひとつは「旋回率」(一秒毎における機体の旋回量)であり、旋回機動の開始からどれだけ素早く機首を目的の方向へ向けることができるかという点に着目した、つまりどれだけ早く機首が空中を横切るかという割合を示したものです。
 一方もうひとつの重要な要素は「旋回半径」です。これはその名のとおり旋回する機体が描く弧の半径のことを示していて、要するに旋回の滑らかさをあらわすものです。例えば高速道路の出口みたく円く孤を描くような道路がありますが、あの道路の湾曲率(滑らかさ)が航空機で言うところの旋回半径にあたります。むろん車と違って空には道路なんてないので航空機の旋回半径はパイロットの操縦にあわせて変化することになります。

 この上記二種の要素にはG(機体荷重)と飛行速度がそれぞれ影響してきます。Gとは現在どれだけ激しく機体を旋回させているかということを表していて、その値は操縦桿の入力量によって決定されます。操縦桿を強く引けば引くほど機体にかかるGは増大し、大抵の場合大きなGをかけることでより小さな旋回半径とより急な旋回率を実現できます。しかし戦闘機の機体にはかけられる荷重(G)に限界があり、それをこえてさらに負荷を加えつづければ主翼の破損などの機体構造上の故障や、あるいはブラックアウトをひきおこす原因になります。この機体の荷重限界のことを最大G(マックスG)と呼び、このG上限を超えた場合機体が空中分解する可能性があります。過去のF-4ファントムでは、過荷重(オーバーG)によって固定用のボルトが外れてしまい、そのままエンジンが外れてベイ内に落っこちてしまうということが起こりました。しかしF-16ではフライトコントロールシステムに組み込まれた荷重制限装置(Gリミッター)によって自動的に機体に9G以上の負荷がかからないようになっています。
 そしてこのGともう一方の影響因子である飛行速度には直接的な関係があり、その両方が組み合わさることで旋回率と半径に影響を与えます。簡単に言えばF-16には旋回効率を最大にする適切な飛行速度域が存在し、この速度域は「コーナー速度」と呼ばれています。F-16では330ノット以上の速度で飛行した時初めて9G(最大G)での旋回を行うことが可能になります。330ノット以下では翼面に対して十分な気流を得ることができないため最大Gでの旋回能力を発揮することはできません。
 ただし、ただ330ノット以上を出せば最適な効率の旋回が行えるといわけではなく逆に440ノットを超えると劇的に旋回半径が増大し旋回率は著しく低下する、つまり大回りな旋回になってしまいます。これは先にも述べたようにフライトコントロールシステムが機体に9G以上の負荷がかからないよう機動にセーブをかけるためであり、つまり早すぎる速度では旋回効率が低下してしまうのです。どうしてこういう事態が発生するのかは旋回半径と旋回率の相関関係を用いて説明することができるのですが、ややっこしいので省略します。とりあえず現段階では「F-16のコーナー速度は330~440ノットの間」とだけ覚えおいてください。

 それと訓練を始める前にもうひとつだけ機動について、Es(比エネルギー、"イー・サブ・エス"と発音する)またはPs(比余剰エネルギー:ピー・サブ・エスと発音する)と呼ばれる戦闘機のエネルギーと機動性の概念について解説します。

 以下のグラフの曲線は旋回率と旋回半径およびGの点に着目してF-16がどのように機動するかを示している図です。
 図3-1
 ・旋回効率
 ・旋回率 - 度/s
 ・速度(マッハ)
 ・抗力指数-0(兵装:機銃のみ)

 上記のPsグラフは高度1,5000フィートにおける抗力指数0のF-16が有する比エネルギーの状態を表しています。抗力指数は搭載される外部兵装によって決定されます。抗力指数0の曲線は、特定のG荷重において機体が対気速度と高度を維持できる飛行状況を示しており、また負の値を持った曲線は機体が速度ないし高度を失う飛行状況を示し、正の値のラインは機体が高度または速度を得るポテンシャルを有していることを表しています。
 高度と速度は言うまでもなくどちらもエネルギーであり、また双方は相互変換が可能です。急上昇で高度をあげたり、急降下で速度を増したりするのがその例になります。このことから機体に変換可能な余剰エネルギー、つまり十分な速度あるいは高度がある状態のことを「ポテンシャルを有する」といいます。
 なお、このグラフはその形がほんのり犬小屋に似ていることから、よく「ドッグハウスチャート」あるいは「ドッグハウスグラフ」などと呼ばれています。しかし航空エンジニアがもうすこしユニークだったなら、この言い方も違ったかもしれませんね!

 これから始める3つのトレーニングでは、コーナー速度での旋回と、コーナー速度以下及び以上での旋回の練習をします。適切な速度で旋回を行わなかった場合、一体どういった現象が起きるのかがよくわかる筈です。



 ○トレーニングミッションの概要
 このミッションでは速度とG、また旋回率及び旋回半径に注目しつつコーナー速度での最大G旋回を行います。なお訓練中はブラックアウトを起こして操縦不能に陥る可能性があるので注意してください。"Simulation setup"画面で"No Blackout"を選択すればブラックアウトは起きなくなります。

 初期コンディション
 ・対気速度 :400ノット
 ・高  度 :20,000フィート
 ・スロットル:中程
 ・環境設定 :通常(ギアアップ、フラップアップ、エアブレーキオフの状態)



 ○ミッションの手順

 このトレーニングミッションでは機速400ノット(コーナ速度域330~440ノット内)から始まります。以下の手順に従って飛行の準備を進めてください。

 1.トレーニングミッションの一覧から"03 Max Turn at Coner"を選んでください。
 2.キーボード上部の[ 1 ]を押してHUDのみを表示してください。
 3.フライトを記録するため[ F ]を押してACMIを起動してください。録画機能がONになると画面上部に"Recording"と赤字で表示されます。こうすることで、フライト終了後に自分の飛行を見なおすことができます。
 4.ミッションがはじまったら、10秒間ほど水平飛行しつつ現在の機首方位を確認してください。
 5.だいたい10秒が過ぎたら、スロットルを押し込むかあるいは[ Shift + + ]を押してアフターバーナを全開にします。これは旋回中の機速をコーナー速度である330~440ノットに保つのが目的なので速度が出過ぎないように注意してください。この時無駄なGが掛からないようにジョイスティックは軽く操作してください。
 6.機体を左右どちらかにロールさせてバンク角を75度-85度にとってください。図3‐2は操縦桿とそれに対応する翼の動きを示した図であり、操縦桿の左右の動きで機体をロールさせることがわかります。
 7.機体が十分に傾いたら操縦桿を最大Gになるまで引きます。図3-3が示すように操縦桿の前後の動作はピッチ、つまり機首の上下運動を制御します。このピッチ運動とGは本質的に同じものです。

 図3-2
 高度20,000フィートでは最大Gでの旋回をすることができず、またコーナー速度を保つこともできないので注意してください。もし7G以上で旋回しようとすると速度が落ちてしまいます。

 図3-3

 8.コーナー速度を維持しつつ機首がもとの方位にもどるまで操縦桿を引きつづてください(要するに360度ぐるっとまわってください)。またこのような訓練での水平旋回ではHUDの助けを借りることも可能です。図3-4にはHUD上のフライトパスマーカと昇降計、また速度計及び高度計の状態が示されています。

 図3-4

 9.旋回中はHUD内のレベルライン(水平線)上にパスマーカを重ねるように飛行してください。パスマーカは機体の進行方向をしめしており、速度が300ノットを超えたあたりから実際の進行方位と機首方位が近づいてきます。操縦桿を動かすことでパスマーカをコントロールします。

 10.一度機体を75-85度までロールさせると、操縦桿操作によってパスマーカを動かすことができます。パスマーカがレベルライン上に重なっていれば機体は水平に旋回しますが、レベルラインより上下にずれていると機体が昇降して高度が変化してしまいます。

 図3-5はジョイスティックでどのように機体の昇降を修正するのかを説明しています。

 11.旋回が終わったら[ F ]をおしてACMIを止め、フライトの録画を停止します。
 12.[ Esc ]を押してメニューを開き、"End Mission"を選択してトレーニングミッションを終了します。

 今回の訓練では水平旋回するのにHUDを使いましたが、実際ほとんどの戦闘では敵に注意が集中するためそんな悠長なことをしている暇はありません。訓練を重ねて身体に染込ませましょう。


 ○ACMIデブリーフィング

 メインメニューから"ACMI"を選択して、リストから最新の飛行記録を選択後ロードボタンを押してください。ロードが完了したらオプションを設定してください。上から、カメラモード、表示ラベル、翼端軌跡、拡大率、の項目になります。

 ・Camera : Satellite
 ・Labels : Name, Airspeed, Turn Rate and Turn Radius,を選択
 ・Wing Trails : Maximum
 ・Vehicle Magnification : x8

 図3-5

 VCR操作パネルの再生ボタンをおしてテープを再生します。さらに視点操作パネル(画面中央のちっこい緑色のF-16アイコン)をいじって、直上視点から旋回の様子を確認してください。ズームイン、ズームアウトはそれぞれ画面中央の矢印ボタンで行ってください。画面上にはさきほどの旋回率と旋回半径が表示されるので、それを見ながら自機の機動を確認してみましょう。F-16のコーナー速度での360度旋回にはおおよそ25秒を要し、旋回半径はだいたい3500-4500フィートほどになる筈です。繰り返しになりますがこのミッションの目的はコーナー速度で機体を旋回させることです。また旋回中の高度の上下が常に2000フィート以内に収まるようになるまで練習してみてください。











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