ゼロの保管庫 別館

22-623

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だれでも歓迎! 編集

623 :GIFT〜dad!(1):2007/10/29(月) 09:24:48 ID:j6bUPGv/    

夜空に浮かぶ二つ月がほんの少し欠けながら、俺とルイズの部屋を青と桃色の光で照らす夜  

俺はルイズの上に乗り、激しく動いていた、彼女は抱擁の替わりに俺の肌に爪を立てながら声を上げている  

「……あぁっ…サイト!サイトぉ!……あ……だめ!ぬいちゃだめ!…中に…なかにちょうだぁい!!」

最後はルイズの上って事が多かった、ゴム製の避妊具の無いこの世界、外に出すにはその方がいい

俺がルイズの白い肌にぶち撒けようとする瞬間、彼女は下で腰をバタつかせながら両足で俺の腰を掴んだ 突然のカニ挟みに未経験の刺激を受けた俺は、そのままルイズの中にたっぷりと放射してしまった

あーあ

しょうがねぇな、と思った、俺の手遅れやルイズの不意打ちで、既に何度かそうなってしまっていた

性教育にやたら熱心だった高校の保健体育の先生のお蔭で、妊娠しない日が大体はわかるようになったが それはふたつの月に女の潮を支配された異世界の娘とのセーフセックスまでもを保証してはいなかった

この世界にもパンツのゴムはあるってのに、地球では紀元前から羊腸のコンドームがあったってのに その役目を魔法が担っていた事を俺は最近知った、ルイズはそれに関してずっとすっとぼけてた

「無いったら無いの!あっても絶対使わないんだから!……いいじゃない別に…そう、なっちゃっても…」  

624 :GIFT〜dad!(2):2007/10/29(月) 09:25:18 ID:j6bUPGv/    

何度目かの夜の秘密

その晩もいつも通りルイズはネグリジェ、俺はTシャツにパンツで広いベッドを分け合っていた 彼女が「主人と使い魔の聖なる配分」としていたベッドの7割近い面積を占め、悠然と目を閉じる横で 俺は残り3割の領地に横向きに寝転がりながら月を眺め、テレビもラジオも無い夜を紛らわせていた

俺の背中に感触があった、ルイズが背中に指で字を書く、この世界の文字にまだ疎い俺は黙っていた ルイズの指に力が篭る、俺のTシャツを掴んでまくり上げると、素肌に爪を食い込ませ、文字を刻んだ 字面よりもその痛みで伝わってくる文面、もっと痛いことされたくなきゃ…わたしにも痛いことしなさい  

俺は向き直りルイズの引っかきを中断させた、シャツがめくれた間抜けな姿でルイズの薄絹に手をかける

バンザイをして一枚だけの衣を俺に抜き取らせたルイズは俺の上に乗り、俺が自分で脱ぐのを待っている  

「……サイト……いやだわ……わたしサイトにワガママ言いたい気分……言っても……キライにならない?」 「なるかもな」 「わたしもだいっきらい!だからあんたを一生閉じ込めてやるの……わたしの中に……入ってきて……」

境界は消滅し、俺は領土を取り上げられた、ルイズに征服されたベッドの上で俺は虜囚となってしまった

俺とルイズの夜が始まる、お互いに二度としないと決めた事は、しない夜よりする夜のほうが多かった      

625 :GIFT〜dad!(3):2007/10/29(月) 09:27:04 ID:j6bUPGv/  

真夜中

ルイズは子宮の奥深くに受けた熱い刺激に半ば失神し、瞳孔の緩んだ目で天井を見つめていた その後にいつも汚れきったルイズの体を拭いてやる使い魔の義務をサボり、俺は窓の外を眺めていた

背後でルイズが動く気配がする、彼女は俺と終わった後、爪や歯で俺に傷を刻むのが好きだった その衝動がいつもより強い時は言葉での罵倒を好んでいた、そして俺もそれが嫌いじゃなかった  

「……こっ…このバカ犬!このわたしの…中に出すなんて!もし平民のあんたと、アレになっちゃったら…」

ルイズの声が遠い、俺は窓の外、夜空に浮かぶ月を眺めていた、桃色の月と蒼い月、異世界の空 天候や風向きの気まぐれで片方の月を雲が隠すことがある、桃色との対比を失い、クリーム色を帯びた月 背後で罵るルイズの声よりも、自然の造作が見せる一つだけの月に目を奪われた、俺の世界と同じ空

「…………月……キレイだな…………」

手を伸ばす、指がベットに隣り合った窓に当たる、届かない、もう届かない俺の世界に泣きそうになった

「……月が一つ……大切なものは一つだけ……月はひとつのほうがいい……」

背中を向けたまま月を眺める俺の背後のルイズを感じる、彼女の声が途端に気弱で臆病なものになった

「…………サイト…………」

さっきまで爪を立てていた俺の背中に指を這わせるルイズ、俺を確めるように背中を撫で回している

「……帰り…たい……?……あんたが居たっていう異世界に……月がひとつしか無い世界に……」

俺の背に頬を触れるルイズに向き直った、ルイズが俺の体に手を伸ばす、彼女に触れる気になれなかった 月光を受けたルイズは不安げな顔をしていた、月の逆光を受けた俺の顔は怖そうに見えるのかもしれない

「…俺の親父とお袋は、きっと死体すら上がらぬ俺の葬式をしている…その事は片時も忘れたことは無いよ」

元居た世界の人達の顔が時と共に記憶の中で薄れつつある、月が一つの夜にはその人達と逢える気がした

「……サイト……わたしいつか必ず……あんたの世界に帰してあげる……サイトの家族や友達の所に……」

底知れぬ虚無の系統、ゴミの召喚、ルイズはその能力で異世界との繋がりを得るのに消極的な様に見えた

「……俺はここでルイズの使い魔をしているサイトだ、今帰る気は無いよ…でも…会いたいひとも…いる…」

ルイズの瞳を見つめた、俺が見たのは瞳を通して俺に伝えてきた震える心じゃなく、瞳に映るひとつの月

「……イヤ!やっぱりイヤ!サイトは一生わたしのそばに居るの!……どの世界でもいい…一緒に居て……」

声がまた遠くなる、桃色の月を隠していた雲が慌しく流れ、夜空を二つの月が照らそうとしていた    

           それが今の俺には、とても悲しくて寂しいことのように思えた    

626 :GIFT〜dad!(4):2007/10/29(月) 09:28:17 ID:j6bUPGv/    

ルイズと俺の異世界物召喚実験は相変わらずだった この世界に様々な役立たずを召喚し、俺の世界を悩ますゴミ問題の緩和にささやかな貢献を続けていた  

石作りの小部屋に居たのは俺とルイズ、キュルケとタバサ、学院に嘱託勤務するエレオノールとカトレア

病に体を蝕まれていたカトレア、それに心を痛めていたルイズを見て、俺は自分に出来る事を考えた 「チーズ食べてください、カビ生えた臭っさいチーズを食ってください、ゲロ吐くほど食ってください」 律儀なカトレアは毎朝の食卓にブルーチーズを加え、俺にはとても食えない貴腐チーズを食べ続けた しばらくの後、驚いたことに彼女の病は少しだけ好転し、国内での短い執務に就くことが可能になった 俺の居た世界で多くの不治の病を救った抗生物質ペニシリンは青カビから作られたと学校で習った

俺に出来る事なんてそれくらいのこと、武器を自在に使いこなす以外にも、俺に出来る事は少しある  

最初は秘密裏に行われた召喚儀式、オールド・オスマン以下学院の教師が揃って実験を見学していたが 多分に俺自身の説明の効果で、召喚された物がことごとくこの世界の役に立たぬものであることを知ると 教師連中の興味は次第に薄くなり、それに変わってルイズの悪友達の興味を引き寄せた、いつもの面々が 数日に一度学院の小部屋を爆発させてはオモチャを召喚しているという噂を聞きつけ集まるようになった

俺が地球の高校に居た頃によく買って食べてたヤマザキのランチパックがいくつも召喚された事があった シエスタが作ってくれるこっちの飯に馴染んだ俺は食指が動かず、苺クリームのパンが入ったパックを ルイズとキュルケに薦めたところ、二人は安っぽいバタークリームとくどいイチゴジャムの味に感激し 「これは王族の、いえ神々の食卓から盗んできたものだわ!」「味の宗教革命だわぁ」と大喜びしてたが 1時間ほどで二人して盛大に吐き始めた、漂白剤や保存料、イースト発酵促進剤に免疫が無かったらしい 辛党のギーシュはといえば卵サンドを二つ平らげてご満悦の様子、多分こいつはどこででも生きていける  

爆発の煙と共に現れたのは何か大きな物、動く物、ナマモノの召喚は俺自身の召喚以来初めてだった 遂にルイズは俺の世界から人間を召喚してしまった、人様への迷惑は俺だけに留めてほしかったのに

その人間は茶色の背広を着た男性で、化繊のネクタイを締め、すり切れた豚革の靴を履いた小柄な中年 匂いで思い出した、嫌いな臭い、子供の頃はこの臭いから離れたくなくて、いつも後ろをついて歩いた

「親父!」

ルイズの異世界物召喚術によって召喚されたのは、東京でサラリーマンをしている俺の父親だった    

627 :GIFT〜dad!(5):2007/10/29(月) 09:29:52 ID:j6bUPGv/  

突然現れたオッサンに目を丸くして驚いていたルイズは俺の言葉を聞いて今度は口をポカンと開けている

俺はルイズをおしのけ、地下鉄で寝過ごしたような顔で周囲を見回す親父の肩を抱いて早口で説明した 信頼の置ける人間に自分が異世界から来た事を説明した事は何度かあって、説明は随分うまくなった

親父は俺とのやり取りを手を振って強引に終わらせる、親に反発してた中学の頃からこの仕草が嫌いだった

親父は俺の口から聞く魔法だの使い魔とかいう単語を、わかったようなわからなかったような顔をしたが 俺の顔を見て、俺の目を見つめ、「私にはよくわからないが、これからわかるだろう」とだけ言った  

親父は部屋の面々を見渡し、怪しい宗教の類だと思った俺よりは少しだけ物分りのいい顔で軽く一礼した

「はじめまして、私は平賀才蔵という者です、息子の才人がこちらでお世話になっているようですね」

エレオノールが親父の前に立った、上背のある彼女は挑発的に親父を見下す、親父はオッパイを見ていた 「さすが平民の使い魔の父親ね、父子そろって貧相なナリしてるわ、この学院には場違いもいいとこよ」

呆然としていたルイズの顔が一瞬で真っ青になり「お、お姉さま何てことを!」と金切り声を出す

奇妙な格好の面々に挨拶をしながらも警戒心を窺わせていた親父は、その言葉を聞いて不躾に吹き出した エレオノールの強がりな口調は、ルイズに負けず劣らず俺をイジメていた俺の妹とまるっきり同じだった

カトレアは親父に向かって深々と頭を下げた、親父もそれに応えてツムジを突き出すお辞儀をする 「サイトさんのお父上ですね、突然お呼び立てした非礼を深くお詫びします、私はラ・ヴァリエール家の…」

「ちぃ姉さまやめて!」 なぜかルイズはカトレアの丁寧な挨拶をさっきより厳しい口調で遮ると、突然膝を震えさせた

「……わ……わたわたっ……わたしのしししし仕事……なななんだからぁ!」    

628 :GIFT〜dad!(6):2007/10/29(月) 09:30:54 ID:j6bUPGv/    

ルイズはそのまま姉達を押しのけ俺を蹴りどかすと、唾をゴクリと飲み、魔方陣の中心で親父の前に跪いた

「は、初めましてヒラガ様、わ、わたしは……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです サイト…サイトさんを使い魔として召喚させて頂き、勝手ながら主人の契りを結ばせてもらいました …ち…契りっていってもそんな…そのいかがわしいものじゃなくてその…でもキスして…あぁもう! …え〜と…あれです……その……ふ…ふつつかものですが……よろしくお願いしますっ!」

そのまま親父の前の床に額をこすりつけるルイズ、どこで何を見たのか三つ指らしきものもついている エレノオールは声を荒げ「何してるのルイズ!貴族のアナタが平民に頭を下げるなんて!」と怒鳴る カトレアまでも「ダメよルイズ、今から下手に出ると、向こうのお家には一生頭が上がりませんわよ」

ルイズは震えながらも親父の前に伏し、頭を上げようとしない、親父は突っ立ったまま困惑していた 俺はルイズの肩を抱き、「もういいよ」と言ったが、ルイズは「サイト…さんは黙ってて!」

親父が土下座するルイズの前にしゃがみこんだ、頬に手を添えて上向かせる、二つの視線が交錯する

「まだ私にはよくわかりませんが、貴女と才人とは絆で結ばれているようですね、しかし才人は私の息子 幼い頃から風邪をひけば寝ずに看病し、誰かに傷つけられれば共に全力で闘い、大切に育てて参りました 然るに貴女は、マホウ、というのですか?学校でお勉強中の身、それも余りよい成績ではなさそうですね」

相手がその属する集団の中で占める位置を瞬時に嗅ぎ当てるのは、営業職の必須だと親父は言っていた

「ルイズさん、失礼ながら私には、貴女が才人を幸せにする力を得ているようには見えないのですが」

ルイズは床に正座したまま俯いた、膝に涙が落ちる、親父はしゃがんだままルイズが再び顔を上げるの待った

「……たしかに…わたしは学校でも姉妹の中でも落ちこぼれのルイズ、ゼロのルイズ…でも…でも… サイトさんを想う気持ちなら誰にも負けません!わたしはサイトの幸せの為ならこの命だって惜しくない!」

立ち上がった親父は背広のポケットから出した楊枝を咥え「へぇ〜」とニヤつく、禁煙は続いてるらしい

「……ヒラガ様……お言葉ですがわたし達の関係…その…使い魔!、主人と使い魔としての関係を ヒラガ様が認めてくださらないのでしたら…わたし…サイトと駆け落ちでも心中でもする覚悟です!」

ルイズが俺をサイトさんなんて呼ぶ、何とも変な気持ちで頭を掻いた、最後の話については…う〜、ん…

「……ほ…ほんとにサイト、連れてっちゃいますからね!…居なくなった後で泣いたって遅いんだからね!」    

629 :GIFT〜dad!(7):2007/10/29(月) 09:31:29 ID:j6bUPGv/    

楊枝を投げ捨てた親父は小声で「もう一生分泣きました」と呟くと、もう一度ひょこっとしゃがみこんだ

「ルイズさん、あんた、何したい?」

「……わたしは……ゼロじゃない立派なメイジとして……姫様と祖国のお役に立つような……」

「いっこだけ」

ルイズはうつむき、拳を握りながら長いこと考え、姉達や同級生を見て、そして俺をちょっと見た

「…………わたし………………わたし……………サイトと一緒にいたいです……」

「居りゃいいじゃん」

俺を見たり背後に居る姉達を見たり、落ち着かないルイズの視線は自分の胸、五芒星のタイ留めに落ちる

「……で…でも・・・・・わたしには……貴族として出来ない事もあるんです……メイジが使い魔となんて……」

親父は背広の内ポケットを探った、爪楊枝は品切れらしい、禁煙中の親父は苛立たしげに背広の胸をはたく

「………サルだな…お前ぇ…メージとかキゾクとか言ってても、私には人以下の猿にしか見えないよ 欲しいものに手が届いた時、掴めるのが人間だろ、猿は何かわけわかんねぇ物を怖がって掴めないんだ」

握られていたルイズの手が動く、夕べ俺の体をまさぐった時に似た手つきで、俺のパーカーの端を摘んだ

「……猿は……イヤです……だって犬と仲悪くなっちゃうし……」

ルイズは俺をしっかりと捕まえ、頭を上げ、親父と視線を合わせる、揺るがない鳶色の瞳に少し見とれた

「ヒラガ・・・ヒラガサイゾー様・・・サイトはわたしが貰います・・・もう掴んじゃったから・・・絶対離しません」

親父はネクタイを締め直しながらルイズを見返した、俺が随分昔に聞いた柔らかく暖かい声が聞こえてくる

「ルイズさん、貴女の瞳はとても綺麗だ、瞳は心、あなたの瞳は青い空のはるか上の虚空、深淵の海の底 虚空は地を守り、深淵は命を育む、それが地球です、貴女の瞳はまるで私と才人の故郷のようです 何も持たぬ貴女にはその瞳がある、貴女がその瞳を曇らせない限り、才人も貴女も大丈夫でしょう」  

ルイズの綺麗な瞳から涙が落ちる、ゼロのメイジである劣等感、虚無の使い手である重圧を洗い流す涙

「……ヒラガ様……お父さま……!」

ルイズは親父に抱きついて、声を上げて泣いた、きっと彼女が求めていたのは、ただ泣くこと 俺は彼女の涙を受け入れられなかった自分、気づいてやれなかった俺自身が恥ずかしくなった    

630 :GIFT〜dad!(8):2007/10/29(月) 09:35:01 ID:j6bUPGv/  

今回も参加していたキュルケは部屋の端っこで黙ってやり取りを見物してたが、突然手を叩き声を上げた 「よくやったルイズ!よくやったぞ!ゼロのルイズがよくぞ女の一大事を乗り越えた!パチパチパチ」 落ちこぼれのルイズに一番厳しいキュルケ、彼女はルイズが何かをやりとげた時に真っ先に誉めてくれる

タバサは手にしていた書物よりも面白そうな見世物を眺めていた、彼女なりに興味をそそられてるらしい 「…これからが大変、お姑さんとの対面はこれの三倍ぐらい大変、とってもタイヘンでとっても楽しみ…」 彼女は何でも面白がる少し悪趣味な癖がある、しかし俺からしてみてもすっげぇオモシロそうなことだ  

ルイズは赤い目をこすりながら姉妹の前に立つ、おチビのルイズの背が少し伸びたように見えた 「お姉さま、改めて紹介します、この方はヒラガサイゾー様、サイトと…わたしの大切なお父さま」

親父は突然出来た娘の胸を見て、それからカトレアとエレオノールの胸を見比べ「チッ」と舌打ちしたが 凄く大きくてたわわなオッパイが桃色の髪を揺らしながら自分に近づいてきたのを見てご機嫌な顔をする

カトレアが親父の前に立つ、どうやらこの場で一番偉い奴だろうと察したらしき親父は背広の皺を伸ばす 猿の群れの中からボス猿を探り当てるのも営業の特技だが、親父はどうみてもオッパイを基準にしていた

「ヒラガ様、我が王国のアカデミーは現在、総力を挙げて召喚者の送還魔法の研究をしております 早暁、私達が責任をもって貴殿を元居た世界にお送りいたします、それまで私の屋敷に是非ご滞在を…」

親父は手を振って強引に話を止めた、この仕草も長くみていないと、苛立ちより懐かしい気持ちになる 「いえいえ、折角ここまで来たんだから商売でもしていきますわ、帰る時はそういうのうまい人を雇うよ」  

サラリーマンをしている親父、日本拳法の選手として大手商社に入り、その後のスポーツ事業の縮小で お袋との結婚を控えて営業職に移った、畑違いの仕事に苦労した親父は、お袋の腹の中に居た俺に 生まれてくる俺には立派な営業マンとなった父を見せてやる、と誓いながら頑張ったらしい

と、いうのは本人談で、お袋によると当時バブルで景気のよかった商社で結構気楽にやってたとか  

631 :GIFT〜dad!(9):2007/10/29(月) 09:36:07 ID:j6bUPGv/  

その後、ルイズは授業をサボり、エレノオールとカトレアも執務を中断し、午後のお茶会が催された 学院の先生達も招待しようと思ったが、主にルイズの希望でこの奇妙な召喚は報告しないことにした 賓客を招くために学院内に設けられているラウンジにはキュルケとタバサもちゃっかりついてくる

親父はお茶会でまで読書に耽るタバサに、背広の内ポケットから出したペンテルの赤サインペンを渡した 「思ったこと気づいたことを絶えず書き込みながら読むといい、本は君の本に、本は友達になってくれる」 実はタバサは本を読む時、重い本に反重力の魔法を発生させて腕の疲労なく読書をする術を用いていて この世界に存在する羽根ペンでは書き込みができなかったが、サインペンは毛細管現象でインクを出す タバサは宇宙空間でも使用可能なサインペンの書き味を確かめ、彼女には稀な驚きの表情を浮かべた 親父は出張には必ず持ってくロレンスの「知恵の七柱」を開き、真っ赤に書き込まれたページを見せた タバサは「そう」「それで?」と生返事を繰り返すだけだったが、どこかから葡萄の粕取りブランデーを くすねてきたキュルケに呼ばれて親父が席を立つと、黙って背広の端を掴み、ずっと離そうとしなかった  

酒の入ったエレオノールは親父に、自分がアカデミーで研究を指揮してる送還魔法の自慢をしていた 「原理はもう出来てんの、あとは必要な予算と人員さえ回してもらえば、魔法の完成も時間の問題よ」 親父は「へー」と言いながら、刺身に似たラグドリアン鱒の燻製料理を自前の割箸でつつくのに夢中だった ソバ屋の「今出たところです」と技術屋の「カネさえあれば出来る」は当てにしない事にしてるようだ      

親父はルイズの髪をクシャクシャと撫でていた、ルイズはウチで飼っていた猫のように目を細めている 「ルイちゃん、息子を頼むよ、しかし一つだけ言っておく、私はまだお爺チャンと呼ばれるのはイヤだ」

ルイズは暫くその言葉の意味を理解できなかったようだが、少し遅れてから茹でたように真っ赤になる 「そ、そんな孫とか…そんな…お父さま誤解です!わたしとサイトは主人と使い魔の、その…清い関係で…」 俺もルイズの後ろで「そーだそーだ、まだそんなにやってねぇから安心しろ!」と調子を合わせる

親父は俺とルイズの言葉をさほど聞いていなかった、ただ、俺達が交し合った目配せを確かめると頷き 「いいから!この世界では、今のおまえらには、まだ早すぎるよ、お前らの為だ、わかったな?」

医学が魔法頼りのこの世界での出産は命がけで、世継ぎの関係で若くして出産する貴族は特にそうだった 俺が以前憂いていたように親父もまた、この世界では未知の病原菌の蔓延を恐れているのかもしれない エイズを媒介したミドリザルの様に世界規模で悪役扱いされては親として尻の座りが悪くなるんだろう

茹でて蒸らしたように赤くなったルイズは親父の背広をつつき、俺と親父を交互に見ながら小声で言った 「…お…お父さまの意に沿うよう努力します…でも…がんばってもダメだった時は仕方ないかもぉ……」 親父は渋い顔で笑った、この顔を「ボガートに似ている」と言ったお袋はきっとどうかしてたんだろう 「ん、あ〜、そうだな、気ぃつけてても出来ちゃったらしょーがねえなァ、お前が産まれた時だって…」

全員の視線が俺達に向く、親父はそれに応えるように俺の話、俺の幼少期の話を嬉々としておっ始めた

俺の生き恥タイムが始まったらしい    

632 :GIFT〜dad!(10):2007/10/29(月) 09:36:40 ID:j6bUPGv/    

親父は日が暮れ始めるまでのお茶と茶菓子と異世界の銘酒を楽しみ、一泊もせぬまま南へと旅立った

昼間っから一緒に酒を酌み交わし、すっかり親父に懐いたエレオノールは屋敷への宿泊を何度も勧めたが 親父はネクタイを締め直すと「日本のビジネスマンに昼夜はありません」とだけ言って申し出を固辞した

「……いつか……その「ファミレス」とかいう異世界の美食処に連れてって…二人でゆっくり話しましょう アカデミーの主任研究員として、一人のトリスティン人として、話したいことはたくさんあったけど 今は二つだけで充分よ……とても素敵な世界から来たあなたと話したいの……人間のことと、未来のことを」

親父はエレオノールの眼鏡を指でヒョイっと取ると、化繊のネクタイでレンズを拭き、再びかけてあげた トレシーの材料にもなった合成シルクで綺麗に汚れの落ちた眼鏡越しに親父を見つめたエレオノールは 「……明るい…わね…人間は未来を綺麗なものに出来るってワケ?…私は人間と未来を信じるわ、サイゾー」

「お国の未来を考えるなら、まず自分の眼鏡を綺麗に、あんたの幸せを大事にしな…またな、エルちゃん」

エレオノールはせっかく綺麗になった眼鏡を瞳から落ちる滴りで濡らしながら、親父と掌を打ち合わせた 俺は文系で営業畑の親父が技術職の人間と仲良くするのを初めて見た、あれほど理系を嫌ってたのに

カトレアは馬車を提供しようとしたが、親父が自分のくたびれた靴を誇らしげに叩くと微笑んで頷き 「またのお越しを心よりお待ちしています、その頃には私達と貴方の世界に橋が結ばれているでしょう」

いい年して赤面した親父はポケットを探り、緑マルボロの箱を出して一本くわえた、あーあ、と思った 「そうだなァ、…ここは酒はうまいしネーちゃんも綺麗だし、次はカミさん連れて遊びに来るかな?」 涙を浮かべて親父との別れを惜しんでいたルイズがそれを聞いて「ゲっ!」と声を上げて飛び上がった 「……いえ……その……お義母さまとはまだ…その…もうちょっと後で……デキちゃった後でも……」 背中のデルフリンガーが「まぁ孫が手元に居りゃ最強の手札だわな」と呟くと、姉二人が揃って頷いた

冷や汗を垂らし両手をバタバタ振りながら後ずさるルイズの両肩を後ろからガシっと掴んだキュルケは 「お任せくださいサイゾーさん、ルイズにはその時までに炊事洗濯、バッチリ叩き込んでおきますわ」

タバサは親父から貰ったサインペンを魔法の杖のよう胸に抱きながら親父を見つめ、横目で俺達を見ると 「オチャにオハナ、異世界の男はめんどくさい、ルイズに出来るかな?できなきゃ私が盗っちゃうかも」

ルイズは涙目で「ううううう〜〜〜〜」と唸った、俺が知らん顔をしてると足を思いっ切り踏んづけ 「……サイト……いざって時はわたしの味方してくれなきゃ…『ミノさん』にデンワしちゃうからね!」

俺は歩き去る背中を眺めながら、親父が放り投げて行った煙草の箱と火のついてない煙草を拾い上げた これも焼き捨てなくてはならないだろう、まぁ俺だってそろそろ親父の健康を気遣ってもいい頃だし    

637 :GIFT〜dad!(10・5):2007/10/29(月) 10:00:09 ID:j6bUPGv/    

それから少しして、ここからはるか南東の強豪国家アナトリア王国から面白いニュースが飛び込んできた 永らく王制と貴族制度を敷いていたその国で、何処からか流れてきた傭兵によるクーデターが起きたという 銀色の手を持つ傭兵は全権を掌握すると「総理大臣」という誰も聞いたことのない国家主席を自称し 貴族、平民、賎民の身分撤廃を宣言した、俺が結局捨てられず親父に託したトカレフで何したんだか その傭兵は、以前より絶対王制に懐疑的で非統治の君主である事を望んでいた国王と結託したらしい その国に深く侵食していた貴族制度を消滅させるのに、その傭兵はとてもシンプルな方法を用いた 国中の貴族を一人残らず、昨日まで王宮と呼ばれていた議事堂の前庭に集めた後、その総理大臣自身が 貴族一人一人に、その国で新しく定められた国家唯一の身分である「国民」になるかを面と向かって問い あくまでも貴族であり続ける事を選んだ者は例外無く、銀色の手と称されたトカレフで頭を吹っ飛ばした 貴族の名誉を曲げて貰うには、それを貫いた者の脳漿を浴びさせるのが一番手っ取り早かったらしい

これはずっと後で親父に聞いた話だが、「思ったより少なかった、替え弾倉さえいらなかった」との事

共和制国家の誕生を恐れる隣国ロマリアの法王庁はアナトリア国に神の罰が下るであろうと宣言したが 総理大臣自身が「空の鉄斧」と呼ばれた竜を駆り「話し合い」に赴いた後ロマリアは即座に支持を表明した 報道写真の替わりに流通した新聞挿絵を見る限り、親父は対戦車ヘリでロマリア中枢部を空爆したらしい どこぞのメイジと組んで物騒な代物を召喚したらしき手口は、発展途上国における商社の遣り口に似てる

親父が人類で唯一「おもしれー奴」と認めるT・Eロレンスのアラブにおける活動に似ていなくもない

家名だけでなく魔法が使えるか否かで貴族という階層の生まれたこの世界、貴族制度が消滅した後の国で メイジ達は職人や技術者と呼ばれるような農家や商人と対等の地位となり、国家運営の中に組み込まれた

その国は国民の中から選出された代表者の議事と元商社マンの総理大臣によって運営されるようになり 学者肌の旧王は学力優秀であれば育ちを問わず国費で教育を受けられる公職者養成学院の学長となった  

異端審問に関与した聖職者や平民を無礼討ちした貴族は遡及法で「殺人犯」として終身懲役に処された

日本の商社から遠い異世界にやってきた俺の親父は、とんでもない武器をこの世界に撃ちこんだらしい 民衆や家族の為でなく、いつか地球とこの世界が繋がった時、自社に有利な権益を得る事だけを目的に ゼロ戦よりイージス艦より核よりも強い、俺の居た世界の最強の武器、民主主義をセールスしてしまった  

そんな些細な事よりも、親父が遂に禁煙に成功した事のほうが俺にとってインパクトのある出来事だった    

633 :GIFT〜dad!(11):2007/10/29(月) 09:37:42 ID:j6bUPGv/  

俺は四つん這いになったルイズに背後からのしかかり、ルイズの女の部分を浅く刺し、苛めていた

「……あぁ……この犬!もっと…深く…主人に奉仕しなさい・・・・・わたしの中に……いっぱい出しなさい!」 ルイズは俺に乞いながら尻を突き出した、俺を犬扱いする言葉を吐いた後で餌を欲しがる様にこちらを見る おねだりされた俺はルイズの中に深く挿れ、腰を打ちつけた、ルイズは鳴き吠える、どっちが犬なんだか

「……ひぁ!……きゃっ……きゃん!…きゃん!…きゃいん!……あぁぁぁぉぁぁぁあんん!!」

桃色の犬は高い遠吠えを発して崩れ落ちた、口を開けハッハッと息を切らして舌を出し、涎を垂れている      

俺の親父が召喚され、そして旅立った夜、ルイズはお茶の中にたっぷり落としたリンゴ酒の酔いもあって 寝床の上ではしゃいでいた、親父から聞いた異世界の話、俺からしてみれば聞き飽きた親父のヨタ話を 機嫌よく俺に話して聞かせていた、俺が就寝を促すと彼女は大人しく掛け布を被り、ランプを消し その直後、暗闇の中で猟犬のように飛びかかってきた、ルイズは獲物の俺を離すまいとするかのように 両手足でしがみつき、歯まで使って俺を拘束した、俺を繋ぎとめようとする小さな体は震えていた

俺は何か囁こうとしたが、彼女は「う〜」とか「がるる…」と唸り、開こうとする俺の口に噛みついた

その後、俺がルイズをうつ伏せにさせて強引に腰を持ち上げ、後ろから貫くまで彼女の震えは止まらず その手は絶えず俺の体のどこかを掴んでいた、俺とこの世界を繋ぐ手はとても小さくて、強かった  

634 :GIFT〜dad!(12):2007/10/29(月) 09:39:09 ID:j6bUPGv/  

蹲っていたルイズが粗相の後の犬のような目で俺を見た、前足で俺の体を登り、首筋に鼻を沿わせる 俺の可愛い犬は鼻で俺の匂いを、舌で俺の味を確かめながら「く〜ん、くぅ〜ん」と甘えた声を出す 俺に耳の後ろや首筋を掻いて貰ってしっぽを振っていたルイズは、腿につっと滴った俺の跡にそっと触れ 人間の言葉を思い出すかのように喉をん、んっと鳴らすと、俺の機嫌を伺うような上目遣いで口を開いた

「……サイト……もし……もしも……わたし達の間に……赤ちゃん……出来ちゃったら…… ……この子はどうなるの?……平民出のシュバリエで使い魔のサイトと貴族でメイジのわたしの子なら……」

視線を落として自分の腹を、居もしない腹の子を見つめながら話すルイズの顎を掴み、こちらを向かせた

「将来俺たちの間に産まれる子供は、貴族でも平民でもない『人間』だ!、俺はいつか生まれる子供に 約束しなきゃいけない、生まれてくる大切な場所が、誰もが等しく幸せになれる世界だってことを」

この世界に来て時が経ち、色々な人と知り合い、触れ合った俺が抱き始めた、未来へのささやかな夢 ハルケギニアの人間がこの星を統べるに相応しい偉大な種であるなら、必ず叶えられなくてはならない夢

「……サイト……わたしも約束する!その世界でわたし、サイトの子供をいっぱい、いっぱい産むって」

再び俺にのしかかってきたルイズの尻を触る、板のような胸とちがってこっちは結構ボリュームがある 案ずるより産むが易し、もしかしたらルイズは犬並に安産なのかもしれない、乳の出は少々不安だが

「……俺はいつかここを去る人間だよ…でも…嫁さんと子供を連れて、行ったり来たりも悪くないか、な…」

半分の月、そのひとつが雲に隠れ、夜空に一つだけの月が輝く、俺が居た大切な世界、今は遠くてもいい 日本を想ってイジイジしてた俺、もし親父が故郷を懐かしんだなら、自力で世界を作ってしまうだろう

「…………サイト…………あかちゃん……つくろ……」

親父の言葉などとうに忘れたルイズ、瞳は親父の言葉通りに澄んでいる、俺は少し欠けた月を指さした 「今日は、出来ない日、だろ?」 「…それでも作るの!…げ、元気な赤ちゃん産むためには……いっぱい練習してから作らなきゃ!」

俺はクリーム色の月を一瞥すると、ルイズの瞳を逸らすことなく見つめ、月の光の下でルイズと重なった  

いずれ時が経てば雲は流れ、夜空には二つの月が現れるだろう、俺はルイズの裸体、髪、胸、腹を撫でた 一人の人間が胸に抱く大切なものは一つだけ、それは二つあるともっといいものになるのかもしれない  

地球から遠く離れたこの世界、俺とルイズの生きる愛おしい世界の夜が静かに、そして熱く更けていく 寄り添って夜空を照らす二つの月の間から、一筋の流れ星が尾を曳き、夜空のどの星よりも強く輝いた

それはきっと、睦みあう二つの月から産まれた 贈りもの    

                                (完)