ゼロの奇妙な使い魔 まとめ内検索 / 「DIOが使い魔!?-7」で検索した結果

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  • DIOが使い魔!?-29
    ある虚無の曜日、ルイズは朝からウンウン唸っていた。 その隣のソファーでは、DIOが図書室から新しく借りた(強奪に近いものと思われる)本を、無言で読んでいた。 『僕の私のハルケギニア大陸』というタイトルで、凡その子供が読むような、簡単な地理書だ。 DIOは、コツを掴んだ人間が、自転車をあっと言う間に乗りこなしてしまうように、ドンドンとハルケギニアの知識を得ていた。 そんなDIOを脇目に、暫く唸っていたルイズだったが、突然雷に打たれたようにその顔を上げた。 「…そう、そうよ! 今は考えたってしょうがないわ。 何と言われようが、こいつは私の使い魔。 そうよ! 忘れてたわ、私、どんなことがあろうと乗り越えてみせるって、あの時誓ったじゃない!」 あの時、とは契約の時のことだろうが、とにもかくにも、ルイズは一人でヒートアップしていった。 そして、ベッドから立ち...
  • DIOが使い魔!?-49
    ベッドの上で、ルイズ・フランソワーズは夢を見ていた。 舞台は、生まれ故郷であるラ・ヴァリエールの領地にある屋敷。 夢の中の幼い自分は、屋敷の庭を逃げ回っていた。 それは二つの月の片一方、赤の月の満ちる夜のことだった。 真っ赤な真っ赤な…… 血のように真っ赤なお月様が見下ろす夜。 「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの!? まだお説教は終わっていませんよ!!」 出来のイイ姉たちと比べて落ちこぼれな自分を、 母は、いつも叱ってきた。 母だけではない。 自分の世話をする召使い達も、影で自分のことを哀れんでいることを、 ルイズは知っていた。 その事が、ますますルイズの自尊心に傷を付ける。 その日もまた母親に叱られた。 それが悔しくて、悲しくて、 思わずルイズは屋敷を飛び出したのだ。 使用人達の目を掻いくぐり、いつもそうしていたよう...
  • DIOが使い魔!?-21
    ルイズはニヤニヤしながら自分の使い魔の背中を見送った。 ルイズには考えがあった。 どうせ怒りのやり場を失っているギーシュは、DIOに決闘を申し込んで憂さを晴らそうとするに決まっている。 平民が貴族に勝てるわけがないという前提がその根拠だ。 しかし、ルイズにとっては、DIOがギーシュに勝とうが負けようがどうでもよかった。 DIOがギーシュに勝てば……それでいい。 自分は何もする必要がない。 ただ、DIOがギーシュを殺そうとしたなら、それを止めればいいだけだ。 万一DIOが逆らっても、強制執行してしまえばいい。 気絶してでも。 それは別にいい。 DIOがメイジに勝つほどの強さを秘めているのなら、それくらいの覚悟はしよう。 そしてもしDIOが負けたなら、ルイズはDIOを吹き飛ばすつもりだった。 所詮カリスマだけの使い魔なら、ルイズは用はなかった...
  • DIOが使い魔!?-17
    結果的にルイズの企みはほぼ失敗したといえる。 あのあとDIOが帰ってきてから、ルイズは1も2もなくDIOに魔力を流す訓練をした。 少しずつ少しずつ流してゆくのは実に骨が折れた。 気を抜けば、蛇口を壊したみたいに抜けていってしまう。 2、3時間の試行錯誤の後、ルイズは肌でその調整を覚えた。 そして、DIOの意に反する命令を聞かせるには、相応の魔力を代償にされることを、数回の気絶の後、ルイズは知った。 仮にルイズが一時間に生産できる魔力を10として、DIOに強制命令執行を行うには15必要とすれば、その差額の5が、気絶というかたちでルイズに跳ね返ってくるのだ。 巨大なダンプカーを操縦しているような気分だった。 操作性最悪だ。 燃費も余りに悪すぎる。 取り敢えずルイズはルーンを介してDIOに洗濯を命令してみた。 当たり前のようにルイズは気絶した。 ...
  • DIOが使い魔!?-46
    キュルケとタバサは、 ルイズがレビテーションも使わずに見事地表に到達してみせたことに対して、 激しく引いていた。 2人とも何も口にせず、 ただシルフィードがバッサバッサとはばたく音しかしない。 「……………………」 「……………………」 おそらく、考えていることは一緒なのだろうが、 それを口に出すのは、何というか ……とてもルイズに対して失礼な気がして、憚られた。 しかし、その気まずい沈黙をキュルケが破った。 「………………ねぇ」 「…………………?」 「人間って、こんな高い所から飛び降りても、 動けるんだ………」 「………………さぁ」 下ではルイズが、 ゴーレムをあっさりと倒したDIOと何やら話をしていた。 これからフーケを拘束する手順でも確認しているのだろうか。 そう思い至ったら、今まで呆けていたキ...
  • DIOが使い魔!?-23
    六体のワルキューレを捌きつつ、DIOは己の半身である『ザ・ワールド』を見て歯噛みする。 これが、我が最強の『スタンド』の……そして、このDIOの成れの果てなのだ、と。 何と無様な姿ではないか。 以前のような勢力は伺えようもない。 これでは、『ザ・ワールド』の真の能力など、発揮できるはずがない。 しかし、とDIOは思い出す。 しかし、あの授業の時ルイズの策謀が実を結ぼうとしていた時、自分は確かに『動けた』。 一秒にも満たない時間だったが、とにかく動けたのだ。 それこそが、この下らない決闘の真似事をする気になった最大の理由なのだが……『動けない』。 あの時はただの偶然だったのだろうか? (………ジョースターめ!!) DIOは焦っていた。 ギーシュは、六体のワルキューレが平民を翻弄する様を見て、決闘の勝利をほぼ確信した。 ど...
  • DIOが使い魔!?-51
    魔法学院の正門をくぐって、王女の一行が現れた。 整列した生徒達が一斉に杖を掲げて、歓迎の意を表す。 本塔の玄関にはオスマン氏が立ち、王女の一行を出迎えた。 呼び出しの衛士が、緊張した声で王女の登場を告げる。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなりであるッ!」 枢機卿のマザリーニに続いて現れた姫殿下の姿を見て、 生徒達は歓声を上げた。 アンリエッタはニッコリと微笑を浮かべて、優雅に手を振った。 誰も彼もが、緋毛氈の絨毯を進む一輪の華に釘付けかと思われたが、 いつの時も、例外はある。 「ねぇ、ルイズ。 さっきの授業……少しばかりやりすぎじゃなかった? そりゃあ、胸がスッとしたのは確かだけど」 観衆達より一歩引いた場所にいたルイズ御一行である。 キュルケは、最初こそ異国トリステインの王女を物珍しげに眺めていたが、 あらかた値踏みをすると...
  • DIOが使い魔!?-20
    あの後ルイズは、駆けつけた他の教員によって、罰として魔法を使わずに教室を掃除するように言いつけられた。 と言っても、『ゼロ』であるルイズにとってはあまり意味はなかったが。 シュヴルーズは医務室に運び込まれて、その日は二度と教壇に立つことはなかった。 (また……やっちゃったんだ…私) ルイズは煤だらけになった教壇を拭きながら思った。 いつものパターンだった。 クラスメイトがルイズを『ゼロ』とバカにするのはいつものことだった。 ルイズだって、そんな中傷にいちいち反応すべきではないと分かっている。 だが、一度スイッチが入ってしまうと、歯止めが利かなくなってしまうのだ。 昔からそうだった。 内側から沸々と湧き上がる暗い感情を抑えられない。 ルイズは自分の未熟に自己嫌悪した。 これもいつものことだった。 つまり、いつもとなにも変わっちゃいない...
  • DIOが使い魔!?-26
    オスマンとコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見終えると、互いに沈黙した。 気まずい空気の中、コルベールが震えながら何かを言おうとする前に、オスマンが言った。 「勝ったのは、ミス・ヴァリエールの使い魔じゃったな」 「オ、オールド・オスマン……私には、まだ自分の目が信じられません…」 「ほぅ。ならば、そんな役立たずな目は、早めに抉ってしもうた方がよいのぅ。ミスタ・コルベール」 「い、いえ…そんな…!私はただ、平民がメイジに勝ったという事実に…」 「平民?平民じゃと?お主はアレをまだ人間じゃと思うとるわけか?」 オスマンの目が、コルベールを射抜いた。 「切られた腕を再生させ、青銅のゴーレムを砕き、挙げ句グラモンの血を吸うたアレを、人間と呼ぶか。 お主も痛い目を見た口じゃろうに。 ますますもって役立たずじゃのう、お主の目は」 コルベールは...
  • DIOが使い魔!?-42
    ルイズとDIOは、お互いに背中合わせに立ち、 腕を組んでいる。 鏡に合わせたように同じポーズだが、生憎とルイズの身長は、 DIOの腰よりちょっと上の辺りまでしかない。 傍から見たら、背伸びをした子供が、 父親の真似をしているようにも見えるかもしれない。 「ご苦労様。 でもちょっと遅いわよ、DIO」 背中を合わせたまま、ルイズはふてくされたようにDIOに言った。 本当は、DIOが来てくれたことに安心していたし、 ちょっぴり………ほんのちょっぴりだけ嬉しかったりしたのだが、 ルイズは決してそれを態度には出さなかった。 ルイズのセリフに、DIOが肩をすくめた。 「せっかく助けてやったというのにそれか。 君はもう少し、感謝という言葉を覚えた方がいい」 言葉だけとってみれば、不満を漏らしたようにも聞こえるが、 その口調はどこ...
  • DIOが使い魔!?-30
    トリステインの城下町を、ルイズと、それに続いてDIOが歩いていた。 白い石造りの街はそれなりに綺麗ではあったが、魔法学院に比べると、質素ななりの人間の方が多い。 道端で声を張り上げて様々なものを売る商人達の姿や、老若男女が取り混ぜ歩いている様子は、元の世界のエジプトを思わせる。 DIOはほんの少しだけ感慨に耽った。 町の様子を見る限りでは、この世界の文化レベルは、DIOが若かった頃と同じか、それ以下らしい。 少なくとも車は走っていないようだ。 「『ブルドンネ街』。トリステインで一番大きな通りよ」 「…狭いな」 道幅は5メイルもなく、大勢の人が行き来しているので、歩くのも一苦労だ。 道行く人と時々肩をぶつからせ、DIOはもどかしそうに呟いた。 「狭いって……文句をいわれても困るわ。 そう言えば、あなたの世界はどうだったの?」 ルイズは...
  • DIOが使い魔!?-53
    「ムゥ~~ッ!! フゴムゴォ! ングゥ~ッ!」 部屋に響くのはギーシュのくぐもった声であった。 言い訳や状況説明をする暇なくルイズによって簀巻きにされ、 DIOに足首を掴まれて逆さ吊りにされているのだった。 口には猿ぐつわがしてあり、何を言っているのか明瞭ではない。 ルイズはギーシュの足を持っているDIOの上着をまさぐり、 ナイフを一本取り出した。 そして、逆さ吊りで視界が反転しているギーシュに視線を合わせるため、 ヤンキー座りになった。 豚でも見るかのような冷たい目で、 ルイズはギーシュの横っ面をナイフでペチンペチンと叩いた。 ナイフに嫌な思い出があるのか、 それを目にした途端ギーシュは激しく身を捩った。 「これどうします、姫様? なますにしてラグドリアン湖にバラまきますか?」 「フ、フガッ…!?」 まさ...
  • DIOが使い魔!?-48
    トリステイン魔法学院、学院長室。 この部屋の主であるオールド・オスマンは、戻った4人の報告を聞いていた。 もっとも、報告をしていたのは専らルイズであった。 オスマン氏は、キュルケとタバサにも状況報告を求めたのだが、 フーケとの戦いで疲労が限界に達したのか、2人の返答は要領を得ない。 キュルケは暇さえあればチラチラとルイズとDIOを見ているし、 タバサは俯いて黙ったままだ。 オスマンは、ルイズの報告を鵜呑みにするしかなかった。 「ほほぅ。 では、『破壊の杖』は取り戻したが、 『土くれのフーケ』は取り逃がしてしまったと…… そう申すのじゃな、ミス・ヴァリエール?」 泣く子も黙るオスマンが、偽証を許さぬ鋭い視線をルイズに向けるが、 ルイズは堂々と胸を張り、ハキハキと嘘八百を並べ立ててみせた。 どうせ確認する方法など、無いのだから。 ...
  • DIOが使い魔!?-24
    "ドォォオオオン!!!!" そして、DIO以外の全ての時が停止した。 観衆は思い思いに身を固めたままで動かない。 6体のワルキューレは、DIOに飛びかからんと、飛んだまま空中で停止している。 ギーシュは冷や汗を流して、うろたえた表情を浮かべたまま止まっている。 タバサは杖を握りしめたまま停止している。 キュルケはルイズを見て、完全にビビった表情を浮かべたまま止まっていて、結構間抜けだった。 見ればルイズは、懐から杖を取り出しかけていた。 どうやらDIOはあと少しでルイズに爆破されるところだったらしい。 DIOは、全員のそうした姿を見て、満足げに口元を歪めて、ギーシュを見た。 「これが……『ザ・ワールド』だ。 もっとも、時が停止しているお前には、見えもせず、感じることもないがな……。 思えばこのDIOは、ジョースタ...
  • DIOが使い魔!?-27
    DIOの……いや、自分の部屋に戻ったルイズは、ドアをバタンと閉めた。 後ろ手で鍵をかける。 部屋の奥の窓際に立っているDIOを見つけると、ルイズは虚ろな目をしてフラフラと誘われるようにDIOの方へ向かった。 カーテンが閉められた窓際に立つDIOは、自分の左手をルイズに差し出した。 その手は先程のギーシュの血で、真っ赤に染まっていた。 幾分か固まってはいるものの、鼻につく鉄の匂いが辺りに立ち込めている。 ルイズの目は、その左手に釘付けになっていた。 ハァハァと荒い呼吸をして、頬をほんのり上気させているルイズは、途端にガクリと膝をついた。 我慢も限界といった風にDIOの左手に手を添えると、ルイズは自分の小さな舌を、その血に染まる左手に這わせた。 「ハァ…ンゥ…チュ…フッ」 ピチャピチャという、淫らな水音が部屋に響いた。 だが、そんなことはお構いなしに、ルイズは陶酔し...
  • DIOが使い魔!?-58
    所変わってこちらはルイズの部屋。 貴族相手の『女神の杵』亭でも、上等な部類に入る部屋(最上級の部屋は何故か先約を取られていた)を取ったワルドは、 テーブルに座ると、ワインの栓を抜き、二つあるグラスにそれぞれ注いだ。 「君も一杯やるといい」 テーブルについたルイズは、差し出されたグラスをチラリと見たが、片手でそれを押しやった。 ワルドはすこぶる寂しそうな顔をして、グラスを飲み干した。 「使い魔君のグラスは取るのに、僕のグラスは受け取ってもらえないんだね」 「やめてよ、子供みたいなこと……。 私は貴方のことを信頼しているわ。それで十分じゃないの?」 「まさか……十分とは言えないよ」 ワルドはルイズの小さな顎をくいと持ち上げた。 視線が絡まる。 「君を振り向かせてみせる。そう約束したじゃないか」 ワルドの瞳を真っ向...
  • DIOが使い魔!?-37
    「DIO。 明朝、盗賊狩りに行くわ。 もちろんあなたにもついて来てもらうから、 準備して…おきなさ………はぁ……」 自室に戻るや否やの命令だったが、ルイズは途中で激しく勢いを削がれてしまった。 ため息を止められない。 DIOは夕食を取っていた。 ルイズの部屋の、ルイズの机で。 「食事中だよ『マスター』。 何だ、帰ってこないと思ったら、いきなりそれか。 事情だけでも聞かせてはもらえないものかね……」 DIOは口を拭き、ナイフとフォークを、ルイズの机兼ディナーテーブルの上にある皿に置いた。 いつもルイズが物を書く時に使っている机なのだが、 今は純白のテーブルクロスが掛けられており、 料理が盛り付けられた皿と、ワインが並べられている。 何故かシエスタが部屋にいて、給仕をしていた。 香しい匂いが漂い、ルイズは思わず唾を飲み...
  • DIOが使い魔!?-47
    破壊の杖を使用した後の惨状を、 ルイズはやや感心したというような表情で見つめていた。 実際、ルイズは感心していた。 破壊の杖……つまりは、『ろけっとらんちゃー』なる武器の凄まじい威力に。 ―――素晴らしい。 爆発が起こった後には、草木1本残っていない。 自分の爆発にも、ある程度の自信があっが、 これはその遥かに上をゆく。 ルイズは密かに、この破壊力を今後の目標に定めた。 改めて目の前の光景を見る。 何もかもが吹っ飛ばされ、 場を支配しているのは『死』や、『無』だ。 その有様は、何故かひどくしっくりと自分に馴染んだ。 やがてその場の空気に当てられ、虚無感がルイズの中でリズムを取り始める。 何だか懐かしいリズムだ。 神経が研ぎすまされ、辺りの雑音が耳に入らなくなる。 体の中で何かが荒々しく暴れ、それが回転していく感覚……。 ル...
  • DIOが使い魔!?-44
    上空、シルフィードに跨るルイズは、 頭の傷を手で押さえて止血していた。 一度は塞がりかけたものの、フーケとの戦いで 再び傷口が開いてしまい、治癒が遅れてしまっていた。 ルイズの頭に、フーケの高笑いがガンガン響く。 怒りと屈辱のあまり、ぬうぅ…、と野獣のような唸り声をあげていると、 心配になったキュルケが、おっかなびっくり聞いてきた。 「ル……ルイズ? えぇっと、そのキズ…痛むの?」 「KUAAAA!!!」 ご機嫌斜めのルイズは、ギロリとキュルケを睨みつけた。 眼球の端からダラダラと血が頬に垂れており、 純白だったはずのブラウスはもう真っ赤っかになっているので、 はっきりいって今のルイズは直視に耐えない。 そんな状態にも関わらず、 ルイズが異様にギラギラした目で見つめてくることが、 余計にキュルケの恐怖を...
  • DIOが使い魔!?-16
    次の日、ルイズは部屋に溢れる陽光の刺激で目を覚ました。 床で寝たせいか、体のあちこちが痛かった。 カーテンは閉めてあったものの、ルイズは部屋に溢れる穏やかな陽光が無性に気に喰わなかった。先にあの使い魔が起きて、カーテンを閉めたようだ。 だが……先に起きたのなら、何故主人である私を起こさないのか。 ルイズはムクリと起き上がり、辺りを見回し、命令不履行のムカつく使い魔を探した。 いた。 優雅に横になって本を読んでいる………私のベッドで。 異常に分厚い本だった。タイトルがチラと見えた。 『おかあさんがいない―――オコォース・アディサァ著』というタイトルだった。子供向けの本なのだろうが、タイトルが少々おかしい気もする。 その脇の机にはワインボトルが置かれていた。 グラスに注がれた液体がユラリと揺れる。 ベッドはもちろんルイズの物だったし、ワインに至っては...
  • DIOが使い魔!?-15
    「………………」 知らない天井だ…。 いや、もちろん知ってる。 トリステイン学院の医務室の天井だ。 室内には誰もいない。 窓カーテンの隙間から、淡い月光が射し込んでいた。 自分に降りかかる光が心地よく、ルイズは左手でシャッとカーテンを開けた。 左手………? ルイズはふと違和感を感じ、自分の体を見た。 何ともなかった。 傷が綺麗サッパリ消えていた。 (………ウソ) 2日や3日で治るケガではなかったはずだ。 本当に嘘みたいだった。自分がさっきまで繰り広げていた大召喚劇は夢だったのだろうか。 ---夢……!? ルイズは我が身をバッと抱いた。 そんなはずはない。 あの時感じた痛みは本物だ。 夢であるはずがない。 自分は間違いなく、あのチンチクリンな触手に串刺しにされたのだ。 チクショウ。 サモン・サー...
  • DIOが使い魔!?-59
    「……一体、これはどういう事だ?」 場所は『女神の杵』亭の中庭。 かつては貴族たちが集まり、トリステインの王が閲兵を行ったという練兵場跡で、ワルドはDIOと向かい合っていた。 しかし、ワルドが決闘に備えて緊張した趣であるのに対し、DIOはいつもと変わらない佇まいである。 何よりの違いは、DIOの放つ空気だった。 決闘などする気など全く感じられない、緩かな雰囲気。 その代わりに、DIOの隣に立つ一人の少女が、全身に闘気を纏わせているではないか。 これでは、まるで少女の方が決闘に臨むかのようである。 「ワルド、来いって言うから来てみれば、そのメイドとチャンバラする気なの?」 思ったことをそのまま述べたのは、ルイズであった。 彼女はこの決闘の介添え人として、ワルドに呼び出されたのであったが、 早い時間に起こされた彼女は、機嫌がよろしくなかった。 ...
  • DIOが使い魔!?-25
    DIOは、ギーシュが倒れるのを見てから、一歩一歩ゆっくりとギーシュに近づいた。 うつ伏せに倒れるギーシュは、身を捩って喘いだ。 全身をくまなく苦痛が襲い、涙が溢れる。 気が触れる寸前だった。 そんなギーシュを、DIOは見下ろす。 片膝を地面につけ、ギーシュの肩にポンと手をおいた。 「『安心』しろよ小僧。 今すぐ医者に見てもらえば、助かるさ……多分な。 ほら、見ろよ。心臓も肺も無事だぞ?よかったな」 既にギーシュは目の焦点が合っていないのだが、そんなことはDIOには関係なかった。 「なぁ、小僧。俺は知っているぞ。俺のこの状態は、決して長続きしないことを。 …恐らく、ほんの束の間さ、俺がこうしていられるのも。 すぐに元の木阿弥さ。 わかるんだ」 ギーシュは急性出血からショックを起こし、体がガクガク痙攣している。 「今...
  • DIOが使い魔!?-57
    重なりかけた二つの月が、科学の匂いを感じさせないハルケギニア大陸を仄かに照らす。 無事にラ・ロシェールに到着した一行は、ワルドの提案により、 その街で最上等の宿である『女神の杵』亭に泊まることとなった。 殆ど貴族達しか利用しないこの宿は、顧客層に合わせて、大層豪華な作りをしており、貴族達の自尊心を十分に満たすものであった。 その『女神の杵』亭のロビーの一角に、DIOはいた。 貴族の証であるマントを纏っていないにもかかわらず、使用人を従えているこの男の存在に、 他の客たちは揃って訝しげな表情をした。 しかし、それもほんの一時のことであった。 男の振る舞いが余りに堂々としていたことが、主な理由であった。 顔が映るほどピカピカに磨かれたテーブルを前にして、気後れするどころかふんぞり返るなんて、平民に出来るはずはなかったからだ。 テーブルに置かれたワインボト...
  • DIOが使い魔!?-43
    DIOは、キュルケの場の空気を読まない発言のせいで、 力が抜ける思いだったが、 気持ちを新たに2本の剣をじっくりと眺めた。 やがてどちらを最初にするのか決めたのか、 その内の1本を手に取ると、 フーケに向けて槍投げよろしく投擲した。 意外な行動に少々驚いたフーケだったが、 流石は百戦錬磨といったところか、 弾丸のように回転しながら向かってくるソレを、 残ったゴーレムの片腕で、やすやすと叩き落とした。 "パキィン!"という甲高い音とともに、 投擲した剣は脆くも砕け散った。 だが、せっかくの武器を破壊されたというのに、 DIOは涼しい顔をしている。 「うむ、やはりか。 ルイズめ………まだまだ子供か。 ナマクラを掴まされおって」 果たして投擲された剣は、 ルイズが結構な金(といっても裏金だが)...
  • DIOが使い魔!?-7
    四方八方から襲いくる触手に、キュルケは辟易していた。 もともとこんなチマチマした闘い方は、彼女の流儀ではなかった。 『微熱』の名の通り、周囲もろとも焼き尽くしてしまいたかったが、ルイズがいる手前、そうもいかなかった。 1つ1丁寧に確実に触手を捌いてゆくキュルケだったが、徐々に枯渇してゆく魔力が彼女を焦らせた。 (~~~ッッッ反則じゃないの……!!) 再生能力。 いくら魔法で焼こうとも、焼いてる側から復活してしまう触手に、ウンザリしつつも、ジリジリと下がってゆくが、ハッキリした後退のチャンスを掴めずにいた。 そうこうしていると、先に痺れを切らしたルイズが、前に出た。 キュルケが聞いたのは、レビテーションの詠唱だった。 こんな状況ではあまりに場違いなルイズの選択に、一瞬怒声をあげようとしたが、それよりもルイズの詠唱が終わる方が早かった。 何し...
  • DIOが使い魔!?-22
    学院長室への階段。 ミスタ・コルベールは、左足を若干引きずりながら一歩一歩上っていた。 時々左足に痛みが走る度、彼は三日前にその傷をつけた、ミス・ヴァリエールの使い魔を思い出す。 初めはただの死体だと思っていたソレが動き出し、あまつさえ自分に牙をむいた様を。 それをいなせなかった事実は、単純にコルベールに驚きを与えていた。 (私も、ヤワになったというわけですかな……) が、同時に彼は、その使い魔に対して非常に強い興味を抱いていた。 首だけでも活動し、メイジにケガすら負わせる異形に。 コルベールは好奇心の強い人間だった。 襲われたことに怒りを覚える前に、興味を感じてしまっている自分を皮肉りながら、コルベールは学院長室の扉を開けた。 「失礼いたします、学院長」 コルベールが学院長と呼ぶ人物、オールド・オスマンは、窓際に立ち、腕を後ろに組んで、重々...
  • DIOが使い魔!?-19
    クラスメイト達は、『ゼロ』が錬金の魔法を行うと知ると、いっせいに机の下に潜り始めた。 皆、これから何が起きるのか、経験から分かっているのだ。 しかし、近年ルイズの魔力は上がる一方である。 そのたびに規模が拡大してゆくルイズの失敗魔法に、生徒達は自分たちが非難する石造りの机に頼りなさを感じ始めていた。 マリコルヌもその1人であった。 彼はルイズが立ち上がるのとほぼ同時に、真っ先に机の下に避難した人間だった。 我も我もと自分の机に潜り込んで来るクラスメイト達をうっとおしく思いながらも、これから起こるショウタイムに期待と、ほんのちょっぴりの不安を感じていた。 ふと目線をあげてみると、ルイズの呼び出した使い魔の平民が、依然変わらず本を読んでいた。 "こいつ、さては知らないな"と思いながら、マリコルヌはその男を冷やかした。 「おい、平民!...
  • DIOが使い魔!?-60
    ワルドの叫びを背景に、シエスタは幾分離れた場所で体勢を立て直し、ムクリと起きあがった。 見る者に清潔感を与えるはずのメイド服は、地面を盛大に転がったせいで、 目も当てられない様相を呈していた。 服の所々が擦り破れ、埃にまみれている。 しかし、シエスタは服を払うどころか、一瞥すらしなかった。 今は戦いの真っ最中。服を気にしている余裕はない。 シエスタの放つ空気が、そう物語っていた。 「ぐぬぬぬぬぅ……ギッッ!!」 己のひしゃげた右腕を庇いつつ、ワルドは低く唸った。 呼吸は荒く、顔面に滲み出た汗がボタボタと地面に滴り落ちる。 先程の一撃で体中が痺れているという事実に、ワルドは今更ながら戦慄した。 (バカなッ……! こんな非常識……死、死んでしまうぞッ……! こんなの有り得るか!!) 彼女の腕力に予め気付いていれば、それなりの対処も...
  • DIOが使い魔!?-56
    「おや、『風』の呪文だね……うぷ…」 シエスタによる公開屠殺を強制的に見せられて、今にもゲロを吐きそうな顔をしていたワルドが、 青い顔をしたまま呟いた。 未だに鉄錆にも似た異臭が漂う死地に、ばっさばっさと翼を羽ばたかせる音が響く。 どこかで聞いたことのある羽音だった。 「シルフィード……だったかしら」 名前はともかく、確かにそれはタバサの使い魔の風竜であった。 重なりかけた月を背景に、悠然と空に浮かぶ幻獣。 そのシルフィードが、何故この場にいるというのか。 ルイズの疑問に応えるように、風竜はゆっくりと地面に舞い降りた。 場に満ちる死臭が、人間の何倍もの嗅覚を誇る風竜の鼻を襲い、 シルフィードは実に嫌そうな顔できゅいきゅい鳴いた。 その風竜の背には、主人であるタバサの姿。 パジャマ姿のまま、本を読んでいる。 さっきシエスタを吹き飛...
  • DIOが使い魔!?-32
    武器店からでてくるルイズとDIOを、見つめる二つの影があった。 キュルケとタバサだ。 先程店内から爆発らしき物音がしてから、キュルケはあたふたとしていたが、 店から出てきたルイズは別段異常はないようだったので、ホッと一息ついた。 「ルイズったら、武器なんか買い込んでどうする気かしら…」 キュルケはその場を行ったり来たりしながらボヤいた。 一方のタバサは先程からルイズの後ろに従って、剣を担いでいるDIOに目が釘付けだった。 風竜のシルフィードは、暇そうに高空をぐるぐる回っている。 もう、これ以上つけまわす必要は無さそうだ ―――本を両手で胸に抱えて、タバサはそう考えた。 『土くれ』のフーケとやらが暴れ回っている近頃では、貴族がその従者に武器を持たせるのが流行っている。 ルイズもご多分に漏れず、その流行に乗ったという所なのではないだろうか? ...
  • DIOが使い魔!?-38
    翌朝、何とか動けるようになったロングビルを御者役に、一行は出発した。 馬車といっても、屋根のない、荷車のような馬車である。 襲われたときに、直ぐに迎撃出来るようにとのことだ。 その馬車の上、ルイズは歯ぎしりをし、 かつてないほどの憤りを感じていた。 何たってこんな事になったのか…………馬車に乗っているのは、 ルイズを含めて、四人に増えてしまっていた。 ルイズと、DIOと…………キュルケとタバサだった。 早朝、馬車を待っている2人の前に、 何処から聞きつけたのか、オスマンとともに表れたのだ。 「この2人は、そなた同様、 フーケ拿捕に、貴族の誇りをかけると申しておる。 同行させるのじゃ」 そういうオスマンに対して、まさかNOと言えるわけがない。 ルイズに選択肢は無かった。 結局、ルイズの返答を待つことなく、2人は堂々...
  • DIOが使い魔!?-31
    (ちい姉さま……おかげで助かりました…!) ルイズは心の中で、久しく会っていない姉に感謝を捧げた。 心の中の姉は何故か "Oh, my GOD!!"と嘆いていた。 まだ何かやり足りなかったのだろうか? しかし、いつまでも値段交渉を続けていくわけにはいかない。 時間も無限でないし、このあとDIOの服を買いに行かねばならないのだ。 ルイズはそう判断すると、懐から小さな袋を取り出し、中に入っていた金貨30枚ばかしを机にばらまいた。 「これで、足りるかしら?」 オヤジは眉をしかめてズイと身を乗り出した。 「おいおい。冗談はよしこちゃんですぜ、貴族の旦那。それとも頭脳がマヌケになっちまったんで? あっしはエキュー金貨で千百五十って……」 ウンザリといった風でパイプを口に銜えなおしたオヤジだったが、机の上の金貨をメガネをか...
  • DIOが使い魔!?-39
    「えぁ…………あいう」 意表を突かれたロングビルは、間の抜けた声しか出せなかった。 「どこに行くのかな? かな?」 再度、問い掛けるルイズは、ロングビルの目をのぞき込んだ。 鳶色の大きな大きな瞳が、ロングビルを射抜いた。 まるで、今日の夕食は何?と聞くかのような、軽い調子だが、 肩から伝わる力が、有無を言わせぬ迫力を醸し出している。 "メコッ"と、ルイズの片手が肩にめり込んで、ロングビルは激痛に喘いだ。 とてもじゃないが、身長153サントの、 小柄な少女が持つ握力とは思えない。 「そそそそその、て、て、て、偵察に、行こうと、思いましたの!ええ!」 「でも、1人だと危ないですわ、ミス・ロングビル。 フーケが潜んでいるかもしれませんもの。 今は、バラバラになることは避けるべきですわ」 ...
  • DIOが使い魔!?-18
    魔法学院の教室の1つ。 ルイズ達二年生は、今日はここで『土』系統の魔法の講義を受けることになっていた。 皆、様々な使い魔を連れていた。 キュルケのサラマンダーをはじめとして、フクロウや、カラスや、ヘビやドラゴンや…実に多種多様だ。 召喚が終わってから初めての授業、本来なら使い魔の見せ合いで騒がしくなるはずなのだが、 彼らは今日は一段と静かだった。 皆、1人の生徒の登場を待っていた。 『ゼロ』のルイズ。 魔法を全く使えない彼女が、サモン・サーヴァントでとんでもない化け物を呼び出し、挙げ句の果てにコルベール先生に重傷を負わせたらしいという噂が、まことしやかに囁かれていた。 目撃者の証言によると、彼女が召喚したのは化け物ではなくて『死体』…それもバラバラの… だそうだが、彼らの叫びは他の生徒の、常識という箱に入れられ、蓋を閉められた。 大体の生徒は、化...
  • DIOが使い魔!?-54
    怒りという攻撃的な感情は、恐怖という守備的な感情を容易く塗りつぶしてしまう。 ギーシュがこういう行動に出ることは百も承知だったのか、 ルイズはとっくに杖を構えていた。 呪文など、ギーシュのビチグソ発言と同時にほぼ終了させている。 今のギーシュは忘我状態であり、彼が操るワルキューレも動きが直線的だ。 これは最初から決闘などではなかった。 ルイズの憂さ晴らしという名の出来レースであった。 だが、ギーシュのワルキューレ達がその間合いに入る前に一陣の風が舞い上がり、 ワルキューレを吹き飛ばしてしまった。 「誰だッ!」 ギーシュは激昂してわめいた。 もう少しであの憎きビチグソを、こうしてああしてヘラヘラアヘアヘ……etc. な所だったに! という具合だ。 ギーシュの喚き声に応じるように、朝靄の中から一人の長身の貴族が現れた。 立派な羽帽子...
  • DIOが使い魔!?-34
    早朝、ルイズ・フランソワーズは、蜂の巣をつついたような喧騒に、目を覚ました。 こんな朝っぱらから騒がしい… そう毒づいて、眠い目をこすりつつ、耳を澄ませる。 どうやら、外の廊下を学院中の教師たちがバタバタと走っているようだ。 皆口々に何かをわめいている。 ルイズはネグリジェのままベッドを下りて、扉に耳を当てた。 教師たちが『一大事!』やら、『宝物庫に賊が…!』やらといった内容を言い合いながら、 ルイズの部屋の前を通り過ぎ、本塔へ向かっているようだ。 ルイズの顔から、さぁっと血の気が引いた。 振り返って、自分の部屋を見る。 部屋の中は、DIOが宝物庫からパチってきた宝で一杯だ。 …………とうとうバレたか? ルイズは死にたくなった。 無論、今の今まで問題を先延ばしにしていたのは、ルイズ自身だ。 次から次へと増えていく宝の山に、最初は...
  • DIOが使い魔!?-55
    魔法学院を出発して以来、ルイズ一行は途中で馬を交換しつつ、ほとんど休み無しで駆け続けた。 そして魔法学院を出発して以来、ルイズは怒鳴りっぱなしであった。 いつの間にまた女の子に唾を付けていやがったのか! いつの間に合い鍵なんて作っていやがったのか! いつのまに……! いつのまn…… ……以下略。 あまりの剣幕に、乗っていた馬がビビって疝痛を起こしてしまうほどであった。 単純な独占欲から飛び出した文句の一つ一つに、 DIOは誠実(に思えるよう)な回答を心掛ける。 しかし、その裏腹に存在する白々しさをルイズは敏感に察知し、怒りを増大させるのであった。 怒鳴りすぎて少しインターバルを取ることにしたルイズに、ワルドのグリフォンが近寄った。 「君は、やけにあの使い魔を気にしているね。 一体何があったんだい?」 冷や汗を流しながら笑うワルド...
  • DIOが使い魔!?-40
    ルイズ暗殺を首尾良く済ませたフーケは、残りの連中を続けて暗殺するために、元来た道を戻ることにした。 あの連中の中で、最も警戒すべき人間2人の内の1人を始末ことができて、フーケは幸先の良さを感じていた。 年端もゆかぬ少女を無惨な目にあわせたのは、さすがに後味が悪かったが、 生憎とルイズは知りすぎていたし、情けを掛けるほどの余裕もなかった。 フーケはひとまずルイズの事を頭から追いやり、 これからの行動を慎重に吟味しはじめた。 現在、『破壊の杖』を所持しているのは、故ルイズの使い魔のDIOである。 フーケが、最も警戒すべきとしている人物の、2人目であった。 しかし、今や故ルイズは始祖ブリミルの下に召されている。 従って、DIOと故ルイズとの契約は、破棄されてしまっているはずだ。 つまり、DIOにはもう、『破壊の杖』を守る必要など無いのだ。 ならば、わざ...
  • DIOが使い魔!?-52
    「……あなたは?」 ルイズが疑問の声をあげたが、 頭巾の少女は口元に人差し指を立てた。 静かにしろと言いたいらしい。 こんな夜更けに突然押し掛けてきて、 なんて図々しいとルイズは眉をひそめた。 挙げ句このルイズ・フランソワーズに命令をするとは。 心の底で徐々に敵意を抱き始めているルイズをよそに、 真っ黒な頭巾の少女は、同じく真っ黒なマントの隙間から、 杖を取り出した。 ―――それをルイズが見逃すはずがない。 敵意が一足飛びで殺意に変わったルイズの行動は迅速だった。 頭巾の少女がルーンを呟こうとする前に、 ルイズは少女の口元を押さえた。 反射的に悲鳴を上げようとした少女だったが、 それは苦痛の喘ぎ声に取って代わられた。 杖を持つ少女の手首が、ルイズによって鷲掴みにされたのだ。 ギリギリと万力のような力で締め付けられて、 ...
  • DIOが使い魔!?-45
    冷酷な予告と共に、ルイズは『破壊の杖』を両手で構えた。 威圧的にフーケを射抜くルイズの目は、 完全にイっている。 ……………本気だ。 それを横目で確認した瞬間、 フーケは最後の賭けに出ることにした。 ルイズは、『破壊の杖』を使うつもりだという。 それは良い! 使え使え、使うが良い! 使うには、DIOがやってみせたように、 セッティングに時間が掛かるはずだ。 今ならまだ自分の方が早い。 今だ、フーケ。 自分にとってのここぞという瞬間は、今なのだ。 大丈夫だ。 こちらには、さっき仕掛けた布石がある。 今。 …今だ! フーケは自分にそう奮い立たせ、次の瞬間、 バネ仕掛けのオモチャのように跳ね起きた。 それと同時に杖を構え、ルイズに向ける。 しかしルイズは慌てない。 まるでそれが予め台本に書き定められていた ...
  • DIOが使い魔!?-41
    ルイズは木々の間をかいくぐり、猛然とゴーレムに突撃した。 フーケの作り出したゴーレムは、 ルイズが一歩足を踏み出す度に、視界いっぱいに、グンと大きくなっていく。 これだけ大掛かりな魔法は、いくら『トライアングル』クラスといえども、 そうそう気軽に使えるものではない。 フーケはあのゴーレムで、全てを終わらせるつもりなのだ。 そのせいでキュルケ達にバレるのが早まってしまっただろうことは、 愚かと言えば愚かだが、 逆にそれは自信の表れでもある。 一筋縄ではいかないだろう。 盗賊は、よほど成功の確信がないかぎり動かないのだから。 暫く駆け、視界にもはやゴーレムの股下しか映らないほどまでにルイズが接近すると、 それまで沈黙していたゴーレムが、その大木と見紛うほどの右腕を振り下ろした。 もちろん、その途中で拳が鋼鉄の塊に変わるというオマケ付きで...
  • DIOが使い魔!? 親友-3
    タバサの結界が、キュルケを飲み込む。 氷の矢などという程度ではすまされない攻撃であった。 一本一本が氷槍(ジャベリン)と見紛うほどに大きく、鋭い。 遍在の力を借りて、三人掛かりで呪文を組んだからこその威力だった。 それが三百六十度、ありとあらゆる方向から、雨あられとキュルケに迫る光景は、 磁石に群がる砂鉄のようでもあった。 森の一角、半径二十メイルが白一色で塗り潰される。 その中心に、キュルケはいた。 喉に押し当てられる死神の鎌の冷たさを、痛いほどに感じながら、彼女は耐えた。 耐えるしかなかった。 炎のバリアが球体となって、襲い来る矢から彼女を包み守る。 しかし………… 「アァアアアアアアアアア……!!!」 溶かしきれなかった氷矢の幾つかが、容赦なく炎のバリアを貫通し、 キュルケの全身をくまなく切り刻んだ。 いつ終わるともし...
  • DIOが使い魔!?-5
    "モゾッ"という感覚が、ルイズの手の中で起こり、ルイズはキュルケ達の方を向いたままビクリと凍りついた。 三人の訝しげな視線が突き刺さるが、ルイズはとてもじゃないが声なんかあげられなかった。 ナニカが自分の中で蠢いている……… まさか。自分が手に持っているのは死体の、それも頭部だけだ。 頭だけで動くなんてありえない。ナンセンスだ。しかし相も変わらず自分の手からはナニカが動くモゾモゾとした感触がある。 ま  さ  か………ゴクリとルイズは唾を飲み込んだ。 ルイズは今度ばかりは自分の最悪な未来像が正しいであろうことを感じた。 確認したくない。 このままこの頭を放り出してケツを捲ってしまいたい。 そう思ったが、確認しないわけにはいかない。 自分はこの使い魔の御主人様なのだ。 使い魔に怯える主人がどこにいる。 "...
  • DIOが使い魔!?-1
    「―――では、ミス・ヴァリエール。召喚の儀式を」 「はい……!!」 ついに自分の番がきた――――――期待と不安と興奮がないまぜになり、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは身を固くして教師の呼びかけに応じた。 これから、一生を共にする自分の使い魔を呼び出すのだ。 緊張して当然である。 が、今彼女が感じている緊張は、他の同級生とはベクトルが違った。 『ゼロのルイズ』 それが示す事柄はすなわち、貴族にとって不可欠な、魔法の成功確率の『ゼロ』の揶揄である。 口惜しいことに、原因は不明。 同級生に『ゼロ』と笑われる度に、プライドの高い彼女は、はらわたが煮えくり返る思いをしたものだった。 だが、自分が今まで魔法を使えていないのは事実。 今回の儀式もまた失敗するかも知れないという恐れこそが、彼女の緊張の源だった。 しかし、 ...
  • DIOが使い魔!?-6
    四人は目の前の出来事に我が目を疑った。 そこでは世にもおぞましい光景が広がっていた。ゴロリンと横に転がっている生首の切断面から、植物の蔓のような、しかし人間の肉を連想させる生々しい触手が、無数に生えてきたのだ。 それに伴う"ビュルビュル"という嫌な音も相まって、四人は嫌悪感も露わに身構えた。 何もかもが未確認な生物なのでソレが次に起こす行動が予測出来なかった。 ---ドスドスドスッと触手の何本かが地面に突き刺さり、それを支えにした生首が宙に浮かび、四人を見下ろす形となった。 「GRRRRRR……」 低い唸り声に四人の産毛が逆立った。 どう考えてもこちらと友好的な関係を築くつもりはなさそうだ。 そもそも理性があるのだろうか。 --考えている暇はなかった。 目の前の生首が、こちらに向かってすさまじい速度で無数の触手を伸ばし...
  • DIOが使い魔!?-4
    こうして間近で見ると、やはりこの死体はただものではないとルイズは感じた。 死体の癖に何とも怪しい魅力を放っている。 それに……その…コレの近くにいると、おかしなことに、何と「心が安らぐ」のだ。 死体なんて、気持ち悪いだけのはずなのに………もっと近くにいたいと思ってしまう。 コレに自分の全てを委ねたくなる衝動を、ルイズは主としてのプライドで必死で抑えた。 深呼吸。 「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ。」 契約の呪文を唱え、目を瞑り、唇を重ねる。 その口付けはしかし、契約の儀式という形式的な物の割には、そして16歳の生娘が初めてする割には、些か情熱的に過ぎる物だったが……… 不意に "ズキュウゥゥン!!!" ...
  • DIOが使い魔!?-13
    掟破りの二重契約。 ルイズが行った最終手段とはそれであった。 その名の示すとおり、使い魔との契約を重ね掛けする術。 古今東西、あらゆるメイジの歴史の中で、1度契約を交わした使い魔を御せられなかったという話など、ルイズは聞いたこともなかった。 どんな凶暴な魔獣であれ、契約すればペット同然に扱える。 それほどまでに、サモン・サーヴァントとは強制力を持った儀式なのだ。1度以上の契約など、必要ないのだ。 しかし、ルイズは今回自ら二重契約を行った。 つまり、自分には使い魔を制御する力がありませんと認めるようなものだった。 貴族として、メイジとして、そしてヴァリエールの娘としての恥だ。 だからこそ、これは最終手段だったのだ。 自分の名誉にかかわる。 それに、二重契約には落とし穴があった。 確かに、二重契約を行えば使い魔との繋がりが強力なものとなり、制御も...
  • DIOが使い魔!?-11
    背後から飛来した氷槍は、一発の無駄もなく、ルイズを縛る触手を断ち切った。 次第に晴れる爆煙のなかを、タバサが駆け寄ってきた。 「タバサ、ナイス!!」 細かいことを任せれば、天下一品のタバサに、キュルケは感謝した。 タバサはそれに答えることなく言った。 「今のうち。早く逃げる」 上空から、タバサの使い魔である風竜のシルフィードが舞い降りてきた。その背中には、意識を失ったコルベールを乗せている。 シルフィードで空へ逃げるということか。 キュルケは地面に倒れ伏すルイズに駆けより、その傷だらけの体をソッと抱き上げた。 しこたま吸血されたせいか、ルイズの体は羽根のように軽かった。 (……かっこ…つけて……) 泣いてる暇はない。 ルイズを抱えたキュルケは、シルフィードの元へ駆け寄った。 タバサはすでにシルフィ...
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