第二次帝都攻防戦
マイスナーの目的は、世界を手中に収めた後、自身に流れる血脈をもって
現行の哭ニヴルヘイム大公国とは隔絶した国家にして、
神聖
ユグドラシル帝国の歴史を塗り変える新国家"新生ニヴルヘイム大帝国"による世界統一であった。
皇帝不在という非常事態の中、
久平解放と
ソレグレイユ征伐を達することができれば、
『帝国を勝利に導いた英雄』として自分を崇め讃えるであろう愚かな臣民達と
既に支配下に置いている議会によるプロパガンダ、そして世界制覇の達成という大義の下に
己を君主と奉じる新国家の樹立も可能である、とマイスナーは考えていた。
しかし、その目的を成し遂げるためには、なんとしても排除しておかなければならない要素があった。
それは、
帝都を脱して以来何の音沙汰もなく、
バビロンやハサンの諜報能力を持ってしても一向に消息を掴めない若き皇帝
アーサー・フォン・ユグドラシルと"
教会"の
悪魔祓い達の存在であった。
たとえ影武者を用意し、民を欺いたとしても、アーサー本人が存命であり、
その手に帝権の象徴とも言える『聖剣エクスカリバー』がある以上、
いつか帰還した皇帝と悪魔祓い達が、我の野望を阻むために兵を挙げることは十分に起こり得る。
否、中立と反戦を掲げる"教会"が『皇帝誘拐』などという暴挙に出た以上、そうなることは必定である。
そのような確信とも言える疑念を抱いていたからこそ、マイスナーは大戦中も執拗にアーサーの行方を捜し、抹殺しようと企てた。
そのために、自らが討たれる危険を承知で戦場となった
メルシュテルでの攻防を指揮し、
アーサーを誘き寄せることまでした。
ただ、その結果は、
不意打ちによる予想外の敗北に終わるものではあったが……。
メルシュテルでの総力戦、
二度目の悪魔の襲来とソレグレイユとの共闘を経て、事実上、
第二次文明戦争は終結する。
そんな世界の歴史の一区切りを他所に、帝都では後世『ユグドラシル騒乱』と呼ばれることとなる戦いにも
終止符が打たれようとしていた。
帝都ファンタズム郊外では両軍の睨み合いの末、『第二次帝都攻防戦』の火蓋が切られた。
数的にも練度の上でも有利なアーサー率いる皇帝軍が優勢に戦いを進めたが、
マイスナー軍もまた生成途中だった未完成の
D3兵器までも投入してこれに対抗するという、正に総力戦であった。
しかしそれらは未完成だったために不安定な精神を自壊させ、暴走と戦闘による破壊の末、全て打ち倒されてしまう。
同日中に帝都郊外での戦いは決し、マイスナー軍は帝都内部まで後退する。
戦時には堅牢な要塞と化す帝都外縁部に聳える
ヴォルグナ水門は、その名に恥じない堅牢な盾として外敵を寄せ付けなかった。
この『ヴォルグナ水門の戦い』でアーサー軍は苦戦を強いられるも、
通路の構造を熟知した者に先導させ、水門制御室への奇襲を決行する。
その間、アーサー軍側にもマイスナー軍からの夜襲が行われたが、明朝、水門制御室を制圧し、これを無力化。
アーサー軍は帝都内部へと突入し、戦場は市街地に移行する。
攻防戦直前の大将軍
イザベルの裏切りもあって、将校から一兵卒に至るまでその混乱は波及し、
マイスナー軍内部の士気にも支障を来していた。
「これが彼の簒奪者の率いる軍隊なのか」という程に呆気なく、アーサー軍は肩透かしを食らったかのような快進撃を続ける。
アーサー軍の怒涛の勢いは止まること無く帝都全域へと行き渡り、
既に指揮を失っていたマイスナー軍は各個撃破され、戦意を喪失した兵は次々と投降した。
臣民の避難もそこそこに、北の防衛地区の攻略と臣民の多くが居住する
南地区の解放、
東西地区の奪還において、各部隊がほぼ作戦行動を終えようとしている中、
アーサーはイザベルに軍の指揮を任せ、自らはラウンズや騎士団の精鋭数百を率い、
中央地区
リヴェルティアにある皇帝府
エルネセウムを目指す。
最終更新:2016年02月28日 11:17