深夜の見滝原は無論、昼間よりも人気がないものの。今夜に至っては騒がしい。
他にもサーヴァントが暴れており、消防車か救急車か。どちらか分からない音色が響き渡る。
ある程度、足先を進めていた少女・桂木弥子は周囲を警戒し、順調に自宅へ向かっていた。
弥子の傍らで共に並ぶアーチャーの箒に、洗濯物を干すみたいに少年・アイルは乗せられている。

非常に開けた場所で、誰かが居ればアーチャーの宙を浮く箒に注目する恐れがあった。
弥子はいよいよ立ち止まり、アーチャーと深い眠りに沈むアイルを振り返る。
不安を帯びて弥子が尋ねた。

「このまま大丈夫かな……?」

アーチャー……霧雨魔理沙は険しい表情で周囲の感知をする。

「サーヴァントも使い魔の気配もないぜ。少なくても私達の近くに限ってだが」

「この人のサーヴァントも?」

アイルを横目にやる弥子に問いかけ。
それに対しても、魔理沙が表情を崩さずに答えた。

「本当にアサシンだったら気配遮断で感知は出来ない。何とも言えないな」

「そっか……」

「まぁ、少なからずサーヴァントと出くわす覚悟はした方が良いぜ」

弥子は思案する。
彼女も奇妙な体験をした身、聖杯戦争で決断一つが重要である事を承知していた。
サーヴァント同士の戦闘。
改めて、平凡かつ普通の弥子にはついて行けない現実が突き付けられた。

しかし。

彼女の腹の虫が訴えるかの如く、耳障りな音を静寂の夜を切り裂くように長々と響かせた。
桂木弥子は、空腹だった。空腹、よりもエネルギー不足だろう。それも生命の危機に瀕するレベルの『空腹』である。
魔理沙が用いた魔力消費や、サーヴァント同士の戦闘から離脱できた安心感のせいか。
腹が鳴る音は異常を極めていた。
流石の魔理沙も呆れではなく、深刻気味に唸った。

「悪い、つまみ食い用のキノコはさっきマスターが食べた分で終わりだぜ」

「だよね。うう……食べるしかない………」

涙を浮かべつつ弥子は、クーラーボックスを開けて釣りあげた魚――大き目の鯉を一匹手に取る。
魔理沙は慌てて静止する。

「おいおい! そのまま食うのはやめろって」

「もう限界!!」

「こんなんに魔力を使いたくなかったけど――ホラ、これで魚を焼くぞ」

魔理沙が取り出したのは『ミニ八卦炉』。
戦闘でも加速装置っぽい活躍をしたマジックアイテムを、コンロ代わりにするとは夢にも思えない話だ。
実際、ミニ八卦炉は魔理沙が放出する火力を加減出来るので、食料を焼くのは最適である。

味付けも無いに等しいが、とにかく食べなければ動きようもない弥子は仕方ない。
パチパチと鯉が見事に焼けて行く音が、最先端の近未来都市の一角。
誰の姿もないヨーロッパ基調を彷彿させるレンガを敷き詰めた道なりの途中で響いた。

鯉を焼き終えた頃合いには、一旦二人は物影に腰をおろして。
申し訳ないが、寝入っているアイルも道に横たわらせ、一時的な休息とする。
数分も経たない内に、弥子は鯉を完食した。

「ハァ……やっと落ち着いた。ごめん、アーチャー……」

「なら良いんだけどな。他のサーヴァントもこっちに気付いちゃいなかったし
 ……いや、気付いてても戦いに専念してたんだろうぜ」

戦闘。聖杯戦争は刻々に展開を広げている。
無我夢中に弥子が鯉を食している内に、一体どれほどのサーヴァントが己が思惑を胸に行動していた。
死者がいないことを願いたいものの。
弥子達は、重大な危機――飢饉に陥ろうとしていた。

そもそも戦闘が無ければ、最低でも一日分の食料を確保する予定でいたのだ。
また日を改めて釣りに……いや池の釣りは難しい。沿岸側で試みる他ない。
何より。
今日一日食料はどうするべきか。圧倒的に『足りない』。
主催者が提供した主従関係を深める為の準備期間で、すでに残金は0に近いほど使い果たしてしまったと言うのに。

先を見据えると、更に悲しさが増す弥子。
誰かに食べ物を恵んで貰いたいものの、欲する量が圧倒的に『普通』を凌駕している。
彼女へ救いの手を差し伸べる者はいるのだろうか?


「……つくづく理解できない点が多い」


そう誰かが語る。
アイルでもない、弥子じゃないし、魔理沙でもなかった。
なら、これはアイルのサーヴァントの声か?

「『この』見滝原と呼ばれる街は、聖杯戦争の為だけに用意された舞台装置でしかない。
 幾人かのマスターやサーヴァントの行動から分かる通り。
 僕達は犯罪行為を禁止事項であるとは一言も注意していないにも関わらず……
 桂木弥子。君は人間特有の『良心の呵責』で食料を盗むのを躊躇し続けている。死に直面する状況であっても」

トコトコ、そう効果音を鳴らし歩んでいる風な一匹の白い獣が現れた。
猫?に近いだけで、異なる生命体だろうが、少なくとも弥子や魔理沙の知識にもない存在であった。
白い獣が語り続け。
そして、気配もなく出現した獣を、弥子と魔理沙は注目せざる負えない。
困惑と警戒を渦巻く彼女達を余所に獣は愛想良い態度で告げた。


「僕の名前はキュゥべえ。君を助けに来たんだ、桂木弥子






生生しい現実だが『キュゥべえ』と自称する謎の獣が差し出してくれたのは『現金』。
基本的に、一個人を擁護する行為は主催側は行わない。不公平だからだ。
だが、桂木弥子の救済措置は『彼女の不公平』を他のマスターと公平にする為に行うらしい。

「僕達は常に見滝原全土を監視し、観察し、状況を把握している。
 検討の結果。桂木弥子、君は肉体の燃費消耗が平均よりも異常に悪いと判断させて貰った。
 この『食料資金』は存分に使用して貰って構わない。食料問題に再び直面した際も、最低限のサポートはすると約束しよう」

「え……えっと。ありがとう、ございます……?」

可愛らしいマスコットにお礼を述べるのを、弥子は現実味ない感覚で戸惑い気味だ。
魔理沙は、如何にも怪しんでキュゥべえをジト目で眺める。

「後から高額請求しないって保証はあるのか。大体、ホントにお前……主催関係者?」

「そうだね……」

キュゥべえは意味深に間を置いてから答えた。

「まず、君のマスター・桂木弥子のサポートに関しては十全に行うと誓おう。
 この事を次の定時通達に触れておこう。それで信用してくれる筈だ」

「なら昼までは分からんな。じゃあ、さっきお前もベラベラ喋った通り、
 私達が食べ物を盗む可能性もあった。それを待たなかったのは何故だ?」

「君たちが食料を盗む可能性は0に等しいと判断したまでだ。最もこれは『僕達』の意見ではないのだけどね」

呑気に毛づくろいする仕草を見せ、キュゥべえは続ける。

「僕達は聖杯戦争を完遂させなければならない。
 その過程で『マスターの餓死』と言うイレギュラーな脱落は、最低限回避したいんだ」

「完遂ねえ……率直にお前たちの目的を聞かせて欲しいんだが」

「ちょ、アーチャー」

直球な問いかけに弥子も驚く一方。
キュゥべえそのものが、特別目につく反応を起こす事は無い。不気味なほど淡々と。
感情らしい素振りも見せずに、機械的な返答をした。

「残念だけど、その質問は答えられない」

「ふうん」

「誤解しないで貰いたいから、これだけは教えよう。僕達の目的を君たちに明かしても格別支障はない。
 むしろ、明かした方が君たちは納得して貰えると推測している」

「お前の言い分がますます分からん」

「ある事情で君たちに情報を開示する事が出来ないんだ」

キュゥべえの言葉を聞いても、弥子と魔理沙は理解と納得に無理がある。
恐らく、キュゥべえも彼女達の心情を察しているだろう。
ただ、如何なる手段を用いても情報開示は叶わない意志表示だけは明白だった。
これ以上、何を質問しても『無駄』だと。

「僕の役目も終わった。向こうに戻るとするよ。桂木弥子、君の健闘を祈る」

闇に溶け込むように踵返す獣を、魔理沙は見届けるだけにする。
主催側の存在とはいえ、まだ仕掛ける時じゃない。
弥子の食料事情が皮肉にも改善された以上、無理に敵対してはならない相手なのだ。
ポンと呆気ないほど容易く増えた現金を眺め、キッチリ仕舞い込んでから弥子は魔理沙に聞く。

「アーチャー……さっきの生き物?に覚えはある……?」

「キュゥべえ? いや無い。アレこそ使い魔っぽい印象はあるな。口ぶりからして背後に誰か居るんだろう」

キュゥべえは主催側を称していたが、どうやら異なる存在――黒幕がほのめかされていた。
実際、少し言葉を交わしただけであっても。
弥子はキュゥべえが『言葉通じるだけ』の生物で。
まるで個々の中身もない、量産された人工知能と対話するような印象を抱いた。
魔理沙が改めて尋ねる。

「マスターはどう思う」

「……キュゥべえは聖杯戦争の主催側の存在だと思うよ。他のサーヴァントの使い魔って感じはしない。
 ただ。なんだろう。変だけど、本当に嘘はついていないんじゃないかな」

弥子の言葉は、極々稀に鋭い部分もある。
彼女はキュゥべえを純粋に『一つの生命』として注視した視点で語っていた。
使い魔風情程度。勘触る程度にも扱わない人造人間(ホムンクルス)に扱う魔術師のような感覚では想像に至れない領域。
ごく普通の人間だからこその視点。

だが、深く考えても答えは導き出せない。
キュゥべえの、主催者の思惑を無視は出来ないが……それ以前にやらねばならない点が多かった。
弥子は魔理沙に真剣な表情で頼んだ。

「そういう事だから、アーチャー。――――残りの魚、全部焼いて欲しいんだけど」

「おい」






呑気に魚を焼いてる場合じゃないが、手元に十分な現金を確保した意味で、弥子は安心の空腹を感じたらしい。
ただ、調理に時間を裂く訳つもりはなかった。
食料確保ばかりを重視し、空腹で頭が回らなかったからこそ、弥子は冷静に状況を見定める。
今日まで、割と色々あった事を思い出す。

アヤ・エイジアへの犯行予告……相手はよりにもよって怪盗X。
悪の救世主の集会。それは明日、市民ホールで開かれる。果たして彼の救世主は現れるのか?
そう……救世主。

弥子はある程度、焼き終えた鯉を半分ほど平らげた段階で、ピンと脳に一筋衝撃が走った。
討伐をかけられていた救世主。
――ソレに酷似した少年と、昼間に出くわした事を思い出す。
咄嗟に『人違い』で終わらせてしまったが……残った鯉を食べ終えて、弥子が言う。

「ねえ。昼間に会ったセイヴァーに似た人……何だったんだろう」

「あの良く似た奴? 少なくともサーヴァントじゃないけどな」

魔理沙も遅れて反応した。
しかし、実際に彼がマスターだったとしたら。
人気多い商店街で戦闘になりかねない状況だったし、聖杯戦争開始前に戦闘を行えば、あのキュゥべえに指摘されていたかも。

禁止、とは明言されてなかったが。
後から面倒事に成り得る雰囲気も少なからずあった。
魔理沙以外のサーヴァントが、嫌がおうにも大人しかったのは暗黙の了解に近しい。
改めて空腹が落ち着き、弥子は周囲の取り巻く状況に対し考える。少なめの、魔人に言わせればミジンコ並の脳で。

「アヤさんの事は放っておけないよ」

怪盗Xの変身能力は異端でイレギュラーだ。
よっぽど勘の優れた、あるいは看破能力を秘めた英霊でなければ、一度でも騙されること間違いない。
脅威であり、弥子は奇跡的に非現実な事態でXと対峙した事があったからこそ。
対処法を模索しろ、と言われても。
対処のしようがない、が最適解だった。
マスター・弥子の考えを分かるからこそ、魔理沙は頭を抱えた。

「アヤって奴を探すか? Xは探そうにも姿形を変えられるんじゃあなぁ」

「そうしたいけど、アヤさんがどこに居るのか分からないし。全然情報も無いんだよね……だから悩んでる」

「んー……テレビ局で接触する方が確実って事か。あとは―――『暁美ほむら』だな。
 しかし、コッチも見滝原中学はマスターが侵入できない。私は霊体化なり、侵入したって良いけど」

考えに考えた結果。残念ながら、妙案は浮かばない。
むしろ、弥子はどうも最初の『謎』が脳裏に過るのだった。
再度確認として討伐令の写真――『セイヴァー』の姿を見直す。

……似ている?

むしろ弥子が出会った少年が……例えば『成長したら』。セイヴァーに近付くかもしれない。
似ているんじゃあない。
ひょっとして―――まさか『同じ』?
弥子は「ねえ」と魔理沙に呼びかけてセイヴァーの写真を見せた。

「アーチャーが会った『時を止めたサーヴァント』と似ている? それとも……同じ?」

「んん?」

妙な質問だ、と魔理沙は思うが。改めて写真を眺め直す。

「…………『似ている』だな。同じとは思えない。アッチの方が細身だったけど」

「細身?」

「見かけよりも雰囲気が違う気がする」

「そっか」

全ての、最初の謎は『セイヴァー』が関係しているんだろう。
聖杯戦争の根本と関係あるかは不明で、だけど……弥子が巡り合った彼と似た少年も。
魔理沙と対峙したサーヴァントも。
似ているか、同じにしろ。無関係ではないのだ。
最も、討伐令に関する問いかけをキュゥべえが返答してくれる訳がない。


そして……弥子は一つの決断を下す。





「―――報告は以上です。ボス。ですが、奴らが『わざと』間違った情報を流している可能性もあります」

電話(捨ててあった折りたたみ傘)を耳に当てながら、一人の少年が言う。
アサシンの別人格・ドッピオ。
彼もまた、特殊な気配遮断により姿形を完全に消し去っている状態にあった。
ドッピオは、弥子達の情報をボス……即ち、主であるディアボロに伝えている。
彼女らは「ひょっとしたら周囲にアイルのサーヴァントが居るかもしれない」と考慮している筈。
『電話』ごしのディアボロは、冷静に答えた。

『奴が本当にアヤ・エイジアと交流ある人間ならば「まだ」利用価値がある………
 良いか、ドッピオよ。奴らは取るに足らない、聖杯戦争に反旗する側だからこそ「隙」が生じる
 恐らく……奴らは「セイヴァー」との接触を優先する筈だ』

「な、何故セイヴァーに!? まさか、アヤ・エイジアに関する警戒はフェイク……あっ、ボス!」

物影より弥子たちの様子を伺っていたドッピオは、彼女達の動きを見た。
相変わらず、アイルを箒に乗せ。
弥子と魔理沙は徒歩だが、確実にどこかへ向かおうと足先を向けている!

「奴ら、どこかへ向かうようです! こっちの尾行を撒くつもりだ!」

『いいや。違うぞ、ドッピオ! 奴らの行き先は分かる……「見滝原中学」だ』

「え……奴らが? 一体どうして」

『奴らは「情報」を得ていないのだ。アヤ・エイジアの居場所、怪盗Xの所在……話に挙げていた
 セイヴァーに似た連中に関する手掛かりも。奴らが唯一知るのは討伐令にかけられた「暁美ほむら」!』

弥子たちから新たに『セイヴァーに似たマスター』という忌まわしき情報が浮上したが。
アヴェンジャーは間違いなくディアボロ達の追跡を行わず撤退。
彼の行方も不明のままだ。
しかし、あの戦闘からしばらく経過した今まで『時間停止』は幾つか発動されている。


魔理沙とディアボロが出くわしたアヴェンジャーは、理屈に合わず『5秒しか』時を止められない。
逆にセイヴァーは『5秒以上』。
『入門』が容易な時間停止……恐らくマスター側が発動していると思しきものは、何秒どころじゃあない。
アレは魔力次第では数分も簡単な筈。ディアボロの敵ではないが……

一番の問題は『長時間の時間停止』を行ったサーヴァントだった。
どうもソレがセイヴァーの『時間停止』とは比較にならない、高度な宝具だと分析出来るほど。
レベルが違う。
ディアボロの警戒する更なる脅威が浮上したのだ。

(今は確実な脅威の一つ、セイヴァーを抹消しなくては………)

『ジョバーナ』の一族とディアボロが嫌悪する彼らも、あの宝具を黙認する訳がないと想像できるが。
それとこれは別だ。
魔理沙たちを『利用』するように、誰かを味方につける甘い考えは取らない。

『このまま追跡をしろドッピオ! セイヴァーが現れた時、この私がそちらに向かい「倒す」!! 分かったな』

「わかりました……」

ディアボロとの電話が切れる。
手にしていた折りたたみ傘を放り捨て、ドッピオも一つ考えていた。
彼は別人格である以上、彼自身の思考もある。

「ボス……嫌な予感がするのは僕だけですか………『顔が似ている』とか『能力が同じ』とか
 どうしてこうも『セイヴァー』と似た奴がいるのは『何故』なんだ……?」

キュゥべえなる謎めいた使い魔。
大概、胡散臭い雰囲気を隠し切れていないせいも含まれているが。
ドッピオは新たな不安を抱き始めた……






「実際、どうなんだろうな」

魔理沙がぼやく。弥子の『暁美ほむら』との接触を悪くはない。
ただ肝心の暁美ほむらは、見滝原中学に現れるのだろうか?
弥子は、申し訳なく思いながら邪魔になる釣り道具を、あのまま放置して、記憶を呼び起こす。

見滝原中学校。携帯端末で場所を確かめる。
先ほど弥子たちから近い位置で謎の白煙が上がったりして、戦闘の恐れもある方角だ。
避けて、見滝原中学へ向かう場合、遠回りになる。
アイルを連れてゆくなら、尚更ルートはソレで行く事だろう。

「でも……私達に今できる事は、これしかないよ」

「だな。他のサーヴァントとも会えるのを期待するか」

新たなる期待を胸に彼女達が向かう先、そちらに希望なるものがあるとは限らない。



【B-3/月曜日 未明】

桂木弥子@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]魔力消費(小)
[令呪]残り3画
[ソウルジェム]有
[装備]
[道具]携帯端末
[所持金]数十万
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の『謎』を解く
0.見滝原中学へ移動する
1.セイヴァー、あるいは暁美ほむらとの接触
2.アイルとは話をしたい
3.キュゥべえについては……
4.時間が近づけば、アヤの救出に向かいたい
[備考]
※バーサーカー(玉藻)を確認しました。
※セイヴァーに酷似したサーヴァントが時間停止能力を保持していると把握しました。
※アサシン(ディアボロ)に関する記憶は完全に忘却してます。
※主催者側の存在、キュゥべえを知りました。
※セイヴァーに酷似した存在達に何らかの謎があると考えています。


【アーチャー(霧雨魔理沙)@東方project】
[状態]魔力消費(小)
[ソウルジェム]無
[装備]魔法の箒
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:弥子の指示に従う
0.そっくりさんは三人居るってもんだよな
1.見滝原中学へ移動する
2.時を止める奴は信用しない。
3.キュゥべえも胡散臭いな……
[備考]
※バーサーカー(玉藻)を確認しました。
※アヴェンジャー(ディエゴ)を確認しました。時間停止能力を保持していると判断してます。
※アサシン(ディアボロ)に関する記憶は完全に忘却してます。
アイルのサーヴァントがアサシンではないかと推測してます。
※主催者側の存在、キュゥべえを知りました。


アイル@グランブルーファンタジー】
[状態]魔力消費(小)精神疲労(大)熟睡
[令呪]残り3画
[ソウルジェム]無
[装備]
[道具]
[所持金]親(ロールの設定)からの仕送り分
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に戻る
1.セイヴァーの討伐報酬を狙う
[備考]
※ライダー(マルタ)のステータスを把握してます。
※バーサーカー(玉藻)を確認しました。
※ボーマンに乗っ取られている間の記憶はありません。


【アサシン(ディアボロ)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]ボーマンに対する苛立ち、ドッピオの人格で行動中
[ソウルジェム]有
[装備]
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の獲得
1.見滝原中学へ向かう
2.ボーマンの件もあり、現時点ではアイルの周囲に留まっておく
3.セイヴァー(DIO)の討伐を優先にする
4.時間能力を持つサーヴァントは始末する
[備考]
※アヴェンジャー(ディエゴ)の時間停止スタンドを把握しました。
※セイヴァー(DIO)はジョルノと『親子』の関係であると理解しています。
※アヴェンジャー(ディエゴ)はセイヴァーと魂の関係があると感じました。
ホル・ホース&バーサーカー(玉藻)の主従を確認しました。
※弥子&アーチャー(魔理沙)の主従を確認しました。
※『長時間の時間停止』を行うサーヴァント(杳馬)の宝具を認知し、警戒しています。






「さて……君に言われた通りにしたよ」

キュゥべえ。
と、可愛らしい名称を名乗った生物だが、実際は『インキュベーター』なる名を持つ彼らに格別感情は無い。
外なる生命体。死すら感覚に無い、我々人類が『宇宙人』と呼ぶに相応しい存在。

先ほど弥子たちと接触した個体は、見滝原ではない別空間に移動していた。
見滝原で行われている聖杯戦争の観測場。
あらゆる現象、あらゆる状況、あらゆる情報が集束・解析される所。

ここは一種の『干渉遮断フィールド』だ。
無数のインキュベーターがそこに集い、聖杯戦争の観察を続けている。
一方で、見滝原に一度移動したインキュベーターの一体が、ある者に話す。

「僕達としては、桂木弥子の餓死が発生したところで支障はない。
 何故なら、彼女の召喚した『霧雨魔理沙』の情報は戦闘を通して凡そ89%回収し終えていたからね」

それでも弥子の支援を施したのは?
件のインキュベーターが語る。

「むしろ僕達にとって想定外なのは『君が付け加えた』討伐令だ。
 正直、セイヴァーの討伐令を取り下げたいのだけど……どう交渉しようが、君は受け入れないだろうね……」

だから仕方ない。
インキュベーターは感情があれば呆れ、やれやれといった振舞いを見せる。
無意識に挑発する生物に対し、相手が問いかけた。
ん? とインキュベーターが振り向いて、露骨のつもりは無いが、誤解を与える印象を残す態度で答えた。

「セイヴァーの観察は既に終えていないのか、だって?
 ああ、君には説明してなかったね。僕達の観察に関心がないとばかり――……」

相手の反応を見て、更にインキュベーターは悩ましく。

「やはり『人間』はいつもそうだね。少し説明が遅れただけなのに、決まって同じ反応をする。訳が分からないよ」

瞬間。
そのインキュベーターはパン!と風船が破裂したように、体が無残に四散する。
周囲に座るインキュベーターも、残酷な光景を目の当たりにしたうえで。
鳴き声一つ漏らすどころか。
淡々と聖杯戦争の観察へと行動を切り変える。


異常極まりない光景と世界に、誰も正義や正気の在り方を投げる声は一つも無かった。
最終更新:2018年08月26日 00:14