コーデックの基礎知識

■コーデックとは?

コーデックと言うのは「無圧縮では冗長過ぎて扱いが難しい動画を圧縮し、扱いやすくするための技術」と簡単に解説できる。
基本的な動画圧縮に使われる技術としては可逆である「連長圧縮」や非可逆である「フレーム間予測」や「離散コサイン変換」等の計算が使われる。
「○○が使いやすい」等と議論の元となる事も多いが、根本的な事を言えば「各設定次第」で有るとしか言えない。
結局の所、扱い易さを取るかクオリティを取るかの選択であり、各自で設定等の煮詰めを行い、納得のいく形を探すのが肝要だ。

■可逆(ロスレス)圧縮

まず、可逆圧縮の場合は、例えば「白白白白黒黒赤赤赤黄黄黄黄」という記録を「白4黒2赤3黄4」という形に直して縮小効果を狙う物だと考えるのが基本だ。
この性質を踏まえて、同じ色のベタ塗りが並んでいる場合の多いアニメーションに適した圧縮方式であることから「アニメーション」圧縮と呼ばれる物が代表的な可逆コーデックである。
これは、非常に古い技術であり、それこそモノクロファクシミリの送信にも使われる技術なので現代のマシンではエンコードデコードに関しては最速の部類だと言えよう。
欠点としては、どうしても色の不連続性の高い画の場合は殆ど圧縮が効かないと言う事と、表示画像に圧縮が掛からない事に拠ってビデオ表示に負担が掛かる事があり、非力なマシン等では再生コマ落ち等が起こる事がある。
いずれにせよ、圧縮効率が良くないのは明白なので「クオリティ重視」であるとか「アルファチャンネル情報が必要」な場合の使用が適当である。

アルファチャンネルというのは、簡単に言えば「透明度情報」である。
この透明度情報を持てるコーデックは意外なほどに少ない、そう言う面でFCEを使用する際に確実にアニメーション圧縮を使用する必要があるのは「LiveType」からの素材の書き出しである。
例えば、「LiveType」側で作ったテキスト、エフェクトがブラー多用等で非常に重くなってしまった場合、一旦動画に描き出してから素材としてタイムラインに適用したらレンダリング時間等の短縮にも繋がる。
この際に、クリップにアルファ情報が有れば無加工でタイムラインに乗せるだけで使える動画となる、そうでない場合キーイング等で色を抜くか、マスク素材が必要になる。

■FCE上でよく使われる圧縮

最終書き出しに関しては各使用法によって様々なので省略する。

◎Jpeg

Motion JpegやPhoto Jpeg等が知られる、計算技術等はWikipedia等を参照して頂けたら良いかと思う。
基本的に最高品質ではRGB4:4:4の変換であり、最高品質ではロスレスと言っても差し支えない。
代表的なメディアとしてはデジカメの動画録画に多用される。
デジカメには高度なjpeg圧縮技術が使われており、その機能を活かした形としてJpeg圧縮が多用されると言うことだ。
FCEに使用する際には、最高品質以下の場合でRT Extremeにも対応しており、レンダリング無しでのプレビューも可能なので容量画質等のバランスで納得出来るなら使用するのも良いだろう。

◎DV

基本的にFCEで使用されるメインのコーデックである。
データレートも高く(約25〜27Mbps、この事からDV25とも言われる)それほど強い圧縮もかかって無い関係と、ほぼ完全に「統一規格」であるため多数のノンリニア編集アプリで使われる。
FCE上ではRT Extremeの効果で、基本的にプレビュー時レンダリングも不要で非常に編集性は高い。
圧縮方式は基本的にJpegと同じ様な形の変換だと思って良い、その為に場合によってはブロックノイズや色滲み等が出る。
色空間はY(明るさ)U(青)V(赤)4:1:1、つまり2×2ピクセルのうち色差信号を各色1つだけとる形式である。
この特性上、多数回のエンコード繰り返しの場合劣化の可能性も有ると言うことを念頭に置いて欲しい。

◎mpeg系

基本的には編集用途に向かない形式。
主な物としては、mpeg-1(.mpg)〜mpeg4、H.263、H264等が挙げられる。シリコンメディア系のカムコーダにもmpeg2系が良く使われている。
これらのコーデックの場合はフレーム間予測圧縮(動画の「コマの前後はよく似た画像に成る場合が多い」という性質を利用した圧縮)が入るので、フレーム単位での編集がメインであるFCEの場合はRT Extremeも対応しておらず、プレビュー毎にレンダリングしてやる必要もあることから、最終出力及び中間として使用するのに留めるのが良いだろう。
もし、素材等で使わざるを得ない場合には別にそのまま使っても構わないのだが、劣化の少ない形(DVストリーム等)に変換して使うのも一つの手だ。

◎HDV等のHD素材

基本的に大サイズで非常に負担の大きなファイルなのでFCEネイティブでは扱えないが、Apple Intermediate Codec(以下AIC)に変換する事によって扱うことが出来る。

基本的に圧縮方式としてHDVネイティブはMPEG2を使用している、つまり複合型の圧縮(H.261相当)な訳だ。
コレをネイティブで扱おうとすると、インターレース等やフレーム間予測が障害となって編集がかなり困難になる。

AICに変換されたファイルの場合は画像単位の圧縮のみとなる、つまりはJpeg等の圧縮に近い形となる。
フレーム間圧縮が入らない分、編集のしやすい形となるわけだ。
さらに言えば、HDVはPCに近い色空間、つまりRGBに近い色空間を持っているわけだが、コレもネイティブ状態で再現するとなると非常にマシンパワーを喰う。
AICの場合はYUV4:2:0に変換して色数を落とす処理も行い、ビデオ表示負担を減らしてあるわけだ。

HDVのフレーム間予測等の重い処理負担やビデオ表示負担を減らすためにこのAICがある。
ちなみに、そうやって圧縮負担を減らしてる為にデータレートは数倍になる。
データレートは通常のHDDでギリギリ転送可能なぐらいなので、FCEが使われる可能性の高いiMac等の一般普及機でも扱えるようになると言うことだ。


基本的にこれら以外のコーデックに関して言えば「視聴用」のコーデックだと認識した方が早い。
そう言った物に関してはキャプチャを趣味としてる人にでも聞いた方が早い。
フレーム予測系の圧縮が入るとどうしてもクオリティが下がるし、また複雑な変換が入る関係上読み込みに少しラグが出る場合もある。
一部のコーデック(Divx等)においてはごく稀にデコードエラーも起こる事があり、この部分でも編集素材としては良好でない。

なお、需要の多い、ニコニコ等の動画投稿サイト用のエンコードに関しては、各サイトの仕様にしたがって各自研究するの基本だ。
http://nicowiki.com/encode.html 等が参考に成るだろう。

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最終更新:2008年06月06日 06:59
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