世界の成り立ち

 『退化未来のフォークロア』の世界は地球を舞台としている。
 しかし地球と言っても、それは我々の知る地球とは大きく違うものだ。
 世界には魔術や、妖精に亜人といった異族が古くから存在している。
 人は時に彼らと争い、時に手を取り合いながら歴史を積み重ねてきた。

 重要なのが、この世界に神はいないということだ。
 偉大な人物が後世で英雄と呼ばれるように、偉大な異族が神と呼ばれていたに過ぎない。
 全知全能などという、都合のいい何かはいないのだ。
 なお異族は神族、妖精族などの種族で呼ばれる。
 同様に人間も人族と呼ばれ、人類と言えばそれら全てを指す言葉だ。

 歴史について特筆すべき点は、統一戦争と呼ばれた世界規模の大戦である。
 この戦争で人類は、欧州と新大陸を中心とした十字軍と、その他の信仰を持つ連合軍に分かれた。
 十字軍が思想による世界の統一を目指したことから、この戦争を統一戦争と呼ぶ。

 統一戦争では《概念爆弾》という新兵器が開発された。
 これは内部に封じられた概念を広範囲に与え、その概念で塗り潰す兵器である。
 物理法則を完全に無視するこの兵器を防ぐ手段は存在しない。
 同時に、その使用にも慎重にならなければいけなかったのだ。
 しかし両陣営は開発を急ぐ余り、有効範囲がどの程度になるかも想定できていなかった。

 そしてある時、《退化》の概念を封じられた《概念爆弾・退化》が使用された。
 敵を無力化することを目的にされたが、爆発と同時に《退化》の概念が地表を駆け抜けた。
 その影響は地球全土に及び、あらゆる科学文明の成果が沈黙した。
 《退化》の概念は、人類という種の進化を科学だと判断し、それを封印したのだ。

 結果として世界は平和になった。
 だが代償は大きく、人類は旧来の生活を余儀なくされてしまった。
 それだけであれば、あるいはまだ救いがあったのかもしれない。
 しかし科学文明の喪失は、知性を持たない魔物などの隆盛をも招いてしまったのだ。

 『退化未来のフォークロア』における人類史では、時代をこのように定義している。

 神話時代:科学文明が登場する前の、原始的な文明社会。
  旧時代:科学文明が登場し、産業革命を迎えるまでの時代。
 先端時代:産業革命後から統一戦争までの、科学が発展した時代。
 退化時代:統一戦争後の暗黒時代。人類の生存圏は大きく減少した。
 魔道時代:科学文明の代用として魔術が復興した時代。
 転換時代:科学文明の一部が復活し、魔術と融合した時代。

 『退化未来のフォークロア』では6時代の中の、転換時代を舞台とする。
 西暦にして3275年。遠い未来の、今とよく似た世界である。
最終更新:2013年04月06日 22:15